-
トップ
>
-
此身
>
-
このみ
神聖い
語で
二人の
手を
結び
合はして
下されば、
戀を
亡す
死の
爲に
此身が
如何樣にならうとまゝ。
妻と
呼ぶことさへ
叶へば、
心殘りはない。
いはれると
以前の
不出來しを
考へ
出していよ/\
顏があげられぬ、
何の
此身になつて
今更何をおもふ
物か、
食がくへぬとても
夫れは
身體の
加減であらう
みづからの
此身よあはれしひたぐることなく
終の
日にも
許さな
……
去ね、
相談敵手にした
其方ぢゃが、
其方と
予とは
今からは
心は
別々。……
御坊の
許へ
往て
救ひを
乞はう。
事が
皆破れても、
死ぬる
力は
此身に
有る。
あきれたものだのと
笑つてお
前などは
其我まゝが
通るから
豪勢さ、
此身になつては
仕方がないと
團扇を
取つて
足元をあふぎながら、
昔しは
花よの
言ひなし
可笑しく
これ、お
死にゃったが
實ならば、
唯と
言や。さうでなくば
否と
言や。たった
一言二言で
此身の
生死が
決るのぢや。
素より
彼の
人に
約束の
覺えなく
増して
操の
立てやうもなけれど、
何處とも
知らず
染みたる
思ひは
此身ある
限り
忘れ
難ければ、
萬一かの
教授さま
達て
妻にと
仰せのあらば
此身は
雲井の
鳥の
羽がひ
自由なる
書生の
境界に
今しばしは
遊ばるゝ
心なりしを、
先きの
日故郷よりの
便りに
曰く、
大旦那さまこと
其後の
容躰さしたる
事は
御座なく候へ
共
薄情もの
義理しらずと
押くるめてのお
詞お
道理なれど
御無理なり
此身一つに
科があらば
打たれもせん
突かれもせん
膝ともといふ
談合相手に
遊ばしてよと
涙ながら
控へる
袂を
露の
世といへばほろりとせしもの、はかないの
上なしなり、
思へば
男は
結髮の
妻ある
身、いやとても
應とても
浮世の
義理をおもひ
斷つほどのこと
此人此身にして
叶ふべしや
殘れる
耻は
誰が
上ならず、
勿躰なき
身の
覺悟と
心の
中に
侘言して、どうでも
死なれぬ
世に
生中目を
明きて
過ぎんとすれば、
人並のうい
事つらい
事、さりとは
此身に
堪へがたし
秋より
只一人の
伯父が
煩ひて、
商賣の
八百や
店もいつとなく
閉ぢて、
同じ
町ながら
裏屋住居に
成しよしは
聞けど、六づかしき
主を
持つ
身の
給金を
先きに
貰へえば
此身は
賣りたるも
同じ
事
美くしい
眦に
良人が
立つ
腹をも
柔げれば、
可愛らしい
口元からお
客樣への
世辭も
出る、
年もねつから
行きなさらぬにお
怜悧なお
内儀さまと
見るほどの
人褒め
物の、
此人此身が
裏道の
働き
組む
腕の
思案にも
能はず、
凋れかへる
甚之助が
人目に
遠慮なきを
浦やみて、
心空になれど
土を
掃く
身に
箒木の
面倒さ、
此身に
成りしも
誰れ
故かは、つれなき
令孃が
振舞其理由も
探ぐれず
此身は
遊藝手藝學校にも
通はせられて、
其ほうは
心のまゝ、
半日は
姉の
部屋、
半日は
町に
遊んで
見聞くは
三味に
太皷にあけ
紫のなり
形、はじめ
藤色絞りの
半襟を
袷にかけて
着て
歩るきしに
思ふまゝを
通して
離縁とならは
太郎には
繼母の
憂き
目を
見せ、
御兩親には
今までの
自慢の
鼻にはかに
低くさせまして、
人の
思はく、
弟の
行末、あゝ
此身一つの
心から
出世の
眞も
止めずはならず
思での
我れなるに
此身ある
故に
孃さまの
戀叶はずとせば
何とせん
身退ぞくは
知らぬならねど
義理ゆゑ
斯くと
御存じにならば
御情ぶかき
御心として
人は
兎もあれ
我よくばと
仰せらるゝ
物でなし
左らでも
御弱きお
生質なるに
如何つきつめた
御覺悟を