此身このみ)” の例文
神聖たふとことば二人ふたりむすはしてくだされば、こひほろぼため此身このみ如何樣どのやうにならうとまゝ。つまぶことさへかなへば、心殘こゝろのこりはない。
いはれると以前もと不出來ふでかしをかんがしていよ/\かほがあげられぬ、なん此身このみになつて今更いまさらなにをおもふものか、めしがくへぬとてもれは身體からだ加減かげんであらう
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みづからの此身このみよあはれしひたぐることなくつひにもゆるさな
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
此身このみが生んだ子。何をいうのじゃ』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その日/\死ぬる此身このみと蒲団かな
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
……ね、相談敵手さうだんあひてにした其方そちぢゃが、其方そちわしとはいまからはこゝろ別々べつ/\。……御坊ごばうところすくひをはう。ことみなやぶれても、ぬるちから此身このみる。
あきれたものだのとわらつておまへなどは其我そのわがまゝがとほるから豪勢ごうせいさ、此身このみになつては仕方しかたがないと團扇うちはつて足元あしもとをあふぎながら、むかしははなよのひなし可笑をかしく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
これ、おにゃったがぢゃうならば、あいや。さうでなくばいなや。たった一言ひとこと二言ふたこと此身このみ生死しゃうしきまるのぢや。
もとよりひと約束やくそくおぼえなくしてみさほてやうもなけれど、何處どこともらずみたるおもひは此身このみあるかぎわすがたければ、萬一もしかの教授けうじゆさまたつつまにとおほせのあらば
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此身このみ雲井くもゐとりがひ自由じゆうなる書生しよせい境界けうがいいましばしはあそばるゝこゝろなりしを、きの故郷ふるさとよりの便たよりにいはく、大旦那おほだんなさまこと其後そのご容躰ようだいさしたること御座ござなく候へども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
薄情はくじやうもの義理ぎりしらずとおしくるめてのおことば道理だうりなれど御無理ごむりなり此身このみひとつにとががあらばたれもせんかれもせんひざともといふ談合相手だんがふあひてあそばしてよとなみだながらひかへるたもと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
つゆといへばほろりとせしもの、はかないのうへなしなり、おもへばをとこ結髮いひなづけつまある、いやとてもおうとても浮世うきよ義理ぎりをおもひつほどのこと此人このひと此身このみにしてかなふべしや
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
のこれるはじうへならず、勿躰もつたいなき覺悟かくごこゝろうち侘言わびごとして、どうでもなれぬ生中なまなかきてぎんとすれば、人並ひとなみのういことつらいこと、さりとは此身このみへがたし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
あきよりたゞ一人の伯父おぢわづらひて、商賣しやうばい八百やをみせもいつとなくぢて、おなまちながら裏屋うらや住居ずまゐなりしよしはけど、六づかしきしゆう給金きうきんきにもらへえば此身このみりたるもおなこと
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うつくしいまなじり良人をつとはらをもやはらげれば、可愛かあいらしい口元くちもとからお客樣きやくさまへの世辭せじる、としもねつからきなさらぬにお怜悧りこうなお内儀かみさまとるほどのひとものの、此人このひと此身このみ裏道うらみちはたら
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うで思案しあんにもあたはず、しほれかへる甚之助じんのすけ人目ひとめ遠慮ゑんりよなきをうらやみて、こヽろそらになれどつち箒木はヽき面倒めんだうさ、此身このみりしもゆゑかは、つれなき令孃ひめ振舞ふるまひ其理由そのわけぐれず
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此身このみ遊藝ゆうげい手藝學校しゆげいがくかうにもかよはせられて、そのほうはこゝろのまゝ、半日はんにちあね部屋へや半日はんにちまちあそんでくは三味さみ太皷たいこにあけむらさきのなりかたち、はじめ藤色絞ふぢいろしぼりの半襟はんゑりあはせにかけてるきしに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おもふまゝをとほして離縁りゑんとならは太郎たらうには繼母まゝはゝせ、御兩親ごりようしんにはいままでの自慢じまんはなにはかにひくくさせまして、ひとおもはく、おとゝ行末ゆくすゑ、あゝ此身このみ一つのこゝろから出世しゆつせしんめずはならず
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おもひでのれなるに此身このみあるゆゑじようさまのこひかなはずとせばなんとせん退しりぞくはらぬならねど義理ぎりゆゑくと御存ごぞんじにならば御情おなさけぶかき御心おこゝろとしてひともあれわれよくばとおほせらるゝものでなしらでも御弱およわきお生質たちなるに如何いかにつきつめた御覺悟おかくご
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)