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懷
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なつか
ふりがな文庫
“
懷
(
なつか
)” の例文
新字:
懐
人間からは、不信と
排斥
(
はいせき
)
と侮辱とのみしか期待することの出來ない私は、親を慕ふ小兒のやうな
懷
(
なつか
)
しさを籠めて、自然に寄り縋つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
で、ひよいと先生の姿を見た時は、その昔のままなのが堪らなく
懷
(
なつか
)
しくつてね。思はず駈け寄つて觸つてみたいやうな氣持がした。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
奧山家
(
おくやまが
)
の
一軒家
(
いつけんや
)
に、たをやかな
女
(
をんな
)
が
居
(
ゐ
)
て、
白雪
(
しらゆき
)
の
絲
(
いと
)
を
谷
(
たに
)
に
繰
(
く
)
り
引
(
ひ
)
く
絲車
(
いとぐるま
)
の
音
(
おと
)
かと
思
(
おも
)
ふ。……
床
(
ゆか
)
しく、
懷
(
なつか
)
しく、
美
(
うつく
)
しく、
心細
(
こゝろぼそ
)
く、
且
(
か
)
つ
凄
(
すご
)
い。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
病
(
や
)
んでゐる
胸
(
むね
)
には、どんな
些細
(
ささい
)
な
慄
(
ふる
)
えも
傳
(
つた
)
はり
響
(
ひゞ
)
く。そして
死
(
し
)
を
凝視
(
みつめ
)
れば
凝視
(
みつめ
)
る
程
(
ほど
)
、
何
(
なん
)
といふすべてが
私
(
わたし
)
に
慕
(
した
)
はしく
懷
(
なつか
)
しまれる
事
(
こと
)
であらう。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
もどかしいなア、チッバルトを
殺
(
ころ
)
しをった
彼奴
(
あいつ
)
の
肉體
(
からだ
)
をば
掻毟
(
かきむし
)
って、
懷
(
なつか
)
しい/\
從兄
(
いとこ
)
への
此
(
この
)
眞情
(
まごゝろ
)
を
見
(
み
)
することも
出來
(
でき
)
ぬか!
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
▼ もっと見る
それでも
筍
(
たけのこ
)
の
皮
(
かは
)
が
竹
(
たけ
)
の
幹
(
みき
)
に
纏
(
まつは
)
つては
横
(
よこ
)
たはつて
居
(
ゐ
)
るやうに、
與吉
(
よきち
)
がおつぎを
懷
(
なつか
)
しがることに
變
(
かは
)
りはなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
見ると日頃
案
(
あん
)
じ
暮
(
くら
)
せし兄清兵衞よりの
手紙
(
てがみ
)
に
付
(
つき
)
懷
(
なつか
)
しくはあれども
蕩樂者
(
だうらくもの
)
ゆゑ
何
(
どう
)
せ
善事
(
ろく
)
な
譯
(
わけ
)
では有まじと
封
(
ふう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
名も
懷
(
なつか
)
しき
梅津
(
うめづ
)
の里を過ぎ、
大堰川
(
おほゐがは
)
の
邊
(
ほとり
)
を
沿
(
そ
)
ひ行けば、
河風
(
かはかぜ
)
寒
(
さむ
)
く身に
染
(
し
)
みて、月影さへもわびしげなり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
『イヤそう
眞面目
(
まじめ
)
に
問
(
と
)
はれては
困
(
こま
)
る。
僕
(
ぼく
)
は
小兒
(
こども
)
の
時
(
とき
)
を
回想
(
くわいさう
)
して
當時
(
たうじ
)
の
學校
(
がくかう
)
を
懷
(
なつか
)
しく
思
(
おも
)
ふだけの
意味
(
いみ
)
で
言
(
い
)
つたのです』とハーバードは
罪
(
つみ
)
のない
微笑
(
びせう
)
を
浮
(
うか
)
べて
言譯
(
いひわけ
)
した。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
我はこゝを出でゝカムパニアの野に往かんことの樂しかるべきをおもひぬ。そは我搖籃のありつる處、ドメニカが子もり歌の響きし處の、今更に
懷
(
なつか
)
しき心地したればなり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
猿樂町
(
さるがくてう
)
を
離
(
はな
)
れたのは
今
(
いま
)
で五
年
(
ねん
)
の
前
(
まへ
)
、
根
(
ね
)
つからお
便
(
たよ
)
りを
聞
(
き
)
く
縁
(
ゑん
)
がなく、
何
(
ど
)
んなにお
懷
(
なつか
)
しう
御座
(
ござ
)
んしたらうと
我身
(
わがみ
)
のほどをも
忘
(
わす
)
れて
問
(
と
)
ひかくれば、
男
(
をとこ
)
は
流
(
なが
)
れる
汗
(
あせ
)
を
手拭
(
てぬぐひ
)
にぬぐふて
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さういひますいひますと
懷
(
なつか
)
しい郷土を思ひだして、にこにこしながらいつた。
春宵戯語
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
人の心のつらさ、
懷
(
なつか
)
しさ、悲しさ。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
それだに
里
(
さと
)
の
懷
(
なつか
)
しき
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
寢息
(
ねいき
)
もやがて
夜着
(
よぎ
)
の
襟
(
えり
)
に
白
(
しろ
)
く
花咲
(
はなさ
)
くであらう、これが
草津
(
くさつ
)
の
常
(
つね
)
の
夜
(
よる
)
なのである。けれども
馴
(
な
)
れては
何物
(
なにもの
)
も
懷
(
なつか
)
しい、
吹雪
(
ふゞき
)
よ、
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
私
(
わたし
)
の
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でゝゆけ!
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
云
(
い
)
ふまでもなく、
如何
(
いか
)
なる作家にとつても
處女作
(
しよぢよさく
)
を書いた
當時
(
たうじ
)
の思ひ出ほど
懷
(
なつか
)
しく、忘れ
難
(
がた
)
いものはあるまい。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
戀
(
こひ
)
しい、
懷
(
なつか
)
しい、ヂュリエット、
何
(
なん
)
として
今尚
(
いまな
)
ほ
斯
(
か
)
うも
艶麗
(
あてやか
)
ぢゃ?
若
(
も
)
しや
形
(
かたち
)
のない
死神
(
しにがみ
)
が
卿
(
そなた
)
の
色香
(
いろか
)
に
迷
(
まよ
)
うて、あの
骨
(
ほね
)
ばかりの
怪物
(
くわいぶつ
)
めが、
己
(
おの
)
が
嬖妾
(
おもひもの
)
にしようために
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
お
前
(
まへ
)
まあ
些
(
ちつ
)
と
休
(
やす
)
んでと、
深切
(
しんせつ
)
にほだされて、
懷
(
なつか
)
しさうに
民子
(
たみこ
)
がいふのを、いゝえ、さうしては
居
(
を
)
られませぬ、お
荷物
(
にもつ
)
は
此處
(
こゝ
)
へ、もし
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
はござりませぬ、
足
(
あし
)
を
投出
(
なげだ
)
して
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それはダイアナも、メァリーも、小綺麗に飾り換へられた室を見るよりも昔の儘の
懷
(
なつか
)
しい
卓子
(
テエブル
)
や椅子や寢臺を眺めた方が、どんなにか嬉しいに違ひないと思つたからである。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
駈
(
か
)
け
歩
(
ある
)
いて
居
(
ゐ
)
る
女
(
をんな
)
に
對
(
たい
)
して
懷
(
なつか
)
し
相
(
さう
)
に
目
(
め
)
を
睜
(
みは
)
るのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
久々
(
ひさ/″\
)
御
(
おん
)
めもじも致し申さず御
懷
(
なつか
)
しさのまゝ
聊
(
いさゝ
)
かの人目を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
嘸や我を恨み居らんと思へば
彌増
(
いやま
)
す
懷
(
なつか
)
しさ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
とまれ、十
年前
(
ねんまへ
)
の
秋
(
あき
)
の一
夜
(
や
)
、
乳色
(
ちゝいろ
)
の
夜靄
(
よもや
)
立
(
た
)
ち
罩
(
こ
)
めた
上海
(
シヤンハイ
)
のあの
茶館
(
ツアコハン
)
の
窓際
(
まどぎは
)
で
聞
(
き
)
いた
麻雀牌
(
マアジヤンパイ
)
の
好
(
この
)
ましい
音
(
おと
)
は
今
(
いま
)
も
僕
(
ぼく
)
の
胸底
(
きようてい
)
に
懷
(
なつか
)
しい
支那風
(
しなふう
)
を
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
させずにはおかない。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
ヂュリ お
前
(
まへ
)
を
小鳥
(
ことり
)
にしたいなア! したが、
餘
(
あんま
)
り
可愛
(
かはゆ
)
がって、つい
殺
(
ころ
)
してはならぬゆゑ、もうこれで、さよなら! さよなら! あゝ、
別
(
わか
)
れといふものは
悲
(
かな
)
し
懷
(
なつか
)
しいものぢゃ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
冷
(
つめた
)
い
石塔
(
せきたふ
)
に
手
(
て
)
を
載
(
の
)
せたり、
濕臭
(
しめりくさ
)
い
塔婆
(
たふば
)
を
掴
(
つか
)
んだり、
花筒
(
はなづつ
)
の
腐水
(
くされみづ
)
に
星
(
ほし
)
の
映
(
うつ
)
るのを
覗
(
のぞ
)
いたり、
漫歩
(
そゞろあるき
)
をして
居
(
ゐ
)
たが、
藪
(
やぶ
)
が
近
(
ちか
)
く、
蚊
(
か
)
が
酷
(
ひど
)
いから、
座敷
(
ざしき
)
の
蚊帳
(
かや
)
が
懷
(
なつか
)
しくなつて、
内
(
うち
)
へ
入
(
はひ
)
らうと
思
(
おも
)
つたので
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
言ふ其人は
床
(
ゆか
)
し
懷
(
なつか
)
し何人ぞやと
出合頭
(
であひがしら
)
に
顏
(
かほ
)
打詠
(
うちなが
)
め見れば
此方
(
こなた
)
の彼男はお前こそは道十郎殿の御
内儀
(
ないぎ
)
お光殿にて有しよな
珍
(
めづ
)
らしき所にて
絶
(
たえ
)
て久しき
面會
(
めんくわい
)
なり
拙者
(
せつしや
)
事は
瀬戸物屋
(
せとものや
)
忠兵衞と言れてお光は
面
(
かほ
)
打
(
うち
)
まもり扨は忠兵衞殿にて在せしかと
往昔馴染
(
むかしなじみ
)
の何とやら
懷
(
なつか
)
しきまゝ
詞
(
ことば
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
三ヶ
月
(
げつ
)
ほどの
南北支那
(
なんぼくしな
)
の
旅
(
たび
)
を
終
(
をは
)
つて、
明日
(
あした
)
はいよいよ
懷
(
なつか
)
しい
故國
(
ここく
)
への
船路
(
ふなぢ
)
に
就
(
つ
)
かうといふ
前
(
まへ
)
の
晩
(
ばん
)
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
擽
(
くすぐ
)
つたいやうな、
痒
(
かゆ
)
いやうな、
熱
(
あつ
)
いやうな、
寒
(
さむ
)
いやうな、
嬉
(
うれ
)
しいやうな、
悲
(
かな
)
しいやうな、
心細
(
こゝろぼそ
)
いやうな、
寂
(
さび
)
しいやうな、もの
懷
(
なつか
)
しくて、
果敢
(
はか
)
なくて、たよりのない、
誰
(
たれ
)
かに
逢
(
あ
)
ひたいやうな、
焦
(
じれ
)
つたい
大阪まで
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そこにもそれぞれに
懷
(
なつか
)
しく、忘れ
難
(
がた
)
い
處女作
(
しよぢよさく
)
の思ひ出は
隱
(
かく
)
れてゐることであらう。
処女作の思い出
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
懷
部首:⼼
19画
“懷”を含む語句
可懷
懷胎
懷中
述懷
内懷
追懷
御懷
懷紙
人懷
懷中物
手懷
懷中鏡
懷中電燈
本懷
懷裡
懷提灯
懷手
山懷
懷劍
懷姙
...