たから)” の例文
旧字:
けれど、わたし仕事しごとはけっして、最後さいごに、あのてつなかたからのように、かたちもなく、むだとなってしまうことは、ないであろうとしんじます。
汽船の中の父と子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
じつは、あの犬どもは魔法まほうをかけられておりまして、あのとうのなかにあるたくさんのたからもののばんをしていなければならないのです。
けだしたからの在る所心もまた在る」道理で、お馨さんを愛する程の人は、お馨さんの死んだ米国をおもわずには居られないのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
はじめ、目もまぶしいばかりの、さまざまのめずらしいたからがどっさりある。つまらぬ熊襲くまその土地よりも、まずその国をあなたのものにしてあげよう
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
面目次第めんぼくしだいもござんせぬが、にいさんは、おたからしいばっかりに、かえってたのだと、自分じぶんくちからいってでござんす」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
これに反し、得たるたから慈善的じぜんてき公共的その他の正当な使用につることをごろ念じながら夢をむすべば、おそらく宝船以上のたからの夢を得るであろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ロシアの作家のことを書いた評論を一冊さがし出して、人の知らないたからでも得たやうにして一生懸命に読耽つたことなどもその忘れられない一つである。
紅葉山人訪問記 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
こうひとごとをつぶやきながら、そっと羽衣はごろもを一まいろして、うちへってかえって、たからにしようとおもいました。
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それが渡瀬には容易に専有せんゆうすることのできないたからだと考えれば考えるほど、無体な欲求は激しくなった。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一度やられると、たとえやった犯人の顔がわかっていても、二度とおたからは出て来ないのです。さわぎたてると、どうせろくなことにはならない。また何かられます。
成程なるほど子分こぶん多人数たにんずるのは子槌こづちで、れから種々いろ/\たからしますが、兜町かぶとちやうのおたくつて見ると子宝こだからの多い事。甲「だい国立銀行こくりつぎんこう大黒だいこくえん十分じふぶんります。 ...
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
しか/″\のよし母にかたりければ、不思議ふしぎたからたりとて親子よろこび近隣きんりんよりも来りみるもありしが、ものしらぬ者どもなれば趙壁随珠てうへきずゐしゆともおもはずうちすぎけり。
或ヂン(魔神)のたからにしてゐた魔法の指環でございます。陛下は唯今わたくしにお金を恵んで下さいました。わたくしも亦お礼のしるしにその指環を陛下にさし上げます。
三つの指環 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そしておしまいとうとう国のたからの白いぞうをもおあたえなされたのだ。けらいや人民じんみんははじめはこらえていたけれどもついには国もほろびそうになったので大王を山へもうしたのだ。
ここにさきつま一一九ふたつなきたからにめで給ふ一二〇おびあり。これ常にかせ給へとてあたふるを見れば、金銀きがねしろがねを飾りたる太刀たちの、一二一あやしきまできたうたる古代の物なりける。
よしやどれほどのたからささげてこようと、なんでなんじらごとき犬侍いぬざむらいのくされ扶持ぶちをうけようか、たいがいこんなことであろうと、なんじ逃足にげあしへ遠矢をたのはかくもうすそれがしなのだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「二種のたからにはぬしはない筈。何んで奪いに参ろうぞ! ただ宝を発見みつけに来たのじゃ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しろがねくがねたまもなにせむにまされるたからかめやも 〔巻五・八〇三〕 山上憶良
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
たから娘の武子さんを、となると、惜んだもののあったのも、わからなくもない。
九条武子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
たとえば上野こうずけ邑楽おうら郡多々良沼では、万寿二年たから日向なる者来たり、この沼の水鋳物に良しとて居を構え、蹈鞴を据え釜を鋳た。その趾を以前は字金糞と呼んだ。金糞が出たという(邑楽郡誌)。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
わたしはことわりたかったけれど、かれはきらきらする銀貨をわたしの手に無理むりににぎらせた。わたしはだいじにしているたからが分けてくれようというかれの友情ゆうじょうがひじょうに強いものであることを知った。
「だから昔話してんのに。なあ先生、わたし、あの弁当箱、戦争中は防空壕ぼうくうごうにまで入れて守ったんですよ。あの弁当箱だけは、娘にもやりたくないんです。わたしのたからでしたの。今日もお米入れて持ってきたんですよ、先生」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ああうたて「夢」を飾りし世のたから
ねたみ (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
黄金こがねたからも なにしにあつめん
七里ヶ浜の哀歌 (新字新仮名) / 三角錫子(著)
が身にもてるたからぞや
若菜集 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かざたからりくるみなと
横浜市歌 (新字新仮名) / 森林太郎(著)
もしそのひとひろ土地とちしいなら、その土地とちをあげましょう。もし、そのひと芸術げいじゅつきなら、いろいろのめずらしいたからをあげましょう。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
むすめはたびのふたりに、とびらという扉をのこらずあけて、なかにつみあげてあるたくさんのたからものを見せました。けれども王子は
長年ながねんあいだ、わたくしがたからのようにしてぶらげている、だいじなだいじなこぶでございますから、これをげられましては、ほんとうにこまってしまいます。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
うちたからうばわれでもしたように、藤吉とうきち地駄じだんで、あとから、土橋どばしをひとびにんでった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
人は石を玉と握ることもあれば、玉を石となげうつ場合もあります。獅子は子をがけから落します。我々の捨てるものは、往々我々にとって一番捨て難いたからなのです。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しか/″\のよし母にかたりければ、不思議ふしぎたからたりとて親子よろこび近隣きんりんよりも来りみるもありしが、ものしらぬ者どもなれば趙壁随珠てうへきずゐしゆともおもはずうちすぎけり。
失いましたたからが出て可愛い同志が夫婦に成るという是れがどのばつでも同じようでございます。
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんでも石櫃いしびつとやらにはいっている、武田たけださまのお家のたからだともうすことでござります
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたひたからといふとも一坏ひとつきにごれるさけあにまさらめや (同・三四五)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ブラック・キッドのたから
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けば、海賊かいぞくが、あのがけうえに、なにかたからかくしているということであるが、だれも、そこへりにゆかれないというのでした。
サーカスの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、わたしが手にいれて、このふくろのなかにもって歩いているたからものにくらべれば、そんなものは問題もんだいにもならないな。
また天日矛あまのひぼこはこちらへわたってるときに、りっぱなたまかがみなどのいろいろのたから八品やしなっていましたが、このたからは、のち但馬国たじまのくに出石いずし大神おおがみとまつられました。
赤い玉 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
久さんが生れて間もなく、村の櫟林くぬぎばやし棄児すてごがあった。農村には人手がたからである。石山の爺さんが右の棄児を引受ひきうけて育てた。棄児は大きくなって、名を稲次郎いねじろうと云った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
とまり山をするもの、このふぢづるなければ水をくむ事ならず、よしやなはを用ふとも此藤のつよきにはおよぶまじ。このゆゑに泊り山するものら、此つるたからのごとくたふとぶとぞ。
湯屋ゆやひろあつめたつめじゃァねえよ。のみなんざもとよりのこと、はらそこまでこおるようなゆきばんだって、おいらァじっとえんしたへもぐりんだまま辛抱しんぼうして苦心くしんたからだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
たから、死とともにねむる
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それから、いろいろあちらの文明ぶんめいはなしや、まだひとのたくさんゆかないような土地とちで、たからや、めずらしいものが無尽蔵むじんぞうにあるはなしなどをきました。
青いランプ (新字新仮名) / 小川未明(著)
うんよく、そこに立っていたこなひきの小僧こぞうがそれを見つけて、とびぐちでもってひきよせました。小僧こぞうは、すばらしいたからものを見つけたと思いました。
ごちそうをべてしまうと、こんどは金銀きんぎん、さんご、るり、めのうと、いろいろのたからしました。
一寸法師 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「ごむりのおねがいかもしれませんが、このきれいな着物きものを、どうぞ、わたしにおあたえくださいまし。ながくたからにしたいとおもいます。」
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども、うまくずのばんをやりとおせば、そのたからものも手にはいって、貧乏人びんぼうにんでもたちまち大金持おおがねもちになれるのです。
おもいだけにたからがよけいはいっているのだから、ほんとうにたのしみだ。いったいどんなものがはいっているのだろう。ここらでちょいと一休ひとやすみして、ためしにすこしあけてみよう。」
舌切りすずめ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こんなたからはいるとは、なんという自分じぶんしあわせものではないか。むらひとたちにせたら、さぞ、うらやむことだろう。
羽衣物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)