女中じょちゅう)” の例文
それは、「わたしには、ほかの子供こどもたちのように、やさしいおかあさんがないの?」と、たずねていることがよくわかりましたので、女中じょちゅう
遠方の母 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女中じょちゅうに対しても同じです。余計よけいなお饒舌しゃべり譃言うそう時には口では云わずになるたけきつい顔して無言のいましめをしてやります。
下男げなんおとこ使用人しようにん)が病気びょうきになれば、みずくみもしました。女中じょちゅうおんなのおてつだいさん)にさしつかえがあれば、台所だいどころのてつだいもしました。
「ごはんが食べたかったら、だれだってじぶんでかせぐんだよ。さあ、さっさといって、女中じょちゅうといっしょにおはたらき。」
「ちがうでしよう。女中じょちゅうから板前いたまえまで調しらべてある。夕方ゆうがたかけて、十二ごろ、タクシーでかえつたことがわかつている」
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
巫女 (取次ぐ)お女中じょちゅう可恐おそろしい事はないぞな、はばかりおおや、かしこけれど、お言葉ぞな、あれへの、おんまえへの。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
使って居た女中じょちゅうは、江州ごうしゅう彦根在の者で、其郷里地方きょうりちほうには家屋敷を捨売りにして京、大阪や東京に出る者が多いので、うその様にやすい地面家作の売物うりものがあると云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その小供こども相当そうとう地位ちいのあるひと……たしか旗本はたもととかもう身分みぶんひとせがれでございまして、平生へいぜい江戸住えどずまいなのですが、おきの女中じょちゅうもうすのが諸磯もろいそ漁師りょうしなので
女中じょちゅうを置いても事足ることではあるが、女中といってもお大層であり、また親身しんみになって母に尽くすには、他人任せでは安心が出来ず、やっぱり、いっそ、これは家内を貰い
やがて奥から、色の白い、眼の細い、意地いじの悪そうな女中じょちゅうが、手に大きいさらを持って出て来たが、その時もまだ二人は、どうしたものかと思案しあんにくれて土間どまにつったっていた。
最後の胡弓弾き (新字新仮名) / 新美南吉(著)
徳太郎とくたろう女中じょちゅう案内あんないたず、むように千きちをとって、おく座敷ざしきんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
宰相さいしょうはちかつぎをいたわってやるたんびに、ほかの女中じょちゅうたちはにくらしがって
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
家の外では、左官さかんやペンキ屋が、足場あしばをきずいて、家のまわりをっていますし、中では女中じょちゅうたちが、窓ガラスをきれいにふいています。みなとでは、帆船はんせん汽船きせんをさかんに修理しゅうりしています。
魔法まほうつえをふるって、王様とお妃をのぞいては、お城のなかの物のこらず、それはおつきの女教師おんなきょうしから、女官じょかんから、おそばづきの女中じょちゅうから、宮内くない官、表役人おもてやくにん、コック長、料理番りょうりばんから、炊事係すいじがかり
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
勝手口かってぐちへは、どこの家でも、たいがい女中じょちゅうさんがでてくるのでした。
水菓子屋の要吉 (新字新仮名) / 木内高音(著)
つくえまえにマッチはあって、かれはそれをていながら、そのくせ大声おおごえげて小使こづかいんでマッチをっていなどとい、女中じょちゅうのいるまえでも平気へいき下着したぎ一つであるいている、下僕しもべや、小使こづかいつかまえては
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
部屋には小ざっぱりと身じたくをした女中じょちゅうが来て寝床をあげていた。一けん半の大床おおとこに飾られた大花活はないけには、菊の花が一抱ひとかかえ分もいけられていて、空気が動くたびごとに仙人せんにんじみた香を漂わした。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「まあ、なんて、気味きみのわるいいぬでしょう。」と、女中じょちゅうがいって、みずをかけようとしたのをとしちゃんは、やめさせました。そして
母犬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それからむすめだの、子供こどもたちだの、職人しょくにんだの、小僧こぞうだの、女中じょちゅうだのをびましたので、みんな往来おうらいて、とりながめました。
両腕はまさにける様だ。斯くして持ち込まれた水は、細君さいくん女中じょちゅうによって金漿きんしょう玉露ぎょくろおしみ/\使われる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
うちのなかのざつようでもなんでも、諭吉ゆきちは、すこしもいやなかおをしないで、かいがいしくはたらくので、先生せんせいばかりでなく、おくさんにも、女中じょちゅうにも、いえじゅうで
いよいよ絶望ぜつぼうきままったときに、わたくしもと夢中むちゅうけつけたのが、れいのおつき女中じょちゅうでございました。
被害者ひがいしゃ刈谷音吉老人かりやおときちろうじんは、もと高利貸こうりかしでへんくつで、昼日中ひるひなかでももんしまりをしていて、よびりんをさないと、ひと門内もんないとおさなかつたというほどに用心ようじんぶかく、それに妻子さいしはなく女中じょちゅうもおかず
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
はちかつぎが子供こどもとき、おかあさんからならったことは、むかし御本ごほんんだり、和歌わかんだり、こと琵琶びわをひいたりすることばかりでした。でもそんなことは女中じょちゅうのしごとにはなんやくにもちません。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あまり、その調子ちょうしがくだけていて、自分じぶんたいする皮肉ひにくとはとれなかったので、おたけは、まえにいた女中じょちゅうのことだけに、ついつりこまれて
だまされた娘とちょうの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
上にいる人たちは、みものをっていましたが、りこうもののエルゼは、いつまでたってももどってきません。そこで、おくさんが女中じょちゅうにいいました。
そうしたあるほんをよみふけっている諭吉ゆきち部屋へやに、女中じょちゅうがあわててはいってきました。
江戸えどからている小供こどもはそれがうらやましくてたまらなかったものでございましょう、自分じぶんではおよげもせぬのに、女中じょちゅう不在るすおり衣服きものいで、ふか水溜みずたまりひとつにんだからたまりませぬ。
中将ちゅうじょうのお屋敷やしきれられて行くと、女中じょちゅうがしらがはちかつぎを
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
女中じょちゅうになると云う。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
昨日きのうのように、たまごがしてしまっては、べられやしないよ。」と、賢二けんじが、いいますと、おねえさんは、女中じょちゅうをしかりつけて
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
おくさまぎつねは、じぶんのおへやへ行って、とじこもりました。おくさま狐のお女中じょちゅうのおじょうさん猫は、おへっついの上にすわって、ぐつぐつ、煮ものをしていました。
といって、もんからはいってきました。そして、いま女中じょちゅうさんが、アルミニウムの湯沸ゆわかしをごみばこてようとしているのをつけて
人間と湯沸かし (新字新仮名) / 小川未明(著)
「なにいってんのよ、じぶんたちでおはき。あたしはおまえたちの女中じょちゅうじゃないんだよ。」
みんなに、おかあさんがあるのに、どうして、自分じぶんにばかり、おかあさんがないのか? それで、しょうちゃんは、女中じょちゅう脊中せなかにおぶわれながら
遠方の母 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女中じょちゅうさんは、お使つかいからかえったら、またおそうじをやりなおすうえに、へいまでふかなければならぬかとおもうと、がっかりしてしまったのです。
日の当たる門 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ごろは、女中じょちゅうたいして、やさしい、いいおくさまでしたけれど、このばかりは、おそろしいおくさまにえました。そして、厳格げんかく言葉ことばつきで
おさくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女中じょちゅうかえりましたら、どんなによろこぶことでしょうか。すぐにおれいがらせますから。」と、おかあさんが、おっしゃると
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるのこと、女中じょちゅうはアルミニウムの湯沸ゆわかしを、おじょうさんたちがあつまって、はなしをしていなされたお座敷ざしきってゆくと
人間と湯沸かし (新字新仮名) / 小川未明(著)
A院長エーいんちょうは、居間いまで、これから一ぱいやろうとおもっていたのです。そこへはばかるようなちいさい跫音あしおとがして、ぎの女中じょちゅうけん看護婦かんごふはいってきて
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おお、もうおそくなった。はやく、そういってくれればいいのに、なあ。」と、おかあさんや女中じょちゅう小言こごとをいいました。
気にいらない鉛筆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女中じょちゅうは、さっそく、かえって、このことをおくさまにげ、そして、みずで、帽子ぼうしあらって、まどそと日当ひあたりにして、かわかしておいたのであります。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おや!」といって、おくさまも、女中じょちゅうも、おどろきました。それは、かわかしている時分じぶんに、ねこか、なにかがとして、そのうえゆきがかかったのでした。
奥さまと女乞食 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ばん仕度したくをしかけていた十八ばかりになる女中じょちゅうは、おくさまのいいつけにしたがって、さっそくよごれたまえかけをはずして、かける用意よういにとりかかりました。
おきくと弟 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きよがいると、おもしろいのだがなあ。」と、おもいました。女中じょちゅうのきよは、母親ははおや病気びょうき田舎いなかかえったのです。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
下宿屋げしゅくや女中じょちゅうは、はななどには無関心むかんしんでした。すこしのかんがえもなくそうじなどをしましたから、あかいアネモネのはなは、あたまからほこりをびさせられました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ、三つのしょうちゃんにも、その意味いみがわかったものとみえて、しょうちゃんは、女中じょちゅう脊中せなかおおあばれをしました。
遠方の母 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「エヘン。」と、おじいさんのせきばらいがしました。女中じょちゅうが、なにかおじいさんにはなしているこえがきこえます。
日の当たる門 (新字新仮名) / 小川未明(著)
太郎たろううちへ、三、四かげつまえ田舎いなかからきた女中じょちゅうがありました。彼女かのじょは、まだ、十六、七になったばかりです。
少女がこなかったら (新字新仮名) / 小川未明(著)