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過
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すぐ
ふりがな文庫
“
過
(
すぐ
)” の例文
繁華の
橋上
(
きょうじょう
)
に
乗込
(
のりこみ
)
の役者を迎ふる雑沓の光景(第二図)より、やがて「
吹屋町
(
ふきやまち
)
を
過
(
すぐ
)
れば
薫風
(
くんぷう
)
袂
(
たもと
)
を引くに似た」る
佐野川市松
(
さのがわいちまつ
)
が
油店
(
あぶらみせ
)
。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今度は上の方の睾を抜くのは容易だから二つ抜出してしまったら外皮を縫って放しておくと三十分も
過
(
すぐ
)
れば
餌
(
え
)
を拾って食べている。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
十九にして恋人を棄てにし宮は、
昨日
(
きのふ
)
を夢み、今日を
嘆
(
かこ
)
ちつつ、
過
(
すぐ
)
せば過さるる月日を
累
(
かさ
)
ねて、ここに
二十
(
はたち
)
あまり
五
(
いつつ
)
の春を迎へぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
まことは
過
(
すぐ
)
る年の日光の
御修覆
(
ごしうふく
)
で
下受請
(
したうけおひ
)
の手違ひから、工事のやり直しをしたために、十萬兩からの出費で、上總屋は一文なしになつてしまつた
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「多聞院日記」の記事によれば、この時の激戦は、三日に
亙
(
わた
)
るとあるが、「柳生家
家譜
(
かふ
)
」には、七日を
過
(
すぐ
)
とある——
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
彼は
此
(
こ
)
の機会に乗じて、
所謂
(
いわゆる
)
山𤢖なるものを十分に研究したいと思った。冬の夜の明けぬ
中
(
うち
)
に富山を
発
(
た
)
って、午後四時
過
(
すぐ
)
る頃にここへ着いたのである。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
過
(
すぐ
)
る
比
(
ころ
)
福羽君に
一寸
(
ちょっと
)
御目にかゝり、
御咄
(
おはなし
)
きゝ候間、ちと/\三八在宿に候まゝ、御とまりがけにても御出待上候。万々拝顔のうへ申入候。めでたくかしく。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
過
(
すぐ
)
るが如く
漸
(
やうや
)
く東の
方
(
かた
)
白
(
しら
)
み人も通る故やれ
嬉
(
うれ
)
しやと
立出
(
たちいで
)
往來
(
ゆきき
)
の人に茲は何と申所なるやと
尋
(
たづ
)
ねければ淺草御門なりと答る
故
(
ゆゑ
)
夫
(
それ
)
より東の
方
(
かた
)
廣
(
ひろ
)
き
往來
(
わうらい
)
へ出て又町の名を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
老僕聞て大に
驚
(
おどろ
)
き、
過
(
すぐ
)
る三月三日、
桜田
(
さくらだ
)
の
一条
(
いちじょう
)
を
語
(
かた
)
りければ、一船ここに至りて皆はじめて
愕然
(
がくぜん
)
たり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
過
(
すぐ
)
る年月の間、山本さんが思を寄せた婦人も多かった。不思議にも、そういう
可懐
(
なつか
)
しい、いとしいと思った人達の面影は、時が経つにつれて煙のように消えて行った。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
私の顔の、いつまでも美しいのは、旅人の中の詩人に恋いせられ、慕われるからである。空を
過
(
すぐ
)
る星も私の顔の美しいのに見惚れた。何という私の性質は残忍であろう。
日没の幻影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
安達様
御
(
ご
)
親戚の君ボンベイより来てあり給ふ
筈
(
はず
)
なるが、昼
過
(
すぐ
)
るまで船へ見え給はず、夫人の心づかひし
居
(
ゐ
)
給ひしはこの船の一日早く入港せし故とお気の毒に思ひ申し
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
彼
(
あれ
)
を言っては
他
(
ほか
)
役人の身の上にも
拘
(
かゝ
)
わるだろうと深く思い
過
(
すぐ
)
して、隠し立てを致すと却って為にならんぞ、定めし
上役
(
うわやく
)
の者が其の方に
折入
(
おりい
)
って頼んだ事も有るであろうが
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
生を
享
(
う
)
け、
人間
(
じんかん
)
に出でゝ、心を労して
荊棘
(
けいきよく
)
を
過
(
すぐ
)
る、或は故なきに敵となり、或は故なきに味方となり、恩怨
両
(
ふた
)
つながら暴雨の前の
蛛網
(
ちゆまう
)
に似て、
徒
(
いたづ
)
らに
啻
(
た
)
だ毛髪の細き縁を結ぶ
哀詞序
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
過
(
すぐ
)
る者は送るがごとく、
来
(
きた
)
るものは
迎
(
むか
)
うるに似たり。赤き岸、白き
渚
(
なぎさ
)
あれば、黒き岩、黄なる
崖
(
がけ
)
あり。
子美太白
(
しびたいはく
)
の才、
東坡柳州
(
とうばりゅうしゅう
)
の筆にあらずはいかむかこの光景を
捕捉
(
ほそく
)
しえん。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ひと月ふた月と
過
(
すぐ
)
すほどに、おおやけの打ち合せもすみて、取調べも次第に
捗
(
はかど
)
り行けば、急ぐことをば報告書に作りて送り、さらぬをば写し留めて、ついには
幾巻
(
いくまき
)
をかなしけん。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
人の女房にだけはならずにゐて下されと異見を言はれしが、悲しきは
女子
(
をなご
)
の身の
寸燐
(
まつち
)
の箱はりして
一人口
(
ひとりぐち
)
過
(
すぐ
)
しがたく、さりとて人の台処を這ふも柔弱の
身体
(
からだ
)
なれば勤めがたくて
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
之れより上越の
国界
(
こくかい
)
なる山脈の頂上を
経過
(
けいくわ
)
す、
脈
(
みやく
)
尽
(
つ
)
くる所
太平原
(
たいへいげん
)
あり、
原
(
はら
)
尽
(
つ
)
きて一山脈あり、之れを
過
(
すぐ
)
れば又大平野あり、之れ即ち
真
(
しん
)
の
尾瀬
(
おせ
)
が原にして、
笠科山
(
かさしなやま
)
と燧山の間に
連
(
つらな
)
り
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
須須許理
(
すすこり
)
が世に
醸
(
か
)
みそめしことなぐしほど
過
(
すぐ
)
さずば事やなからん
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
泣
(
な
)
き
濡
(
ぬ
)
れてのみ
過
(
すぐ
)
すや。
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
右は故鷲津毅堂の所蔵なりし趣、
過
(
すぐ
)
る御通信中斎藤君の大金を
捐
(
す
)
てゝ加納屋より得られたる
画帖
(
がじょう
)
も本は毅堂の所有品なりしとの事。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
貫一はほとほと疑ひ得らるる限疑ひて、
躬
(
みづから
)
も其の
妄
(
ぼう
)
に
過
(
すぐ
)
るの
太甚
(
はなはだし
)
きを驚けるまでに至りて、始て
罷
(
や
)
めんと為たり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
角川安行の
父子
(
おやこ
)
が吉岡家を辞して、帰途に就いたのは午後四時を
過
(
すぐ
)
る頃であった。ここらの冬の日は驚くばかりに早く暮れて、
村境
(
むらざかい
)
を出る頃には
足下
(
あしもと
)
が
漸
(
ようや
)
く暗くなった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
少なくて三万両、五万両、どうかしたら十万両もあるだろうと思わせたのは、上総屋の主人の腕だ。まことは
過
(
すぐ
)
る年の日光の御修復で
下請負
(
したうけおい
)
の手違いから、工事のやり直しを
銭形平次捕物控:110 十万両の行方
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
人
(
ひと
)
の
女房
(
にようぼう
)
にだけはならずに
居
(
ゐ
)
て
下
(
くだ
)
されと
異見
(
ゐけん
)
を
言
(
い
)
はれしが、
悲
(
かな
)
しきは
女子
(
をなご
)
の
身
(
み
)
の
寸燐
(
まつち
)
の
箱
(
はこ
)
はりして
一人口
(
ひとりぐち
)
過
(
すぐ
)
しがたく、さりとて
人
(
ひと
)
の
臺處
(
だいどころ
)
を
這
(
は
)
ふも
柔弱
(
にうじやく
)
の
身體
(
からだ
)
なれば
勤
(
つと
)
めがたくて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
引
(
ひき
)
たるが初めにて一兩日
過
(
すぐ
)
る
中
(
うち
)
に
發熱
(
はつねつ
)
甚
(
はなは
)
だしく次第に
病
(
やま
)
ひ
重
(
おも
)
りて更に
醫藥
(
いやく
)
の
効
(
しる
)
しも無く
重症
(
ぢうしやう
)
に
赴
(
おもむ
)
きしかば吉兵衞は易き心も
無
(
なく
)
殊
(
こと
)
に病ひの
爲
(
ため
)
に
乳
(
ちゝ
)
は少しも出ず成りければ妻の
看病
(
みとり
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
曩
(
さき
)
に愛慕したるもの
真
(
まこと
)
の愛慕にあらず、動物的慾愛に
過
(
すぐ
)
るところあらざりし。
心機妙変を論ず
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
帰るべき家なしと言張りて、
一日
(
ひとひ
)
二日
(
ふたひ
)
と
過
(
すぐ
)
す
中
(
うち
)
に、漁師夫婦の質朴なるに
馴染
(
なじ
)
みて、不幸なる我身の上を打明けしに、あはれがりて娘として養ひぬ。ハンスルといふは、この漁師の名なり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
過
(
すぐ
)
る
同棲
(
どうせい
)
の年月の間、一日として心に彼女を責めない日は無かった——
刺繍
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
生けるほどは花に眠りて
過
(
すぐ
)
しけり今日さめゆくは夢にかあるらん
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
然し歳月の
過
(
すぐ
)
るに従ひ、繁激なる近世的都市の騒音と灯光とは全くこの哀調を滅してしまつたのである。生活の音調が変化したのである。
里の今昔
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
されば月毎に彼が富山の
門
(
かど
)
を入るは、
正
(
まさ
)
に人の母たる成功の
凱旋門
(
がいせんもん
)
を
過
(
すぐ
)
る心地もすなるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
湿
(
うる
)
める眼をしばたたきて見かえれば、そよ吹く風に誘われて、花筒に
挿
(
はさ
)
みたる黄と紫の花相乱れて落ちぬ。
鴉
(
からす
)
一羽、悲しげに
唖々
(
ああ
)
と
啼
(
なき
)
過
(
すぐ
)
れば、あなたの兵営に
喇叭
(
らっぱ
)
の声遠く聞ゆ。
父の墓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お前さんそれではならぬぞへと
諫
(
いさ
)
め立てる女房の
詞
(
ことば
)
も耳うるさく、エエ何も言ふな黙つてゐろとて横になるを、黙つてゐてはこの日が
過
(
すぐ
)
されませぬ、
身体
(
からだ
)
が悪るくば薬も呑むがよし
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
呼
(
よび
)
來
(
きた
)
るべしと
竊
(
ひそ
)
かに
示合
(
しめしあは
)
せて
別
(
わか
)
れけり菊は只金と小袖の
欲
(
ほし
)
さに
其夜
(
そのよ
)
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
も
過
(
すぐ
)
る頃又七が
寢間
(
ねま
)
へ忍び入り
剃刀
(
かみそり
)
を
逆手
(
さかで
)
に
持
(
もち
)
又七が
夜着
(
よぎ
)
の上より
刺貫
(
さしとほ
)
しけるに又七は居ず
夜具
(
やぐ
)
ばかりなれば南無三と
傍邊
(
かたへ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
人わざのしげきを捨てて身を安く世を
過
(
すぐ
)
さんと求めぬはなし
礼厳法師歌集
(新字旧仮名)
/
与謝野礼厳
(著)
進上
(
しんじょう
)
の
飾物
(
かざりもの
)
山をなし(上巻第四図)やがて顔見世中村座
木戸前
(
きどまえ
)
の全景(上巻第五図)より市村座劇場内(第六図)を見て
過
(
すぐ
)
れば
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
盆
(
ぼん
)
に
入
(
い
)
りては
仕事
(
しごと
)
に
出
(
いづ
)
る
張
(
はり
)
もなく、お
前
(
まへ
)
さん
夫
(
そ
)
れではならぬぞへと
諫
(
いさ
)
め
立
(
た
)
てる
女房
(
にようぼう
)
の
詞
(
ことば
)
も
耳
(
みゝ
)
うるさく、エヽ
何
(
なに
)
も
言
(
い
)
ふな
默
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
ろとて
横
(
よこ
)
になるを、
默
(
だま
)
つて
居
(
ゐ
)
ては
此日
(
このひ
)
が
過
(
すぐ
)
されませぬ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しかし歳月の
過
(
すぐ
)
るに従い、繁激なる近世的都市の騒音と燈光とは全くこの哀調を滅してしまったのである。生活の音調が変化したのである。
里の今昔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
捨てはてし身にも
猶
(
なほ
)
衣食のわづらひあれば、昼は
开処
(
そこ
)
となくさまよひて何となく使はれ、夜は一処不住の宿りに、かくても夢は結びつゝ、日一日とたゞよひにたゞよひて、
過
(
すぐ
)
しゆくほどに
琴の音
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
歳月は
匆々
(
そうそう
)
として
過
(
すぐ
)
ること二十五年、明治
戊辰
(
ぼしん
)
の年となって、徳川氏は大政を奉還したので、丸亀藩では幕府の罪人を
預
(
あずか
)
って
之
(
これ
)
を監視する義務がなくなった所から
枇杷の花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
前の
夜
(
よ
)
も哥沢節の稽古に出でて
初夜
(
しょや
)
過
(
すぐ
)
る頃四ツ谷
宇
(
う
)
の
丸
(
まる
)
横町
(
よこちょう
)
の
角
(
かど
)
にて別れたり。さればわが
病臥
(
やみふ
)
すとは夢にも知らず、八重は
襖
(
ふすま
)
引明
(
ひきあ
)
けて始めて
打驚
(
うちおどろ
)
きたるさまなり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
市川家
荒事
(
あらごと
)
を始め
浄瑠璃
(
じょうるり
)
時代物の人物についてこれを見れば
思半
(
おもいなかば
)
に
過
(
すぐ
)
るものあるべし。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
こは
過
(
すぐ
)
る日八重わが書斎に
来
(
きた
)
りける折書棚の
草双紙
(
くさぞうし
)
絵本
(
えほん
)
の
類
(
たぐい
)
取卸
(
とりおろ
)
して見せける
中
(
なか
)
に
豊国
(
とよくに
)
が絵本『
時勢粧
(
いまようすがた
)
』に「それ
者
(
しゃ
)
」とことわり書したる女の前髪切りて
黄楊
(
つげ
)
の
横櫛
(
よこぐし
)
さしたる姿の
仇
(
あだ
)
なる
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
昔日
(
せきじつ
)
の
普請
(
ふしん
)
と今日の
受負
(
うけおい
)
工事とを比較せば
思
(
おもい
)
半
(
なかば
)
に
過
(
すぐ
)
るものあらん。
一夕
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
過
常用漢字
小5
部首:⾡
12画
“過”を含む語句
過失
通過
過日
過去
過般
看過
経過
行過
過言
過程
過誤
經過
打過
過多
好過
遣過
擦過傷
過激
過不及
正午過
...