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焦
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こ
ふりがな文庫
“
焦
(
こ
)” の例文
横浜
本牧
(
ほんもく
)
あたりで
獲
(
と
)
れたまきえびを、
生醤油
(
きじょうゆ
)
に酒を三割ばかり割った汁で、弱火にかけ、二時間ほど
焦
(
こ
)
げのつかないように煮つめる。
車蝦の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
「
昨日
(
きのう
)
のように、
卵
(
たまご
)
を
焦
(
こ
)
がしてしまっては、
食
(
た
)
べられやしないよ。」と、
賢二
(
けんじ
)
が、いいますと、お
姉
(
ねえ
)
さんは、
女中
(
じょちゅう
)
をしかりつけて
北風にたこは上がる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「うう、こわいこわい。おれは
地獄
(
じごく
)
行きのマラソンをやったのだ。うう、切ない。」といいながらとうとう
焦
(
こ
)
げて死んでしまいました。
蜘蛛となめくじと狸
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
津田の口の中にはもう
焦
(
こ
)
げた
麺麭
(
パン
)
がいっぱい入っていた。彼はそれ以上何も云う事ができなかった。しかし看護婦の方は自由であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何の匂いでござんす? 火事や江戸の名物だ。ジャンと来た奴なら今に始まッたこッちゃござんせぬ。年中
焦
(
こ
)
げ臭せえですよ」
旗本退屈男:09 第九話 江戸に帰った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
云い終ると、孔明は、やがて下流のほうに、
火焔
(
かえん
)
が天を
焦
(
こ
)
がすのも間近であろうと、玄徳を促して、樊口の山頂へ登って行った。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なるほどなるほど、味噌は
巧
(
うま
)
く板に
馴染
(
なじ
)
んでいるから
剥落
(
はくらく
)
もせず、よい工合に少し
焦
(
こ
)
げて、人の
※意
(
さんい
)
を
催
(
もよお
)
させる
香気
(
こうき
)
を発する。
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
藤七の
口吻
(
くちぶり
)
には、我慢のなりかねた憤怒が
焦
(
こ
)
げ附きます。五十五六の中老人ですが、何んとなく練達な感じのする町人でした。
銭形平次捕物控:204 美女罪あり
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「もうその訳は先刻から、申し上げておるではございませんか」「ふん、お前はそんなにまで、あんな男に
焦
(
こ
)
がれているのか」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
好
(
い
)
いあんばいに、天人の彫りは無事で、
焦
(
こ
)
げた
箇所
(
ところ
)
は
波形
(
なみがた
)
だけですが、その波形は
彫
(
ほり
)
でなくって、みんな、薄い板が組み合せてあるのです。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼奴
(
きゃつ
)
は
先刻
(
さっき
)
、この室に這入ると間もなく、吾輩がこの大暖炉の中で焼き棄てた著述の原稿の、
焦
(
こ
)
げ臭いにおいを嗅ぎ付けたに違いないのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
静かに宿命を迎へた死骸である。もし顔さへ
焦
(
こ
)
げずにゐたら、きつと
蒼
(
あを
)
ざめた
脣
(
くちびる
)
には微笑に似たものが浮んでゐたであらう。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ただわけもなく
惹
(
ひ
)
きつけられて、ちょうどあの黙々とした無心に身体を
焦
(
こ
)
がしつづけている螢の火にじっと見入っている時と同じ気持になり
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
あの湯気の立つ
羹
(
あつもの
)
をフウフウ吹きながら吸う楽しみや、こりこり皮の
焦
(
こ
)
げた香ばしい焼肉を
頬張
(
ほおば
)
る楽しみがあるのだろうか? そうでなくて
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
炎天、
日盛
(
ひざかり
)
の
電車道
(
でんしゃみち
)
には、
焦
(
こ
)
げるような砂を浴びて、
蟷螂
(
とうろう
)
の
斧
(
おの
)
と言った強いのが普通だのに、これはどうしたものであろう。
二、三羽――十二、三羽
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私の全心が愛の
焔
(
ほのほ
)
で燃え尽きませうとも、
其
(
それ
)
を知らせる
便宜
(
たより
)
さへ無いぢやありませんか、此のまゝ
焦
(
こ
)
がれて死にましても
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
フライ鍋へバターを入れて少し
焦
(
こ
)
げる位にしておいて今の鰯へメリケン粉をまぶしたものを入れてジリジリといためます。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
私は彼の
眉毛
(
まゆげ
)
の上を指で撫でゝそれが
焦
(
こ
)
げて了つてゐるのに氣が附いて、そして、それを昔の通りに太く濃くするものを何かつけようと云つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
煙のみいたずらにたちのぼりて木にも竹にも火はたやすく燃えつかず。鏡のわくはわずかに
焦
(
こ
)
げ、丸太の端よりは怪しげなる音して湯気を吹けり。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
凡
(
およ
)
そ人間というやつは、興奮の振動体のようなもので、いつも二十四時間、なにかかにかの興奮に神経を
焦
(
こ
)
がしている。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
家々の高張、
軒提燈
(
のきぢょうちん
)
は云うも更なり、四ヶ所の
大篝火
(
おおかがりび
)
は天をも
焦
(
こ
)
がすばかりにて、森の鳥類を一時に驚かすのであった。
怪異暗闇祭
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
天も
焦
(
こ
)
げよと燃えあがる熖の紅ではなく、淋しい不可思議な花の咲く秋の野の
黄昏
(
たそがれ
)
を、音もなく包む青ばんだ
靄
(
もや
)
である。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
誰もが大火の火熱によって数町先のものが
焦
(
こ
)
げることや、大火の呼び起こす烈風がその方向を気ままに変えることや
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
飯を炊きつつある際に、病人の方に至急な要事が出来るといふと、それがために飯が
焦
(
こ
)
げ付くとか片煮えになるとか、出来そこなふやうな事が起る。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
蕎麥
(
そば
)
の
粉
(
こ
)
に
里芋
(
さといも
)
の
子
(
こ
)
をまぜて
造
(
つく
)
つたその
燒餅
(
やきもち
)
の
焦
(
こ
)
げたところへ
大根
(
だいこん
)
おろしをつけて
焚火
(
たきび
)
にあたりながらホク/\
食
(
た
)
べるのは、どんなにおいしいでせう。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そして甚兵衛は、二月の末になるのを待ち
焦
(
こ
)
がれました。馬は相変わらず元気で、毎日材木の荷車をひきました。
天下一の馬
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
木と木の摩擦は木質より
細粉
(
さいふん
)
を生じ、此細粉は
熱
(
ねつ
)
の爲に
焦
(
こ
)
げてホクチの用を爲す。是
實驗
(
じつけん
)
に因りて知るを得べし。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
芝居
(
しばゐ
)
の
土間
(
どま
)
で
煙草
(
たばこ
)
を
吸
(
す
)
つて、
他人
(
たにん
)
の
袂
(
たもと
)
を
焦
(
こ
)
がしたものも、
打首
(
うちくび
)
になるといふ
噂
(
うはさ
)
が
傳
(
つたは
)
つた
時
(
とき
)
は、
皆々
(
みな/\
)
蒼
(
あを
)
くなつた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
お
釜
(
かま
)
のそこがだんだんあつくなってきて、そのうちじりじり
焦
(
こ
)
げてきたので、さすがの
山姥
(
やまうば
)
もびっくりして
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
さあさあ、こんなところにいないで早く表へ出て行っておくれ。私は用があるんだよ。お
釜
(
かま
)
の御飯が噴いているのに、お前のお蔭で
焦
(
こ
)
げ臭くなったじゃないか
母を恋うる記
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
棟
(
むね
)
も完全に焼け落ちてしまいました。ほのおは相変らず天を
焦
(
こ
)
がすといえども、要するに
余燼
(
よじん
)
に過ぎません。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
けれども、
如何仕様
(
どうしよう
)
も無い、
這
(
は
)
って行く外はない。
咽喉
(
のど
)
は熱して
焦
(
こ
)
げるよう。
寧
(
いっ
)
そ水を飲まぬ方が手短に片付くとは思いながら、それでも
若
(
も
)
しやに
覊
(
ひか
)
されて……
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
大
(
おほい
)
なる都會を
埋
(
うづ
)
め
盡
(
つく
)
さうとする埃!………其の埃は今日も東京の空に
漲
(
みなぎ
)
ツて、
目路
(
めじ
)
の
涯
(
はて
)
はぼやけて、ヂリ/″\
照
(
て
)
り付ける
天日
(
てんぴ
)
に
焦
(
こ
)
がされたやうになツてゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
その材料は土地ごとに甚だ
区々
(
まちまち
)
で、
蒲
(
がま
)
や
芒
(
すすき
)
の穂の枯れたものも使えば、或いは
朽木
(
くちき
)
の腐りかけた部分を取ってきて、少し火に
焦
(
こ
)
がして貯えて置く者もあったが
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼等
(
かれら
)
はじり/\と
喉
(
のど
)
が
焦
(
こ
)
げる
樣
(
やう
)
に
感
(
かん
)
じても
苦
(
にが
)
い
顏
(
かほ
)
を
蹙
(
しか
)
めつゝ
飮
(
の
)
んで
見
(
み
)
る
者
(
もの
)
さへある。
比較的
(
ひかくてき
)
少量
(
せうりやう
)
な
酒
(
さけ
)
が
注
(
つ
)
ぐ
度
(
たび
)
に
手
(
て
)
にする
度
(
たび
)
に
筵
(
むしろ
)
の
上
(
うへ
)
に
滾
(
こぼ
)
れても
彼等
(
かれら
)
は
惜
(
をし
)
まない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
学校で、金子先生の無内容なお話をぼんやり聞いているうちに、僕は、去年わかれた黒田先生が、やたら
無性
(
むしょう
)
に恋いしくなった。
焦
(
こ
)
げつくように、したわしくなった。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
水がことごとく火の上に落ち、灰の雲が、うるさいものに腹を立てた獣のように、オノリイヌ目がけて飛びかかり、からだを包み、呼吸をつまらせ、皮膚を
焦
(
こ
)
がした。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
遠
(
とほ
)
い
昔
(
むかし
)
に、
燒肉
(
ビフステーキ
)
が
少
(
すこ
)
し
焦
(
こ
)
げ
※
(
す
)
ぎて
居
(
を
)
るからと
怒鳴
(
どな
)
つて、
肉叉
(
フオーク
)
もつけずに
犬
(
いぬ
)
に
喰
(
く
)
はせてしまつた
一件
(
いつけん
)
や、「サンドウイツチ」は
職工
(
しよくにん
)
の
辨當
(
べんたう
)
で
御坐
(
ござ
)
るなどゝ
贅澤
(
ぜいたく
)
を
云
(
い
)
つて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「それがお前の鳥を
焦
(
こ
)
がす理由になるのかな? その色はね」とここで彼は私の方へ向いて、——
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
焦
(
こ
)
げつくやうな砂を踏んで彼女は
汀
(
みぎは
)
に立つて、ぼんやり波の戯れを見てゐたが、長く立つてゐられなかつた。目がくらくらして波と一緒に引込まれて行きさうであつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
私が空っぽの胃を
曳
(
ひ
)
きずってひょろひょろ街を歩いているうちに、ある家の
芥溜
(
ごみた
)
めの中に、
焦
(
こ
)
げついて真黒な
飯
(
めし
)
が捨ててあるのを見て、そっとそれを口に入れたことを。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
おせいの誘惑によつて、何とか生きかへりたいと思ひ、一種の
焦
(
こ
)
げつくやうな興奮をさへ感じてゐる。——眼の前にゐる亭主とゆき子を眼の前から消してしまひたかつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
例令
(
たとえ
)
遠山
(
とおやま
)
は雪であろうとも、武蔵野の霜や氷は厚かろうとも、
落葉木
(
らくようぼく
)
は皆
裸
(
はだか
)
で松の
緑
(
みどり
)
は黄ばみ杉の緑は
鳶色
(
とびいろ
)
に
焦
(
こ
)
げて居ようとも、
秩父
(
ちちぶ
)
颪
(
おろし
)
は寒かろうとも、雲雀が鳴いて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
万
(
まん
)
は口を
尖
(
と
)
げるようにして
焼
(
や
)
け
焦
(
こ
)
げだらけの
炉縁
(
ろぶち
)
へ、
煙管
(
きせる
)
を
叩
(
たた
)
きつけるようにしていった。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
このあたりを取り巻いているものは、ひろびろとした
荒寥
(
こうりょう
)
たる
環境
(
かんきょう
)
ばかりでした。
乾
(
ひ
)
からびた
褐色
(
かっしょく
)
のヒースと、うす黒く
焦
(
こ
)
げた
芝草
(
しばくさ
)
が、白い
砂洲
(
さす
)
のあいだに見えるだけでした。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
唯
(
ただ
)
すさまじい雷鳴と共に、家内が俄かに明るくなったように感じただけであったが、雨が晴れてから出てみると、かの柳は真っ黒に
焦
(
こ
)
げて、大木の幹が半分ほども裂けていた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
堤防の下に立っている焼残りの樹木と、
焦
(
こ
)
げた柱ばかりの小家を吹き倒そうとしている。
にぎり飯
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何物にか
執着
(
しふぢやく
)
して、黒く
焦
(
こ
)
げた柱、地に
委
(
ゆだ
)
ねた
瓦
(
かはら
)
のかけらの
側
(
そば
)
を離れ兼ねてゐるやうな人、
獣
(
けもの
)
の
屍
(
かばね
)
の
腐
(
くさ
)
る所に、
鴉
(
からす
)
や
野犬
(
のいぬ
)
の寄るやうに、何物をか
捜
(
さが
)
し
顔
(
がほ
)
にうろついてゐる人などが
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
赤い恐ろしい
焔
(
ほのお
)
が見える、街並の家がそこにちゃんと見えているのにそれとは別に
眩
(
まぶ
)
しいような火焔がそこらいちめんに拡がってみえる、
喉
(
のど
)
を
焦
(
こ
)
がすような、熱い噎っぽい煙の渦
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
辟易
(
へきえき
)
していると、なかから、「——どうぞ」と細君が言い、その声と一緒に、ヘットの
臭
(
にお
)
いと、ソースの
焦
(
こ
)
げついた臭い、そういったお好み焼屋特有の臭いをはらんだ暖かい空気が
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
“焦”の解説
焦(しょう)は、西周時代の諸侯国。
『史記』周本紀によると周の武王は神農氏の末裔を焦(現在の河南省三門峡市陝州区)に封じたとある。
『竹書紀年』の記載によると、周の幽王七年(紀元前775年)焦は虢によって滅亡した。
(出典:Wikipedia)
焦
常用漢字
中学
部首:⽕
12画
“焦”を含む語句
焦燥
焦慮
焦躁
焦心
焦点
焦立
焦々
焦眉
焦土
焦熱
焼焦
焦死
黒焦
焦茶
日焦
焦茶色
焦臭
焦熱地獄
小焦
麦焦
...