にぎり飯にぎりめし
深川古石場町の警防団員であった荒物屋の佐藤は三月九日夜半の空襲に、やっとのこと火の中を葛西橋近くまで逃げ延び、頭巾の間から真赤になった眼をしばだたきながらも、放水路堤防の草の色と水の流を見て、初て生命拾いをしたことを確めた。 しかしどこをど …
題名が同じ作品
にぎり飯 (新字旧仮名)永井荷風 (著)