準備じゆんび)” の例文
又護身の用として余は三尺の秋水しふすゐよこたへ、小西、森下、深井、石田の四君は各「ピストル」を携帯けいたいし、人夫は猟銃れうじう二挺を準備じゆんびしたり。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
過去くわこ經驗けいけんれば、金解禁きんかいきん準備じゆんびをする場合ばあひには、世界せかいいづれからも日本にほん圓貨ゑんくわたいして思惑投機おもわくとうきおこなはれるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
それで準備じゆんびをして、下男げなん藥箱くすりばこかつがせ、多田院ただのゐんからのむかへのしやきにてて、玄竹げんちくはぶら/\と北野きたのから能勢街道のせかいだう池田いけだはうあるいた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ほししたんでかへつて、温泉いでゆ宿やどで、準備じゆんびを、とあしく、ととほはなれた谿河たにがはながれが、砥石といしあらひゞきつたへる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけ此間このあひだ公案こうあんたいして、自分じぶんだけ解答かいたふ準備じゆんびしてゐた。けれども、それははなは覺束おぼつかない薄手うすでのものにぎなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わたしは一新築しんちくのS、Hうちたいかた/″\、いつかはつてもいゝとおもつたが、せわしいときだしすここゝろ準備じゆんびをとゝのへたをりのことにしようとおもつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
百姓ひやくしやういそがしい田植たうゑをはれば何處どこいへでもあき收穫しうくわく準備じゆんびまつたほどこされたので、各自かくじらうねぎらため相當さうたう饗應もてなしおこなはれるのである。それ早苗振さなぶりである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はれさくごと到着たうちやくしてると、新聞連しんぶんれん今日けふすくない。坪井博士つぼゐはかせ歸京ききやう準備じゆんびをしてられる。博物館はくぶつくわんからは、和田氏わだし一人ひとりだけだ。しかし、高等野次馬かうとうやじうま非常ひじやうおほい。
このさい一言いちげんして必要ひつようのあることは地震ぢしん副原因ふくげんいんといふことである。すなは地震ぢしんおこるだけの準備じゆんび出來できてゐるとき、それを活動かつどうてんぜしめる機會きかいあたへるところの誘因ゆういんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
こと小形こがたの「フランネル」の水兵服すいへいふくを、裁縫係さいほうがゝり水兵すいへいめいずるやら、いろ/\取計とりはからつてれる、其間そのまに、大佐たいさより命令めいれいのあつた吾等われら居室ゐま準備じゆんび出來できたので、其處そこみちびかれ
で其の準備じゆんびからしてすこぶ大仰おほげうで、モデルの詮索せんさくにも何のくらい苦心くしんしたか知れぬ。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
準備じゆんびはできました
しかしながら金解禁きんかいきん準備じゆんびとしては在外正貨ざいぐわいせいくわ潤澤じゆんたくたことはその準備じゆんび大半たいはん目的もくてきたつしたとつて差支さしつかへないのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
産婆さんばゆつくりふし、脱脂綿だつしめん其他そのた準備じゆんびこと/″\不足ふそくなくそろへてあつた。さん案外あんぐわいかるかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれはしばらく奈美子なみこ同棲どうせいしてゐた郷里きやうり世帯しよたいをたゝんで、外国ぐわいこくへわたる準備じゆんびとゝのへるために、そのとき二人ふたり上京じやうきやうして、竹村たけむらちかくに宿やどつてゐた。かれなんとなくいら/\してゐた。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
片側かたがはのまばらがき一重ひとへに、ごしや/\と立亂たちみだれ、あるひけ、あるひかたむき、あるひくづれた石塔せきたふの、横鬢よこびんおもところへ、胡粉ごふんしろく、さま/″\な符號ふがうがつけてある。卵塔場らんたふば移轉いてん準備じゆんびらしい。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一行が準備じゆんびせらるる十日間の食糧しよくれう到底とうてい其目的そのもくてきを達せず、ことに五升ばかりの米をふをめいぜられて此深山しんざん険崖けんがい攀躋はんさいする如きは、拙者のあたはざる所なりと、だんじて随行をこばむ、衆相かへりみて愕然がくぜんたり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
みぎくち合計がふけいするときは四億圓おくゑん在外資金ざいぐわいしきん保有ほいうする次第しだいであつて、金解禁きんかいきん準備じゆんびとしては充分じうぶんであるとかんがへるのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
餘所よそくらべると閑靜かんせいはる支度したくも、御米およねからへば、ねん一度いちどいそがしさにはちがひなかつたので、あるひ何時いつどほり準備じゆんびさへいて、つねよりも簡單かんたんとし覺悟かくごをした宗助そうすけ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その準備じゆんびいても取々とり/″\ことがあるが、それはまあ、おあづかまをすとして、帳場ちやうばゑて算盤そろばんく、乃至ないし帳面ちやうめんでもつけようといふ、むすめはこれを(お帳場ちやうば/\)とつてるが、えうするに卓子テエブルだ。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
食糧しよくれうは米一石餅三斗、之れ十七人の分にして皆人夫をしてはしむ、人夫は此他に各自の食糧しよくれうを各準備じゆんびしたり、其他草鞋わらじ二百足、馬桐油うまとうゆ三枚、鰹節かつをぶし数十本及かまなべ味噌みそ醤油しようゆ食塩しよくゑん等を用意したり
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)