トップ
>
歳
>
とし
ふりがな文庫
“
歳
(
とし
)” の例文
私の心持は、また、三つの
歳
(
とし
)
行方知れずになったお染のことで一パイになり、その日その日の仕事にも身が入らない有様になりました
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
親兄弟の同意せぬ恋愛結婚などはまして遂行すべくもない薫である。十九になった
歳
(
とし
)
に三位の参議になって、なお中将も兼ねていた。
源氏物語:44 匂宮
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
いつの間にやらだんだん口が
奢
(
おご
)
って来て、三度の食事の
度毎
(
たびごと
)
に「何がたべたい」「
彼
(
かに
)
がたべたい」と、
歳
(
とし
)
に似合わぬ贅沢を云います。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その
歳
(
とし
)
も段々
迫
(
せまっ
)
て、とう/\慶応三年の
暮
(
くれ
)
になって、世の中が
物騒
(
ぶっそう
)
になって来たから、生徒も自然にその影響を
蒙
(
こうむ
)
らなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
卯平
(
うへい
)
は
久振
(
ひさしぶり
)
で
故郷
(
こきやう
)
に
歳
(
とし
)
を
迎
(
むか
)
へた。
彼等
(
かれら
)
の
家
(
いへ
)
の
門松
(
かどまつ
)
は
只
(
たゞ
)
短
(
みじか
)
い
松
(
まつ
)
の
枝
(
えだ
)
と
竹
(
たけ
)
の
枝
(
えだ
)
とを
小
(
ちひ
)
さな
杙
(
くひ
)
に
縛
(
しば
)
り
付
(
つ
)
けて
垣根
(
かきね
)
の
入口
(
いりくち
)
に
立
(
た
)
てたのみである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
単に人を悩ます者がおとらであり、おとらは
歳
(
とし
)
久しき狐なることを証明するためならば、それほど力を入れずともよいのであった。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
カスチリヤの
使
(
し
)
と、支那の使とを引見したるは、
即
(
すなわ
)
ち
此
(
この
)
歳
(
とし
)
にして、
其
(
そ
)
の翌年
直
(
ただち
)
に馬首を東にし、争乱の
余
(
よ
)
の支那に乱入せんとしたる也。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
致すは
爰
(
こゝ
)
のこと林藏は
能
(
よい
)
歳
(
とし
)
を
仕
(
し
)
て
殊
(
こと
)
の
外
(
ほか
)
女
好
(
ずき
)
夫故大方
然樣
(
さやう
)
な一
件
(
けん
)
でも御座りませうが
主有者
(
ぬしあるもの
)
に手を出すの
密夫
(
まをとこ
)
などは致ませんが
只々
(
たゞ/\
)
錢
(
ぜに
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
気にしながら
栄
(
は
)
えぬものは浮世の義理と
辛防
(
しんぼう
)
したるがわが前に余念なき小春が
歳
(
とし
)
十六ばかり色ぽッてりと白き丸顔の
愛敬
(
あいきょう
)
溢
(
こぼ
)
るるを
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
忘
(
わす
)
るゝ
人
(
ひと
)
ありとか
聞
(
き
)
きしがこれは
又
(
また
)
いかに
歸
(
かへ
)
るべき
家
(
いへ
)
を
忘
(
わす
)
れたるか
歳
(
とし
)
もまだ
若
(
わか
)
かるを
笑止
(
せうし
)
といはゞ
笑止
(
せうし
)
思
(
おも
)
へば
扨
(
さて
)
も
訝
(
いぶか
)
しき
事
(
こと
)
なり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それが自分の十か十一の
歳
(
とし
)
の時であったと書いてよこした。考えて見ると自分は
幼少
(
ちいさ
)
い時から苦労性であったと書いてよこした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「何だエ」と伯母は眼を
円
(
まる
)
くし「
其様
(
そんな
)
豪
(
えら
)
い
婦人
(
ひと
)
で、
其様
(
そんな
)
歳
(
とし
)
になるまで、一度もお嫁にならんのかよ——異人てものは妙なことするものだの」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
今年
(
ことし
)
みたいに、
紅白
(
こうはく
)
の
花
(
はな
)
がたんと
咲
(
さ
)
いた
歳
(
とし
)
は
無
(
な
)
い。
野
(
の
)
は
一面
(
いちめん
)
に
眼
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めるやうな
色
(
いろ
)
だ。どこへ
行
(
い
)
つても
垣根
(
かきね
)
の
上
(
うへ
)
に
主
(
しゆ
)
の
御血潮
(
おんちしほ
)
は
煌々
(
ぴかぴか
)
してゐる。
浮浪学生の話
(新字旧仮名)
/
マルセル・シュウォッブ
(著)
予(
蒲松齢
(
ほしょうれい
)
)は
庚戌
(
こうじゅつ
)
の
歳
(
とし
)
、南に遊んで泝州に往き、雨にへだてられて旅舎に休んでいたが、そこに劉生子敬という者がある。
蓮香
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「旧暦の
歳
(
とし
)
の
夜
(
よ
)
、山の狸が園遊会をやって
盛
(
さかん
)
に舞踏します。その歌に
曰
(
いわ
)
く、
来
(
こ
)
いさ、としの
夜
(
よ
)
で、
御山婦美
(
おやまふみ
)
も
来
(
く
)
まいぞ。スッポコポンノポン」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ついては、
歳
(
とし
)
も押しつまりましたし、久々で御健勝の体をも仰ぎ申したく、近く
歳暮
(
せいぼ
)
の儀をかねて、
出府
(
しゅっぷ
)
いたすつもりです。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『アハハハハハばかを言ってる、ドラ寝るとしよう、皆さんごゆっくり』と、幸衛門の
叔父
(
おじ
)
さん
歳
(
とし
)
よりも早く
禿
(
は
)
げし頭をなでながら内に入りぬ。
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
然
(
しか
)
るに
天保
(
てんぽう
)
四年
癸
(
みずのと
)
巳
(
み
)
の
歳
(
とし
)
十二月二十六日の
卯
(
う
)
の刻
過
(
すぎ
)
の事である。当年五十五歳になる、
大金奉行
(
おおかねぶぎょう
)
山本
三右衛門
(
さんえもん
)
と云う老人が、
唯
(
ただ
)
一人すわっている。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その
歳
(
とし
)
有名なる
岸田俊子
(
きしだとしこ
)
女史(故中島信行氏夫人)漫遊し
来
(
きた
)
りて、三日間わが
郷
(
きょう
)
に演説会を開きしに、聴衆雲の如く会場
立錐
(
りっすい
)
の地だも
余
(
あま
)
さざりき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
へい、そんな事は
容易
(
たやす
)
いことで、わたしは、子供の時からこの
歳
(
とし
)
まで三十年間も、手品師で飯を喰つてまゐりました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
御両親が
相果
(
あいはて
)
てからと云うものは、
私
(
わし
)
の手許に置いて丹精をしてやったのじゃないか……
女子
(
おなご
)
の手もない寺へ引取り、十一の
歳
(
とし
)
から私が丹精をして
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
兄からお聞きになっているなら、大抵のことはもう御承知でしょうが、わたくしは今年
二十歳
(
はたち
)
ですから、あしかけ七年前、わたくしが十四の
歳
(
とし
)
でした。
水鬼
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
家庭の
紛雑
(
いざこざ
)
は島村氏を極度の神経衰弱に陥らしめた。氏はそれを治すためにある
歳
(
とし
)
の秋から冬にかけて、かなり長い間京都三
本木
(
ぼんぎ
)
の
信楽
(
しがらき
)
に泊つてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
私もこの
歳
(
とし
)
になるまで、ずいぶん変わった世間も見てきましたが、こんな恐ろしい目に出会ったのは天にも地にも、これが生まれて初めてなんでして……
幽霊妻
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
何千という観客の歓声に取り巻かれていた者が、けちな
歳
(
とし
)
の市にかかる見世物小屋へ現われるわけにはいかない。
断食芸人
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
「三十の
歳
(
とし
)
から五十まで、寛政七年から文政元年まで、ざっと数えて二十年間、
私
(
わし
)
はこの道では苦労しています」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
歳
(
とし
)
は二十六七にもなろうか。髪はさまで
櫛
(
くし
)
の歯も見えぬが、房々と大波を打ッて
艶
(
つや
)
があって真黒であるから、雪にも紛う顔の色が一層引ッ立ッて見える。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
金
(
きん
)
の指輪をはめた死人の指。おや、悲しくもないのに涙が出ました。こんな
歳
(
とし
)
になって、つまらぬ花の事で涙を流すなんて、私もずいぶんお馬鹿ですね。
新ハムレット
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
およそ十月より
歳
(
とし
)
を
越
(
こ
)
えて四月のはじめまでは、むなしくやしなひおくのみ也。これ
暖国
(
だんこく
)
にはなき
難儀
(
なんぎ
)
の一ツ也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
まだ
歳
(
とし
)
も若し、気も
旺
(
さか
)
んであるから、高い足場へ上って、
差図
(
さしず
)
をしたり、竹と丸太を色々に用いて
頤
(
あご
)
などの丸味や、胸などのふくらみを拵えておりますと
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
古来、民間に
厄年
(
やくどし
)
と称して一般に忌み嫌う
歳
(
とし
)
がある。例えば十九歳、三十三歳、四十二歳、四十九歳などを厄年と唱えて、厄払いをすることになっておる。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
その他小さな寺々からも参りますが、この時ラサ府に集まる坊さんの数は二万五、六千人、
歳
(
とし
)
によって多少はありますけれども、まず大抵その位の数である。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
私等は十五の
歳
(
とし
)
に女学校を卒業しましたが、南さんはそのまゝお
下
(
さが
)
りになり、私は補習科に残りましたから、淋しく物足らない思ひをすることも
屡
(
しば/\
)
ありました。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
なほ
歳
(
とし
)
の入るものを計るに
正
(
まさ
)
に出づるに五倍すてふ、子爵中有数の内福と聞えたる
田鶴見良春
(
たづみよしはる
)
その人なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ハハハと笑って口をあいて見せた
歯並
(
はなみ
)
が、ばかに細かくて白い。
歳
(
とし
)
は、そうさ、七兵衛よりも
十歳
(
とお
)
も若いか、笠を取って見たら、もっとずっと若いかも知れない。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そしてここの絵馬にはめの字の記されたものが多く、
午
(
うま
)
の
歳
(
とし
)
の男、め、め、め、と幾つも記されてある。
大切な雰囲気:03 大切な雰囲気
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
(前略)
歳
(
とし
)
辛巳
(
かのとみ
)
十二月廿一日
癸酉
(
みづのととり
)
の日、
穴穂部間人
(
あなほべはしひと
)
の母后崩じ、明年二月廿二日
甲戌
(
きのえいぬ
)
の夜半に太子
薨
(
こう
)
ず。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
一、ペンネンノルデが七つの
歳
(
とし
)
に太陽にたくさんの黒い
棘
(
とげ
)
ができた。赤、黒い棘、父赤い
眼
(
め
)
、ばくち。
ペンネンノルデはいまはいないよ 太陽にできた黒い棘をとりに行ったよ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
お前の
生命
(
いのち
)
を救つてくれたのさね。去年の亀の親かも知れない。或は親の又親ぐらゐかも知れんよ。何しろ大きな亀だつたからね。百年以上の
歳
(
とし
)
をとつてゐたらう。
動く海底
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
如
(
も
)
し
求
(
もと
)
む
可
(
べ
)
からずんば、
吾
(
わ
)
が
好
(
この
)
む
所
(
ところ
)
に
從
(
したが
)
はん。
(六〇)
歳
(
とし
)
寒
(
さむ
)
うして
然
(
しか
)
る
後
(
のち
)
松柏
(
しようはく
)
の
凋
(
しぼ
)
むに
後
(
おく
)
るるを
知
(
し
)
る
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
今の
歳
(
とし
)
になるまで
全生涯
(
ぜんしょうがい
)
の大半を暗いこの世界で過して来たというこの老人は、もう何事も
諦
(
あきら
)
めているのであろうか、言葉少なにいつも笑っているような顔であった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
丁度此
歳
(
とし
)
の春三月、南日、中村の二君は丹波山村に行かれ、
其処
(
そこ
)
から大洞山(飛竜山)に登られて、此方面に於ける暗黒なる奥秩父の山脈に一道の光明を与えられた。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
歳
(
とし
)
も暮れに近づいた。或る日彼女の
良人
(
をつと
)
の兄といふのが所用で大阪へ行つた帰りとかで立ち寄つた。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
そんなふうで、もみの木の
歳
(
とし
)
は、まいねんふえてゆく
節
(
ふし
)
のかずを、かぞえて見ればわかりました。
もみの木
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
二十八
歳
(
さい
)
の今日まで女を知らずに来たという話ももう
冗談
(
じょうだん
)
に思えず、十八の
歳
(
とし
)
から体を
濡
(
ぬ
)
らして来た一代にとっては、地道な結婚をするまたとない機会かも知れなかった。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それらの
繪馬
(
ゑま
)
に
混
(
まじ
)
つて、女の長い黒髮の根元から切つたらしいのが、まだ油の
艶
(
つや
)
も拔けずに、
恭
(
うやう
)
やしく
白紙
(
はくし
)
に卷かれて
折敷
(
をしき
)
に載せられ、折敷の
端
(
はし
)
に『
大願成就
(
だいぐわんじやうじゆ
)
寅
(
とら
)
の
歳
(
とし
)
の女』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「今夜に限って妙に述懐めくではないか。しかし、言って見ればもうかれこれ半
歳
(
とし
)
にはなろう」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
貴州の紅崖山の深洞中より時に銅鼓の声聞ゆ、諸葛亮ここに兵を
駐
(
とど
)
めたといい、夷人祭祀ごとに
烏牛
(
くろうし
)
、白馬を用うれば
歳
(
とし
)
稔
(
みの
)
る(『大清一統志』三三一)てふ支那説に近い。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「男爵も此の時分はまだ
御盛
(
ごさかん
)
であったな。
丁酉
(
ていゆう
)
の
歳
(
とし
)
季春
(
きしゅん
)
というとわしが辞職する前の年だ。」
春雨の夜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
降誕祭前一週間ほど、市役所前の広場に
歳
(
とし
)
の
市
(
いち
)
が立って、安物のおもちゃや
駄菓子
(
だがし
)
などの露店が並びましたが、いつ行って見ても不景気でお客さんはあまり無いようでした。
先生への通信
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
歳
常用漢字
中学
部首:⽌
13画
“歳”を含む語句
三歳
十歳
八歳
万歳
六歳
四歳
歳暮
百歳
七八歳
御歳
二十歳
七歳
歳月
九歳
何歳
今歳
歳々
千秋万歳
幾歳
五歳
...