“とし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トシ
語句割合
37.3%
年齢20.8%
15.4%
8.1%
年紀7.9%
年齡2.2%
1.2%
年歯0.8%
老齢0.8%
0.8%
都市0.6%
芳紀0.6%
0.6%
老年0.5%
杜詩0.4%
年歳0.3%
年配0.3%
年輩0.2%
0.2%
托氏0.1%
0.1%
0.1%
兎糸0.1%
0.1%
壮年0.1%
寿0.1%
年齒0.1%
0.1%
0.1%
都士0.1%
高齢0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
と、海蔵かいぞうさんがいいました。そばにてみると、それはこの附近ふきん土地とちっている、まちとしとった地主じぬしであることがわかりました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「市郎、大分寒くなったな。」と、父の安行やすゆき背後うしろから声をかけた。安行は今年六十歳の筈であるが、年齢としよりもはるかに若く見られた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
親兄弟の同意せぬ恋愛結婚などはまして遂行すべくもない薫である。十九になったとしに三位の参議になって、なお中将も兼ねていた。
源氏物語:44 匂宮 (新字新仮名) / 紫式部(著)
⦅こりや、フォマ、フォマつたら! もう嫁を貰つてもええとしをして、お主はまるで驢馬の仔みてえな、阿房な真似をさらすだ!⦆
話はすこし昔にかえるが、この女は二十五の年紀としに、たった一月ひとつきのうちに、その父親と夫と、生れたばかりの赤ン坊を亡くしてしまったのだった。
狂女 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
三十にもならうとするお糸さんは、年齡としの半分も下の姪から愛情をいつも受けてゐた。その時も、糠星ぬかぼしのやうな眼に、急に火がとぼつて
日本橋あたり (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
そのうへ趣味しゆみひろく——たとへば最近さいきん、その三上みかみ對手あひてとして、いいとしをしながら(失言しつげん?)將棋しやうぎ稽古けいこしかけたりしてゐる。
我儘わがままな一人息子は、年歯とし三十にして初めて自活——それもファニイとその子供迄養う決心をして、英国を飛出した。父子の間は音信不通となった。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)
ロダン翁は老齢とし所為せゐで少し日常の事には耄碌まうろくの気味だから、逢ふ度に初対面の挨拶をしたり以前の話を忘れて居たりして訪客はうかくを困らすが
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
としと云う女があって、それが新蔵とは一年越互に思い合っていたのですが、どうしたわけか去年の暮に叔母の病気を見舞いに行ったぎり、音沙汰もなくなってしまったのです。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
いま社會しやくわいは一回轉くわいてんした。各個人かくこじん極端きよくたん生命せいめいおもんじ財産ざいさんたつとぶ、都市としは十ぶん發達はつたつして、魁偉くわいゐなる建築けんちく公衆こうしゆ威嚇ゐかくする。科學くわがくつき進歩しんぽする。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
芳紀としのほども、美しさに過ぎて、幾つぐらいとも計りがたいが、蘭瞼細腰らんけんさいよううすものすがたは、むしろ天女に近いと云ってもいい。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大きな尨犬むくいぬの「熊」は、としをとった牝犬めすいぬだったが、主人の命で、鋭く吠えたてたので流石さすがの腕白連も、ひとたまりもなく逃げてしまった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
『明日がえ? 行くどもせア。權作ア此老年としになるだが、馬車つぱらねえでヤ、腹減つて斃死くたばるだあよ。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
洞庭湖どうていこ杜詩とし琵琶行びわこうの文句や赤壁せきへきの一節など、長いこと想い出すおりもなかった耳ざわりのいい漢文のことばがおのずから朗々ろうろうたるひびきをもっくちびるにのぼって来る。
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
黎元れいぐわん撫育むいくすることやや年歳としを経たり。風化ふうくわなほようして、囹圄れいごいまむなしからず。通旦よもすがらしんを忘れて憂労いうらうここり。頃者このごろてんしきりあらはし、地しばしば震動す。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
けだし、この年配としごろの人数ひとかずには漏れない、判官贔屓ほうがんびいきが、その古跡を、取散らすまい、犯すまいとしたのであった——
瓜の涙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
何処どこから現われたのかすこしも気がつかなかったので、あだかも地の底から湧出わきでたかのように思われ、自分は驚いてく見ると年輩としは三十ばかり、面長おもながの鼻の高い男、背はすらりとした膄形やさがた
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
父はあなたの大きな才能を崇拝して、いつでも婿にしようとしているのですが、ただ妹の嬌娜は、どうもとしが若すぎるのです。
嬌娜 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
香港ホンコン上海シヤンハイの支那人の中には、偶然この本を読んだ為めに、生涯托氏としを師と仰いだ、若干じやくかんの青年があつたかも知れぬ。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
今日けふ本郷ほんがう通りを歩いてゐたら、ふと托氏とし宗教小説と云う本を見つけた。あたひを尋ねれば十五銭だと云ふ。
点心 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
されば夫婦の間は、何時か不和ふわになツて、父はぎやく待する、母は反抗する、一粉統ごだ/\としと共につのるばかりであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
としは眼をさますと慌てて川べりへ出て見た。対岸の崖の上に今夜三つ灯がともれているばかりだった。暗夜の茂をながれる大河の音が一時に耳もとに襲うた。
童話 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
熊笹の中をけ下ると、つがもみなどの林に這入はいる。いかにおおきな樹でも一抱ひとかかえぐらいに過ぎないが、幹という幹には苔が蒸して、枝には兎糸としが垂れ下っている。
木曽御嶽の両面 (新字新仮名) / 吉江喬松(著)
としさん、ひょっとお前は——」サア来たと私は思った。
私の父 (新字新仮名) / 堺利彦(著)
「おまえさんの壮年としで、独身ひとりみで、情婦がないなんて、ほんとに男子おとこ恥辱はじだよ。私が似合わしいのを一人世話してあげようか」
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
忽然、うす黒い瞼を落し、まだ三十六歳の若い寿としに終りを告げた。時、建安十五年の冬十二月三日であったという。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人々ひとみを凝らして之を見れば、年齒としは十六七、精好せいがうの緋の袴ふみしだき、柳裏やなぎ五衣いつゝぎぬ打ち重ね、たけにも餘る緑の黒髮うしろにゆりかけたる樣は、舞子白拍子の媚態しなあるには似で
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
としおそしと待居たり然るにあけ寅刻頃なゝつごろとも思ふ頃はるかに聞ゆる驛路えきろすゞ馬士唄まごうたこゑ高々たか/″\と來掛る挑灯てうちん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
明るくてとし子は楽し薔薇を摘み茅花抜く日も我れみとる日も
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
しからザレバ鳥啼ちょうてい虫吟ちゅうぎん沾沾ちょうちょうトシテみずかラ喜ビ佳処かしょアリトイヘドモ辺幅へんぷく固已もとヨリ狭シ。人ニ郷党自好じこうノ士アリ。詩ニモマタ郷党自好ノ詩アリ。桓寛かんかんガ『塩鉄論えんてつろん』ニ曰ク鄙儒ひじゅ都士としカズト。信ズベシ矣。
小説作法 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
あの高齢としをからげて、こんな子供だましみたいな物を拵らへて御恐悦なんだからなあ!