とし)” の例文
私達はなか這入はいりました。小屋の中には上品なとし寄りの土人が居りましたが、私達を見ると立ち上り、機嫌よく迎えてくれました。
大きな尨犬むくいぬの「熊」は、としをとった牝犬めすいぬだったが、主人の命で、鋭く吠えたてたので流石さすがの腕白連も、ひとたまりもなく逃げてしまった。
戦争雑記 (新字新仮名) / 徳永直(著)
「それが出来るくらいなら、おれはいたり愚痴をいったりしやしねえ。世の中に、分らずやのとしよりを持ったくらい、不倖せなことはねえ」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
出したからね。軽いとは思ふんだがどうもとしよりだから経過しだいでは副次症を起さんともかぎらんしね。そのへんのことが僕にはよく判らないんだ
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
ところが、その帽子が破れていたので、れいの小悪魔から貰った小さな木の根が、一つ地べたに落ちました。としよった犬はパンと一しょにその根を食べていました。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
「俺も御覧の通りとしが寄つたでの」と死神に立聴きでもされないやうに、急に声を低めて