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齢
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とし
ふりがな文庫
“
齢
(
とし
)” の例文
旧字:
齡
与十という男は小柄で顔色も青く、何年たっても
齢
(
とし
)
をとらないで、働きも
甲斐
(
かい
)
なそうに見えたが、子供の多い事だけは農場一だった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
⦅こりや、フォマ、フォマつたら! もう嫁を貰つてもええ
齢
(
とし
)
をして、お主はまるで驢馬の仔みてえな、阿房な真似をさらすだ!⦆
ディカーニカ近郷夜話 後篇:05 呪禁のかかつた土地
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
齢
(
とし
)
は二十八でありますが至って賢い男、
大形
(
おおがた
)
の
縮緬
(
ちりめん
)
の
単衣
(
ひとえもの
)
の上に黒縮緬の羽織を着て大きな鎖付の
烟草入
(
たばこいれ
)
を握り、頭は
櫓落
(
やぐらおと
)
しという
髪
(
あたま
)
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たしかに
齢
(
とし
)
よりは十ぐらい
老
(
ふ
)
けて見えるがその実ようやく四十になったばかりのこの絵師は、当時長崎きっての版画師であった。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「おまえは、百余歳になるというが、そんな
齢
(
とし
)
なら、諸葛孔明が生きていた頃を知っているわけだ。あの人を見たことがあるか」
三国志:12 篇外余録
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
もとより自分の
齢
(
とし
)
もしらないし、ばかの癖でまだほんのたわいのない顔をしてるので彼がいくつになるのかは誰も知らなかつた。
銀の匙
(新字旧仮名)
/
中勘助
(著)
画家
(
ゑかき
)
の
田能村直入
(
たのむらちよくにふ
)
は、晩年
年齢
(
とし
)
を取る事が大好きになつて、太陽暦で八十の
齢
(
とし
)
を迎へてまだ二
月
(
つき
)
と経たぬうちに、旧暦のお正月が来ると
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ダルガス、
齢
(
とし
)
は今三十六歳、工兵士官として戦争に臨み、橋を架し、道路を築き、
溝
(
みぞ
)
を掘るの際、彼は
細
(
こま
)
かに彼の故国の地質を研究しました。
デンマルク国の話:信仰と樹木とをもって国を救いし話
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
宵夜中
(
よいよなか
)
小使銭
(
こづかい
)
貸せの
破落戸漢
(
ならずもの
)
に踏み込まれたり、苦労に
齢
(
とし
)
よりも
老
(
ふ
)
けた岩公の
阿母
(
おふくろ
)
が、孫の赤坊を負って、草履をはいて小走りに送って来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「君、誰か見付けて早速結婚したまへ。すぐ癒るよ。君みたいな男がその
齢
(
とし
)
になるまで独身で居るなんてわるいことだ。」
美しき敵
(新字旧仮名)
/
富永太郎
(著)
元禄袖の
双子
(
ふたご
)
は一つ
齢
(
とし
)
下の
従妹
(
いとこ
)
を左右から囲んで坐つた。暫く直つて居た榮子の頬の
慄
(
ふる
)
へが母の膝に抱かれるのと一緒にまた
烈
(
はげ
)
しくなつてきた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
「なにしろ
小父
(
おぢ
)
さんは、
齢
(
とし
)
に似あわず、様子がいいから……画にも描かれようってものさ、おれたちとはわけがちがうワ」
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
ごく控目に見積つて、その
齢
(
とし
)
は参百年か四百年でなくちやならない。此の栗の木の齢に驚いちやいけない。私の話はまだはじめたばかりだからね。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
齢
(
とし
)
こそいろいろだがいずれも食いもの屋のねえさんたちと
覚
(
おぼ
)
しいのが、寝入りばなを起されてそのまま飛び出て来たらしい、しどけない姿である。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「誠に面白かつた。
見惚
(
みぼれ
)
に気惚に底惚か。
齢
(
とし
)
に在ると云ふのは、これは大きにさうだ。齢に在る! 確に在るやうだ!」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
否、幻覚ではなかつた。アヽ、もう遅い、然し、女はさう呟いたのではない。もう十年若ければ……あゝ、
齢
(
とし
)
だ……たしかにさう呟いたのであつた。
母の上京
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そして月の変りますと早々、これもあなた様よく御存じのとおり、姫君はおん
齢
(
とし
)
十七を以て御落飾、法華寺の尼公にお直り遊ばしたのでございます。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「私はいつまでも、こんなことをしてゐてよいのかと思ひます。いたづらに
齢
(
とし
)
をとるばかりで、いつまでたつても、もとの栄蔵に変りありません。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
ところが親父の方がその話に乗気になり、
齢
(
とし
)
を取ってからでは不安であるが、今の中なら大丈夫だ、と言い出した。
美術学校時代
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
具
(
そな
)
えたる少年、
齢
(
とし
)
二十に余ることわずかなれば、新しき
剃髪
(
ていはつ
)
の
相
(
すがた
)
傷
(
いた
)
ましく、いまだ古びざる僧衣を
纏
(
まと
)
い、
珠数
(
じゅず
)
を下げ、
草鞋
(
わらじ
)
を
穿
(
うが
)
ちたり。奥の方を望みつつ
道成寺(一幕劇)
(新字新仮名)
/
郡虎彦
(著)
弟は兄を
剃髪染衣
(
ていはつぜんえ
)
の身ならむとは思ひもかけず、兄は弟を薪売り
人
(
びと
)
になりをらむとは思ひもかけず、かつ
諸共
(
もろとも
)
に
窶
(
やつ
)
れ
齢
(
とし
)
老いたればそれとも心づかざれど
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
ただ、残念なことに、幾らか
齢
(
とし
)
をとり過ぎていて、全体に骨ばった感じがし、歩くのが大儀そうに見える。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
土はたたかれ
握
(
にぎ
)
り返され、あたたかに取り交ぜられて三十年も、彼の手をくぐりぬけて
齢
(
とし
)
を取っていた。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
同行が出来るといふのでその計画を子供らしく悦んでゐる妻と私は、平気で露はに話し合つてゐるのであるが——「あたしよりも
齢
(
とし
)
は上なのね、一つ? 二つ?」
蔭ひなた
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
憂欝
(
いううつ
)
の色が見えるんですもの、そりや梅子さん貴嬢ばかりぢやない、誰でも、
齢
(
とし
)
と共に苦労も増すに
定
(
きま
)
つて居ますがネ、
只
(
た
)
だ私、貴嬢の色に見ゆる
憂愁
(
いうしう
)
の底には
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
その娘が
齢
(
とし
)
ごろになると種々な形式でもってそこに嫁いでゆくというような口碑伝説がいくらもある。
東奥異聞
(新字新仮名)
/
佐々木喜善
(著)
お婆さんの
齢
(
とし
)
はもう八旬を越えましたので、その筆の一生も終りに近づきつつあることと思われます。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
お前
達
(
だち
)
は、まだ
齢
(
とし
)
若い血気の少年であるから、幽霊などがあるといったら、一概に
貶
(
けな
)
すことだろうが
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
丈
(
たけ
)
が低くて、まん丸こくって、太い咽喉がいつもベトリと汗ばんでいる。そのくせ、
齢
(
とし
)
の割に皮膚が艶々しく、どこか娼婦というよりも喰物の感じが強い女だった。
地虫
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
彼は死んだと思われているがどこに彼が葬られているか誰も知らない。別に、いい
齢
(
とし
)
をした老婦人も近所に住んでいるが、たいがいの人の眼にはすがたが見えない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
「御城内なり、御親族なりへは、知らせた方がよいの。ただの衰弱ではない。お
齢
(
とし
)
が、お齢ゆえ」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
齢
(
とし
)
は二十二、三位、丸顔で色の浅黒い、あまり背の高くない、どつちかといへば豊艶な男好きのする女であつた。その中に小奴は順々に酌をしながら私の前に来た。そこで私は
石川啄木と小奴
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
自分の孫たちの
齢
(
とし
)
を
算
(
かぞ
)
えて見て、絢子の方はもう四年五ヶ月以上になって居るのだから、私が死んだ後からでも何か思い出してくれる事があるかも知れぬ、などと考え及んだ。
御萩と七種粥
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
人間なら
好
(
い
)
い
齢
(
とし
)
をした
梅干婆
(
うめぼしばあ
)
さんが十五、六の
小娘
(
こむすめ
)
の
嬌態
(
しな
)
を作って甘っ垂れるようなもんだから、
小滛
(
こいや
)
らしくて
撲
(
は
)
り倒してやりたい処だが、猫だからそれほど妙にも見えないで
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
西部フリースランド(オランダ)にあるフラネッケルという名まえの小都会で、
五歳
(
いつつ
)
か
六歳
(
むっつ
)
ぐらいの女の子と男の子、まあそういったような
齢
(
とし
)
のいかない子どもたちが遊んでいました。
子どもたちが屠殺ごっこをした話
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
元来が
上方者
(
かみがたもの
)
の
吝嗇家
(
しまりや
)
だったから、御殿奉公中からちょびちょび
小金
(
こがね
)
を溜めて大分持っていたそうだ、しかしもう
齢
(
とし
)
が
齢
(
とし
)
なので屋敷も
暇
(
ひま
)
を貰って自分は
此処
(
ここ
)
へ一軒
新
(
あた
)
らしく家を建てたが
暗夜の白髪
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
老生既に七十の
齢
(
とし
)
を越えたれば、貴兄の教えらるる如く、今更四ツ
這
(
ば
)
いになって歩くことも致し兼ねると答えたという話がある。動物社会には我々の尊ぶ自由というものはないのであろう。
デモクラシーの要素
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
ほんの慰み事ならば又別だが、金も乏しい癖して紙代、絵具代、大変なものだ。友達は皆陰で心配してゐるのです。一体この
齢
(
とし
)
に
僅
(
わづ
)
かづゝ上達したところで、それがどうなるといふのです。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
でも、だんだん
齢
(
とし
)
をとり、自分が人の子の親になってみれば、
誰
(
だれ
)
もそれがほんとうにわかってくるのです。科学的立場からいえば、親の流す涙も、恋人の流す涙も涙に変わりはないでしょう。
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
これがかの
夕日
(
ゆうひ
)
の
森
(
もり
)
に
名高
(
なだか
)
く、
齢
(
とし
)
若
(
わか
)
き
閨秀
(
をんな
)
樂師
(
がくし
)
のなれの
果
(
はて
)
であらうとは!
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
そういう名の人物は居住していないが、手紙の趣にある
風采
(
ふうさい
)
と
齢
(
とし
)
恰好からおすと、三年前からトゥリック氏所有の別荘「エルミタージュ」を借りているラウール・デュポンのまちがいではないか。
青髯二百八十三人の妻
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
陽気に
躁
(
はしゃ
)
げる
齢
(
とし
)
でないことは、自分にもよく解っていた。そのくせ、昔の思い出の中にそれを探し求めたって、彼の思い出には、今宵目のあたりに見るがごとき光景に似寄ったものは何もなかった。
孤独
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
それは
何時
(
いつ
)
ぞやもお
咄
(
はなし
)
したとおり、あの方はお
齢
(
とし
)
も若いし、美しい御顔でもあるし私が行ったりするのは、
憚
(
はば
)
からなけりゃなるまいと思っています。幾度交際を断とうと思ったかも知れはしません。
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
自分も若いつもりではいるがしかし
齢
(
とし
)
は争えないもので、あなたも齢をお取りになりましたネ、といった人があった。自分もそんな齢になったのだ、と思って空を仰ぐと銀河が
明
(
あきら
)
かにかかっていた。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
娘の
齢
(
とし
)
は十八、朗然和上は三十四歳、十六も
違
(
ちが
)
つて居た。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
続いて、「俺も
齢
(
とし
)
をとつたな……」と、さう思つた。
古本屋
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
老
(
おい
)
らくの
齢
(
とし
)
にもめげず、
健
(
すこ
)
やかに、
忠
(
まめ
)
なる声の
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
その身こそ瓜も欲りせん
齢
(
とし
)
弱
(
わか
)
き母にしあれば
文語詩稿 一百篇
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
わたしの猫はずゐぶんと
齢
(
とし
)
をとつてゐるのだ
測量船拾遺
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
さあ。どうだか知らないけど、あなた若いようで
齢
(
とし
)
取っているのね。なんだかあなたが興奮しておっしゃることはおじいさんが若者の言葉を
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
“齢”の意味
《名詞》
(よわい)年齢。
(出典:Wiktionary)
齢
常用漢字
中学
部首:⿒
17画
“齢”を含む語句
年齢
老齢
妙齢
高齢
御齢
蒲松齢
頽齢
齢詞
御年齢
年齢下
齢下
齢上
鶴齢
鬼三太残齢記
齢恰好
馬齢
齢端
郭松齢
適齢
齢言
...