)” の例文
ぼくおもふに、いつたい僕等ぼくら日本人にほんじん麻雀マージヤンあそかた神經質しんけいしつぎる。あるひ末梢的まつせうてきぎる。勿論もちろんあらそひ、とらへ、相手あひてねら勝負事しようぶごとだ。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それをッかけに、その日の小銃戦はまた始まった。いま歌っていた兵、いま踊っていた兵があけにそまって、ばたばたと傷つき始める。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひとり独仙君に至っては機外きがいろうし過ぎて、少々疲労したと見えて、碁盤の上へのしかかって、いつのにやら、ぐうぐう寝ている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たまたま! 赫奕かくやくたる明星みやうじやう持主もちぬしなる、(おう)の巨魁きよくわい出現しゆつげんじゆくして、天公てんこう使者ししやくちりて、あらかじいんをなすものならむか。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
蜂矢は、そのじょうじて、長い繃帯をといた。なるほど、繃帯はどこもまっ白で血にそまっているところは見あたらなかった。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
到底どうせもらう事なら親類なにがしの次女おなにどのは内端うちば温順おとなしく器量も十人なみで私には至極に入ッたが、このを迎えてさいとしては
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
弥陀の本願というものは、の善悪を云うのではない。行いの多少を論ずるのではない。身の浄不浄を選ぶのでもない。
法然行伝 (新字新仮名) / 中里介山(著)
私が何かさもしいつかけから、今夜も訪ねて來たことが厚面しいやうな氣がして、こんなに仕合せよく仕事をしてゐるのに來なければよかつたとも思へた。
蒼白き巣窟 (旧字旧仮名) / 室生犀星(著)
そして、それをとして、もう一度娑婆しゃばへ立帰り、新しい生活を始めようかと思った程でございます。
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
六日の夜は、流言の如く、又焼打の騒ぎあり、翌七日には、市内全く無警察のしょうを現はしけるが、浅草公園の池にては、咎むる者の無きをとし、こい釣大繁昌との報を得たり。
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
その土煙の舞いあが合間あいまに、薄紫の光がほどばしるのも、昼だけに、一層悲壮だった。しかし二千人の白襷隊しろだすきたいは、こう云う砲撃の中にを待ちながら、やはり平生の元気を失わなかった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
考えたことがあるよ、さいわいこの島は無風の日がきわめて少ない、にのぞんで無用のものを有用にてんずることは、人間にあたえられた大いなる宝だ、ぼくらはさっそく利用しよう
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
このすばらしい音楽おんがくはあのラッパのある自動音楽が ひとりでつてゐるのです
其所へ投出し置増々ます/\ゑひに乘ずる體なれば彼町人の曲者くせもの假令たとへ武者修行むしやしゆぎやうにもせよはづさず充分に酒を強付しひつけ醉潰ゑひつぶれたる時にうばはゞ造作ざうさもなしと心にたくみ頻りに後藤の機嫌きげんを取強付々々しひつけ/\酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
熊のくろきは雪の白がごとく天然てんねんの常なれども、天公てんこうてんじて白熊はくいうを出せり。
〔譯〕物我ぶつがたいは即ち是れ仁なり。我れ公情こうじやうつて以て公事を行ふ、天下服せざる無し。治亂ちらんは公と不公とに在り。しう子曰ふ、おのれに公なる者は人に公なりと。伊川いせん公理こうりを以て仁の字をしやくす。
シグナルのみどりの燈と、ぼんやり白いはしらとが、ちらっとまどのそとをぎ、それから硫黄いおうのほのおのようなくらいぼんやりしたてんてつの前のあかりがまどの下を通り、汽車はだんだんゆるやかになって
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かね工夫くふう慘憺さんたんよしほのかみゝにせしが、此度このたびいよ/\じゆくしけん、あるひおもんぱかところありてにや、本月ほんげつ初旬しよじゆん横濱よこはまぼう商船會社しやうせんくわいしやよりなみ江丸えまるといへる一だい帆走船ほまへせんあがなひ、ひそかに糧食りようしよく石炭せきたん氣發油きはつゆう※卷蝋くわけんらう
次第しだい短氣たんきのまさりて我意わがまゝつよく、これ一つはとしせいには御座ござ候はんなれど、隨分ずいぶんあたりのものげんのりにくゝ、大心配おほしんぱいいたすよし、わたくしなど古狸ふるだぬきなれば兎角とかくつくろひて一日二日とすごし候へども
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一冊いつさつの本を三四十人して見るのでは一人ひとり一日いちにちとしても一月余ひとつきよかゝるので、これでは奈何どうもならぬとふので、じゆくしたのであるから、印行いんかうして頒布はんぷする事にたいとせつ我々われ/\三名さんめいあひだおこつた
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
巣のひなうかがひて
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
おおせまでもなく、に応じ、変にのぞんで、昌仙しょうせん軍配ぐんばいみょうをごらんにいれますゆえ、かならずごしんぱいにはおよびませぬ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、勝負せうふをしながら畫談ぐわだんかせていたゞいたりするのも、わたしには一つのたのしみだつた。しかし、赤さかうつり住んでからは、まつたく先生とも會戰くわいせんない。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
無論彼はを見て、積極的に働らき掛ける心組はあつた。けれども具体的な案は一つも準備しなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
叔母一人のに入ればイザコザは無いが、さて文三には人の機嫌きげん気褄きづまを取るなどという事は出来ぬ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「おやまあ、たのもしい。けれどまだありますよ、いッち難かしい一つがね。拍子合いといって、首尾と縁のッかけ。これがねえ、旦那え」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禅の機鋒きほう峻峭しゅんしょうなもので、いわゆる石火せっかとなるとこわいくらい早く物に応ずる事が出来る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
いはばわたしにとつてはじつこうてき手だつたのだが、先生今や東北青ぜう下につて久しくあひ見ゆるない。時々おもひ出すと、わたしには脾にくたんへないものがあるのである。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
わたしのうちでちらと見かけたのが、おまえさんの落目おちめッかけになったなんて、生涯云われるのは寝ざめがわるいからね
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを逃げ損ねの受太刀うけだちと云う。坊っちゃんはを見て奇麗に引き上げる事を知らぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
紀伊、淡路の辺に、を窺っていた毛利の水軍は、百余艘の兵船に、兵数千を載せて、そのときもう沿海を襲撃していた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いわば相互に、悪気流の支度は充分にできており、ッかけさえあれば、いつでも火となりうる形になっていた曠野こうやの枯れ葦みたいなものだった。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ以上は、多くをいうッかけもなく、男は行き過ぎてからチラと振り返った。すると金蓮もまた振り返っている。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
機先を制して、われから彼をくじくとすれば、今は絶好な潮時ですし、また鼓上蚤こじょうそう出来でかした些事さじも、かえって、いいッかけと名分に相成りましょう
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
一声、浴びせかけた冷罵れいばッかけに、阿修羅の怪勇、鏡智流自在の腕前を、一度に現わしてきたさきの鋭さ——
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ッかけである。謙信対信玄の相剋はここに起因をはらんだものである——とは、世上一般も、越後の人々も、甲州方でも、あまねく信じているところだった。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拙者せっしゃは、のこりの者とともに後詰ごづめをなし、若君の旗本、ならびに、総攻めのをうかがって、その時ごとに、おのおのへ合図あいずをもうそう。さらばでござる」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
市松いちまつ、そこが昌仙のぬからぬところじゃ。われからことに援兵えんぺいをださせて、北条ほうじょう徳川とくがわなどの領地りょうちをさわがせ、そのに乗じておのれの野心をとげんとする。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
熟さず、諸州の同心と往来の秘状のみ、今は、あだとなつてここに積まる。むなしき弓箭、またすべて、一きよの灰となされん。乞ふ、家時が亡骸なきがらも、その火に附せよ。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ぜひもない儀。では、またのを待つとして、若君のお身に、万一のないように、誰ぞ二、三」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜、けんとするや、一斉の銃声あるべし。まさに、嚢中のうちゅうの敵を一掴いっかく、そのときにあり。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仕損しそんじたら、一味の公卿同盟には大ヒビが入るし、対鎌倉の面でも、危険なッかけを呼ぶものとなりかねないので、秘命をさずける人選には、大事に大事をとっていたことだった。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
紙くずだらけな空地の闇を、トム公が不きげんな顔をして歩いていると、忍び足に、後からいて来た大勢の影が、誰かがクスリと吹き出したのをッかけに、いちどに笑い出した。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)