勇気ゆうき)” の例文
旧字:勇氣
ほかとりたちは、からすの勇気ゆうき感心かんしんしました。いままで、ばかにされたからすが、いちばんりこうなとりといわれるようになりました。
からすとかがし (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげん女房にようぼうこひしくるほど、勇気ゆうきおとろへることはない。それにつけても、それ、そのかばんがいたはしい。つた、またばしやり、ばしやん。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
下を見る勇気ゆうきなんて、とてもわいてきそうもないのです。ちょっとでも下を見ようとすれば、きっと目がまわってしまうでしょう。
わたしはそれをじゃまする勇気ゆうきがなかった、わたしはかれのわきにつっ立って、ただときどき火の中にえだをくべるだけであった。
けれども、王さまが大そうおやさしそうなので、やっと勇気ゆうきを出して、アラジンにお姫さまをいただきたいとお願いしました。それから
おかみさんは、また一、二分考えていたが、きゅうに勇気ゆうきをふるい起こして、さっと立ちあがった。そのとき、いきおいよく戸をあけて
けれどもそこからボートまでのところには、まだまだ小さな子どもたちや親たちやなんかいて、とてもしのける勇気ゆうきがなかったのです。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そして、さらに話をつづけて、寝ずの番をするだけの勇気ゆうきのあるものには、王さまがごじぶんのおひめさまをおよめにくださるというのです。
三人は勇気ゆうきを出して、はだかになりました。そして、土手どての下のよしの中へ、おそるおそる、たらいをおろしてやりました。
いぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
馬吉うまきちもさっきからふいと、なんだかこんな日に山姥やまうばが出るのではないか、とおもっていたやさきでしたから、もうばれてかえ勇気ゆうきはありません。
山姥の話 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あらそふて之をしよくす、探検たんけん勇気ゆうき此に於てさうさうきたる、相謂て曰く前途ぜんと千百の蝮蛇まむし応に皆此の如くなるべしと。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
わたくしなどは修行しゅぎょう未熟みじゅく、それに人情味にんじょうみったようなものが、まだまだたいへんに強過つよすぎて、おもってきびしいしつけほどこ勇気ゆうきのないのがなによりの欠点けってんなのです。
と、つとめて、伊那丸の勇気ゆうき鼓舞こぶするため、ふたりが快活かいかつに話していると、あなたの林をへだてたやみにあたって、ドボーン! とすさまじい水音がたった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
エチエンヌは非常な勇気ゆうきふるい起こします。一生懸命しょうけんめい、足をはやめます。みじかあしせいいっぱいにひろげます。まだその上に、うでります。しかし、なんといっても、ちいさすぎます。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
一寸先いっすんさき見えぬ闇夜やみよ、寺男は、両足りょうあしが、がくがくふるえましたが、勇気ゆうきをつけて、びわののする墓場はかばの中へはいっていきました。そして、ちょうちんのをたよりに、法師をさがしました。
壇ノ浦の鬼火 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
えくぼせないのはまだしも、まるで別人べつじんのようにせかせかと、さきいそいでの素気すげない素振そぶりに、一どう流石さすがにおせんのまえへ、大手おおでをひろげる勇気ゆうきもないらしく、ただくちだけを達者たっしゃうごかして
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
役所よりの帰途きと、予が家に立寄たちより、今日俸給ほうきゅうを受取りたりとて、一歩銀いちぶぎん廿五両づつみ手拭てぬぐいにくるみてげ来られ、予がさいしめし、今日きょうもらって来ました、勇気ゆうきはこれに在りとて大笑たいしょうせられたり。
思うに当時人心じんしん激昂げきこうの際、敵軍を城下に引受ひきうけながら一戦にも及ばず、徳川三百年の政府をおだやか解散かいさんせんとするは武士道の変則へんそく古今の珍事ちんじにして、これを断行だんこうするには非常の勇気ゆうきを要すると共に
ぼくはこのために勇気ゆうきてどうにかこうにか書き上げる事が出来た。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
もっとたかがって、いたらいいじゃないか? はるさきがけとなるくらいなら、おれみたいにてきおそろしがらぬ勇気ゆうきがなければならない。
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれども、子どもたちがすぐそばにいるものですから、畑を横ぎって、白いガチョウのところまでかけてゆく勇気ゆうきがありません。
わたしはしじゅうそれが気になりながら、それを親方に聞く勇気ゆうきがなかった。かれはずいぶんしずみきってふきげんらしかった。
それをみて、ぼくは、ほっとしたね。これでぼくの秘密ひみつ安全あんぜんだ——そう考えると同時に、なにか新しい勇気ゆうきがわいてくるような気がしたんだ
チュンセがもしもポーセをほんとうにかあいそうにおもうなら大きな勇気ゆうきを出してすべてのいきもののほんとうの幸福こうふくをさがさなければいけない。
手紙 四 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
乳母うばは、いつもお妃さまがそうするのを見ていたのですが、思いきってそれをだれかにいう勇気ゆうきはありませんでした。
こう和尚おしょうさんにいわれると、さすがに傲慢ごうまん悪右衛門あくうえもんも、すこ勇気ゆうきがくじけました。和尚おしょうさんはここぞと
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ここでひとつ喝采かっさいをはくして見物けんぶつからぜにを投げてもらわなければ、ここまでの努力どりょくも水のあわだし、かえりに空腹すきばらをかかえてもどらなければならないと思うと、しぜんと勇気ゆうきづいて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勇気ゆうきをふるってぼくがいった。すると、あとのものもみな賛成さんせいしてしまった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「いくらかんがえたってしかたがないことだ。おれたちははたらくよりみちがないのだ。」と、おつこうさとし、自分じぶん勇気ゆうきづけるようにいいました。
一本の釣りざお (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここまでは、ニールスはズンズンかけてきましたが、思わずここで立ちどまりました。思いきってはいっていくだけの勇気ゆうきがないのです。
わたしに勇気ゆうきがあれば、マチアに向かって、わたしがひじょうに大きな希望きぼうを持っていることを打ち明けたかもしれない。
王さまは、思いきっておきさきさまに話しかける勇気ゆうきがありませんでした。でも、つぎのばんもおきて、ばんをしていました。すると、お妃さまはまたこういいました。
ですから田村麻呂たむらまろ軍勢ぐんぜいも、勇気ゆうきすこしもおとろえませんが、さしつめさしつめるうちにてきかずはいよいよふえるばかりで、矢種やだねほうがとうにきてきました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
すると、さあ、シグナレスはあらんかぎりの勇気ゆうきを出してい出しました。
シグナルとシグナレス (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
馬車屋ばしゃやは、しばらくためらっていたが、勇気ゆうきをふるって男に近より
わたしは、退屈たいくつでしようがなかったのです。このとき、とおくでチャルメラのおとこえました。わたしは、びたつように勇気ゆうきづけられました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こういう話をしているうち、わたしは勇気ゆうきをふるい起こして、芝居しばいのけいこのあいだなによりわたしをびっくりさせたことについてかれに質問しつもんした。
味方みかたのこらずにと覚悟かくごをきめたりしたこともありましたが、そのたびごとにいつも義家よしいえが、不思議ふしぎ智恵ちえ勇気ゆうきと、それから神様かみさまのような弓矢ゆみやわざてき退しりぞけて
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのうちに、隊長たいちょうまでも戦死せんししてしまいました。ですから、のこったものたちはあわててにげだしました。そのとき、若者がすすみでて、みんなに勇気ゆうきをつけて、大声によばわりました。
勇吉ゆうきちは、このおもいがけないめぐみに、どんなに勇気ゆうきづいたでありましょう。あたまげておれいをいうとすぐさましたのでありました。
一粒の真珠 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さてある日、つめたいみぞれがって、いつもより早くうちへ引き上げて来たとき、わたしは両うでに勇気ゆうきをこめて、長らく心にかかっている問題の口を切った。
いったいこの為朝ためとも子供こどものうちからほかの兄弟きょうだいたちとは一人ひとりちがって、からだもずっと大きいし、ちからつよくって、勇気ゆうきがあって、の中になに一つこわいというもののない少年しょうねんでした。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
仕立屋さんは勇気ゆうきをだして、その大男のほうへ歩いていって、よびかけました。
アネモネのはなは、そのはなやかなさま勇気ゆうきもなかったのです。みずももらわなかったから、二、三にちしてれてしまいました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは村で百姓ひゃくしょうはたらくところを見たこともあるが、ついぞパリの近所の植木屋のような熱心ねっしんなり勇気ゆうきなり勤勉きんべんなりをもってはたらいていると思ったことはなかった。
でも、王さまには、思いきってひまをやるだけの勇気ゆうきもありませんでした。
「だんだん、ほんとうのきみがでて、おもしろくなるね。」と、わか先生せんせいは、なにをから見取みとったものか、秀吉ひできち勇気ゆうきづけました。
天女とお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
庭師にわしがそれを見ていましたが、そばに天使てんしが立っていたものですから、こわくって、あのむすめは幽霊ゆうれいだろうと思って、だまっていました。人をよぶ勇気ゆうきも、幽霊に話しかける勇気もなかったのです。
せい一は、勇気ゆうきして、くさけてはいっていきました。くわえだろうとすると、じゅくしきったあかが、ぽとぽととちました。
芽は伸びる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうりつつも、ぼく勇気ゆうきして、一人ひとりはいることができなかった。それどころか、ますます、かなしくなって、あねをひき
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)