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一旦
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いつたん
ふりがな文庫
“
一旦
(
いつたん
)” の例文
六年には
一旦
(
いつたん
)
京都へ上つて歸つた如水と相談して、長政が當時
那珂
(
なか
)
郡警固村の内になつてゐた福崎に城を築いた。これが今の
筑紫
(
ちくし
)
郡福岡である。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
世間
(
せけん
)
は
容赦
(
ようしや
)
なく
彼等
(
かれら
)
に
徳義上
(
とくぎじやう
)
の
罪
(
つみ
)
を
脊負
(
しよは
)
した。
然
(
しか
)
し
彼等
(
かれら
)
自身
(
じしん
)
は
徳義上
(
とくぎじやう
)
の
良心
(
りやうしん
)
に
責
(
せ
)
められる
前
(
まへ
)
に、
一旦
(
いつたん
)
茫然
(
ばうぜん
)
として、
彼等
(
かれら
)
の
頭
(
あたま
)
が
確
(
たしか
)
であるかを
疑
(
うたが
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
早
(
は
)
や
壁
(
かべ
)
も
天井
(
てんじやう
)
も
雪
(
ゆき
)
の
空
(
そら
)
のやうに
成
(
な
)
つた
停車場
(
ステエシヨン
)
に、しばらく
考
(
かんが
)
へて
居
(
ゐ
)
ましたが、
餘
(
あま
)
り
不躾
(
ぶしつけ
)
だと
己
(
おのれ
)
を
制
(
せい
)
して、
矢張
(
やつぱ
)
り
一旦
(
いつたん
)
は
宿
(
やど
)
に
着
(
つ
)
く
事
(
こと
)
にしましたのです。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「国家の公益? ハヽヽヽ其れは大洞、君等の言ふべき口上ぢや無からう、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
一旦
(
いつたん
)
取り
定
(
さだ
)
めたものを、サウ
容易
(
たやす
)
く変更することもならんからナ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
左樣
(
さやう
)
さ、
一旦
(
いつたん
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
本國
(
ほんごく
)
へ
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
たが、
法律
(
ほふりつ
)
と、
社會
(
しやくわい
)
の
制裁
(
せいさい
)
とは
許
(
ゆる
)
さない、
嚴罰
(
げんばつ
)
を
蒙
(
かうむ
)
つて、
酷
(
ひど
)
い
目
(
め
)
に
逢
(
あ
)
つて、
何處
(
いづく
)
へか
失奔
(
しつぽん
)
してしまいましたよ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
さては
此
(
この
)
母親の言ふに言はれぬ、
世帯
(
せたい
)
の
魂胆
(
こんたん
)
もと知らぬ人の
一旦
(
いつたん
)
は
惑
(
まど
)
へど現在の
内輪
(
うちわ
)
は娘が
方
(
かた
)
よりも
立優
(
たちまさ
)
りて、
蔵
(
くら
)
をも建つべき銀行貯金の有るやに
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
奥さんはそれで
一旦
(
いつたん
)
青木さんの方へお帰りになつたんだけど、やつぱりたうとどうもあれだものだから……それは詳しく言へばもつとあるんだけれど
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
蒙
(
かうむ
)
り候へ共是は私しの心付には御座なく全く
伊豆守
(
いづのかみ
)
心付なり
然共
(
されども
)
先達て將軍の御
落胤
(
おとしだね
)
に相違なしと
上聞
(
じやうぶん
)
に達し其後の心付なりとて
一旦
(
いつたん
)
重役
(
ぢうやく
)
共申出し儀を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
女性
(
じよせい
)
の
無邪氣
(
むじやき
)
なる
輕薄
(
けいはく
)
を
笑
(
わら
)
ひ、
更
(
さら
)
に
一旦
(
いつたん
)
與
(
あた
)
へたる
財貨
(
ざいか
)
を
少娘
(
こむすめ
)
の
筐中
(
きようちう
)
より
奪
(
うば
)
ひて
酒亭一塲
(
しゆていいちじやう
)
の
醉夢
(
すいむ
)
に
附
(
ふ
)
するの
條
(
じよう
)
を
説
(
と
)
かしめ
遂
(
つい
)
に
再
(
ふたゝ
)
び
免職
(
めんしよく
)
になりし
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ひ
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
それが
一旦
(
いつたん
)
兄さんがつまらない心を起して返り討ちにあつてから、
落魄
(
らくはく
)
の
一途
(
いちづ
)
を
辿
(
たど
)
りはじめた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
これが
氣附
(
きづ
)
かれたときは、
一旦
(
いつたん
)
集合
(
しゆうごう
)
してゐた
消防隊
(
しようぼうたい
)
も
解散
(
かいさん
)
した
後
(
のち
)
であり、
又
(
また
)
氣附
(
きづ
)
かれた
後
(
のち
)
も
倒潰家屋
(
とうかいかおく
)
に
途
(
みち
)
を
塞
(
ふさ
)
がれて
火元
(
ひもと
)
に
近
(
ちか
)
づくことが
困難
(
こんなん
)
であつたなどの
不利益
(
ふりえき
)
が
種々
(
しゆ/″\
)
重
(
かさ
)
なつて
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
人の
凍死
(
こゞえし
)
するも手足の
亀手
(
かゞまる
)
も
陰毒
(
いんどく
)
の
血脉
(
けちみやく
)
を
塞
(
ふさ
)
ぐの也。
俄
(
にはか
)
に
湯火
(
たうくわ
)
の
熱
(
ねつ
)
を以て
温
(
あたゝむ
)
れば
人精
(
じんせい
)
の
気血
(
きけつ
)
をたすけ、
陰毒
(
いんどく
)
一旦
(
いつたん
)
に
解
(
とく
)
るといへども
全
(
まつた
)
く
去
(
さら
)
ず、
陰
(
いん
)
は
陽
(
やう
)
に
勝
(
かた
)
ざるを以て
陽気
(
やうき
)
至
(
いたれ
)
ば
陰毒
(
いんどく
)
肉
(
にく
)
に
暈
(
しみ
)
て
腐
(
くさる
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
定むるも掛りの男居ずして知れがたし先拂ひにして下されよとの事にそれにて頼みしが此等より東京へ出すには
一旦
(
いつたん
)
松本まで持ちかへるゆゑ
日數
(
ひかず
)
十四五日は掛るといふ果して東京へは二十日目に屆きたり雨は上りたれど
昨日
(
きのふ
)
よりの
降
(
ふり
)
に道は惡し
宿
(
しゆく
)
の中ほどに橋ありこれを
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
佐伯
(
さへき
)
では
一旦
(
いつたん
)
あゝ
云
(
い
)
ひ
出
(
だ
)
した
樣
(
やう
)
なものゝ、
頼
(
たの
)
んで
見
(
み
)
たら、
當分
(
たうぶん
)
宅
(
うち
)
へ
置
(
お
)
く
位
(
ぐらゐ
)
の
事
(
こと
)
は、
好意上
(
かういじやう
)
爲
(
し
)
てくれまいものでもない。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
初
(
はじ
)
めは
人皆
(
ひとみな
)
懊惱
(
うるさゝ
)
に
堪
(
た
)
へずして、
渠等
(
かれら
)
を
罵
(
のゝし
)
り
懲
(
こ
)
らせしに、
爭
(
あらそ
)
はずして
一旦
(
いつたん
)
は
去
(
さ
)
れども、
翌日
(
よくじつ
)
驚
(
おどろ
)
く
可
(
べ
)
き
報怨
(
しかへし
)
を
蒙
(
かうむ
)
りてより
後
(
のち
)
は、
見
(
み
)
す/\
米錢
(
べいせん
)
を
奪
(
うば
)
はれけり。
蛇くひ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
二十代や三十代の、
未
(
ま
)
だ血の気の
生々
(
なま/\
)
した頃は、人に隠れて
何程
(
どれほど
)
泣いたか知れないよ、お前の
祖父
(
おぢいさん
)
が
昔気質
(
むかしかたぎ
)
ので、
仮令
(
たとひ
)
祝言
(
しうげん
)
の
盃
(
さかづき
)
はしなくとも、
一旦
(
いつたん
)
約束した上は
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
それと
同時
(
どうじ
)
に、
一旦
(
いつたん
)
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つた
櫻木海軍大佐
(
さくらぎかいぐんたいさ
)
は、
金
(
きん
)
モールの
光
(
ひかり
)
燦爛
(
さんらん
)
たる
海軍大佐
(
かいぐんたいさ
)
の
盛裝
(
せいさう
)
で、
一隊
(
いつたい
)
の
水兵
(
すいへい
)
を
指揮
(
しき
)
して、
屏風岩
(
べうぶいわ
)
の
下
(
した
)
なる
秘密造船所
(
ひみつざうせんじよ
)
の
中
(
なか
)
へと
進入
(
すゝみい
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
幾ら
贔屓
(
ひいき
)
だつたと云つたつて、
死骸
(
しがい
)
まで持つて來るのはひどいと云つて、こちらからは掛け合つたが、色々談判した
擧句
(
あげく
)
に、
一旦
(
いつたん
)
いけてしまつたものなら
爲方
(
しかた
)
が無いと云ふことになつたと
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
遣し
一旦
(
いつたん
)
奇麗
(
きれい
)
に里を
離縁
(
りえん
)
致したなれ共惣内方へ
再縁
(
さいえん
)
なせしを見て
未練
(
みれん
)
を遺せしならん又金子等
遣
(
つかは
)
したも定めし
扱人
(
あつかひ
)
の
差略
(
さりやく
)
で有う彼是を
遺恨
(
ゐこん
)
に存じ惣内夫婦の者を殺し疑ひの心を晴ぬ爲に兩人の首を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
成程
(
なるほど
)
一旦
(
いつたん
)
他
(
ひと
)
の
所有
(
しよいう
)
に
歸
(
き
)
したものは、たとひ
元
(
もと
)
が
自分
(
じぶん
)
のであつたにしろ、
無
(
な
)
かつたにしろ、
其所
(
そこ
)
を
突
(
つ
)
き
留
(
と
)
めた
所
(
ところ
)
で、
實際上
(
じつさいじやう
)
には
何
(
なん
)
の
効果
(
かうくわ
)
もない
話
(
はなし
)
に
違
(
ちがひ
)
なかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
なん
)
だつて
一旦
(
いつたん
)
汚
(
けが
)
した
身體
(
からだ
)
ですから、そりやおつしやらないでも、
私
(
わたし
)
の
方
(
はう
)
で
氣
(
き
)
が
怯
(
ひ
)
けます。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
若
(
も
)
し
如何
(
どう
)
しても菅原様へ
嫁
(
ゆ
)
くことが出来ないならば、私は
一旦
(
いつたん
)
菅原様へ献げた此の
聖
(
きよ
)
き
生命
(
いのち
)
の愛情を、少しも
破毀
(
やぶ
)
らるゝことなしに
抱
(
いだ
)
いた
儘
(
まゝ
)
、深山幽谷へ行つて
終
(
しま
)
ふ
心算
(
つもり
)
だつて——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
半町
(
はんちやう
)
ばかり
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
を、
火
(
ひ
)
の
燃通
(
もえとほ
)
る
状
(
さま
)
は、
眞赤
(
まつか
)
な
大川
(
おほかは
)
の
流
(
なが
)
るゝやうで、
然
(
しか
)
も
凪
(
な
)
ぎた
風
(
かぜ
)
が
北
(
きた
)
に
變
(
かは
)
つて、
一旦
(
いつたん
)
九段上
(
くだんうへ
)
へ
燒
(
や
)
け
拔
(
ぬ
)
けたのが、
燃返
(
もえかへ
)
つて、
然
(
しか
)
も
低地
(
ていち
)
から、
高臺
(
たかだい
)
へ、
家々
(
いへ/\
)
の
大巖
(
おほいは
)
に
激
(
げき
)
して
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
親
(
おや
)
の
爲
(
ため
)
だつて、
何
(
なん
)
だつて、
一旦
(
いつたん
)
他
(
ほか
)
の
人
(
ひと
)
に
身
(
み
)
をお
任
(
まか
)
せだもの、
道理
(
もつとも
)
だよ。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“一旦”の意味
《形容動詞》
一旦(いったん)
(仮定的表現・条件の成就的表現に先立って)一度。
(他に先駆け)ひとまず。
(出典:Wiktionary)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
旦
常用漢字
中学
部首:⽇
5画
“一”で始まる語句
一
一人
一寸
一言
一時
一昨日
一日
一度
一所
一瞥