機会きかい)” の例文
旧字:機會
こうした周囲しゅうい空気くうきは、ぼくをして、偶然ぐうぜんにもこころふかかんじたいっさいをける機会きかいをば、永久えいきゅうにうしなわしてしまったのでした。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
機会きかいわたくしはそうしました。するとひめはしばらく凝乎じっかんがまれ、それからようやくちびるひらかれたのでございました。——
ソログーブはおさなときからはは奉公先ほうこうさきやしきで、音楽おんがく演劇えんげきなどにしたしむ機会きかいち、読書どくしょたいするふか趣味しゅみやしなわれた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
それは最近さいきんS、H小説せうせつきなIが、一あそびにつれてつてくれとつてゐたので、わたしもこの機会きかいにS
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ところが、そのよしむらさんは、ほしはなしをなかなかしてくれなかった。いや、してくれなかったのではない、してくれという機会きかいがなかったのである。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
グリンミンゲ城の近くに住んでいる灰色ネズミたちは、しょっちゅうたたかいをしむけては、このお城をのっとる機会きかいを、いまかいまかと待っていました。
けれどいい場所が見つかれば、昼ごろ帰って来て、わたしたちの運命を決する機会きかいをとらえるつもりであった。
りに一歩をゆずり、幕末にさいして外国がいこく干渉かんしょううれいありしとせんか、その機会きかい官軍かんぐん東下とうか、徳川顛覆てんぷくの場合にあらずして、むしろ長州征伐ちょうしゅうせいばつの時にありしならん。
首尾しゅびよくゆけば、この機会きかい大禄たいろくで家康にめしかかえられそうだし、まずくゆくと、またぞろ、ていよくいはらわれて、もとの野衾のぶすまに立ちかえらなければならない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お父さんは、そのとき敗戦の余波をうけて追放され、文筆業者として自由に活動する機会きかいを封じられていた。自然の運行うんこうも陰の極であったが、お父さんの生活もまた陰の極であった。
親馬鹿入堂記 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
この機会きかいをはずしてはと、自分は、もう、おそろしさもわすれて——じつは、おそろしさのあまりだが——もえ上がるむしろを、ちょうど、スペインの闘牛士とうぎゅうしが使う赤いハンケチのようにふりながら
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
今夜こんやこそ、福沢ふくざわをころすのにもってこいの機会きかいだ。」
このさい獲物えものをくわえたままはしったほうがいいか、それとも人間にんげんが、まだづいていなかったら、じっとして機会きかいったほうが
そのてん充分じゅうぶんふくみをねがってきます。機会きかいがありましたら、だれかの臨終りんじゅう実況じっきょうしらべに出掛でかてもよろしうございます。
これこそ、おしろの中へはいって、ガチョウがどうなったかを見さだめる絶好ぜっこう機会きかいです。そう思ったニールスは、すぐさまドウランの中にとびこみました。
はたして外国人に干渉かんしょうの意あらんにはこの機会きかいこそいっすべからざるはずなるに、しかるに当時外人の挙動きょどうを見れば、別にことなりたる様子ようすもなく、長州騒動そうどう沙汰さたのごとき
かといってここにこのままいては、少しでも食べ物を買うお金をもうける機会きかいがまるでなかった。
いい機会きかいにめぐりあった竹童は、その壮挙そうきょに加わりたいとねがって、すぐ伊那丸のゆるしを得た。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あねは、かつて、自分じぶんも一みやこへいってみたいとこころにあこがれたことがありました。しかし、ついに機会きかいがなくてすぎてしまいました。
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)
オヤユビくんが、ゆうべぼくたちのために骨をおってくれたおれいをする、またとない機会きかいですよ。
いくらかでも、収入しゅうにゅうのある機会きかいを見つけしだい、そこで止まって芝居しばいをうたなければならなかった。犬たちやジョリクールに役々の復習ふくしゅうをもさせなければならなかった。
それには、なにかいい機会きかいをつかまえて、そのをのがさず手がらをあらわすことがかんじんだ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしがその玉依姫様たまよりひめさまからうかがったことはまだまだ沢山たくさんございますが、それはいつかべつ機会きかいにおはなしすることにして、ただここ是非ぜひくわえてきたいことがひとつございます。
またらに一歩をすすめてかんがうれば、日本の内乱に際し外国干渉かんしょううれいありとせんには、王政維新おうせいいしんの後に至りてもまた機会きかいなきにあらず。その機会はすなわち明治十年の西南戦争せいなんせんそうなり。
からすは、いしたらないのをっていて、こちらのことはにもめずに、だんだんほう近寄ちかよって、じっと機会きかいをねらっていました。
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
その金額きんがくは十五年の年賦ねんぷで、毎年しはらうはずであった。その男はしかもこの植木屋が支払しはらいの期限きげんをおくらせて、おかげで土地も家も材料までも自分の手に取り返す機会きかいばかりをねらっていた。
あいづちをうつごとく、どこかの工場こうばから、正午しょうご汽笛きてきりひびきました。少年しょうねんは、これを機会きかいに、おかりたのでした。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのかわり、おちついて、いろや、姿すがたをよく観察かんさつする機会きかいあたえられたのをよろこび、ちょうのはねについている模様もようまで、つくづくとながめたのでした。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それどころか、いままでに、まだふれる機会きかいのなかった、しん人間にんげんのとうとさというものをることができたのです。
ひすいの玉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくも、一かあさんを、湯治とうじにやってあげたいと、おもっているうちになくなられて、もう永久えいきゅう機会きかいがなくなってしまった。」と、正吉しょうきちは、歎息たんそくをもらしました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
都会とかいが、いたずらに華美かびであり、浮薄ふはくであることをらぬのでない。自分じぶんは、かつて都会とかいをあこがれはしなかった。けれど、立身りっしん機会きかいは、つかまなければならぬ。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
おじいさんも、子供こども時分じぶんから、まちそだって、野生やせい動物どうぶつ機会きかいは、すくなかったのです。
山に雪光る (新字新仮名) / 小川未明(著)
むすめわせて、けっしてわるでしたのではないから、ゆるしてくださいといてわびましたけれど、もとより、これを機会きかいむすめしてしまうかんがえでありましたから
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なかるには、ただあせってもだめだ。けれど、また機会きかいというものがある。藤本先生ふじもとせんせいは、わたしに、機会きかいあたえてくださったのだ。先生せんせいのお言葉ことばしたがって、ゆくことにしよう。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
このなかわるこうおつとは、なんとかしてこうおつを、おつこうをうんとひどいめにあわしてやりたいとおもっていました。けれど、なかなかそんなような機会きかいはこなかったのであります。
神は弱いものを助けた (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかしどのふねもなんとなく活気かっきづいていました。天気てんきになるのをって、またなが波路なみじってかけようとするので、そのまえにこれを機会きかい骨休ほねやすみをしているようにられました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あるよ。」とこたえて、たっちゃんはこれをいい機会きかいがりました。そして、いろいろのほんや、雑誌ざっししてきてせました。二人ふたりは、それからおもしろくあそんだのであります。
二少年の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
は、とりたちのこんなはなしくと、また、つぎの機会きかいまでとうとおもいました。
大きなかしの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたし機会きかいを、っていました。ところが、今日きょう、ちょうどはしうえで、按摩あんまのげたの鼻緒はなおがゆるみました。按摩あんまは、はし欄干らんかんわたしからだをもたせかけて、げたの鼻緒はなおをしめていました。
河水の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もう一つ、この機会きかいに、わたしたちは、らなければならないことがあります。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつしか、月日つきひはたってしまいました。そのあねは、よめにいって、もういえにはいないのです。それゆえ、あるいは、あねにも、あのときの、ぼく気持きもちを永久えいきゅうかた機会きかいはないかもしれません。
だれにも話さなかったこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうかして、西国さいごく征服せいふくすることはできないものかな。」と、ふじのはなくにおうさまはかんがえられました。そして、その機会きかいっているうちに、両国間りょうこくかんにちょっとした問題もんだいこりました。
ひすいを愛された妃 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「さあ、んでおゆき。」といって、むすめそらげてくれたのを機会きかいに、小鳥ことりは、この燈台とうだいや、花園はなぞののあるしまあとに、とおく、とおうみしたおろしながら、どこへとなくんでゆきました。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
デパートにもその陳列会ちんれつかいがあれば、ときに公園こうえんにもひらかれるというふうで、わたしは、いろいろの機会きかいかけていって、らんをることをましたが、その種類しゅるいおおいのにもまたおどろかされたのです。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それをるには、こんどの災害さいがいはいい機会きかいといっていいのです。
子供と馬の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いい機会きかいというものは、二度にどあるものでない。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)