朝晩あさばん)” の例文
わたしは、もういくねんむかしから、このみなとうち朝晩あさばんおくってきたものだ。このみなとにはいってくるようなふねらないふねは一つもない。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎日まいにちいぬれて山の中にはいって、いのしし鹿しかしては、いぬにかませてってて、そのかわをはいだり、にくってったりして、朝晩あさばんらしをてていました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
でもちいさかったときからあのかね朝晩あさばんしたしんでたことをおもえば、ちょっとさびしいもする。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ところ丁度ちやうど五月目いつつきめになつて、御米およねまた意外いぐわい失敗しくじりつた。其頃そのころはまだ水道すゐだういてなかつたから、朝晩あさばん下女げぢよ井戸端ゐどばたみづんだり、洗濯せんたくをしなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
東京とうきやうて、京都きやうと藝妓げいこに、石山寺いしやまでらほたるおくられて、其處等そこら露草つゆぐささがして歩行あるいて、朝晩あさばん井戸ゐどみづきりくと了簡れうけんだとちがふんです……矢張やつぱ故郷ふるさとことわすれた所爲せゐ
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
高原こうげんまれたはなは、このまちなかにきてからからだがたいそうよわりました。朝晩あさばんややかなつゆわないだけでも、元気げんきをなくした原因げんいんだったのでした。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
宗助そうすけ糸底いとぞこうへにしてわざとせた自分じぶん茶碗ちやわんと、この二三年來ねんらい朝晩あさばん使つかれたはしながめて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
元結もつとゐよりだの、早附木はやつけぎはこ内職ないしよくにするものなんぞが、目貫めぬきまち往帰ゆきかへりには、是非ぜひ母様おつかさんはしとほらなければならないので、百人と二百人づゝ朝晩あさばんにぎや人通ひとどほりがある。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それでみんなはへんな姿すがただ、へんな姿すがただといって気味きみわるがって、はちかつぎとはろくろく口もきませんでしたけれど、宰相さいしょうだけは朝晩あさばん手水ちょうずみず洗足せんそくはこんでるたんびに
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのむすめは、不思議ふしぎおもって、そのはなにわえました。そうして、朝晩あさばんはなみずをやって、彼女かのじょはじっとそのはなまえにかがんで、そのはな見入みいりました。
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
朝晩あさばん見馴みなれてめづらしくもないさるだけれど、いまこんなことかんがママしていろんなことおもつてると、またことにものなつかしい、あのおかしなかほはやくいつて見たいなと、さうおもつて
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
君のような重厚ちょうこうな人間から見たら僕はいかにも軽薄なお喋舌しゃべりに違ない。しかし僕はこれでも口で云う事を実行したがっているんだ。実行しなければならないと朝晩あさばん考え続けに考えているんだ。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
りんごばたけには、朝晩あさばんとりがやってきました。子供こどもは、よく口笛くちぶえいて、いろいろなとりあつめました。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなことはわたしかないでつてる、朝晩あさばんるもの。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
につけよと、上官じょうかんからいわれたのであるが、何事なにごとにも内気うちきで、遠慮勝えんりょがちな清作せいさくさんは、おな軍隊ぐんたいにおって朝晩あさばん辛苦しんくをともにした仲間なかまで、んだものもあれば、また
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そうすれば、わたしは、そのかたのために、朝晩あさばん、どんなにでもはたらこうとおもっていました。……それが、こんなさまになってしまった。これというのもわたし不運ふうんです……。
脊の低いとがった男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かよは、あるきながら、まだ都会とかいのことをかんがえていました。これから二、三ねん勉強べんきょうにいく、そして、朝晩あさばんいっしょにらさなければならぬ従兄いとこや、従妹いとこのことを——。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
くろねこは、うちひとたちが、遠方えんぽうしていくときに、てていってしまったので、そのからるところもなければ、また、朝晩あさばんものをもらうこともできませんでした。
ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
かぜさむかったけれど、朝晩あさばんひかりは、よわく、かなしかったけれど、そしてよるには、しもって、わたしたちをなやましたけれど、やはり、あの時分じぶんがいちばんよかったようにおもいます。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
朝晩あさばんあには、このくつをはいて、通勤つうきんもすれば、また会社かいしゃ用事ようじで、方々ほうぼうをあるきまわったのでした。ときどきは、映画館えいがかんまえにもてば、喫茶店きっさてんへもちよったでありましょう。
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小僧こぞうは、自分じぶんが、朝晩あさばんをやったり、みずえてやったこともあるので、よくそのとりおぼえていましたから、はたして、そのこまどりにちがいないか、どうかとしらべてみました。
こまどりと酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あには、それを庭先にわさきいしうえにのせて、朝晩あさばんみずをやって、大事だいじにしていました。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どこへ、あのとりは、いったろう。」と、主人しゅじん朝晩あさばんいっているのでした。
こまどりと酒 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このうたうたうことのきな少女しょうじょは、やはり自分じぶんうちにいる時分じぶん朝晩あさばんうたっていましたので、うたをきらいな、むずかしいおとうさんは、むすめをしかって、どこへでもいってしまえといいました。
初夏の空で笑う女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「このくさみやこってゆこう。そして、朝晩あさばんながめて、故郷こきょうのことをおもい、子供こども時分じぶんのことをかんがえよう……。」と、かれは、紫色むらさきいろはないているくさを、をつけてったのであります。
山へ帰りゆく父 (新字新仮名) / 小川未明(著)
母親ははおやは、いったものの、これまでながあいだ二人ふたりは、むつまじく、朝晩あさばんかお見合みあって、らしてきたのに、こののちは、べつべつに生活せいかつしなければならぬとると、なんとなくさびしくなりました。
おさくの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのからむすめは、朝晩あさばんうたをうたいながら、そのはなんであそびました。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
もう、やまは、朝晩あさばんさむくなって、みやここいしくなったからです。
銀のペンセル (新字新仮名) / 小川未明(著)