トップ
>
愛嬌
>
あいけう
ふりがな文庫
“
愛嬌
(
あいけう
)” の例文
徳永と長谷川はウイスキイで元気を附けたらしく意外に平気な様子で遣つたが、近江の処女然と顔を赤くして居たのは
愛嬌
(
あいけう
)
であつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
案内はガラツ八、何となくそぐはない空氣の中にも、商賣柄の
愛嬌
(
あいけう
)
で、茶店の
親仁
(
おやぢ
)
の善六と、看板娘のお常が機嫌よく迎へてくれます。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
家には親方とかみさんとがゐた。
色艶
(
いろつや
)
のよい
愛嬌
(
あいけう
)
のある小肥りの、
筒袖絆纏
(
つゝそでばんてん
)
を着た若いかみさんが私をあいそよく迎へてくれた。
ある職工の手記
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
彼
(
かれ
)
は
恁
(
か
)
くも
神經質
(
しんけいしつ
)
で、
其議論
(
そのぎろん
)
は
過激
(
くわげき
)
であつたが、
町
(
まち
)
の
人々
(
ひと/″\
)
は
其
(
そ
)
れにも
拘
(
かゝは
)
らず
彼
(
かれ
)
を
愛
(
あい
)
して、ワアニア、と
愛嬌
(
あいけう
)
を
以
(
もつ
)
て
呼
(
よ
)
んでゐた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
虫歯の歯並が悪い口元に笑ふと
愛嬌
(
あいけう
)
があつた。どこか男の子のやうで、少ししや
嗄
(
が
)
れたやうな声も大人のやうに太かつた。
チビの魂
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
金花は客の額に懸つた、黒い捲き毛を眺めながら、気軽さうに
愛嬌
(
あいけう
)
を振り撒く内にも、この顔に始めて
遇
(
あ
)
つた時の記憶を、一生懸命に
喚
(
よ
)
び起さうとした。
南京の基督
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
大變
(
たいへん
)
御賑
(
おにぎ
)
やかで
結構
(
けつこう
)
です」と
宗助
(
そうすけ
)
が
今
(
いま
)
自分
(
じぶん
)
の
感
(
かん
)
じた
通
(
とほり
)
を
述
(
の
)
べると、
主人
(
しゆじん
)
はそれを
愛嬌
(
あいけう
)
と
受取
(
うけと
)
つたものと
見
(
み
)
えて
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
氣
(
き
)
の
寄
(
よ
)
る
時
(
とき
)
は、
妙
(
めう
)
なもので……
又
(
また
)
此處
(
こゝ
)
へ
女
(
をんな
)
一連
(
ひとつれ
)
、これは
丸顏
(
まるがほ
)
の
目
(
め
)
のぱつちりした、
二重瞼
(
ふたへまぶた
)
の
愛嬌
(
あいけう
)
づいた、
高島田
(
たかしまだ
)
で、あらい
棒縞
(
ぼうじま
)
の
銘仙
(
めいせん
)
の
羽織
(
はおり
)
、
藍
(
あゐ
)
の
勝
(
か
)
つた。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『あゝ、
御寺内
(
ごじない
)
のお
客
(
きやく
)
さんだつかいな。
孫右衞門
(
まごゑもん
)
さん、
御苦勞
(
ごくらう
)
はん。』と、
茶店
(
ちやみせ
)
の
女
(
をんな
)
は
愛嬌
(
あいけう
)
を
振
(
ふ
)
り
撒
(
ま
)
いた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
けれどもその顔は決して恐くはなくつて、かへつて美しく、
愛嬌
(
あいけう
)
があつて、
黄金色
(
こがねいろ
)
の髪をしてゐました。
虹猫の大女退治
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
髪は
丸髷
(
まるまげ
)
に結ひ、てがらは
深紅
(
しんく
)
を懸け、桜色の
肌理
(
きめ
)
細やかに肥えあぶらづいて、
愛嬌
(
あいけう
)
のある口元を笑ふ度に掩ひかくす様は、まだ世帯の苦労なぞを知らない人である。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
へえ
頂戴
(
ちやうだい
)
を……
何
(
ど
)
うも
流石
(
さすが
)
は
御商売柄
(
ごしやうばいがら
)
だけあつて
御主人
(
ごしゆじん
)
は
愛嬌
(
あいけう
)
があつてにこやかなお
容貌
(
かほつき
)
、
番頭
(
ばんとう
)
さんから
若衆
(
わかいしう
)
小僧
(
こぞう
)
さんまで
皆
(
みな
)
お
子柄
(
こがら
)
が
宜
(
え
)
いなモシ、
実
(
じつ
)
に
惜
(
を
)
しいやうですな
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
細君は小柄で色の白い、そばかすの浮いた顔をしてゐたが、笑ふと
愛嬌
(
あいけう
)
のいゝ
笑靨
(
ゑくぼ
)
が浮いた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
それはどこかに古代
希臘
(
ギリシヤ
)
の彫刻にあると
謂
(
い
)
はれてゐる沈静な、
而
(
しか
)
も活き活きとした美をゆつたりと湛へて居た。それは気高い
愛嬌
(
あいけう
)
のある微笑をもつた女の口の端にも似て居た。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
此方
(
こなた
)
に
紅菊
(
くれなゐぎく
)
の
徽章
(
きしよう
)
つけし
愛嬌
(
あいけう
)
沢山の紳士達の忙しげなるは接待係の外交官なるべし。
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
口
(
くち
)
もとは
小
(
ちい
)
さからねど
締
(
しま
)
りたれば
醜
(
みに
)
くからず、一つ一つに
取
(
とり
)
たてゝは
美人
(
びじん
)
の
鑑
(
かゞみ
)
に
遠
(
とほ
)
けれど、
物
(
もの
)
いふ
聲
(
こゑ
)
の
細
(
ほそ
)
く
清
(
すゞ
)
しき、
人
(
ひと
)
を
見
(
み
)
る
目
(
め
)
の
愛嬌
(
あいけう
)
あふれて、
身
(
み
)
のこなしの
活々
(
いき/\
)
したるは
快
(
こゝろよ
)
き
物
(
もの
)
なり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
赤ん坊と来ては、てんでお話にならない。
泥棒
(
どろぼう
)
とお父さんの区別がつかないのだから。出てゆきがけに泥棒がお
愛嬌
(
あいけう
)
に、べろべろべろといつてあやすと、手足をばたばたやつて喜んでゐる始末だ。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
愛嬌
(
あいけう
)
笑ひを忘れないと言つた、この上もない如才なさが、腕にも名聲にも
拘
(
かゝは
)
らず、世間の一部から反感を持たれてゐる原因でもあるでせう。
銭形平次捕物控:196 三つの死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
少し
容色
(
きりやう
)
の劣つた姉の方が
頻
(
しき
)
りに
拙
(
まづ
)
い
仏蘭西
(
フランス
)
語で僕に話し掛けて「日本は
我
(
わが
)
英国と兄弟の国だ」とか「ゼネラル乃木が
何
(
ど
)
うだ」とか
愛嬌
(
あいけう
)
を
撒
(
ま
)
いた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
が、
孰
(
どつち
)
かと
云
(
い
)
へば、
愛嬌
(
あいけう
)
もある、
気
(
き
)
も
利
(
き
)
く、
画
(
ゑ
)
の
趣味
(
しゆみ
)
も
私
(
わたし
)
が
莫迦
(
ばか
)
にする
程
(
ほど
)
でもない。
此
(
これ
)
と
云
(
い
)
ふ
長所
(
とりゑ
)
も
面白味
(
おもしろみ
)
もないが、
気質
(
きしつ
)
は
如何
(
いか
)
にも
丸
(
まる
)
く
出来
(
でき
)
てゐる。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
天性
愛嬌
(
あいけう
)
のある上に、
清
(
すゞ
)
しい艶のある
眸
(
ひとみ
)
を輝かし乍ら、興に乗つてよもやまの話を初めた時は、確に面白い人だと思はせた。文平はまた、時々お志保の方を注意して見た。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
日本に来て
間
(
ま
)
もないHは、まだ芸者に
愛嬌
(
あいけう
)
を売るだけの修業も積んでゐなかつたから、唯出て来る料理を片つぱしから
平
(
たひら
)
げて、差される
猪口
(
ちよく
)
を片つぱしから飲み干してゐた。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その火の光りでこゝに
居
(
を
)
ります女を見ると、
年頃
(
としごろ
)
は三十二三
服装
(
なり
)
は
茶弁慶
(
ちやべんけい
)
の
上田
(
うへだ
)
の
薄
(
うす
)
い
褞袍
(
どてら
)
を
被
(
き
)
て
居
(
を
)
りまして、
頭髪
(
つむり
)
は
結髪
(
むすびがみ
)
でございまして、
目
(
め
)
もとに
愛嬌
(
あいけう
)
のある
仇
(
あだ
)
めいた女ですが
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
丈
(
せい
)
もすら/\と
急
(
きふ
)
に
高
(
たか
)
くなつたやうに
見
(
み
)
えた、
婦人
(
をんな
)
は
目
(
め
)
を
据
(
す
)
ゑ、
口
(
くち
)
を
結
(
むす
)
び、
眉
(
まゆ
)
を
開
(
ひら
)
いて
恍惚
(
うつとり
)
となつた
有様
(
ありさま
)
、
愛嬌
(
あいけう
)
も
嬌態
(
しな
)
も、
世話
(
せわ
)
らしい
打解
(
うちと
)
けた
風
(
ふう
)
は
頓
(
とみ
)
に
失
(
う
)
せて、
神
(
しん
)
か、
魔
(
ま
)
かと
思
(
おも
)
はれる。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
心
(
こゝろ
)
一ぱいに
我
(
わ
)
がまゝを
徹
(
とほ
)
して
身
(
み
)
に
合
(
あ
)
はぬ
巾
(
はゞ
)
をも
廣
(
ひろ
)
げしが、
表町
(
おもてまち
)
に
田中屋
(
たなかや
)
の
正太郎
(
しようたらう
)
とて
歳
(
とし
)
は
我
(
わ
)
れに三つ
劣
(
おと
)
れど、
家
(
いへ
)
に
金
(
かね
)
あり
身
(
み
)
に
愛嬌
(
あいけう
)
あれば
人
(
ひと
)
も
憎
(
に
)
くまぬ
當
(
たう
)
の
敵
(
かたき
)
あり、
我
(
わ
)
れは
私立
(
しりつ
)
の
學校
(
がくかう
)
へ
通
(
かよ
)
ひしを
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
姉のお咲とは似もつかぬ不きりやうですが、色が黒くて
愛嬌
(
あいけう
)
もあつて、健康さうで利發者で、何んとなく好感の持てる娘です。
銭形平次捕物控:161 酒屋忠僕
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
総
(
すべ
)
ての外国人に対して日本人に好感情を持たしめようと
力
(
つと
)
められる博士は、相変らず食卓の談話に英独仏の三
国
(
ごく
)
語を使ひ分けて有らゆる
愛嬌
(
あいけう
)
を
振撤
(
ふりま
)
かれた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
肥
(
ふと
)
つたMM
氏
(
し
)
は
容易
(
ようい
)
に
起
(
た
)
たなかつたが、
勿論
(
もちろん
)
彼
(
かれ
)
にも
若々
(
わか/\
)
しい
愛嬌
(
あいけう
)
と
洒落気
(
しやれけ
)
は
失
(
う
)
せてゐなかつた。
微笑の渦
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
愛嬌
(
あいけう
)
のある男ださうで、その時は紺の
越後縮
(
ゑちごちぢみ
)
の
帷子
(
かたびら
)
に、下へは
白練
(
しろねり
)
の
単衣
(
ひとへ
)
を着てゐたと申しますが、とんと先生のお書きになるものの中へでも出て来さうぢやございませんか。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『あゝ、瀬川君と
仰
(
おつしや
)
るんですか。』と弁護士は
愛嬌
(
あいけう
)
のある
微笑
(
ほゝゑみ
)
を満面に湛へ乍ら、快活な、
磊落
(
らいらく
)
な調子で言つた。『私は市村です——只今長野に居ります——
何卒
(
どうか
)
まあ以後御心易く。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
亭主
(
ていしゆ
)
は
法然天窓
(
はふねんあたま
)
、
木綿
(
もめん
)
の
筒袖
(
つゝそで
)
の
中
(
なか
)
へ
両手
(
りやうて
)
の
先
(
さき
)
を
窘
(
すく
)
まして、
火鉢
(
ひばち
)
の
前
(
まへ
)
でも
手
(
て
)
を
出
(
だ
)
さぬ、ぬうとした
親仁
(
おやぢ
)
、
女房
(
にようばう
)
の
方
(
はう
)
は
愛嬌
(
あいけう
)
のある、
一寸
(
ちよいと
)
世辞
(
せじ
)
の
可
(
い
)
い
婆
(
ばあ
)
さん、
件
(
くだん
)
の
人参
(
にんじん
)
と
干瓢
(
かんぺう
)
の
話
(
はなし
)
を
旅僧
(
たびそう
)
が
打出
(
うちだ
)
すと
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
器量
(
きりやう
)
は
好
(
よ
)
いけれども
何所
(
どこ
)
ともなしに
愛嬌
(
あいけう
)
のない
無人相
(
ぶにんさう
)
な
容貌
(
かほつき
)
で若
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
植木屋——と後でわかりましたが、色白で
愛嬌
(
あいけう
)
があつて、でつぷり肥つた恰幅などどう見ても物馴れた商人です。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
若衆
(
わかいしゆ
)
から
小僧
(
こぞう
)
に
至
(
いた
)
るまで
皆
(
みな
)
ニコ/\した
愛嬌
(
あいけう
)
のある
者
(
もの
)
ばかり。
世辞屋
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いつでも涙を溜めて居るやうな、大きいうるんだ眼、口許に女の兒のやうな
愛嬌
(
あいけう
)
があつて、手足が不安定で、引つきりなしに、
兩手
(
りやうて
)
を
揉
(
も
)
み合せて居ります。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「お勝さんと言ふのは、二十二三の凄いほど綺麗な方で御座いませう。左の下唇の側に、
愛嬌
(
あいけう
)
ほくろのある」
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
藝人の
愛嬌
(
あいけう
)
で前髮は立てて居りますが、もう二十二三にもなるでせうか、恐ろしい
美貌
(
びばう
)
で、引締つた
細顎
(
ほそあご
)
、長い眼、ふくよかな顎、
華奢
(
きやしや
)
にさへ見える恰好など
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なるほどこれは美しい
容貌
(
きりやう
)
です。精々十七八、血色の
鮮
(
あざ
)
やかな瓜實顏に、
愛嬌
(
あいけう
)
がこぼるゝばかり。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
父親の駒吉に似た小柄ですが、
愛嬌
(
あいけう
)
があつてキビキビして、すぐれた氣性を内に包み乍ら、何んか斯う
透
(
す
)
き通る樣な清らかさと、沁み出す樣な
魅力
(
みりよく
)
を感じさせる娘でした。
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お杉は正直で働き者だが、世辭も
愛嬌
(
あいけう
)
も無いために、伯父の總兵衞にもあまり可愛がられず、お道の父の姉の子であり乍ら、下女同樣に追ひ使はれてゐたことなど、——次第に
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
愛嬌
(
あいけう
)
のない、
何方
(
どつち
)
かと言ふと、働く外に興味も能もない、不景氣な三十男でした。
銭形平次捕物控:170 百足屋殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
愛嬌
(
あいけう
)
者の喜八は、少し
卑屈
(
ひくつ
)
らしいが、
邪念
(
じやねん
)
のない世辭笑ひをして居ります。
銭形平次捕物控:181 頬の疵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
二十四五の、少しタガのゆるさうな男で、色白で無口で、それが又、妙に
愛嬌
(
あいけう
)
になるといつた人相ですから、誰にも憎まれない代り、店中に特別な味方が一人もないといふ不思議な存在です。
銭形平次捕物控:247 女御用聞き
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの樣子の良い内儀が顏を出して
愛嬌
(
あいけう
)
を振り
撒
(
ま
)
くから、皆んな
彈
(
はず
)
みが付いて、
競
(
せ
)
り合つてやつて來まさア、石川五右衞門が夫婦づれで來たつて、聖天堂の側なんか寄りつけるものぢやありません
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
顏形は
端麗
(
たんれい
)
と言つてよく、道具の揃つて居ることは
拔群
(
ばつぐん
)
ですが、血色がひどく惡い上に、
愛嬌
(
あいけう
)
や世辭を何處かへ振り落したやうな無表情で、斯う相對してゐても何となく、一種の壓迫を感ずるやうな
銭形平次捕物控:155 仏像の膝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“愛嬌”の意味
《名詞》
愛 嬌 (あいきょう 別表記:愛敬)
表情などにかわいげがあること。
人のかわいらしさ。
人をひきこむために意図的に発するしぐさやことば。
(接頭辞「御」を付けて)商店や座などで、興を添えるもの。サービス。
(接頭辞「御」を付けて)寛大に許せるような失敗。見る人の緊張がほぐれかわいらしく感じる欠点。
(出典:Wiktionary)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
嬌
漢検1級
部首:⼥
15画
“愛嬌”で始まる語句
愛嬌者
愛嬌造
愛嬌喚
愛嬌噺
愛嬌毛
愛嬌気
愛嬌笑
愛嬌談
愛嬌顔
愛嬌黒子