まつ)” の例文
居室へやかへつてると、ちやんと整頓かたづいる。とき書物しよもつやら反古ほごやら亂雜らんざつきはまつてたのが、もの各々おの/\ところしづかにぼくまつる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
明月記は千しやの書なれば七は六のあやまりとしても氷室をいでし六月の氷あしたまつべからず。けだし貢献こうけんの後氷室守ひむろもりが私にいだすもしるべからず。
ぐわつ十一にちまちまつつたる紀元節きげんせつ當日たうじつとはなつた。前夜ぜんやは、夜半やはんまで大騷おほさわぎをやつたが、なか/\今日けふ朝寢あさねどころではない。
此差このさおよそ二年半餘はんあまりにして一月ばかりなるゆゑ、其時そのときいた閏月しゆんげつき十三ヶ月を一年となし、地球ちきうすゝんもとところ行付ゆきつくまつなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
「白髪を清めて元日をまつ所に、汝何人なれば我が白桜下に来り、我と対して座せるや」というに筆を起して、此方こちらが何かいうと、向うも何かいう。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
仕舞ひければ寶澤もともして歸りぬ彼盜取かのぬすみとりし毒藥はひそかに臺所のえんの下の土中どちうへ深くうづめ折をまつて用ひんとたくむ心ぞおそろしけれ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
不実ふじつ性質たちではないから、大丈夫だけれども、何時迄いつまでも遊んでたべてゐる訳には行かないので、安否のわかる迄は仕方がないから、さとへ帰つてまつてゐるつもりだ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そうだ、山本さんは最早二十六にも成る人妻を九年前と同じように眺めて、何をまつともなく、南京虫の多い旅舎の床の上に独りで寝たり起きたりして来たのだ。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
炬燵こたつの中でくひツたけ這入はいつて当日たうじつまでまつるのでございますからのくらゐ結構けつこうな事はございません。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
つままつらん夕烏ゆふがらすこゑ二人ふたりとりぜんさいものふてるやら、あさがけに水瓶みづがめそこ掃除さうぢして、一日手桶てをけたせぬほどの汲込くみこみ、貴郎あなたひるだきで御座ございますとへば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
新聞や牛乳の配達をして相間あひまに勉強しやうてのは、(亀井君は現にやつておるが)、実は中々忙がしくて、片手間の勉強で成効しやうてのは百年黄河の澄むをまつやうなもんだ。
貧書生 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
くるをまつて人夫はなべこめとをたづさへ、渓流けいりゆうくだり飯を炊煑してのぼきたる、一行はじめてはらたし、勢にじやうじて山をくだり、三長沢支流をさかのぼる、此河は利根の本源とほとんど長をひとしくし
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
「どうせ、貴様てめえから返金かへして貰へるなんて思つちや居ねえツて言つたよ——其れよりかお竹の阿魔に、泣かずにまつてろツて伝言ことづけ頼むぞ、忘れると承知しねえぞ」と後車あとの御者は答へつゝ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
前栽せんざい強物つはものの、はないたゞき、蔓手綱つるたづな威毛をどしげをさばき、よそほひにむらさきそめなどしたのが、なつ陽炎かげろふ幻影まぼろしあらはすばかり、こゑかして、大路おほぢ小路こうぢつたのも中頃なかごろで、やがて月見草つきみさうまつよひぐさ
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
矯首はじめて見る故園の家黄昏くゎうこん戸にる白髪の人弟を抱き我をまつ春又春
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
人死をまつせいたはいなし
芭蕉について (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
明月記は千しやの書なれば七は六のあやまりとしても氷室をいでし六月の氷あしたまつべからず。けだし貢献こうけんの後氷室守ひむろもりが私にいだすもしるべからず。
く来てくださいました。まつて居たんですよ。サアどうかあがつてくださいましな。』と低いつやのある声は昔のまゝである。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
まつには屈強くつきやう腰掛こしかけなりと心中に點頭うなづきこれよりはべつして萬事に氣をつけ何事も失費しつぴなき樣にしていさゝかでも利分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
矯首はじめて見る故園の家黄昏こうこんる白髪の人弟を抱き我をまつはるまたはる
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
から/\とをとこわらふにすこはづかしく、かんがごとをしてあるいてたれば不意ふゐのやうにあはてゝ仕舞しまいました、よく今夜こんやくださりましたとへば、あれほど約束やくそくをしてまつてくれぬは不心中ふしんぢうとせめられるに
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さるゆゑに不幸ふかうありて日のたゝぬいへにては、行者ぎやうじやのきたるをまちてものくはせんなど、いかにも清くしてまつ也。
屈服くつぷくさせんとまつ處なれば今此言を聞て進み出京都大坂并に老中らうぢうの役宅にて取切とりきつて應答せしは拙者なりと云にぞ越前守は其方そのはうなるか然ば手札を出すべしと云ふに山内懷中くわいちうより手札を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
言葉ことばの一々を雲飛は心にめいし、やゝ取直とりなほして時節じせつるのをまつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
まつはるこほり朝日あさひかげおのづからけわたるをりならでは何事なにごと甲斐かひありともおぼえずれも/\異見いけんふなこゝろはなしをなぐさめて面白おもしろをおもしろしとおもはするのが肝要かんえうぞとわれ先立さきだちて機嫌きげん
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此時にのぞん死亡しばうせしもの、雪あれのやむをまつほどのあるものゆゑ、せんかたなく雪あれををかしくわんいだす事あり。
「大丈夫!」と女は下から答へて「直ぐ歸るからまつて居てお呉れ。」
少年の悲哀 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
くしじようさまにもぞおよろこ我身わがみとても其通そのとほりなり御返事おへんじ屹度きつとまちますとえば點頭うなづきながら立出たちいづまはゑんのきばのたちばなそでにかをりて何時いつしつき中垣なかがきのほとりふきのぼる若竹わかたけ葉風はかぜさら/\としてはつほとゝぎすまつべきなりとやを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此時にのぞん死亡しばうせしもの、雪あれのやむをまつほどのあるものゆゑ、せんかたなく雪あれををかしくわんいだす事あり。