今晩こんばん)” の例文
「おばあさん、わたしですよ。いつかおまつりのときあめってわれなかったので、今晩こんばんいにきたのです。」と、あやこたえました。
海ほおずき (新字新仮名) / 小川未明(著)
今晩こんばんやど連參つれまゐれと申されければ幸藏はおせん與惣次に向ひ願の趣きお取上に相成あひなりたれば今宵おとまり御本陣迄ごほんぢんまでまかり出よとおき乘輿のりもの
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なんとも、ありがたうぞんじます——けて今晩こんばん御苦勞樣ごくらうさまです……のち御加勢ごかせいにまゐります。」おなじくみなみどなりへらせにおいでの
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
指折ゆびをかゞめて勘定かんじようして、今晩こんばんは、よるまをせば、九晩こゝのばんひるまをせば、十日とをか經過けいかいたしましたことよ。かういふおこたへをしたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「それはあいにくでございました。主人しゅじんはものいみでございまして、今晩こんばん一晩ひとばんつまでは、どなたにもおいになりません。」
羅生門 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
位牌班ゐはいまだらといふので名が一たいおかしうございます、わたしもモウ明日みやうにちやくに立てばうございますが、今晩こんばんにもヒヨツと生者必滅しやうじやひつめつでございますから……。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
今晩こんばんはこの村へとまることにしよう。そしてそちに大臣の位をさずけたうえ、あすあちらへおうかがいをしよう」
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
ええ一寸ちょっと一言ご挨拶を申し上げます。今晩こんばんはあついおもてなしにあずかりまして千万せんばんかたじけなく思います。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「どうだ、おのおの、生きておればひもじいから、飯がくいたくなる。死にさえしたらなんのことはないから、今晩こんばん殿とのに願って、きって出ようではないか」
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
「なりましょう。おしどりになりましょう。」「それでは今晩こんばん月が出てから、恋人こいびとをともなってここへ出ていらっしゃい。」と老人はいった。若者は約束やくそくをした。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
二日ふつかゆきつただけ何事なにごともなくぎた。三日目みつかめ日暮ひくれ下女げぢよ使つかひて、御閑おひまならば、旦那樣だんなさまおくさまと、それから若旦那樣わかだんなさま是非ぜひ今晩こんばん御遊おあそびにらつしやるやうにとつてかへつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ガスパールおばさんはわたしに、今晩こんばんはアルキシーといっしょにいてもいいと言った。そしてマチアにはいっしょに行ってくれるなら、パンにねどこをこしらえてあげると言った。
これらの面々が、いかなる芝居しばい、いかなるダンス、いかなる曲芸、いかなる魔術、いかなる猛獣を演出えんしゅついたしますか、今晩こんばん六時より当町とうちょう御役場裏おんやくばうらの大テントで相もよおすこととなりました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
此方こつちよ。」と道子みちこはすぐ右手みぎて横道よこみちまがり、おもてめてゐる素人家しもたやあひだにはさまつて、軒先のきさき旅館りよくわんあかりした二階建かいだてうち格子戸かうしどけ、一歩ひとあしさき這入はいつて「今晩こんばんは。」となからせた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
れも蒲團ふとんかぶつて半日はんにちればけろ/\とするやまひだから子細しさいはなしさと元氣げんきよく呵々から/\わらふに、亥之ゐのさんがえませぬが今晩こんばん何處どちらへかまゐりましたか、かわらず勉強べんきよう御座ござんすかとへば
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さあ 夕飯ゆふはんがすんだら 今晩こんばんはみんなにいいものを見せてあげるぞ
拝殿の所へ来て、「今晩こんばん御芽出度おめでとう、此はホンの何ですが」と紙包を出す。幹部が丁寧に答礼して、若い者を呼び、桟敷や土間に案内さす。ビラを書く紙がなくなった、紙を持てうと幹部が呼ぶ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
しかし、今晩こんばんは、とはいわなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もし、今晩こんばんは。——今晩こんばんは」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ちよいと今晩こんばん
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「このあいだいらしたおじょうさんの、オーバーシューズは今晩こんばんまでのお約束やくそくでなかったかな。」と、仕事場しごとばまわして、いいました。
風雨の晩の小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
聞て然らばいづれへ參りしや其行先ゆくさきを御存じなるか重四郎され今晩こんばん元栗橋もとくりばし燒場隱亡やきばをんばう彌十の處に於て長半が出來ると云によりゆふ申刻頃なゝつごろから行べしと拙者それがし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今晩こんばん——十時じふじから十一時じふいちじまでのあひだに、颶風ぐふう中心ちうしん東京とうきやう通過つうくわするから、みなさん、おけなさるやうにといふ、たゞいま警官けいくわんから御注意ごちういがありました。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私たちは侍女じじょなんです。今日きょう、森へ遊びにお姫様ひめさまをおつれもうしましたところ、道にまよってとうとうここへきてしまいました。どうか、今晩こんばんだけ宿やどをかしてください。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
「あなたはジョバンニさんでしたね。どうも今晩こんばんはありがとう」とていねいにいました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
わたし身延山みのぶさん参詣さんけいまゐつた者ですが、雪のめに難渋なんじふして宿屋やどやもなにもないやうでございますが、まことにうも御厄介ごやくかいでございませうが今晩こんばんたゞあかけでよろしうございます
「へえへえ、おいいつけがなくともきっとまいりますよ。今晩こんばんなにしろきゅうなことで、おけいこをしてませんでしたから、明日あすばんまでには、ゆっくりおさらいをしてまいりましょう。」
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
わたしは今晩こんばんいつもよりよけいにかれの友情ゆうじょう必要ひつようを感じた。わたしはあんなにゆかいな、あんなに親切な、あれほど友人としてたのもしいかれに会うことにただ一つの楽しい希望きぼうを持った。
けれどもわたしつてゐる仲間なかまは、今晩こんばんはやつてないでゐるのに、さうしてわたし一人ひとりあかるくほがらかな天地てんちつきたいしてゐるのに、そのうへかりれてとほる、といつた滿足まんぞくはしてゐながら
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
「もし、今晩こんばんにでも、ねこがかえってきたら、三にんは、かわいそうだから、よくめんどうをみてやるんですよ。」といわれました。
小ねこはなにを知ったか (新字新仮名) / 小川未明(著)
もみながら今晩こんばんは何分御泊おとめ申こと出來難く其譯は今夜村の寄合にて後刻ごこくは大勢集まり候間御氣のどくながら御宿おやど御斷おことわり申上ると云けるに武士は樣子やうす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ええ一寸ちょっと一言ご挨拶あいさつもうしあげます。今晩こんばんはお客様きゃくさまにはよくおいで下さいました。どうかおゆるりとおくつろぎ下さい。さて現今げんこん世界せかい大勢たいせいを見るにじつにどうもこんらんしている。
紫紺染について (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
つきのおくまとは、詰者つめもの白浪しらなみの深きたくみにあたりしはのちの話のたねしまあぶないことで……(ドン/\/\/\はげしき水音みづおと)あつたよなア——これでまづ今晩こんばんはこれぎり——。
「あゝ、おいでなさい。……今晩こんばんは。」
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「みんながあたまをぺこぺこげて、今晩こんばんだけもう一晩ひとばんめておいてくれいとたのみました。」と、そのさまはなしました。
カラカラ鳴る海 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今晩こんばんは」といましたら、家の中はしいんとしてだれもいたようではありませんでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「おいでなさい、今晩こんばんは。……」
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「だいじょうぶよ、今晩こんばんだけはれはしないわ。」と、いもうとはいって、三にんむすめたちは、こえをたててわらいました。
花と人の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今晩こんばんは、ごめんなさい」ジョバンニはまっすぐに立ってまたさけびました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
今晩こんばんは、今晩こんばんは。」と、あや女中じょちゅうは、かわるがわるにいって、そのをたたきました。するとやっと、ことこととひとてくるけはいがしました。そしていて
海ほおずき (新字新仮名) / 小川未明(著)
今晩こんばんのおとまりは。)(姥石うばいしまで行けましょうか。)(はあ、ゆっくりでごあ※す。)(いや、どうも失礼しつれいしました。ほんとうにいろいろご馳走ちそうになって、これはほんの少しですが。)学生はかばんから敷島しきしま
十六日 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
今晩こんばんは、どうか小判こばんってください。」と、子供こどもは、そとでいいました。
金銀小判 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どなたですか。今晩こんばんは。どなたですか。今晩は。」
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「このすいかをべたひと長生ながいきします。今晩こんばん、このすいかを夜店よみせってると、きっとがよくれますよ。」と、薬売くすりうりはいいました。そして、わか薬売くすりうりは、あちらにいってしまいました。
初夏の不思議 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今晩こんばんは。どなたかおでですか。今晩は。」
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)