なゝ)” の例文
男「何時いつけえるか知れぬが、まア、何時帰ると私等わしらに断って出た訳でえから受合えねえが、明けると大概なゝ八日ようかぐれえ帰らぬ男で」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
このはもと根株ねかぶからなゝつのみきわかれてゐましたが、うち五本ごほん先年せんねん暴風ぼうふうれていま二本にほんみきだけとなつてしまひました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
にんえのきもとちて、「お月樣つきさまいくつ」とさけときは、幾多いくたの(おう同音どうおんに「お十三じふさんなゝつ」として、飛禽ひきんつばさか、走獸そうじうあしか、一躍いちやく疾走しつそうしてたちまえず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
岡町をかまち中食ちうじきをして、三國みくにから十三じふそわたしにしかゝつたときは、もうなゝごろであつた。渡船とせんつてゐるので、玄竹げんちくみち片脇かたわきつて、つてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
もし階數かいすうなゝつ、たかさが百尺ひやくしやく程度ていどのものならば、二階にかい三階さんがいあるひ四階建しかいだていたみがもつといちじるしいようである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
いつのとしでしたかわたくしの乗りました車夫くるまや足元あしもとからへた紙鳶たこ糸目いとめ丁寧ていねいに直してりましたから、おまい子持こもちだねと申しましたら総領そうりようなゝつで男の子が二人ふたりあると申しました
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
なかには一方いつぽううでなゝやつつも貝輪かひわをはめてゐるのもありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
なゝたりのなる人あり簾して船は御料ごりやうの蓮きりに行く
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
物のなゝたび涅槃ニルワナひたりて澄みし心もて。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
こはや、あかしや、まだなゝつ。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
もとなゝもと立つ柳
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
なゝつのゆびつおりて
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
……ぱつしゆそこみなぎると、ぎんおほふて、三きやくなゝつにわかれて、あをく、たちまち、薄紫うすむらさきに、あゐげてかるあふつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たとえにもなゝたび捜して人を疑ぐれという通り、紛失ふんじつした百両の金子が出たよ、金の入れ所は時々取違えなければならないものだから、おれほかへ仕舞って置いて忘れていたのだ
今日けふ千日前せんにちまへくびなゝつかゝつたさうな。…
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
大惡だいあくなゝつのモルタル
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
金澤かなざはばかりかとおもひしに、久須美佐渡守くすみさどのかみあらはす、(浪華なにはかぜ)とふものをめば、むかし大阪おほさかのことあり——二日ふつかあけなゝどきまえより市中しちうほらなどいて
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今日けふ千日前せんにちまへくびなゝつかゝつた。』
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
半天はんてんおほうたいまはしき魔鳥まてうつばさて、燒殘やけのこほのほかしらは、そののしたゝるなゝつのくびのやうであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それが次第しだいはげしくつて、かぞへてなゝツ、身體からだ前後ぜんごれつつくつて、いてはび、いてはびます。いはにもやまにもくだけないで、みな北海ほくかい荒波あらなみうへはしるのです。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
こつさいりんしんかとてしばをかつぎて、あねさんかぶりにしたる村里むらざと女房にようばうむすめの、あさまちづるさまは、きやう花賣はなうり風情ふぜいなるべし。むつなゝきのこすゝききとめて、すさみにてるも風情ふぜいあり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ときに、一歩いちぶ路用ろようとゝのへて、平吉へいきちがおはむきに、なゝツさがりだ、掘立小屋ほつたてごやでも一晩ひとばんとまんねな兄哥あにい、とつてくれたのを、いや、瓜井戸うりゐど娼妓おいらんつてらと、れいおれが、でから見得みえつた。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其時そのときかゝつたのは、ほこらまへきぎはしから廻廊くわいらうしたけて、たゞいつツではない、なゝツ、それ/\ウにもあまものかたちが、どれ土器色かはらけいろ法衣ころもに、くろいろ袈裟けさかけた、あだか空摸様そらもやうのやうなのが
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……本箱ほんばこいつなゝツがいへ五丁目ごちやうめ七丁目なゝちやうめで、縱横じうわうつうずるので。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、そのなゝつにが、いたいけにまたはなした。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)