トップ
>
貧
>
ひん
ふりがな文庫
“
貧
(
ひん
)” の例文
さうして
愛情
(
あいじやう
)
の
結果
(
けつくわ
)
が、
貧
(
ひん
)
のために
打
(
う
)
ち
崩
(
くづ
)
されて、
永
(
なが
)
く
手
(
て
)
の
裡
(
うち
)
に
捕
(
とら
)
へる
事
(
こと
)
の
出來
(
でき
)
なくなつたのを
殘念
(
ざんねん
)
がつた。
御米
(
およね
)
はひたすら
泣
(
な
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
物のすえたしめっぽいにおいとともに、四六時中尖った空気が充満して、長屋の住民はどれもこれも、みんな
貧
(
ひん
)
ゆえのけわしい顔——。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
色の青褪めた、
貧
(
ひん
)
に
窶
(
やつ
)
れた母親が娘の枕元に来た。じっと
憂
(
うれ
)
わしげに、眼を閉じている苦しげな娘の
額際
(
ひたいぎわ
)
に手を当てて熱をはかって見た。
夜の喜び
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
彼に
私淑
(
ししゅく
)
する者は、彼の
寡
(
か
)
をもって北方の衆に敵し得たとか、南軍の
貧
(
ひん
)
をもって北軍の
富
(
とみ
)
に当たった、
某
(
ぼう
)
戦場においては某将軍を破った
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
貧
(
ひん
)
の盜みとでも言ふなら、可哀想にもなるが、百兩二百兩も盜んで、貧乏人に五兩や三兩惠んで好い心持になつてるやうな野郎を俺は大嫌ひさ。
銭形平次捕物控:042 庚申横町
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
貧
(
ひん
)
と心の惱みとに
鍛
(
きた
)
へぬかれた今(まだ
全
(
まつた
)
くはぬけ切らぬけれども)やうやくある
落着
(
おちつ
)
きが私の心に
芽
(
め
)
を出しかけました。
冬を迎へようとして
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
貧
(
ひん
)
すれば、その間に
罪悪
(
ざいあく
)
が生じて世が乱れるが、
富
(
と
)
めば、
余裕
(
よゆう
)
を生じて人間同士の
礼節
(
れいせつ
)
も
敦
(
あつ
)
くなり、風俗も良くなり、国民の幸福を
招致
(
しょうち
)
することになる。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
厭
(
いと
)
ひ自ら縊れ死したるにもや候はんと申立ければ越前守殿は我も然樣思ふなり然る上は老母の
死骸
(
しがい
)
は其儘菊に下さるべし又今迄身
貧
(
ひん
)
なる處姑女に
事
(
つか
)
へ孝行を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
文人の
貧
(
ひん
)
に
処
(
お
)
るは普通のことにして、彼らがいくばくか誇張的にその貧を文字に
綴
(
つづ
)
るもまた普通のことなり。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
曲者「
何卒
(
どうぞ
)
御免なすって……実は
何
(
なん
)
でございます、へえ全く
貧
(
ひん
)
の盗みでございますから、何卒御免なすって」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
隱元豆
(
いんげんまめ
)
の
蔓
(
つる
)
などを
竹
(
たけ
)
のあら
垣
(
がき
)
に
搦
(
から
)
ませたるがお
力
(
りき
)
が
所縁
(
しよゑん
)
の
源
(
げん
)
七が
家
(
いへ
)
なり、
女房
(
にようぼう
)
はお
初
(
はつ
)
といひて二十八か九にもなるべし、
貧
(
ひん
)
にやつれたれば七つも
年
(
とし
)
の
多
(
おほ
)
く
見
(
み
)
えて
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
貧
(
ひん
)
すれば
貪
(
どん
)
すという言葉がありますねえ。」青扇はねちねちした調子で言いだした。「まったくだと思いますよ。清貧なんてあるものか。金があったらねえ。」
彼は昔の彼ならず
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
到る処に
貧
(
ひん
)
のかげの差しただようて居るこの家の様子は私が始めて見る——斯う云う家、斯う云う生活もあるものかと思ったこの家の中に、色のやけてやせこけた
農村
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
恒
(
つね
)
の
産
(
さん
)
なければ恒の心なく、
貧
(
ひん
)
すれば
乱
(
らん
)
すちょう事は人の
常情
(
じょうじょう
)
にして、
勢
(
いきお
)
い
已
(
や
)
むを得ざるものなり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
藥草類
(
やくさうるゐ
)
を
撰
(
え
)
ってをったが、
顏
(
かほ
)
は
痩枯
(
やせが
)
れ、
眉毛
(
まゆげ
)
は
蔽
(
おほ
)
い
被
(
かぶさ
)
り、
鋭
(
するど
)
い
貧
(
ひん
)
に
躯
(
み
)
を
削
(
けづ
)
られて、
殘
(
のこ
)
ったは
骨
(
ほね
)
と
皮
(
かは
)
。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
しかしながら一方から考えると実にチベットは
残酷
(
ざんこく
)
な制度で、
貧民
(
ひんみん
)
はますます
貧
(
ひん
)
に陥って苦しまねばならぬ。その貧民の苦しき状態は僧侶の貧学生よりなお苦しいです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
貧
(
ひん
)
すりゃ
鈍
(
どん
)
になったように自分でせえおもうこのおれを捨ててくれねえけりゃア、
真
(
ほん
)
の
事
(
こっ
)
たあ、明日の富に当らねえが
最期
(
さいご
)
おらあ強盗になろうとももうこれからア
栄華
(
えいが
)
をさせらあ。
貧乏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「心の貧しき者は
福
(
さいわい
)
なり」、是れ奨励である又教訓である、「天国は即ち其人の有なれば也」、是れ約束である、現世に於ける
貧
(
ひん
)
は来世に於ける
富
(
とみ
)
を以て報いらるべしとのことである。
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
貧
(
ひん
)
すれば
鈍
(
どん
)
するという
諺
(
ことわざ
)
どおりに成り落ちる人間もあるし、また反対に、逆境に立つや、なお持ち前の生命力の
充溢
(
じゅういつ
)
を示して、逆境いよいよその人の深い所の素質をゆかしく
湛
(
たた
)
えて見せ
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
腰を立てても力のない、杖にしたそうな鉄鎚など、道具を懐にして、そこで膳にはついたんだそうですけれど、御酒一合が、それも三日め五日めの
貧
(
ひん
)
の
楽
(
たのし
)
みの、その杯にも
咽
(
む
)
せるんですもの。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そりや嫌さ。
貧
(
ひん
)
すれば
鈍
(
どん
)
するツていふからね。」
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
あるじは
貧
(
ひん
)
にたえし
虚家
(
からいえ
)
杜国
(
とこく
)
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
貧
(
ひん
)
の盗みか、
一擁
(
ひとかゝ
)
え
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
お浜に似て昔は美しかったでしょう、
貧
(
ひん
)
に
窶
(
やつ
)
れ果ててはおりますが、何の邪念があろうとも思われません。話の筋道も、まことによく通ります。
銭形平次捕物控:064 九百九十両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
だから
貧時
(
ひんじ
)
には
貧
(
ひん
)
に
縛
(
ばく
)
せられ、
富時
(
ふじ
)
には
富
(
ふ
)
に縛せられ、
憂時
(
ゆうじ
)
には
憂
(
ゆう
)
に縛せられ、
喜時
(
きじ
)
には
喜
(
き
)
に縛せられるのさ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
拭
(
ふき
)
つゝ
咄
(
はな
)
しかくれば長庵は
態
(
わざ
)
と目を
拭
(
ぬぐ
)
ひ涙に聲を
曇
(
くも
)
らせて
貧
(
ひん
)
の病は是非もなし世の
成行
(
なりゆき
)
と
斷念
(
あきら
)
めよ我とては
貯
(
たくは
)
へ金は有ざれども
融通
(
ゆうづう
)
さへ成事なら
用立
(
ようだつ
)
て
遣度
(
やりたし
)
と手紙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
七つのとしより
實家
(
じつか
)
の
貧
(
ひん
)
を
救
(
すく
)
はれて、
生
(
うま
)
れしまゝなれば
素跣足
(
すはだし
)
の
尻
(
しり
)
きり
半纒
(
ばんてん
)
に
田圃
(
たんぼ
)
へ
辨當
(
べんたう
)
の
持
(
もち
)
はこびなど、
松
(
まつ
)
のひでを
燈火
(
ともしび
)
にかへて
草鞋
(
わらんじ
)
うちながら
馬士歌
(
まごうた
)
でもうたふべかりし
身
(
み
)
を
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其の癖随分贅沢を致しますから段々
貧
(
ひん
)
に迫りますので、
御新造
(
ごしんぞ
)
が心配をいたします。
梅若七兵衛
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
四百四病のその
中
(
うち
)
に
貧
(
ひん
)
程つらきものはなし、心は花であらばあれ、
深山
(
みやま
)
がくれのやつれ
衣
(
き
)
に
誰
(
たれ
)
か
思
(
おもい
)
を起すべき、人間万事
金
(
かね
)
の世の中、金は力なり威力なり、金のみは我らに市民権を与う
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
妾の如く貧家に生れ
今日
(
こんにち
)
重ねてこの不運に
遇
(
あ
)
いて、あわや活路を失わんずるものとは、
同日
(
どうじつ
)
の談にあらざるべしと
詰
(
なじ
)
りしに、実に彼は
貧
(
ひん
)
よりもなおなおつらき境遇に
彷徨
(
さまよ
)
えるにてありき。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
養家
(
ようか
)
の
貧
(
ひん
)
したため十五歳で京都の
妙心寺
(
みょうしんじ
)
に小僧にやられ、名を
十竹
(
じっちく
)
ともらい、
笈
(
おいずる
)
を負うて、若いあいだ、
南都
(
なんと
)
、
高野
(
こうや
)
、諸山を
遍参
(
へんさん
)
して、すこしばかり仏法をかじったり、
一切経
(
いっさいきょう
)
を読んでみたり
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ならば、
貧
(
ひん
)
を
守
(
まも
)
るにも
及
(
およ
)
ばぬ。
法度
(
はっと
)
を
犯
(
をか
)
して
之
(
これ
)
を
取
(
と
)
りゃれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
さりとはをかしく
罪
(
つみ
)
の
無
(
な
)
き
子
(
こ
)
なり、
貧
(
ひん
)
なれや
阿波
(
あわ
)
ちゞみの
筒袖
(
つゝそで
)
、
己
(
お
)
れは
揃
(
そろ
)
ひが
間
(
ま
)
に
合
(
あ
)
はなんだと
知
(
し
)
らぬ
友
(
とも
)
には
言
(
い
)
ふぞかし、
我
(
わ
)
れを
頭
(
かしら
)
に六
人
(
にん
)
の
子供
(
こども
)
を、
養
(
やし
)
ふ
親
(
おや
)
も
轅棒
(
かぢぼう
)
にすがる
身
(
み
)
なり
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
障子にさした
足袋
(
たび
)
の影はいつしか消えて、
開
(
あ
)
け
放
(
はな
)
った一枚の間から、
靴刷毛
(
くつはけ
)
の
端
(
はじ
)
が見える。
椽
(
えん
)
は泥だらけである。
手
(
て
)
の
平
(
ひら
)
ほどな庭の隅に一株の菊が、清らかに先生の
貧
(
ひん
)
を照らしている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
出しても其手は
勿々
(
なか/\
)
食
(
くは
)
ぬ夫よりは御前方も一文
貰
(
もら
)
ひの苦し
紛
(
まぎ
)
れ
貧
(
ひん
)
の盜みに
戀
(
こひ
)
の歌とやら文右衞門さんが
不※
(
ふと
)
出來心
(
できごころ
)
にて盜まれしと言つた方が罪が
輕
(
かる
)
い其所は
私
(
わた
)
しが心一つで取計らひ質を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
もっとも横町の
奎斎
(
けいさい
)
先生に訊くと、——恋患いや
貧
(
ひん
)
の病なんてのは、病気じゃないそうですね、その証拠は、恋い焦れている相手に添わせてやると、厚紙を引っぺがすように治るんだって
銭形平次捕物控:238 恋患い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
悪「はい/\
貧
(
ひん
)
の盗みでございます、どうか命ばかりは助けて下さい」
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
第五章
貧
(
ひん
)
に迫りし時
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
年がら
貧
(
ひん
)
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その学問や、その学問の研究を
阻害
(
そがい
)
するものが敵である。たとえば
貧
(
ひん
)
とか、多忙とか、圧迫とか、不幸とか、
悲酸
(
ひさん
)
な事情とか、不和とか、
喧嘩
(
けんか
)
とかですね。これがあると学問が出来ない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さらでも
老
(
おい
)
ては
僻
(
ひが
)
むものとか
況
(
いは
)
んや
貧
(
ひん
)
にやつれ
苦
(
く
)
にやつれ
人
(
ひと
)
恨
(
うら
)
めしく
世
(
よ
)
の
中
(
なか
)
つらく
明
(
あ
)
けては
歎
(
なげ
)
き
暮
(
く
)
れては
怒
(
いか
)
り
心
(
こゝろ
)
晴間
(
はれま
)
なければさまでには
無
(
な
)
き
病氣
(
びやうき
)
ながら
何時
(
いつ
)
癒
(
なほ
)
るべき
景色
(
けしき
)
もなくあはれ
枯木
(
かれき
)
に
似
(
に
)
たる
儀右衞門夫婦
(
ぎゑもんふうふ
)
待
(
ま
)
ちわびしきは
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“貧”の意味
《名詞》
(ひん) 貧しいこと。貧乏。
(ひん) 欠乏すること。不足すること。
(出典:Wiktionary)
貧
常用漢字
小5
部首:⾙
11画
“貧”を含む語句
貧乏
貧乏徳利
貧者
貧乏人
貧窮
貧弱
脳貧血
貧乏動
貧乏世帶
貧乏籤
貧苦
貧相
貧窶
貧乏臭
貧乏神
貧道
貧乏揺
貧窮者
素寒貧
貧民窟
...