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詰
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つま
ふりがな文庫
“
詰
(
つま
)” の例文
「道は却って道無きを道とす、かも知れないよ。つまり、仕官も学問も自分の本当の宝になるものじゃ無くて、
詰
(
つま
)
らないからなあ」
荘子
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
此上
(
このうへ
)
にお
頼
(
たの
)
みは
萬々
(
ばん/″\
)
見送
(
みおく
)
りなどして
下
(
くだ
)
さるな、さらでだに
泣
(
な
)
き
男
(
おとこ
)
の
我
(
わ
)
れ
朋友
(
ともだち
)
の
手前
(
てまへ
)
もあるに
何
(
なに
)
かをかしく
察
(
と
)
られてもお
互
(
たがひ
)
に
詰
(
つま
)
らず
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
とどの
詰
(
つま
)
り私は、そんな事ばかりを繰返し繰返し
演
(
や
)
っている、つまらない夢遊病患者みたような者ではあるまいか……とも考えられる。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「……ウム、そうだったか。お前さんは、伜が村の奴等に見殺しにされようとするのを、助けようと……」河村の言葉がグッと
詰
(
つま
)
った。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
どうもこの歌が出来た時には
歌人
(
うたよみ
)
から見るとむろん
詰
(
つま
)
らんものでもありましょうが自分の考えからすると実に愉快に堪えられなかった。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
▼ もっと見る
盜
(
と
)
らつた
上
(
うへ
)
に
恁
(
か
)
うして
暇
(
ひま
)
潰
(
つぶ
)
して、おまけに
分署
(
ぶんしよ
)
へ
出
(
で
)
て
怒
(
おこ
)
られたり
何
(
なに
)
つかすんぢや、こんな
詰
(
つま
)
んねえこたあ
滅多
(
めつた
)
ありあんせんかんね
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
余り人の事を批評しても
詰
(
つま
)
らぬ事です。私は一体そんな事に
就
(
つい
)
ては何を議論しようとも思わぬと
云
(
いっ
)
て、少しも相手にならなかった。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「何だ何だ、蜜柑を遣る。かう死んだ
小児
(
がき
)
でも思い出したか、
詰
(
つま
)
らねえ後生気を起しやがるな、
打棄
(
うっちゃ
)
っておけというに、やい。」
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「馬鹿だな、八、あんな
詰
(
つま
)
らねえ事に感心しやがつて、手前が感心なんかするから、俺まで
釣
(
つ
)
られて、飛んでもない方へ行くぢやないか」
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
拾ったところで知らん
面
(
かお
)
をしているにきまってる、そうなると、俺らはまたあの家を
追出
(
おんだ
)
されるんだ、どっちへ行ってもホントに
詰
(
つま
)
らねえ
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「何んだ
詰
(
つま
)
らねえそんなことか。何がその他にいい物がある? とかく浮世は色と金、ちゃアんと昔から云っているじゃねえか」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
此方から
短銃
(
ぴすとる
)
と言た時に
直様
(
すぐさま
)
はい其
短銃
(
ぴすとる
)
は
云々
(
しか/″\
)
と答えたのが益々彼れの
手管
(
てくだ
)
ですわ、
詰
(
つま
)
り彼れは丁度計略の裏を
書
(
かい
)
て居るのです
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
肉眼で見れば、ここはただ暗い
開
(
あ
)
かずの
間
(
ま
)
だが、よく見よ、よく思え、ここには和漢のあらゆる聖賢が文化へささげた光明が
詰
(
つま
)
っている。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
兎角
(
とかく
)
するうちに
月
(
つき
)
が
滿
(
み
)
ちた。
愈
(
いよ/\
)
生
(
うま
)
れるといふ
間際
(
まぎは
)
迄
(
まで
)
日
(
ひ
)
が
詰
(
つま
)
つたとき、
宗助
(
そうすけ
)
は
役所
(
やくしよ
)
へ
出
(
で
)
ながらも、
御米
(
およね
)
の
事
(
こと
)
がしきりに
氣
(
き
)
に
掛
(
かゝ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
行
(
ゆ
)
き
詰
(
つま
)
つた俳優連が襲名によつて人気を新しくし、それと同時に自分の技芸にも一飛躍を企てようとするのは、
強
(
あなが
)
ち間違つた仕方でもない。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
黄鶴楼の庭前に作った
仮舞台
(
かりぶたい
)
と面して見物席に
充
(
あ
)
てたのは二タ
間
(
ま
)
続
(
つづ
)
きの大広間であって、二、三百人のお客がギッシリ
詰
(
つま
)
った。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
『世の中が
詰
(
つま
)
らない!』と言つた様な失望が、漠然と胸に湧く。自省の念も起る。気を紛らさうと思つて二人の小供を呼んだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
如何
(
どう
)
いう訳か邪魔
入
(
いり
)
て間もなくそなたは
珠運
(
しゅうん
)
とか云う
詰
(
つま
)
らぬ男に、身を救われたる義理づくやら
亀屋
(
かめや
)
の亭主の圧制やら、急に婚礼するというに
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
私
(
わたし
)
が
医者
(
いしゃ
)
で、
貴方
(
あなた
)
が
精神病者
(
せいしんびょうしゃ
)
であると
云
(
い
)
うことにおいて、
徳義
(
とくぎ
)
も
無
(
な
)
ければ、
論理
(
ろんり
)
も
無
(
な
)
いのです。
詰
(
つま
)
り
偶然
(
ぐうぜん
)
の
場合
(
ばあい
)
のみです。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「馬鹿馬鹿しいの、
詰
(
つま
)
らないのと云うものの、君の
阿父
(
おとっ
)
さんが
斯
(
こ
)
んなことになろうとは、実に夢にも思わなかったよ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いつも
詰
(
つま
)
らない飴細工ばかり引き当てて、欲しいと思う橋弁慶なぞは、
何時
(
いつ
)
も取ったことがなく
落胆
(
らくたん
)
したものだった。
梵雲庵漫録
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
私は
詰
(
つま
)
った。どう言い表わしていいか判らなかった。私はなぜだか、こう問いつめられると赤面するような気がした。
或る少女の死まで
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そうです、というのは、それほど、その時のぼくの頭には、あなたの水色のベレエが、いっぱいに
詰
(
つま
)
っていたのです。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
お糸さんの用事つてのは
詰
(
つま
)
らないことであつた。品川のある小新聞社の社員が
艶種
(
つやだね
)
を売りに来たので、少し
許
(
ばか
)
りの金を「桔梗」のお
上
(
かみ
)
がくれてやつた。
二黒の巳
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
詰
(
つま
)
らねえ
事
(
こと
)
を腹ア立てやアがつて、たつた一人の血を分けた兄の
己
(
おれ
)
を
置去
(
おきざ
)
りにしやアがつてよ、
是
(
こ
)
れと
云
(
い
)
ふのも
己
(
おれ
)
の
眼
(
め
)
が悪いばつかりだ、あゝ
口惜
(
くや
)
しい
心眼
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私は悲しみに息を
詰
(
つま
)
らせながら、苦しんではゐたけれども、泣いてはゐたけれど、伯母さま助けて下さい、助けて下さいつてお願ひしたぢやありませんか。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ぎっしり、
抽斗
(
ひきだし
)
一
杯
(
ぱい
)
に
詰
(
つま
)
った
衣装
(
いしょう
)
を、一
枚
(
まい
)
残
(
のこ
)
らず
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うえ
)
へぶちまけたその
中
(
なか
)
を、
松江
(
しょうこう
)
は
夢中
(
むちゅう
)
で
引
(
ひ
)
ッかき
廻
(
まわ
)
していたが、やがて
眼
(
め
)
を
据
(
す
)
えながら
新
(
しん
)
七に
命
(
めい
)
じた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
鶴見は国もとへ行っていたとき、その様子を傍からそっと見ていて、せっぱ
詰
(
つま
)
った気の毒な事情を知っていた。そんな状態になるまでに落ちぶれたのである。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
後
(
うしろ
)
の
隅々
(
すみずみ
)
についている
瓦斯
(
ガス
)
の
裸火
(
はだかび
)
の光は一ぱいに
詰
(
つま
)
っている見物人の頭に
遮
(
さえぎ
)
られて非常に暗く、狭苦しいので、猿のように人のつかまっている前側の鉄棒から
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は愈切迫
詰
(
つま
)
つたと思つた——然し声はそれつきり、いくら待つても待つても誰も何とも云ふものがない。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
後ではいつも少し
凋
(
しお
)
れて『しかしあなたの帰り、十時、十一時となります。あなたの留守、この家私の家ではありません。いかに
詰
(
つま
)
らんです。しかし仕方がない』
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
福沢諭吉もまた偉そうな事をいって、役人などは
詰
(
つま
)
らぬ人間のようにいう。両方で
小癪
(
こしゃく
)
に触るので一時は衝突しておったものだ。ところが明治六年であったと思う。
福沢先生の処世主義と我輩の処世主義
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
ただならぬ男の語気に、身をかたくして振向いた相手の視線に射られて、澤は言葉が
詰
(
つま
)
ってしまった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
芋蟲
(
いもむし
)
がこんな
詰
(
つま
)
らぬ
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
すので
少
(
すこ
)
し
焦心
(
じれ
)
ッたくなつて、やゝ
後退
(
あとじさ
)
りして
極
(
きは
)
めて
眞面目
(
まじめ
)
に
構
(
かま
)
へて、『お
前
(
まへ
)
こそ
誰
(
だれ
)
だ、一
體
(
たい
)
前
(
さき
)
に
話
(
はな
)
すのが
當然
(
あたりまへ
)
ぢやなくッて』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
探
(
さぐ
)
り給ふか
吾儕
(
わたし
)
も共に案じられてと云ば忠兵衞
點頭
(
うなづき
)
て年より
怜悧
(
さかしき
)
和郎
(
そなた
)
の心配吾儕も
切迫
(
せつぱ
)
に
詰
(
つま
)
つた故
先
(
まづ
)
云るゝ通り五日をば承知をなして受合たれど何を
當
(
あて
)
にも雲を
闇
(
やみ
)
。
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「あれか?」氷峰は
詰
(
つま
)
らなささうに笑つて、「どうせ、駄目ぢやから、あれツ切りにして置いた。」
泡鳴五部作:05 憑き物
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「それで、おぬしは徳利のカケラで腹を切ろうというのかい、いかに窮してあげくでも、これはまた
詰
(
つま
)
りきったことだ。南部の貧乏も、これで底が入ったというものだ」
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「別に無いね、或る男と或る女と二人集つて、従来より更に複雑な、そして美しさうな生活を見出さうと勉める時、
他
(
ひと
)
はこれを恋と云ひます。
詰
(
つま
)
り勉めて見るだけでさ。」
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
之は露国ワルソウの人だから
詰
(
つま
)
り
波蘭人
(
ポーランドじん
)
だ、其波蘭人のドクトル、ザメンコフといふ人の発明で、かのウォラビュックなどから視ると、遙かに自然的で無理が少ないから
エスペラントの話
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
与一はくずぬいて
箸
(
はし
)
を
嘗
(
な
)
めていた。私は胃の中に
酢
(
す
)
が
詰
(
つま
)
ったように、——
瞼
(
まぶた
)
が
腫
(
は
)
れ上って来た。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
それは
詰
(
つま
)
り疑っとるからだ。それに君は君の隣の男の変装を
看破
(
みやぶ
)
る事が出来ない。詰り信じとるからだ。信じているのと疑っているのと程、結果に影響するものは少いな。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
『オヤ、
亞尼
(
アンニー
)
がまた
詰
(
つま
)
らぬ
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
へて
泣
(
な
)
いて
居
(
を
)
りますよ。』と、
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
良人
(
おつと
)
の
顏
(
かほ
)
を
眺
(
なが
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
外
(
ほか
)
のこととは違うけん、
考
(
かんげ
)
え込むのは無理もなえが、あの兄さんに限って、そねえなバカんことのあろうはずがなえ……困ったのう、俺、
詰
(
つま
)
んねえこといわにゃよかったなア
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この世の中の全体が、何かトテモたまらなく、切っぱ
詰
(
つま
)
って来たように思われて来た……。
蝕眠譜
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
『
全體
(
ぜんたい
)
杉村君
(
すぎむらくん
)
、
君
(
きみ
)
も
掘
(
ほ
)
る
筈
(
はづ
)
ぢやアなかツたのか』と
水谷氏
(
みづたにし
)
は一
矢
(
し
)
報
(
むく
)
ゐると、
杉村氏
(
すぎむらし
)
は
楚人冠
(
そじんくわん
)
一
流
(
りう
)
の
警句
(
けいく
)
で
受
(
う
)
けて『
出
(
で
)
るなら
掘
(
ほ
)
るが、
出
(
で
)
ないのに
掘
(
ほ
)
つたつて
詰
(
つま
)
らないよ』と
來
(
く
)
る。
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
そして、
肥厚性鼻炎
(
ひこうせいびえん
)
ででもあるのか、始終鼻を
詰
(
つま
)
らせ、その大きな口をポカンと開けて呼吸をしているのです。寝ていて、鼾をかくのも、やっぱり鼻の病気のせいなのでしょう。
屋根裏の散歩者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
直
(
す
)
ぐ頭上で、火薬庫が爆発した様に
劇
(
はげ
)
しい
雷
(
らい
)
が鳴った。彼はぐっと
息
(
いき
)
が
詰
(
つま
)
った。本能的に彼は
奔
(
はし
)
り出したが、所詮此雷雨の重囲を脱けることは出来ぬと観念して、歩調をゆるめた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ちと雲行がおよろしくござらぬと見えて、俄かにぐッと御
詰
(
つま
)
りでおじゃりまするな。
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その題目の一つ一つが少年の心には、あらゆる空想の種であった。これらの百冊の題目は、見開き二
頁
(
ページ
)
にぎっしり
詰
(
つま
)
っていた。その二頁に、私たちは、いつまでもあかず見入っていた。
『西遊記』の夢
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
半次、こうなったらここに居たら身が
詰
(
つま
)
る。逃げる先がお前あるのか。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
詰
常用漢字
中学
部首:⾔
13画
“詰”を含む語句
腸詰
引詰
詰問
行詰
重詰
詰寄
押詰
差詰
追詰
見詰
後詰
鑵詰
橋詰
大詰
壜詰
敷詰
鮨詰
詰合
問詰
相詰
...