申上まをしあ)” の例文
『えゝ只今たゞいま足下そくか御關係ごくわんけい事柄ことがらで、申上まをしあげたいとおもふのですが。』と、市役所員しやくしよゐん居並ゐなら人々ひと/″\挨拶あいさつむとした。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
なんとも御謙遜ごけんそんで、申上まをしあげやうもありません。大先生だいせんせい貴下あなたくつて、うして、五位鷺ごゐさぎきざめます。あのふねうごかせます。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やすらかに、おまへのしろ御主おんあるじもとけ、さうして、あたしをおわすれになつたかと申上まをしあげてれよ。
御機嫌ごきげん如何いかゞらせられますか、陛下へいかよ!』公爵夫人こうしやくふじんひく脾弱ひよわこゑでおうかゞ申上まをしあげました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そもそ硯友社けんいうしやおこつたについては、わたし山田美妙やまだびめうくん其頃そのころ別号べつがう樵耕蛙船せうかうあせんひました)と懇意こんいつたのが、動機どうきでありますから、一寸ちよつと交際かうさい大要たいえう申上まをしあげて置く必要が有る
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
むかへこそ規則通きそくどほいたしまするけれど、さしむかつては一言ひとことうちとけたおはなしも申上まをしあげず、おこるならおおこりなされ、なに御隨意ごずゐいはなをくゝるやうな素振そぶりをしてますに、旦那だんなさまへかねて
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがて退しさりて、つかへ、は、は、申上まをしあたてまつる。おうなんとぢや、とお待兼まちかね。名道人めいだうじんつゝしんで、微妙いみじうもおはしましさふらふものかな。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わたくしはもう十ねんまへから、さう申上まをしあげてゐたのですが、全體ぜんたい病院びやうゐん設立たてられたのは、四十年代ねんだいころでしたが、其時分そのじぶん今日こんにちのやうな資力しりよくではかつたもので。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あたしの申上まをしあげること合点がてんなさりたくば、まづ、ひとつかういふこと御承知ごしようちねがひたい。しろ頭巾づきんあたまつゝんで、かた木札きふだをかた、かた、いはせるやつめで御座ござるぞ。かほいまどんなだからぬ。
オヽおもしろし覺悟かくごとはなん覺悟かくご許嫁いひなづけ約束やくそくいてしゝとのおのぞみかそれは此方このはうよりもねがことなりなんまはりくどい申上まをしあぐることのさふらふ一通ひととほりも二通ふたとほりもることならずのちとはいはずまへにてれてるべしれてらん他人たにんになるは造作ぞうさもなしと嘲笑あざわらむねうちくは何物なにもの
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
幼君えうくんこれを御覽ごらうじて、うれしげにえたまへば、かのすゝめたる何某なにがし面目めんぼくほどこして、くだんかご左瞻右瞻とみかうみ、「よくこそしたれ」と賞美しやうびして、御喜悦おんよろこび申上まをしあぐる。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
申上まをしあげたて。……なれどもたゞ差置さしおいたばかりではさぎつばさひらかぬで、ひと一人ひとり重量おもみで、自然おのづからいでる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
御迷惑ごめいわくぞんぜぬが、もやそで擦合すれあうた御縁ごえんとて、ぴつたりむねあたことがありましたにより、お心着こゝろづ申上まをしあげます……お聞入きゝいれ、お取棄とりすて、ともお心次第こゝろしだい
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いままたざつと一にち、五ばかり、わたしども一かうたいし……申尽まをしつくせませんまで、種々しゆ/″\こゝろづかひをくださいましたのも、たゞ御礼おれい申上まをしあげるだけではみません。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一夜いちや幼君えうくん燈火とうくわもと典籍てんせきひもときて、寂寞せきばくとしておはしたる、御耳おんみゝおどろかして、「きみひそか申上まをしあぐべきことのさふらふ」と御前ごぜん伺候しかうせしは、きみ腹心ふくしん何某なにがしなり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わるいつはりを申上まをしあげると、またからかれさうにおもつたので、おめ/\とおやせい自分じぶんふ。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きみ學問がくもんみち寢食しんしよくわすたまふは、至極しごく結構けつこうにて、とやかく申上まをしあげむことばもなくさふらへども御心遣おんこゝろやりすべさふらはでは、あまりに御氣おきつまりて千金せんきん御身おんみにさはりとも相成あひならむ。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
前刻さツき茶店ちやみせから此処こゝるまで、売薬ばいやくほかたれにもはなんだことは申上まをしあげるまでもない。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
差出さしでがましうござんすが、お座興ざきようにもとぞんじて、お客樣きやくさままへながら、申上まをしあげます、とお孃樣ぢやうさま御口上ごこうじやう。——うちに、日本につぽんふ、草毟くさむしりわかひとりませう……ふとおもきました。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大抵たいてい推量すゐりやうもなさるであらうが、いかに草臥くたびれてつても申上まをしあげたやうな深山しんざん孤家ひとつやで、ねむられるものではないそれすこになつて、はじめのうちわしかさなかつたこともあるし、えて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れい申上まをしあげます、——あのおくすりのためだらうとおもひます。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
唯々たゞ/\、おさつ申上まをしあげます。」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)