トップ
>
柔
>
やわ
ふりがな文庫
“
柔
(
やわ
)” の例文
日
(
ひ
)
が
輝
(
かがや
)
いて、
暖
(
あたた
)
かな
風
(
かぜ
)
が、
柔
(
やわ
)
らかな
草
(
くさ
)
の
上
(
うえ
)
を
渡
(
わた
)
るときは、
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
と
唄
(
うた
)
の
声
(
こえ
)
は、もつれあって、
明
(
あか
)
るい
南
(
みなみ
)
の
海
(
うみ
)
の
方
(
ほう
)
に
流
(
なが
)
れてゆきました。
港に着いた黒んぼ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
茎
(
くき
)
は直立して三〇センチメートル内外となり、心臓状円形で葉裏帯紫色の厚い
柔
(
やわ
)
らかな
全辺葉
(
ぜんぺんよう
)
を
互生
(
ごせい
)
し、
葉柄本
(
ようへいほん
)
に
托葉
(
たくよう
)
を
具
(
そな
)
えている。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
豚は語学も
余程
(
よほど
)
進んでいたのだし、又実際豚の舌は
柔
(
やわ
)
らかで素質も充分あったのでごく
流暢
(
りゅうちょう
)
な人間語で、しずかに校長に
挨拶
(
あいさつ
)
した。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
様々の
憐
(
あわ
)
れはあるが、春の
夜
(
よ
)
の
温泉
(
でゆ
)
の曇りばかりは、
浴
(
ゆあみ
)
するものの肌を、
柔
(
やわ
)
らかにつつんで、古き世の男かと、われを疑わしむる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今後の男
伊達
(
だて
)
は決して
威張
(
いば
)
り一方では用をなさぬ。内心
剛
(
かた
)
くして外部に
柔
(
やわ
)
らかくなくてはならぬ。むかしの賢者も教えて
曰
(
いわ
)
く
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
▼ もっと見る
ああいうところには、二度と行くものではないと、彼も民さんの手つだいをしながら、
柔
(
やわ
)
らかい日ざしの晩春をたのしんだ。
生涯の垣根
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
しんたのむねを
下
(
お
)
りたところに、かたがわには
椿
(
つばき
)
の
木
(
き
)
がありました。
今
(
いま
)
花
(
はな
)
は
散
(
ち
)
って、
浅緑
(
あさみどり
)
の
柔
(
やわ
)
らかい
若葉
(
わかば
)
になっていました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
初めは、わざと自分を
辱
(
はずかし
)
めるものか? と、あえてそれに抗拒の風を示されていたが、おもむろに、御態度は
柔
(
やわ
)
らいでいた。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またしてもその手がわたしを押しのける。いかにも愛想のいい、もの
柔
(
やわ
)
らかな手つきだが、とにかく押しのけるのである。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「いいえ。あけない、あけない。おかあさんはもっとつるつるして
柔
(
やわ
)
らかな手をしている。お
前
(
まえ
)
は
山姥
(
やまうば
)
にちがいない。」
物のいわれ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
彼
(
かれ
)
の
頸
(
くび
)
には
小
(
ちい
)
さい
腫物
(
はれもの
)
が
出来
(
でき
)
ているので、
常
(
つね
)
に
糊付
(
のりつけ
)
シャツは
着
(
き
)
ないで、
柔
(
やわ
)
らかな
麻布
(
あさ
)
か、
更紗
(
さらさ
)
のシャツを
着
(
き
)
ているので。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
一切がひっそりで組合のひとたちが「
柔
(
やわ
)
うにバンザイやりましょう」と本当にやわうにそれをやるという式でした。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
ツルゲーネフの
悲哀
(
ひあい
)
は、その
柔
(
やわ
)
らかみと悲劇性のすがたにおいて、本質的にスラヴ民族の憂愁であり、スラヴ
民謡
(
みんよう
)
のあの憂愁に、じかにつながっている。
「はつ恋」解説
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「小さいどころか、甘露煮にするにはこのくらいがごくだアな。それに、
板倉
(
いたくら
)
で取れたんだで、骨は
柔
(
やわ
)
らけい」
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
蕨
(
わらび
)
みてえなものばっかり食ってんのや。……筍はお好きだっか。そうだっか。このへんの筍はなあ、ほんまによろしうおまっせ。それは
柔
(
やわ
)
うて、やわうて……
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
彼のいきり立った気分が、春子にそう言われて、急に
柔
(
やわ
)
らぎかけた。しかし、すぐ坐りこむのも何だか恥ずかしかったので、彼は立ったままもじもじしていた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
柔
(
やわ
)
らかな愛らしい自然のなかに、小さな木造の家を建てて簡素に住んでいる
穏
(
おだ
)
やかな心の人たちとして、この国の生活をゆかしく印象されたのも、これによるのでした。
アインシュタイン教授をわが国に迎えて
(新字新仮名)
/
石原純
(著)
お客はあたたかいお酒をいただき、おいしい
御馳走
(
ごちそう
)
を
腹
(
はら
)
いっぱいに食べました。そうして
大満足
(
だいまんぞく
)
で、
柔
(
やわ
)
らかいふっくらとした布団の中へはいって
疲
(
つか
)
れた手足をのばしました。
神様の布団
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
「南部の侍は貧乏で、腹を切る刀も持たぬが、そのかわり腹の皮はごく
柔
(
やわ
)
いで、瀬戸物のカケラでも切れると、いうところを見せてやるのだ。しっかりと見届けてもらいたい」
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
なんと皆さん
如何
(
いかが
)
で御座る。これが普通の病気であったら。達者な者より
大切
(
だいじ
)
にされて。医者よ薬よ看護婦さんだよ。
柔
(
やわ
)
い寝床じゃ、良い喰べ物じゃと。あるが上にもお見舞受けます。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
牝、牝も骨身……肩、腰、胸、腹、
柔
(
やわ
)
い
膸
(
ずい
)
まで響いてこたえておろうに。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
六町間の一角だけがことに堅気な竪筋なので、
住吉
(
すみよし
)
町、
和泉
(
いずみ
)
町、
浪花
(
なにわ
)
町となると、
葭
(
よし
)
町の方に属し、人形町系統に包含され、
柔
(
やわ
)
らいだ調子になって、向う側の角から変ってくるのが目にたっていた。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
お
前
(
まへ
)
跣足
(
はだし
)
に
成
(
な
)
るのか
夫
(
そ
)
れでは
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
だと
信如
(
しんによ
)
困
(
こま
)
り
切
(
き
)
るに、
好
(
い
)
いよ、
己
(
お
)
れは
馴
(
な
)
れた
事
(
こと
)
だ
信
(
のぶ
)
さんなんぞは
足
(
あし
)
の
裏
(
うら
)
が
柔
(
やわ
)
らかいから
跣足
(
はだし
)
で
石
(
いし
)
ごろ
道
(
みち
)
は
歩
(
ある
)
けない、さあ
此
(
こ
)
れを
履
(
は
)
いてお
出
(
い
)
で、と
揃
(
そろ
)
へて
出
(
だ
)
す
親切
(
しんせつ
)
さ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
この雨の樺太
車前草
(
おほばこ
)
踏み
柔
(
やわ
)
み村かたつくと親し車前草
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
柔
(
やわ
)
き額をながれけむ
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
シグナルは高く
叫
(
さけ
)
びました。しかしシグナルも、もうだまってしまいました。雲がだんだん
薄
(
うす
)
くなって
柔
(
やわ
)
らかな
陽
(
ひ
)
が
射
(
さ
)
して
参
(
まい
)
りました。
シグナルとシグナレス
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それは、ほんとうに、
愉快
(
ゆかい
)
な
音色
(
ねいろ
)
でありました。ちょうど、
柔
(
やわ
)
らかな
土
(
つち
)
を
破
(
やぶ
)
って、
芽
(
め
)
がもえ
出
(
で
)
るような
喜
(
よろこ
)
びを、きく
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
に
与
(
あた
)
えました。
楽器の生命
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
図に乗って、また舌の動き
放題
(
ほうだい
)
に、怖がらせをしゃべっていたが、お米に返辞がないので、こんどは少し
音
(
ね
)
を
柔
(
やわ
)
らげて
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半透明
(
はんとうめい
)
の
匂
(
にお
)
やかな
靄
(
もや
)
に包まれたかと思うと、その靄の中で、近々と
柔
(
やわ
)
らかに彼女の眼が光って、ひらたい唇が熱っぽく息づき、歯がだんだん見えてきて
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
腕組をして枕元に
坐
(
すわ
)
っていると、
仰向
(
あおむき
)
に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を枕に敷いて、
輪郭
(
りんかく
)
の
柔
(
やわ
)
らかな
瓜実
(
うりざね
)
顔
(
がお
)
をその中に横たえている。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
若
(
わか
)
い
椿
(
つばき
)
の、
柔
(
やわ
)
らかい
葉
(
は
)
はすっかりむしりとられて、みすぼらしい
杖
(
つえ
)
のようなものが
立
(
た
)
っていただけでした。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
お芳は、そのいずれにもあいづちをうっただけだったが、お祖母さんの態度がいくらかずつ次郎に対して
柔
(
やわ
)
らいで行くのを見て、内心喜んでいるようなふうだった。
次郎物語:03 第三部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
その
葉面
(
ようめん
)
は心臓形で左右不同の
歪形
(
わいけい
)
を
呈
(
てい
)
し、他の植物の葉とはだいぶ葉形が異なっている。茎と
共
(
とも
)
に質が
柔
(
やわ
)
らかく、
元来
(
がんらい
)
は緑色なれども、赤味を
帯
(
お
)
びているから美しい。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
山姥
(
やまうば
)
はまた
戸
(
と
)
のすきまから手を
出
(
だ
)
しました。こんどは手がつるつるして
柔
(
やわ
)
らかだったので、それではおかあさんにちがいないと
思
(
おも
)
って、
子供
(
こども
)
たちは
戸
(
と
)
をあけて、
山姥
(
やまうば
)
を中へ
入
(
い
)
れました。
物のいわれ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
水浅黄ちらめかいて、
柔
(
やわ
)
りと
背向
(
うしろむ
)
きに突着けたですだで。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
風烈しき高畑越えて耳
柔
(
やわ
)
き
斑
(
まだ
)
らの仔牛道はかどらず
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
ペラペラの桃色の寒天で空が張られまっ青な
柔
(
やわ
)
らかな草がいちめんでその
処々
(
ところどころ
)
にあやしい赤や白のぶちぶちの大きな花が咲いていました。
若い木霊
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
少年
(
しょうねん
)
は
家
(
いえ
)
に
引
(
ひ
)
きかえして、まだつきたての
柔
(
やわ
)
らかいもちを
持
(
も
)
ってきて、
小
(
ちい
)
さく
幾
(
いく
)
つにもちぎって、それをからすに
与
(
あた
)
えました。
一本のかきの木
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
すると、
突然
(
とつぜん
)
——その時なんということが、わたしの身に起ったのだろう! 彼女の
柔
(
やわ
)
らかなすがすがしい
唇
(
くちびる
)
が、わたしの顔じゅうを、キスでおおい始めたのだ。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
薄茶色
(
うすちやいろ
)
の
芽
(
め
)
を全体に吹いて、
柔
(
やわ
)
らかい
梢
(
こづえ
)
の
端
(
はじ
)
が
天
(
てん
)
に
接
(
つゞ
)
く所は、
糠雨
(
ぬかあめ
)
で
暈
(
ぼか
)
されたかの如くに
霞
(
かす
)
んでゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、思いがけなくありついた南鐐を
懐中
(
ふところ
)
にして、お久良と新吉に別れて行こうとすると、
猫間川
(
ねこまがわ
)
の
堤
(
どて
)
に添って、
柔
(
やわ
)
い草を踏んで、何か語らいながらこっちへ来る男女がある。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
タイヤを
脱
(
はず
)
して、チューブに空気を入れて、
赤
(
あか
)
ん
坊
(
ぼう
)
の
腕
(
うで
)
のように
柔
(
やわ
)
らかくふくれたチューブを水にくぐらせて
穴
(
あな
)
の場所をさがす。ぷくぷくぷくと小さい
泡
(
あわ
)
の出るところがみつかる。
空気ポンプ
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
「雪が
柔
(
やわ
)
らかになるといけませんからもうお帰りなさい。今度月夜に雪が凍ったらきっとおいで下さい。さっきの幻燈をやりますから。」
雪渡り
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
空
(
あ
)
き
地
(
ち
)
には、
草
(
くさ
)
がしげっていましたが、いまはもう
黄色
(
きいろ
)
くなって、ちょうど
柔
(
やわ
)
らかな
敷物
(
しきもの
)
のように
地面
(
じめん
)
に
倒
(
たお
)
れていました。
町はずれの空き地
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
世の中にこれほど
錯雑
(
さくざつ
)
した配合はない、これほど統一のある配合もない。これほど自然で、これほど
柔
(
やわ
)
らかで、これほど抵抗の少い、これほど苦にならぬ輪廓は決して見出せぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
岩間角兵衛は、そう
宥
(
なだ
)
めて、巌流の眼が
柔
(
やわ
)
らぐのを見てから
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それにまあ、なめくじばけもののような
柔
(
やわ
)
らかなおあしに、
硬
(
かた
)
いはがねのわらじをはいて、なにが御志願でいらしゃるのやら。
ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
同時
(
どうじ
)
に
下
(
した
)
を
見
(
み
)
ると、すぐ
近
(
ちか
)
く
大
(
おお
)
きな
木
(
き
)
が
目
(
め
)
に
入
(
はい
)
り、四
方
(
ほう
)
へ
張
(
は
)
った
枝
(
えだ
)
の
柔
(
やわ
)
らかな
緑色
(
みどりいろ
)
は
毛氈
(
もうせん
)
を
拡
(
ひろ
)
げたように、
細
(
こま
)
かな
葉
(
は
)
が、
微風
(
びふう
)
にゆれていました。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
と、肩を
柔
(
やわ
)
らげた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ると、その白い
柔
(
やわ
)
らかな岩の中から、大きな大きな青じろい
獣
(
けもの
)
の骨が、横に
倒
(
たお
)
れて
潰
(
つぶ
)
れたという風になって、半分以上掘り出されていました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
柔
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“柔”を含む語句
柔和
柔軟
温柔
柔弱
物柔
柔順
柔術
柔媚
柔々
柔肌
柔道
優柔
柔婉
手柔
柔嫩
柔輭
柔毛
柔手
御柔軟
柔情
...