トップ
>
平凡
>
へいぼん
ふりがな文庫
“
平凡
(
へいぼん
)” の例文
つまりさうしないと、
平凡
(
へいぼん
)
に
上
(
うは
)
すべりがすると
思
(
おも
)
つたのでせう。だから、
直譯
(
ちよくやく
)
して、
道
(
みち
)
がはかどらないでと
取
(
と
)
つておけばよいでせう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
其後「
血笑記
(
けっしょうき
)
」を除く外、翻訳物は大抵見た。「
其
(
その
)
面影
(
おもかげ
)
」はあまり面白いとも思わなかった。「
平凡
(
へいぼん
)
」は新聞で半分から先きを見た。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
段の中途からそれを見詰めて居た人相のよからぬ男も、
平凡
(
へいぼん
)
な日程を繰り返すやうな靜かさで、何處ともなく姿を消してしまひました。
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼
(
かれ
)
は
平凡
(
へいぼん
)
を
分
(
ぶん
)
として、
今日
(
こんにち
)
迄
(
まで
)
生
(
い
)
きて
來
(
き
)
た。
聞達
(
ぶんたつ
)
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
遠
(
とほ
)
いものはなかつた。
彼
(
かれ
)
はたゞ
有
(
あり
)
の
儘
(
まゝ
)
の
彼
(
かれ
)
として、
宜道
(
ぎだう
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つたのである。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしその
電燈
(
でんとう
)
の
光
(
ひかり
)
に
照
(
て
)
らされた
夕刊
(
ゆふかん
)
の
紙面
(
しめん
)
を
見渡
(
みわた
)
しても、やはり
私
(
わたくし
)
の
憂鬱
(
いううつ
)
を
慰
(
なぐさ
)
むべく
世間
(
せけん
)
は
餘
(
あま
)
りに
平凡
(
へいぼん
)
な
出來事
(
できごと
)
ばかりで
持
(
も
)
ち
切
(
き
)
つてゐた。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
何も世間をあっと言わせるような、
珍
(
めずら
)
しい生活形式を
強
(
し
)
いて作りだそうというのではない。形式は、むしろ
平凡
(
へいぼん
)
なほうがいい。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
糟谷
(
かすや
)
はいよいよ
平凡
(
へいぼん
)
な一
獣医
(
じゅうい
)
と
估券
(
こけん
)
が
定
(
さだ
)
まってみると、どうしても
胸
(
むね
)
がおさまりかねたは細君であった。どうしてもこんなはずではなかった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
先生
(
せんせい
)
の
此等
(
これら
)
の
言葉
(
ことば
)
は
其實
(
そのじつ
)
平凡
(
へいぼん
)
な
説
(
せつ
)
ですけれど、
僕
(
ぼく
)
は
先生
(
せんせい
)
の
生活
(
せいくわつ
)
を
見
(
み
)
て
此等
(
これら
)
の
説
(
せつ
)
を
聞
(
き
)
くと
平凡
(
へいぼん
)
な
言葉
(
ことば
)
に
清新
(
せいしん
)
な
力
(
ちから
)
の
含
(
ふく
)
んで
居
(
ゐ
)
ることを
感
(
かん
)
じました。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
何気ない、
平凡
(
へいぼん
)
な、ひとときではあったけれども、しかし私は、あのような愛情のほのぼのとくすぶるような
哀感
(
あいかん
)
におそわれたことがなかった。
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
「あたしですの。あたしは多少美しい娘かも知れないけれども、
平凡
(
へいぼん
)
な女よ。いずれ二三年のうちに普通に
結婚
(
けっこん
)
して、順当に母になって行くんでしょう」
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
恐らく佐助は鵙屋の
暖簾
(
のれん
)
を分けてもらい
一介
(
いっかい
)
の薬種商として
平凡
(
へいぼん
)
に世を終ったであろう後年盲目となり検校の位を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あなたたちの
先祖
(
せんぞ
)
は、そのとき、やはり
畑
(
はたけ
)
や、
野原
(
のはら
)
を
飛
(
と
)
びまわっていて、べつに
手助
(
てだす
)
けをしなかったから、のちのちまでも
平凡
(
へいぼん
)
に
暮
(
く
)
らしていなさるのです。
紅すずめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ただ最も常識的な完成に過ぎないのである。知情意のおのおのから肉体的の諸能力に至るまで、実に
平凡
(
へいぼん
)
に、しかし実に
伸
(
の
)
び伸びと発達した見事さである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その男というのは、ほかの人に
影響
(
えいきょう
)
を
与
(
あた
)
えるなどとは自分でも思っていなかったし、
誰
(
たれ
)
が
見
(
み
)
ても
平凡
(
へいぼん
)
な
人間
(
にんげん
)
だった。——それはクリストフの
母親
(
ははおや
)
ルイザの兄だった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「テクニカラーでした。すばらしく
美
(
うつく
)
しいものでした。
筋
(
すじ
)
はありきたりの
平凡
(
へいぼん
)
なものでしたが……」
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
いまの、その三人目の男は、私の気質から云えばひどく正反対で、
平凡
(
へいぼん
)
で
誇張
(
こちょう
)
のない男であった。
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
例
(
たと
)
へば
日本
(
にほん
)
は
小島國
(
せうたうごく
)
であつて、
氣候
(
きこう
)
温和
(
をんわ
)
、
山水
(
さんすゐ
)
も
概
(
がい
)
して
平凡
(
へいぼん
)
で
別段
(
べつだん
)
高嶽峻嶺
(
かうがくしゆんれい
)
深山幽澤
(
しんざんゆうたく
)
といふものもない。
凡
(
すべ
)
てのものが
小規模
(
せうきも
)
である。その
我邦
(
わがくに
)
に
雄大
(
ゆうだい
)
な
化物
(
ばけもの
)
のあらう
筈
(
はず
)
はない。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
晩
(
ばん
)
まで
掛
(
かゝ
)
つて
漸
(
やうや
)
く
土器
(
どき
)
の
端
(
ふち
)
でも
磨
(
す
)
つたらしい
石
(
いし
)
と、
把手
(
とつて
)
の
平凡
(
へいぼん
)
なのを二三
箇
(
こ
)
得
(
え
)
たばかり。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
〔譯〕
獨得
(
どくとく
)
の
見
(
けん
)
は
私
(
わたくし
)
に似る、人其の
驟至
(
しうし
)
に
驚
(
おどろ
)
く。
平凡
(
へいぼん
)
の
議
(
ぎ
)
は公に似る、世其の
狃聞
(
ぢうぶん
)
に安んず。凡そ人の言を
聽
(
き
)
くは、宜しく
虚懷
(
きよくわい
)
にして之を
邀
(
むか
)
ふべし。
狃聞
(
ぢうぶん
)
に
苟安
(
こうあん
)
することなくんば可なり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
と
云
(
い
)
ひ
掛
(
か
)
けて、
極
(
きは
)
めて
計略
(
けいりやく
)
の
平凡
(
へいぼん
)
なのに、
我
(
われ
)
ながら
男
(
をとこ
)
は
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
らしかつた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
たとえどんなに
平凡
(
へいぼん
)
なものでもいいから、これから私の暮らそうとしているようなこんな季節はずれの田舎の、人っ子ひとりいない、しかし花だらけの
額縁
(
がくぶち
)
の中へすっぽりと
嵌
(
は
)
まり込むような
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
この
湖
(
みずうみ
)
の
景色
(
けしき
)
は、
平凡
(
へいぼん
)
といえば平凡ですが、びわ
湖
(
こ
)
のように、夏、ぐるりの山の上に
夕立雲
(
ゆうだちぐも
)
がわいたり、冬、銀色の雪が
光
(
ひか
)
ったりすると、少しすごいような景色になるのとはちがって、春夏秋冬
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
あまりに
平凡
(
へいぼん
)
な
人達
(
ひとたち
)
の
噂
(
うわさ
)
ばかりつづきましたから、その
埋合
(
うめあわ
)
せという
訳
(
わけ
)
ではございませぬが、
今度
(
こんど
)
はわが
国
(
くに
)
の
歴史
(
れきし
)
にお
名前
(
なまえ
)
が
立派
(
りっぱ
)
に
残
(
のこ
)
っている、
一人
(
ひとり
)
の
女性
(
じょせい
)
にお
目
(
め
)
にかかったお
話
(
はなし
)
を
致
(
いた
)
しましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
大きなる
都会
(
とくわい
)
のなかにたどりつきわれ
平凡
(
へいぼん
)
に
盗難
(
たうなん
)
にあふ
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
平凡
(
へいぼん
)
な
會話
(
くわいわ
)
じやアないか。
平常
(
ふだん
)
なら
當然
(
あたりまへ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
だ。
併
(
しか
)
し
自分
(
じぶん
)
は
友
(
とも
)
と
別
(
わか
)
れて
電車
(
でんしや
)
に
乘
(
の
)
つた
後
(
あと
)
でも
氣持
(
きもち
)
がすが/\して
清涼劑
(
せいりやうざい
)
を
飮
(
の
)
んだやうな
氣
(
き
)
がした。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
つまり
平凡
(
へいぼん
)
なお
手本
(
てほん
)
を
敷
(
し
)
き
寫
(
うつ
)
しになぞつて
行
(
ゆ
)
くものですから、だん/\つまらなく、その
作者
(
さくしや
)
の
特徴
(
とくちよう
)
を
出
(
だ
)
すことが
出來
(
でき
)
なくなつたわけであります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
あとの一人は、多賀屋の番頭で品吉、三十そこ/\の
平凡
(
へいぼん
)
な男ですが、これもお福の笑顏に釣られて、多賀屋の養子になれるものと思ひ込んでゐた男でした。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
よし
平凡
(
へいぼん
)
な講演をするにしても、私の態度なり様子なりが、あなたがたをして礼を正さしむるだけの立派さをもっていなければならんはずのものであります。
私の個人主義
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「そのまごころのこもった常識というのが容易ではないとぼくは思うんです。常識的な、
平凡
(
へいぼん
)
なことをやる時ほど、人間はふまじめになりがちなものですから。」
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
数日来
見飽
(
みあ
)
きるほど見て来た
平凡
(
へいぼん
)
な木乃伊である。彼は、そのまま、行過ぎようとして、ふとその木乃伊の顔を見た。
途端
(
とたん
)
に、冷熱いずれともつかぬものが、彼の
脊筋
(
せすじ
)
を走った。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「もっとおもしろいなにか
芸
(
げい
)
をする
娘
(
むすめ
)
さんたちが、
集
(
あつ
)
まってこないものかね。」と、お
嬢
(
じょう
)
さまは、その
後
(
ご
)
も
劇場
(
げきじょう
)
へいってみられたけれど、それから
出
(
で
)
た
女
(
おんな
)
は、
平凡
(
へいぼん
)
なものばかりでした。
初夏の空で笑う女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
屋根の形式の割合いに
平凡
(
へいぼん
)
な
百姓家
(
ひゃくしょうや
)
で、畑に面したふた
間
(
ま
)
つづきの
出居
(
でい
)
の間の、前通りの障子を明け放しにして、その床の間つきの方の部屋に主人らしい四十
恰好
(
かっこう
)
の人がすわっていた。
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
下人は、老婆の答が存外、
平凡
(
へいぼん
)
なのに失望した。さうして
失望
(
しつばう
)
すると同時に、又前の憎惡が、冷な
侮蔑
(
ぶべつ
)
と一しよに、心の中へはいつて來た。すると、その
氣色
(
けしき
)
が、先方へも通じたのであらう。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
近いと聞いた
玉川
(
たまがわ
)
は一里の余もあると云う。風景も
平凡
(
へいぼん
)
である。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
彼
(
かれ
)
は
平凡
(
へいぼん
)
な
宗助
(
そうすけ
)
の
言葉
(
ことば
)
のなかから、
一種
(
いつしゆ
)
異彩
(
いさい
)
のある
過去
(
くわこ
)
を
覗
(
のぞ
)
く
樣
(
やう
)
な
素振
(
そぶり
)
を
見
(
み
)
せた。
然
(
しか
)
しそちらへは
宗助
(
そうすけ
)
が
進
(
すゝ
)
みたがらない
痕迹
(
こんせき
)
が
少
(
すこ
)
しでも
出
(
で
)
ると、すぐ
話
(
はなし
)
を
轉
(
てん
)
じた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
次郎はかつて道江を
平凡
(
へいぼん
)
な女だと思ったことがあったが、読んで行くうちに、その平凡さのおどろくべき成長を見せつけられ、それに一種の
威圧
(
いあつ
)
をさえ感ずるのだった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
先生
(
せんせい
)
の
言論
(
げんろん
)
には
英雄
(
えいゆう
)
の
意氣
(
いき
)
の
充
(
みち
)
て
居
(
ゐ
)
ながら
先生
(
せんせい
)
の
生活
(
せいくわつ
)
は
一見
(
いつけん
)
平凡
(
へいぼん
)
極
(
きはま
)
るものでした。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
惡黨らしくもなく、
平凡
(
へいぼん
)
に老いさらばへて
鼬
(
いたち
)
の七助は涙と共に語るのでした。
銭形平次捕物控:147 縞の財布
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
この
隧道
(
トンネル
)
の
中
(
なか
)
の
汽車
(
きしや
)
と、この
田舍者
(
ゐなかもの
)
の
小娘
(
こむすめ
)
と、さうして
又
(
また
)
この
平凡
(
へいぼん
)
な
記事
(
きじ
)
に
埋
(
うづま
)
つてゐる
夕刊
(
ゆふかん
)
と、——これが
象徴
(
しやうちよう
)
でなくて
何
(
なん
)
であらう。
不可解
(
ふかかい
)
な、
下等
(
かとう
)
な、
退屈
(
たいくつ
)
な
人生
(
じんせい
)
の
象徴
(
しやうちよう
)
でなくて
何
(
なん
)
であらう。
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その
高原
(
こうげん
)
に
生
(
う
)
まれた
花
(
はな
)
は、まったく、
平凡
(
へいぼん
)
な
花
(
はな
)
に
化
(
か
)
してしまいました。
公園の花と毒蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
ネウリ部落のシャクは、こうした湖上民の最も
平凡
(
へいぼん
)
な一人であった。
狐憑
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
こゝにはごく
平凡
(
へいぼん
)
なものをあげておきませう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
しかしそれを別な言葉で云って見ると
非凡
(
ひぼん
)
なものを
平凡
(
へいぼん
)
にするという馬鹿気た意味にもなって来ます。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
平次は、こんな
平凡
(
へいぼん
)
なことを訊ねました。
銭形平次捕物控:142 権八の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
次
(
つぎ
)
の
日
(
ひ
)
は
平凡
(
へいぼん
)
に
宗助
(
そうすけ
)
の
頭
(
あたま
)
を
照
(
て
)
らして、
事
(
こと
)
なき
光
(
ひかり
)
を
西
(
にし
)
に
落
(
おと
)
した。
夜
(
よ
)
に
入
(
い
)
つて
彼
(
かれ
)
は
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
凡
常用漢字
中学
部首:⼏
3画
“平凡”で始まる語句
平凡人
平凡歌