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ないしよう
「あの、
後程、
内證で
御新姐さんが。
屹と
御待ち
遊ばせよ。
此處に。
可ござんすか。」と
囁いて、すぐに、ちよろりと
消える。
見定め出立致さん夫迄は遊び暮すべしとて
猶賑は
敷ぞ居續ける其日は
夕申刻時分にて瀬川が
晝の客も歸り何か用の有りとて
内證へ行きしに右の一札を女房に
讀聞せ居たるを
五十
軒によき
得意塲は
持たりとも、
内證の
車は
商賣ものゝ
外なれば
詮なく、十三になれば
片腕と
一昨年より
並木の
活版所へも
通ひしが、
怠惰ものなれば
十日の
辛棒つゞかず
噫、
彼女にのみ
内證の祕めたる事ぞ無かりける。
と
如何なる
企か、
内證の
筈と
故と
打明けて
饒舌つて、
紅筆の
戀歌、
移香の
芬とする、
懷紙を
恭しく
擴げて
人々へ
思入十分で
見せびらかした。
宥め一
先歸しけり其後二三日
過て長兵衞は白子屋庄三郎并に
妻お
常を呼び
段々と
内證の
都合迄も聞何共氣の
毒なる事なり
然らば
聟又七
殿お熊殿との中
宜しくば家を
渡し
世帶を
と
云つたが、
其の
土袋の
細君ださうです。
土地の
豪農何某が、
内證の
逼迫した
華族の
令孃を
金子にかへて
娶つたと
言ひます。
極内證でお前に
進ませうと云ふを城富聞より大いに
喜悦夫は/\
誠に有がたう御座ると云ば非人共
而酒手は
何程位置て行のだへ
全體遣てはならぬことだが
己輩の
寸志で内證で
進るだから其ことを
其處で
原稿料は?……
飛んでもない、
私はまだ
一枚も
稼ぎはしない。
先生のは——
内々知つてゐるが
内證にして
置く。……
「
否、それまででもないんです……
誰にもと
言ひますうちにも、
差配さんへは、
分けて
内證になすつて
下さいまし。」
今以て
向きも
持てもしないだらうから、
御婦人方には
内證だが、
實は
脚氣で。……
然も
大分手重かつた。
内證で
婦人などお
戲れで、それで
座敷へ
通せぬのであらう。
其の
儀なら
尚の
事、
斷てとおつしやる。
内證でその
道の
達者にたゞすと、
曰く、
鍋で
一杯やるくらゐの
餘裕があれば、
土手を
大門とやらへ
引返す。
第一歸りはしない、と
言つた。
格言ださうである。
皆若かつた。
と
分別をするから、
礫を
打つたり、
煙管の
雁首で
引拂ふなど、
今然やうな
陣笠の
勢子の
業は
振舞はぬ、
大將は
專ら
寛仁大度の
事と、
即ち
黒猫を、ト
御新造の
聲を
内證で
眞似て
内から
棹なんぞ……
鈎も
絲も
忍ばしては
出なかつたが——それは
女房が
頻に
殺生を
留める
處から、つい
面倒さに、
近所の
車屋、
床屋などに
預けて
置いて、そこから
内證で
支度して
しかも
眞夜中の
道中である。
箱根、
足柄を
越す
時は、
内證で
道組神を
拜んだのである。
内證で……
何となく
顏を
見られますやうで、ですから
内證で、
其の
蔦屋へ
參りました。
床几——といふ
處だが、(——
親類の
家で——)
其の
用意がないから、
踏臺に
嵬然として
腰を
掛けた……んぢや、と
笑つて、
當人が
私に
話した。
夫人、
及び
學生さん
方には
内證らしい。
と、
蘇生つて
年を
經てから、
丁飛脚が、
内證で、
兄弟分に
話したと
傳へられる。
壁と
障子の
穴だらけな
中で、
先生は
一驚をきつして、「
何だい、これは。——
田舍から、
内證で
嫁でもくるのかい。」「へい。」「
馬のくらに
敷くやうだな。」「えへゝ。」
私も
弱つて
尤も、二
時過ぎに
參つたんですから、
門も
潛りも
閉つて
居て、
裏へ
𢌞つたも
分りましたが、
後に
聞けば
何うでせう……
其の
木戸は、
病院で、
死にました
死骸ばかりを、
密と
内證で
出します
裏長屋のあるじと
言ふのが
醫學生で、
内證で
怪い
脈を
取つたから、
白足袋を
用ゐる、その
薄汚れたのが、
片方、
然も
大男のだから
私の
足なんぞ
二つ
入る。
細君に
内證で、
左へ
穿いた——で
仲見世へ。