つき)” の例文
鬱陶うっとうしそうにおもてなしなさるは、おそばのチンも子爵様も変った事はないとおつきの女中がもうしたとか、マアとりどりに口賢くちさがなく雑談をしました。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
私は早速さっそく、対空本部つき漢師長かんしちょうを呼びだした。そして、いつもに似合わしからぬ爆弾の深度爆裂しんどばくれつについてたずねたのである。
鼠の価は最初は二銭、後に諸色しょしき騰貴とうきと共に、改めて五銭と定められた。その間にしばらく割増金つき抽籤ちゅうせん券をもって、鼠を引換えた時代があった。
正規の晝食ひるの支度をする間がないことがよくあつたが、さういふ時には、彼女はつめたいパイの大切れだの、チイズつきのパンの厚切れを呉れた。
(三)処刑に先立つ四日、ウェストミンスタアの僧院長にしてメリイ女王つき牧師たりしフェッケンハムと試みたる信教問答
ジェイン・グレイ遺文 (新字旧仮名) / 神西清(著)
でもアヤッとの事に浅草で見当がつきました(警部は腹の中でフム牛込だけはおまけだナ、手当を余計せしめようと思ッて)
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
伴「そんな者じゃアないよ、話をしても手前てめえ怖がるな、毎晩来る女は萩原様にごく惚れてかよって来るお嬢様とおつきの女中だ」
と、門の鉄錠かなじょうをねじ切って、門番を閉口させてよろこんでみたりまた、おつきの女どもの中で、二本の火箸をねじ曲げて
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
本の題はまだきまつて居なかつたやうであるから、それとこの図案とのつきが好く行くかどうかは知らぬ。
本の装釘 (新字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
役人の復命にって、酒井家から沙汰があった。三右衛門が重手おもでを負いながら、癖者を中の口まで追って出たのは、「平生へいぜい心得方宜こころえかたよろしきつき、格式相当の葬儀可取行とりおこなふべし
護持院原の敵討 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ちょいとのひまも、の目も寝ないで、つきっ切りに看病して、それでもちっともくならずに、段々塩梅あんばいが悪くなって、花が散る頃だったわ、お医者様もね、もうね。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
本草ほんざうあんずるに、石蚕せきさん一名を沙虱すなしらみといふもの山川の石上につきまゆをなし、春夏羽化うくわして小蛾せうがとなり、水上すゐしやうに飛ぶといへり。くだんのさかべつたうは渋海川の石蚕せきさんなるべし。
いよいよ絶望ぜつぼうきままったときに、わたくしもと夢中むちゅうけつけたのが、れいのおつき女中じょちゅうでございました。
かずらざる無學むがくひとには、一時いちじおどろかすの不便ふべんあらん文盲人もんまうじん不便ふべんどくながらかへりみるにいとまあらず。其便不便そのべんふべんしばらさしをき、かく日輪にちりんもとなり、つきつきものなり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
前の晩到着したセエラつきの女中、フランス人のマリエットをちらと見たものさえありました。
不断にプレミアムつきで金を購買しかつそれを平価で売らざるを得ない、と彼は主張している。
毎日ほど遊びに行ても電話かけても差支さしつかいあれしませなんだけど、……お母さんの外にその手紙にある梅いうおつき女子衆おなごしゅもいますし、いろいろハタ眼があるもんですよって
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この回数券制度は子息むすこの三輪田元道氏のおもつきらしく元道氏は老人としよりのある家庭へくと
引開ひきあけて直しける雪踏せつた鼻緒はなをいとふとき心を隱す元益が出てしづ/\進み入に店の者等は之を見ればとし三十路みそぢたらざれど人品じんぴん骨柄こつがらいやしからず黒羽二重くろはぶたへに丸の中に桔梗ききやうもんつきたる羽織はおり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たかが船長つきのボーイではないか、お茶を運んだり、靴を磨いたり、寝台の毛布をたたんだりする役目のボーイが、この千五百トン級の汽船を、海賊たちから易々やすやすと、奪うことが出来るものか。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
十二時を過ぎると例の自作の朗読などが始まるのだが、僕は風邪かぜの気味を覚えたのと、ヌエが不愉快を忍んでつき合つて居てれるのが気の毒なのとで内藤を促して帰つて来た。(十月二十八日)
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
つきそひのをんなかゆぜん持來もちきたりて召上めしあがりますかとへば、いや/\とかぶりをふりて意氣地いくぢもなくはゝひざよりそひしが、今日けふわたし年季ねんあきまするか、かへこと出來できるで御座ござんしやうかとてひかけるに
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
只今おつき申して参る途中で、殿様のほうの裾の
何分御主人さまにつきッ切りゆえ、参る事も出来ないので、存じながら大層御無沙汰になって、誠に相済みませんが、何時もお変りなくおすこやかで私も満足致しました
主人夫婦が可恐おそろしい猫好きで、その為に奉公人一人給金を出して抱えるほどだから、その手数の掛る事と云ったら無い、おまけに御秘蔵が女猫と来て、産の時などは徹夜よっぴてつきっきり。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほめ候は恐入おそれいり候へ共幼年えうねんより發明はつめいなればすゑ頼母敷たのもしく存居しに生長にしたがひ惡事をこのみ親の目に餘り候事度々なれば十八歳の時御帳おちやうつき勘當かんだう仕つり候其後一向に行衞ゆくゑ相知あひしれ申さず村の者共かれうはさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
山令に誹議ひぎを申したて、あまっさえ、範宴少納言入壇の式に、その礼鐘れいしょうの役目を故意に怠り、仏法を滅するものは仏徒なりなど狂噪暴言きょうそうぼうげんを振舞うこと、重々罪科たるべきにつき、ここに
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
つきものをあてにせずして、もとよつこよみたつるは、事柄ことがらおいたゞしきみちといふべし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
ピコル船長つきのボーイだから、僕のような、雑役夫ざつえきふにひとしいボーイと、めったに話合う機会もなかったが、船が函館港を出帆し、北上してから三昼夜目、すでに北千島圏内に入ったある日
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
だが、そんな身装みなりをしてゐる癖に、女史は五六年このかた小使銭といふものを持つた事が無い。小使銭はおつき三輪田みわだ女学校出身の女中が一切預つて、女史のあとからてくてくいて歩いてゐる。
あなたにおつき申すことが出来るなら
「艇長室つきの艇夫交替」
大宇宙遠征隊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いえもいよ/\御繁昌ごはんじょうでございましたが、つればくる世のならい、奥様には不図ふとした事が元となり、ついに帰らぬ旅路におもむかれましたところ、此の奥様のおつきの人に
その夜から、筋向うのその土蔵つきの二階家に、一人気が違ったおんながあったのである。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
にしきにつゝみ女中一人ほかつきの女中三人そひ捨子すてごとし給ふ加納將監は乘物のりものかゝせ行き直樣すぐさまひろひ上乘物のりものにて我家わがやへ歸り女房にわたしてやしなひ奉つりぬ加納將監は本高ほんだか六百石なるが此度このたび二百五十石を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「どうも素的すてきな香だ、何でもいはつきの物に相違ない。」
僧「あれはその娘のおつきの女中で是も引続き看病疲れで死去いたしたから、一緒に葬られたので」
このみせつきばかりはその汚さといったらないから、ふりの客は一人も入らぬのであるが、昨日きのうは一日仕事をしたから、御覧なさいこの界隈かいわいにちょっと気の利いた野郎達は残らず綺麗きれいになりましたぜ
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
へい、なに御用ごようで。姫「これはおまへ莨入たばこいれだらう。「へい、これうも有難ありがたぞんじます。姫「誠に粗忽そこつだノ、已後いごつきや。「へいおそりました。どつちがお客だかわけわかりませぬ。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
御癇癖ごかんぺきが強く、いさゝかな事にも暴々あら/\しくお高声こうせいを遊ばして、手打にするなどというはげしい御気性、そこでどうも御舎弟様にはつきが悪いので上屋敷へへつらう者も多いが、今大殿様もお加減の悪い処であるから
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)