おこ)” の例文
(七)舜禹しゆんうあひだ(八)岳牧がくぼくみなすすむ。すなはこれ(九)くらゐこころみ、しよくつかさどらしむることすうねん(一〇)功用こうようすでおこり、しかのちまつりごとさづく。
で、初めにこれを記した時には、非常に数が多く、数十百篇に及んだ。が、漢がおこった時にはこれらは失われ亡んでいた。しかるに
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
こんな民土のうたおこったのも、正に明智領になってからである。こよいもほりをこえ、狭間はざまをこえて、城下のうたが本丸まで聞えていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さるほどに親族うからおほくにもうとんじられけるを、くちをしきことに思ひしみて、いかにもして家をおこしなんものをと左右とかくにはかりける。
「死」を水先案内と呼びかけた人のような熱意を振いおこして、この人生の航海に何かもっと新しいものを探り求めずにはいられなかった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
羽後にもありますが陸奥の織物として近く再びおこされたのは薇織ぜんまいおりであります。温いので雪国で求められる布の一種であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
江戸時代におこった「風流」は江戸時代と一しょに滅んでしまった。ただ僕等の明治時代はまだどこかに二百年間の「風流」の匂いを残している。
本所両国 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
将来は商人にでもして家をおこしてゆこうと考えたのでしたが、どうも息子が学問を好むので、ピザの大学で医学を学ばせることにしたのでした。
ガリレオ・ガリレイ (新字新仮名) / 石原純(著)
之に遇えば物に害あり。ゆえ大厲だいれい門に入りて晋景しんけい歿ぼっし、妖豕ようしいて斉襄せいじょうす。くだようをなし、さいおこせつをなす。
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
依田学海福地桜痴の諸家市川団十郎いちかわだんじゅうろうと相結びていはゆる活歴史劇かつれきしげきおこすや、道具衣裳いしょうの歴史的考証をもっぱらとし舞台上の絵画的効果を閑却せしより
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あゝ此の金があったら又一山ひとやまおこして取附く事もあろうかと存じまして、無理に七日までお泊め申しましたが、愈々いよ/\明日みょうにちお立ちと聞きましたゆえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おこさせて新田につたとは名告なのらすれど諸事しよじ別家べつけかくじゆんじて子々孫々しゝそん/\末迄すゑまで同心どうしん協力けふりよくことしよあひ隔離かくりすべからずといふ遺旨ゐしかたく奉戴ほうたいして代々よゝまじはりを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
武家方からよい嫁を迎える道のなくなった上は、町家からすぐれた娘を入れるのが、——この木原伝之助の忠義、——佐野家をおこす唯一の道であった。
この年の十月には政府に大更迭こうてつがあって、大隈重信おおくましげのぶが俄かににくだった。つづいて板垣退助らが自由党をおこした。
有喜世新聞の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
七輪に火もおこりかけていたし、鉄瓶にも湯を沸かす仕掛けがしてあった。お庄も襷がけになって、長火鉢の掃除をしたり茶箪笥に雑巾をかけたりした。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
即ち仏堂をこぼち、学校をおこし、瘠土せきどを開拓して膏腴こうゆの地となし、暗礁を除いて航路を開き、農兵を置き、薬草を植え、蜜蜂を飼い、蛤蜊こうりを養殖するなど
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
今においてこのくわだてありて西洋人の大業をおこせし手段により和蘭陀オランダ開祖の心取こころどりりて国業を興すにおいては、永く不動の大国とならんこと相違あるまじ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
かの長生殿裡ちやうせいでんり日月じつげつのおそきところ、ともに𢌞風くわいふうきよくしやうするにあたりてや、庭前ていぜんさつかぜおこり、はなひら/\とひるがへること、あたか霏々ひゝとしてゆきるがごとくなりしとぞ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
酒屋が新たにおこって、家の女房が酒の管理権を失ったことが、何よりも大きな凡人文芸の衰微のもとであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
既に借りた以上は仕方が無い、いまだ借りざる先の慚づべき心を以つてこれに対せんとするもあたはざるなりだらう。そうの時代であつたかね、何か乱がおこつた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
孔子は恠力乱神かいりょくらんしんを語らずといい給えども左伝さでんには多く怪異の事をせたり又中庸ちゅうように国家まさおこらんとすれば禎祥ていしょう有り国家まさほろびんとすれば妖孽ようげつありと云うを
怪談牡丹灯籠:02 序 (新字新仮名) / 総生寛(著)
「日本がおこるかほろぶかという非常時に、お飯事ままごとみたいな同棲生活どうせいせいかつに、酔っている場合じゃないと、ね」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
三丰かつて武当のしょ巌壑がんがくあそび、このやま異日必ずおおいおこらんといいしもの、実となってこゝに現じたる也。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おのもおのものりたまひへて後に、その妹にりたまひしく、「女人をみな先立さきだち言へるはふさはず」とのりたまひき。然れども隱處くみどおこしてみこ水蛭子ひるこを生みたまひき
人の立身や家のおこるを評するにはよほど注意せねば、とかくうらやむ心にかされて判断を誤りやすい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
欧洲の理想界に形而上派のおこりてより、漸くにして古代の崇高なるプラトニックの理想的精神を復活せしめ、爾来じらい欧洲の宗教界、詩文界に生気の活動し来りたるを見る。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
そう思うと、瑠璃子は処女おとめにふさわしい勇気を振いおこして、孔雀くじゃくのような誇と美しさとを、そのスラリとした全身にたたえながら、落着いた冷たい態度で、玄関へ現れた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
そもそも洋学のよっておこりしその始を尋ぬるに、昔、享保の頃、長崎の訳官某、和蘭通市の便を計り、その国の書を読み習わんことを訴えしが、速やかに允可いんかを賜りぬ。
慶応義塾の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
しかしながら国に幽暗くらきのぞみしときに精神の光が必要になるのであります。国のおこるとほろぶるとはこのときに定まるのであります。どんな国にもときには暗黒が臨みます。
一方は下賤げせんから身を起して、人品あがらず、それこそ猿面のせた小男で、学問も何も無くて、そのくせ豪放絢爛けんらんたる建築美術をおこして桃山時代の栄華を現出させた人だが
(新字新仮名) / 太宰治(著)
国民の元気をおこさんとて、坂崎氏には一片いっぺんの謝状をのこして、妾と共に神奈川地方にはしりぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
おこなき親達おやたちいさゝ孝養かうやうそなへんと出立なす折柄をりから輕井澤かるゐざはへんより彼の曲者くせものと連れに成り道中みちすがら彼の振舞ふるまひに心をつけるに唯者たゞものならず江戸より付き來りし樣子なり今日も彼者度々たび/\手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そうして、まず第一に、「広く会議をおこし、万機公論に決すべし。」と宣言してある。
新しい古典主義はその時代において新たにおこりつつあった科学の精神によってのみ可能であった。ルネサンスの古典主義者はラファエロでなくてリオナルド・ダ・ヴィンチであった。
人生論ノート (新字新仮名) / 三木清(著)
それによって荘園が起り、荘園が栄え、荘園が衰え、貴族がほろびて武士がおこった。
堕落論〔続堕落論〕 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
保名やすなもこれをしおに京都きょうとって、阿倍あべいえおこときたと、たいそうよろこんで、童子どうじれて京都きょうとのぼりました。そして天子てんしさまの御所ごしょがって、おねがいのすじもうげました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
豈料あたはからんや藤原実美さねとみ等、鄙野匹夫ひやひっぷの暴説を信用し、宇内うだいの形勢を察せず国家の危殆きたいを思はず、ちんが命をためて軽率に攘夷の令を布告し、みだりに討幕のいくさおこさんとし、長門宰相の暴臣のごと
尊攘戦略史 (新字新仮名) / 服部之総(著)
それに主取りをさせて和田の家をおこしたいと、明けくれ老夫婦が語りあっているうちに、宗右衛門はどっと仮りそめの床についたのがもとで、おさよお艶をはじめ家主喜左衛門やかじ富が
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ところが明朝が亡んで清朝がおこりましたので、沖縄は暫くの間、名実共に日本に属するようになりましたが、島津氏の方でも琉球を如何に取扱ってよいやら、わからなかったのであります。
琉球史の趨勢 (新字新仮名) / 伊波普猷(著)
漢が天下を定めてからすでに五代・百年、始皇帝しこうていの反文化政策によって湮滅いんめつしあるいは隠匿いんとくされていた書物がようやく世に行なわれはじめ、文のおこらんとする気運が鬱勃うつぼつとして感じられた。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
官長の覚えことなりしかば、洋行して一課の事務を取り調べよとの命を受け、わが名を成さんも、わが家をおこさんも、今ぞとおもう心の勇み立ちて、五十をえし母に別るるをもさまで悲しとは思わず
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
一は漸くおころうとしてまだ姿をあらわさぬ空白の時代であった。
新ローマン主義ともいうべきものをおこすにあろうかと思う。
教育と文芸 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
必ず再びおこることがありましょう。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「……それから、お侍衆の噂では、いよいよ、公方討くぼううちのいくさおこって、長州様も、土州様も、薩州さっしゅう様も、また芸州様もこんどは……」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(八) 孔子がちんさいの間にあった時、楚は人をして孔子をへいせしめた。陳・蔡の大夫はこれを妨げんとした。楚の昭王は師をおこして孔子を迎えた。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
人をして淫慾をおこさしむるものをいふなり。人とは如何なる人を指せるや。社会一般を指すなり、十人が十人の事をいふなり。然らばここに一冊子あり。
猥褻独問答 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
浅井家をおこそうという話もあったようですが、いつの間にやらそれも沙汰止さたやみになったということです。
そこには都市がおこり商工が繁栄して、いわゆる米穀経済を成立せしめたけれども、それは交易のまた新らしい段階であって、なお一部の古風の家庭ではついこの頃まで
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「すべての妖はみずからおこるのでなく、人に因って興るのである。あなたは人に知られない悪念をいだいているので、その心の影が羅刹らせつとなって現われるのではあるまいか」