こたへ)” の例文
宗助そうすけこたへなか夜着よぎしたからた。そのこゑこもつたやう御米およねみゝひゞいたとき御米およねまないかほをして、枕元まくらもとすわつたなりうごかなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こたへ それは東洋種と西洋種とに分けられるかも知れない。けれども多少の西洋種をまじへて居ないものはほとんどないと云つてもいいだらう。
東西問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ふ寶澤こたへて我は徳川無名丸むめいまると申す者なり繼母けいぼ讒言ざんげんにより斯は獨旅ひとりたびを致す者なり又其もとは何人にやとたづかへせば彼者かのもの芝原しばはらへ手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
鄭寧ていねいに云つて再びこたへを促した。阿母さんは未だだまつてる。見ると、あきらにいさんの白地しろぢの薩摩がすり単衣ひとへすそを両手でつかんだ儘阿母さんは泣いて居る。
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
かすかに/\、おこたへのあつたやうにもおもはれたが、それもこゝろまよひしんじて、其後そのゝち朝日島あさひじま漂着へうちやくして、あるとき櫻木大佐さくらぎたいさ此事このことかたつたとき大佐たいさ貴女あなた運命うんめいぼくして
こたへいはく、地気天に変格へんかくして雪となるゆゑ天のまるきと地のかくなるとを併合あはせ六出むつかどをなす。六出りくしゆつ円形まろきかたちうら也。
其處そこ長髮ちやうはつ敝衣へいい怪物くわいぶつとめなば、寸時すんじはやくびすかへされよ。もしさいはひ市民しみんはば、すゝんで低聲ていせいに(おう)は?とけ、かれへんずる顏色がんしよくくちよりさきこたへをなさむ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ぼく眞面目まじめこたへたのです。まつたぼく大島小學校おほしませうがくかう出身しゆつしんです。故意わざ奇妙きめうこたへをして諸君しよくんおどろかすつもりけつしてもたないので。これまでもぼく出身しゆつしん學校がくかうきかれましたが。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
つていふはなし思出おもひだして「おぢさん、ライオンはなれたらねづみでもひませんか」と動物園どうぶつゑんのおぢさんにきました。すると、おぢさんのこたへはこうでした「すぐつちまふ」
一一四やがての御こたへもせぬは、親兄に仕ふる身の、おのが物とては爪髪つめかみの外なし。何を一一五ろくに迎へまゐらせん便もなければ、身の一一六徳なきをくゆるばかりなり。
青年の問は、美奈子が何と答へてよいか分らないほど、唐突だしぬけだつた。彼女は、一寸こたへに窮した。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
徒然草つれ/″\ぐさ最初さいしよほとけはどうして出來できたかとはれてこまつたとふやうなはなしがあつた。子供こどもものはれてこまることは度々たび/\である。なかにも宗教上しうけうじやうことには、こたへきうすることがおほい。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
加藤は先づ概略あらましの病状を訊いた。智恵子は痛みを怺へて問ふがまゝにこたへる。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
いゝえ、わたししたの』とあいちやんはこたへて、『こたへなに?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのおこたへ次第で
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
なんにもしないであすんでるんでせう。地面ぢめん家作かさくつて」と御米およねこたへた。このこたへ今迄いままでにもう何遍なんべん宗助そうすけむかつてかへされたものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何と申し又商賣しやうばい何渡世なにとせいなるやと尋ねられ寶澤は泣々なく/\父は源兵衞と申し餠屋商賣もちやしやうばいなりと口より出任でまかせこたへければ亭主は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
今迄いまゝで吾等われら經歴けいれきをのみかたつたが、サア今度こんどは、貴方等あなたがたのおこたへ順番じゆんばんですよ。』と春枝夫人はるえふじんむか
こたへてまづしよくをはりてテンプラの来由らいゆかたるべしといひつゝさけのてんぷらをあくまでにしよくせり。
熊檮くまがし、女にむかひて、国のかみの召しつるぞ、急ぎまゐれといへど、こたへもせであるを、近く進みてとらふとせしに、たちまち地も裂くるばかりの二〇一霹靂はたたがみ鳴響なりひびくに、許多あまたの人ぐるひまもなくてそこに倒る。
はじめからこたへないときもあり、こたへるとき何時いつもこたへをするのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
暢氣のんきなるこたへきて、かれあきれながら
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
なんこたへもしらかみ
桜さく島:春のかはたれ (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
又かう、怠惰なまけものでは、さう判然はつきりしたこたへが出来ないのである。代助の方でも、門野かどのを教育しにうまれてた訳でもないから、好加減いゝかげんにしてほうつて置く。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
もつて功徳くどくちやうと成べきと智化ちけの上人へ桂昌院樣けいしやうゐんさま一位樣御尋おんたづね遊ばされしに僧侶そうりよこたへて申上げるはおよそ君たる人の御功徳くどくにははしなき所へ橋をかけ旅人りよじんのわづらひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
こたへてまづしよくをはりてテンプラの来由らいゆかたるべしといひつゝさけのてんぷらをあくまでにしよくせり。
けれど夫人ふじん姿すがたえない『春枝夫人はるえふじん、々々。』とこゑかぎりにんでたがこたへがない、たゞ一度いちどはるか/\の波間なみまから、かすかにこたへのあつたやうにもおもはれたが、それもなみおとやら、こゝろまよひやら
するとこたへには
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大丈夫だいぢやうぶよ」とつた。このこたへとき宗助そうすけなほこと安心あんしん出來できなくなつた。ところ不思議ふしぎにも、御米およね氣分きぶんは、小六ころく引越ひつこしててから、ずつと引立ひきたつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こたへていふ、いぶかり給ふもことはりなり、かりそめに作りおくは雪のゆゑなり。
うちもん這入はいると、玄関に誠太郎のらしいくつが叮嚀にならべてあつた。門野かどのいたら、へえ左様さうです、先方さつきからつて御出おいでですといふこたへであつた。代助はすぐ書斎へた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
こたへていふ、いぶかり給ふもことはりなり、かりそめに作りおくは雪のゆゑなり。
両方が同じ様な事を聞いて、同じ様なこたへを得た。しかも両方共迷惑を感じてゐる気色けしきさらにない。三四郎は念の為め、邪魔ぢやないかと尋ねて見た。ちつとも邪魔にはならないさうである。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
三四郎は、こりや議論にならないと思つて、こたへを見合せて仕舞つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
平岡のこたへはたゞ此一句ぎりであつた。代助ははらなかくびかたむけた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)