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ふりがな文庫
“
来
(
こ
)” の例文
旧字:
來
それが
人
(
ひと
)
の
言
(
い
)
うように
規則的
(
きそくてき
)
に
溢
(
あふ
)
れて
来
(
こ
)
ようとは、
信
(
しん
)
じられもしなかった。
故
(
ゆえ
)
もない
不安
(
ふあん
)
はまだ
続
(
つづ
)
いていて、
絶
(
た
)
えず
彼女
(
かのじょ
)
を
脅
(
おびや
)
かした。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
あなた
方
(
がた
)
もいずれはこちらの
世界
(
せかい
)
へ
引移
(
ひきうつ
)
って
来
(
こ
)
られるでしょうが、その
時
(
とき
)
になれば
私
(
わたくし
)
どもの
現在
(
げんざい
)
の
心持
(
こころもち
)
がだんだんお
判
(
わか
)
りになります。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「そして
早
(
はよ
)
う戻って
来
(
こ
)
にゃあかんに。晩になるときっと冷えるで。味噌屋がすんだらもう
他所
(
よそ
)
へ寄らんでまっすぐ戻っておいでやな」
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
然し三千代と自分の関係を絶つ手段として、結婚を許諾して見様かといふ気は、ぐる/\回転してゐるうちに一度も
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
なかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうだろう、そう
来
(
こ
)
なくちゃアお艶さんじゃアねえ。わしもそれで大きに安心をしました。だがヨ、見れば見るほど
美
(
い
)
い女ッぷりだ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
齢
(
よわい
)
人生の
六分
(
ろくぶ
)
に達し、今にして過ぎ
来
(
こ
)
し
方
(
かた
)
を
顧
(
かえり
)
みれば、行いし事として罪悪ならぬはなく、
謀慮
(
おもんばか
)
りし事として
誤謬
(
ごびゅう
)
ならぬはなきぞかし。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
そして
御主人
(
ごしゅじん
)
から
強
(
つよ
)
い
侍
(
さむらい
)
をさがして
来
(
こ
)
いという
仰
(
おお
)
せを
受
(
う
)
けて、こんな
風
(
ふう
)
をして
日本
(
にほん
)
の
国中
(
くにじゅう
)
をあちこちと
歩
(
ある
)
きまわっているのでした。
金太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「これだけいうても、まだ、意地を、張っとるんけえ? そこまで思い詰めとるもんなら、もうわしも隠しゃせん! 早う出て
来
(
こ
)
え!」
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
和「お忙しいお勤めではなか/\寺詣りをなさるお暇はないて、暇のある人でも仏様からは催促が
来
(
こ
)
んによって無沙汰勝になるもので」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
で、
貴方
(
あなた
)
はよい
時代
(
じだい
)
が
来
(
こ
)
ようと
済
(
すま
)
してもいられるでしょうが、いや、
私
(
わたくし
)
の
言
(
い
)
うことは
卑
(
いやし
)
いかも
知
(
し
)
れません、
笑止
(
おか
)
しければお
笑
(
わら
)
い
下
(
くだ
)
さい。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「あら、あたしも、帰って来るごと、一週間も前に、便りしたんじゃが。……でも、今に帰って
来
(
こ
)
んけ、帰らんつもりでしょうよ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
甲府を過ぎて、わが
来
(
こ
)
し方の東の空うすく
禿
(
は
)
げゆき、
薄靄
(
うすもや
)
、紫に、
紅
(
くれない
)
にただようかたえに、富士はおぐらく、柔かく浮いていた。
雪の武石峠
(新字新仮名)
/
別所梅之助
(著)
葉末
(
はずゑ
)
におく
露
(
つゆ
)
ほども
知
(
し
)
らず
笑
(
わら
)
ふて
暮
(
く
)
らす
春
(
はる
)
の
日
(
ひ
)
もまだ
風
(
かぜ
)
寒
(
さむ
)
き二月
半
(
なか
)
ば
梅
(
うめ
)
見
(
み
)
て
来
(
こ
)
んと
夕暮
(
ゆふぐれ
)
や
摩利支天
(
まりしてん
)
の
縁日
(
ゑんにち
)
に
連
(
つら
)
ぬる
袖
(
そで
)
も
温
(
あたゝ
)
かげに。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
権七
(
ごんしち
)
や、
主
(
ぬし
)
は
先
(
ま
)
づ、
婆様
(
ばあさま
)
が
店
(
みせ
)
へ
走
(
はし
)
れ、
旦那様
(
だんなさま
)
、
早速
(
さつそく
)
人
(
ひと
)
を
出
(
だ
)
しますで、お
案
(
あん
)
じなさりませんやうに。
主
(
ぬし
)
も
働
(
はたら
)
いてくれ、さあ、
来
(
こ
)
い
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「考へてみさつしやれ、
俺
(
わし
)
とお前があの世での、一緒になつて
居
(
を
)
らうと、不信心者のクレメンス爺さんが天国へは
上
(
のぼ
)
つて
来
(
こ
)
まいからの。」
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(なあんだ。あと姥石まで
煙草
(
たばこ
)
売るどこなぃも。ぼかげで
置
(
お
)
いで
来
(
こ
)
。)おみちは
急
(
いそ
)
いで
草履
(
ぞうり
)
をつっかけて出たけれども間もなく戻って来た。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
というのは、ママがきょう
着
(
き
)
せてやろうと
思
(
おも
)
ったシャツは、みんなまだ
洗濯屋
(
せんたくや
)
へ行っていて、
夕方
(
ゆうがた
)
でなければ返って
来
(
こ
)
なかったからである。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
足の運びのはかどらねば、クロステル街まで
来
(
こ
)
しときは、半夜をや過ぎたりけん。ここまで来し道をばいかに歩みしか知らず。
舞姫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「なに、向うの室へ、船長がこいというのか。なかなか無礼なことをいうね。用があれば、そっちがここへ
出
(
で
)
て
来
(
こ
)
いといえ」
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
『ラランいふのはおまへか。ヱヴェレストはそんな
鴉
(
からす
)
に
用
(
よう
)
はないぞ。おまへなんぞに
来
(
こ
)
られると
山
(
やま
)
の
穢
(
けが
)
れだ。
帰
(
かへ
)
れ、
帰
(
かへ
)
れ。』
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
「それは違ふ、眼にも見えず、形にもあらはれぬ
業
(
ごう
)
といふ重荷を、われ/\はどれほど過ぎ
来
(
こ
)
しかたに人にも自身にも
荷
(
にな
)
はせてゐるか知れぬ」
老主の一時期
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
沈んではいるがしゃんと張切った心持ちになって、クララは部屋の隅の聖像の前に
跪
(
ひざまず
)
いて
燭火
(
あかり
)
を捧げた。そして静かに身の
来
(
こ
)
し
方
(
かた
)
を返り見た。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「
来
(
こ
)
ない、にんじん? うちのお
父
(
とっ
)
つぁんが川へ網をかけてるんだ。手伝いに行こう。そいで、僕たちは笊でオタマジャクシをしゃくおうよ」
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
何
(
なに
)
も
食
(
く
)
いつくような
黒
(
くろ
)
じゃなし、
逃
(
に
)
げてなんぞ
来
(
こ
)
ないでも、
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
金
(
かね
)
の
脇差
(
わきざし
)
だわな。——こっちへおいで。
頭
(
あたま
)
を
撫
(
な
)
で
付
(
つ
)
けてあげようから。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「うむ。行って
来
(
こ
)
よう。
火種
(
ひだね
)
はあるか。この二、三日大分寒くなって来たな。」と男はまだ
寐
(
ね
)
たまま起きようともしない。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「それだけ皆な残さずに使ってもえいぜ。また二月にでもなれゃ、なんとか金が
這入
(
はい
)
っ
来
(
こ
)
んこともあるまい。」と云った。
窃む女
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
さと (腰かけながら、一寸、真壁の方を見た後)あぎやん人、
来
(
こ
)
んてちや、よかこてえ……(かう云つて、首をちぢめ、舌を出す真似をする)
牛山ホテル(五場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「玉だれの
小簾
(
をす
)
の
隙
(
すけき
)
に入りかよひ
来
(
こ
)
ね」(巻十一・二三六四)、「清き月夜に見れど飽かぬかも」(巻二十・四四五三)
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「これこれ。こちら様はの、大蔵殿のお店を尋ねて行かっしゃるという。あのお店構えは、ちょっと分らんによって、前まで、お連れ申して
来
(
こ
)
う」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『ハイ。来るにア来ましたども、弟の方のな許りで、
此児
(
これ
)
(と顎で指して、)のなは今年ア来ませんでなす。それでハア、持つて
来
(
こ
)
なごあんさす。』
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
大野
(
おほぬら
)
に小雨降りしく
木
(
こ
)
のもとに、時々より
来
(
こ
)
、
吾
(
あ
)
が思ふ人。……どうした? どうかしたのか? おい! おい! 美緒! (声が次第に高くなる)
浮標
(新字旧仮名)
/
三好十郎
(著)
「屋敷の四方の門をとじろ! ……女子供は屋内へはいれ! 老人も負傷者も立ち上がり、敵寄せて
来
(
こ
)
ば戦え戦え!」
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
また
来
(
こ
)
んと思いて樹の皮を白くし
栞
(
しおり
)
としたりしが、次の日人々とともに行きてこれを求めたれど、ついにその木のありかをも見出しえずしてやみたり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
なにしろ客が立て込んでいるので、女中が時どきにお
待遠
(
まちどお
)
さまの挨拶をして行くだけで、注文の料理はなかなか運ばれて
来
(
こ
)
ない。記者は酒を飲まない。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
いつか俺は、それからそれへと、おのがすぎ
来
(
こ
)
し方を、ふり返って見る心持ちになっていた。思えば長いことよ。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
まだこの道は壺坂寺から遠くも
来
(
こ
)
なんだ、それに壺坂寺の深い印象は私に、あのお
里
(
さと
)
というローマンチックな女は、こんな
機
(
はた
)
を織る女では無かったろうか
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
もう
丑
(
うし
)
の
刻
(
こく
)
、あんまり
行
(
ゆ
)
く
末
(
すえ
)
来
(
こ
)
し
方
(
かた
)
のことが思われて、七兵衛待遠しさに眠れないので、お松は、かねて朋輩衆から聞いた
引帯
(
ひきおび
)
の
禁厭
(
まじない
)
のことを思い出した。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
返書来たりてより一月あまりにして、一通の電報は佐世保の海軍病院より武男が負傷を報じ
来
(
こ
)
しぬ。さすがに母が電報をとりし手はわなわなと打ち震いつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
そのたびごとに根をはらすくふうをしなければ、とかく人生の半分も
来
(
こ
)
ぬうちに花どころか葉も根もみな枯らしてしまう。すなわち種無しになってしまう。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
このようなことを知っていれば、わざわざここまでは
来
(
こ
)
まいものを、——それだけは
口惜
(
くちお
)
しゅうございます。
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いつか僕のいる方を向て、「ナニ、
奥
(
おく
)
さまがナ、えらい遠方へ旅に
行
(
いら
)
しッて、いつまでも帰らっしゃらないんだから、
逢
(
あい
)
に
来
(
こ
)
いッてよびによこしなすったよ」
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
そのヤマトフに
遇
(
あっ
)
て見たいと思うけれどもなか/\
遇
(
あ
)
われない。
到頭
(
とうとう
)
逗留中出て
来
(
こ
)
ない。出て来ないがその接待中の模様に
至
(
いたっ
)
ては
動
(
やや
)
もすると日本風の事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
狂女は果して
来
(
こ
)
ざりけり。
歓
(
よろこ
)
び
酔
(
ゑ
)
へるお峯も唯
酔
(
ゑ
)
へる夫も、褒美
貰
(
もら
)
ひし婢も、十時近き
比
(
ころほひ
)
には皆
寐鎮
(
ねしづま
)
りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
寤
(
さま
)
させまゐらせんといへるを、赤穴又
頭
(
かしら
)
を
揺
(
ふ
)
りてとどめつも、
更
(
さら
)
に物をもいはでぞある。左門云ふ。既に
九〇
夜を
続
(
つ
)
ぎて
来
(
こ
)
し給ふに、心も
倦
(
う
)
み足も
労
(
つか
)
れ給ふべし。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「これかね? おやおや、
来
(
こ
)
ん
年
(
とし
)
もまめで豆撒き給えかし。ふうむ、今夜の句だ。源太郎、お前かい?」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
来
(
こ
)
ん年の夏の炎熱が、あの日本北アルプスの
縛
(
いましめ
)
の、白い鎖を寸断して、自由に解放するまで、この山も、石は転び次第、雲は飛び放題、風は吹き
荒
(
すさ
)
ぶなりに任せて
雪中富士登山記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
来
(
こ
)
し方を徒労にするかしないかは、今後の彼の生き方が決定するのだ、——そうだ、死んではならない、ここで死んでは今日までのおかやの辛労を無にしてしまう。
日本婦道記:二十三年
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ほんでもな、天気がいいがら、少し稼いで
来
(
こ
)
んべで。——まだ、話は晩にでも出来んのだから……」
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
なるほどそれもよかろう。では
直
(
す
)
ぐに広海さんへ
往
(
い
)
って
来
(
こ
)
よう、そういう事にかけては老功者の意見を
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
『
晃
(
あきら
)
兄
(
にい
)
さん、
御飯
(
ごはん
)
でせう。
御飯
(
ごはん
)
なら持つて
来
(
こ
)
よう。阿母さんが留守だから
御菜
(
おさい
)
は何も無いことよ。』
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
来
常用漢字
小2
部首:⽊
7画
“来”を含む語句
往来
出来
将来
入来
元来
以来
性来
帰来
従来
去来
御入来
後来
被来
生来
由来
雁来紅
在来
来歴
新来
旧来
...