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もろこし
ふりがな文庫
“
唐土
(
もろこし
)” の例文
百樹
(
もゝき
)
曰、
唐土
(
もろこし
)
にも
弘智
(
こうち
)
に
似
(
に
)
たる事あり。唐の世の僧
義存
(
ぎそん
)
没
(
ぼつ
)
してのち
尸
(
しかばね
)
を
函中
(
はこのなか
)
に
置
(
おき
)
、毎月其
徒
(
でし
)
これをいだし
爪髪
(
つめかみ
)
の
長
(
のび
)
たるを
剪薙
(
はさみきるを
)
常
(
つね
)
とす。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ここは
唐土
(
もろこし
)
で、自分は
周
(
しゅう
)
の
武王
(
ぶおう
)
の軍師で
太公望
(
たいこうぼう
)
という者であると彼は名乗った。そうして、更にこういうことを説明して聞かせた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
むかし
唐土
(
もろこし
)
の
蔡嘉夫
(
さいかふ
)
といふ
人間
(
ひと
)
、水を避けて
南壟
(
なんろう
)
に住す。或夜
大
(
おおい
)
なる鼠浮び来て、嘉夫が
床
(
とこ
)
の
辺
(
ほとり
)
に伏しけるを、
奴
(
ど
)
憐
(
あわれ
)
みて飯を与へしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
唐土
(
もろこし
)
から傳來の繪と違つて、元信の描いたのは紙本で、それに
糊
(
のり
)
も新しいわけですから、水で剥がすのは一番良い要領です。平次は續けて
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
過日もさる物識りから承りましたが、
唐土
(
もろこし
)
の何とやら申す侍は、炭を呑んで
唖
(
おし
)
になってまでも、主人の
仇
(
あだ
)
をつけ狙ったそうでございますな。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
むかし
唐土
(
もろこし
)
長安
(
ちやうあん
)
のハイカラ、
新
(
あたら
)
しい
買
(
かひ
)
たての
靴
(
くつ
)
で、キユツ/\などとやり、
嬉
(
うれ
)
しさうに、
爪先
(
つまさき
)
を
見
(
み
)
て、ニヤ/\と
町
(
まち
)
を
通
(
とほ
)
る。
人参
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夢
(
ゆめ
)
は
五臟
(
ござう
)
のわづらひといひ
傳
(
つた
)
ふれども
正夢
(
しやうむ
)
にして
賢人
(
けんじん
)
聖人
(
せいじん
)
或は
名僧
(
めいそう
)
知識
(
ちしき
)
の人を
産
(
う
)
むは
天竺
(
てんぢく
)
唐土
(
もろこし
)
我朝
(
わがてう
)
ともにその
例
(
ため
)
し
少
(
すく
)
なからず
已
(
すで
)
に
玄奘法師
(
げんさうほふし
)
は夢を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そもそもお客の始まりは、
高麗
(
こま
)
唐土
(
もろこし
)
はぞんぜねど、今日本にかくれなき、紀伊国文左に止どめたり。さてその次の大尽は、奈良茂の君に止どめたり。
紅白縮緬組
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
遣りましたら、まるで
唐土
(
もろこし
)
にでも行ったように長いことかかって、
漸
(
ようや
)
く御返事をいただいて参りました。しかしそれを
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
ささなみの大津の宮に人となり、
唐土
(
もろこし
)
の
学芸
(
ざえ
)
に
詣
(
いた
)
り深く、
詩
(
からうた
)
も、此国ではじめて作られたは、大友ノ皇子か、其とも此お方か、と申し伝えられる御方。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
月丹、照殿紅などは、
唐土
(
もろこし
)
にての花大なるものの名なり。わびすけ、しら玉は我邦にての花白きものの名なり。
花のいろ/\
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
一 婦人は夫の家を
我家
(
わがいえ
)
とする故に
唐土
(
もろこし
)
には
嫁
(
よめいり
)
を帰るといふなり。仮令夫の家貧賤
成共
(
なりとも
)
夫を怨むべからず。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
わしは和子に此の
詩
(
からうた
)
を教えて上げる。此れは
唐土
(
もろこし
)
の
白楽天
(
はくらくてん
)
と云う人の作ったもので、子供にはむずかし過ぎて意味が分らないであろうが、そんなことはどうでもよい。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
下々の手前達が
兎
(
と
)
や
角
(
かく
)
と御政事向の事を
取沙汰
(
とりざた
)
致すわけでは御座いませんが、先生、昔から
唐土
(
もろこし
)
の世には天下太平の
兆
(
しるし
)
には
綺麗
(
きれい
)
な
鳳凰
(
ほうおう
)
とかいう鳥が
舞
(
ま
)
い
下
(
さが
)
ると申します。
三月三十日
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
これは
吉野山
(
よしのやま
)
は、だんだんそれを分け入って行くと、
唐土
(
もろこし
)
に通じているという話のあるところから思いついた句であろう。謡曲の『
国栖
(
くず
)
』にも次ぎのような文句がある。
俳句はかく解しかく味う
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
唐土
(
もろこし
)
の山のかなたに立つ
烟
(
けむり
)
のごとく、ほとんどわれわれと没交渉のように心得、理想に
憧憬
(
あこが
)
れているという青年男女などは、日々学課をそっち
退
(
の
)
けとし、月や星を
眺
(
なが
)
め
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
左伝
(
さでん
)
に平地尺に
盈
(
みつる
)
を大雪と
為
(
す
)
と見えたるは
其
(
その
)
国暖地なればなり。唐の
韓愈
(
かんゆ
)
が雪を豊年の
嘉瑞
(
かずい
)
といひしも暖国の論なり。されど
唐土
(
もろこし
)
にも寒国は八月雪
降
(
ふる
)
事
五雑俎
(
ござっそ
)
に見えたり。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
下々の手前たちがとやかくと御政事
向
(
むき
)
の事を
取沙汰
(
とりざた
)
致すわけでは御座いませんが、先生、昔から
唐土
(
もろこし
)
の世には天下太平の
兆
(
しるし
)
には
綺麗
(
きれい
)
な
鳳凰
(
ほうおう
)
とかいう鳥が
舞下
(
まいさが
)
ると申します。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
寅二郎が、日本字なりと答えると、ウィリアムスは笑って、それは
唐土
(
もろこし
)
の字ではないかといった。ウィリアムスの
明晰
(
めいせき
)
な日本語と日本についての知識とが、寅二郎たちを
欣
(
よろこ
)
ばした。
船医の立場
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
唐土
(
もろこし
)
から
種々
(
いろ/\
)
の
薬種
(
やくしゅ
)
が渡来いたして
居
(
お
)
るが、その薬種を医者が病気の模様に
依
(
よ
)
って
或
(
あるい
)
は
緩
(
ゆる
)
め、或は煮詰めて呑ませるというのも、
畢竟
(
ひっきょう
)
多くの病人を助ける為で、
結句
(
けっく
)
御国
(
みくに
)
の為じゃの
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
仲麿は誰もが知つてゐる通り
唐土
(
もろこし
)
の空でビスケツトのやうな乾いたお月様を見ながら
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「半蔵さん、攘夷なんていうことは、君の話によく出る『
漢
(
から
)
ごころ』ですよ。外国を
夷狄
(
いてき
)
の国と考えてむやみに排斥するのは、やっぱり
唐土
(
もろこし
)
から教わったことじゃありませんか。」
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
此の石榴市といふは、
二一六
泊瀬
(
はつせ
)
の寺ちかき所なりき。
二一七
仏の御中には泊瀬なんあらたなる事を、
唐土
(
もろこし
)
までも聞えたるとて、都より
辺鄙
(
ゐなか
)
より
詣
(
まう
)
づる人の、春はことに多かりけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
それは
五人
(
ごにん
)
とも
別々
(
べつ/\
)
で、
石造皇子
(
いしつくりのみこ
)
には
天竺
(
てんじく
)
にある
佛
(
ほとけ
)
の
御石
(
みいし
)
の
鉢
(
はち
)
、
車持皇子
(
くらもちのみこ
)
には
東海
(
とうかい
)
の
蓬莱山
(
ほうらいさん
)
にある
銀
(
ぎん
)
の
根
(
ね
)
、
金
(
きん
)
の
莖
(
くき
)
、
白玉
(
しらたま
)
の
實
(
み
)
をもつた
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
一本
(
いつぽん
)
、
阿倍
(
あべ
)
の
右大臣
(
うだいじん
)
には
唐土
(
もろこし
)
にある
火鼠
(
ひねずみ
)
の
皮衣
(
かはごろも
)
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
されば我邦の
古
(
いにし
)
え猫を手飼の虎といえる事『
古今六帖
(
こきんろくじょう
)
』の歌に「
浅茅生
(
あさぢふ
)
の小野の篠原いかなれば、手飼の虎の
伏所
(
ふしどころ
)
なる」、また『源氏物語』女三宮の条に見えたり、
唐土
(
もろこし
)
の小説に虎を山猫という事
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
忠臣の
亀鑑
(
かがみ
)
とは
唐土
(
もろこし
)
の
予譲
(
よじょう
)
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
百樹
(
もゝき
)
曰、
唐土
(
もろこし
)
にも
弘智
(
こうち
)
に
似
(
に
)
たる事あり。唐の世の僧
義存
(
ぎそん
)
没
(
ぼつ
)
してのち
尸
(
しかばね
)
を
函中
(
はこのなか
)
に
置
(
おき
)
、毎月其
徒
(
でし
)
これをいだし
爪髪
(
つめかみ
)
の
長
(
のび
)
たるを
剪薙
(
はさみきるを
)
常
(
つね
)
とす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
かしい。
唐土
(
もろこし
)
の繪には、仰向けに落ちる馬の繪もあるが、——水の上に落ちても立直らずに、四足を上に向けてバタ/\やつて居るといふのは變だな
銭形平次捕物控:216 邪恋の償ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恋とサア
情
(
なさけ
)
のその二道は、やまと、
唐土
(
もろこし
)
、
夷
(
えびす
)
の国の、おろしゃ、いぎりす、あめりか国も、どこのいずくも、かわりはしない。さても今度の心中話。
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
震旦
(
しんたん
)
から渡って参りました、あの
摩利
(
まり
)
の教と申すものだそうで、
摩利信乃法師
(
まりしのほうし
)
と申します男も、この国の生れやら、
乃至
(
ないし
)
は
唐土
(
もろこし
)
に人となったものやら
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
しかもその魂は八万奈落の底に沈んで、ひそかに末法の代の来たるを待っているうちに、まず
唐土
(
もろこし
)
の世が乱れた。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
高麗
(
こうらい
)
、
唐土
(
もろこし
)
、
暹羅
(
シャム
)
国、カンボジャ、スマトラ、
安南
(
あんなん
)
、
天竺
(
てんじく
)
、世界ははて無く広がって居りまする。ここの世界が癪に触るとて、癪に触らぬ世界もござろう。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
何しろ、
唐土
(
もろこし
)
でも、
天竺
(
てんじく
)
から渡った物より手に入らぬ、という
藕糸織
(
はすいとお
)
りを遊ばそう、と言うのじゃもののう。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
立らるゝ事
天晴
(
あつぱれ
)
器量
(
きりやう
)
といひ其上
唐土
(
もろこし
)
にも
周
(
しう
)
の文王
民
(
たみ
)
百姓の
罪
(
つみ
)
あるものを金銀を出させて
其罪
(
そのつみ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そが中に、
威力
(
いきおい
)
あり
智
(
さと
)
り深くて、人をなつけ、人の国を奪ひ取りて、又人に奪はるまじき
事量
(
ことはかり
)
をよくして、しばし国をよく治めて、後の
法
(
のり
)
ともなしたる人を
唐土
(
もろこし
)
には聖人とぞ言ふなる。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これに引当てゝ長二郎を無罪にいたす道理を見出されましたので、大學頭様は
窃
(
ひそ
)
かに喜んで、長二郎の罪科御裁断の儀に付き
篤
(
とく
)
と勘考いたせし処、
唐土
(
もろこし
)
においても其の類例は見当り申さざるも
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
遠く
四八
唐土
(
もろこし
)
にわたり給ひ、あの国にて
四九
感
(
め
)
でさせ給ふ事おはして、此の
五〇
三
鈷
(
こ
)
のとどまる所、我が道を
揚
(
あ
)
ぐる
霊地
(
れいち
)
なりとて、
杳冥
(
そら
)
にむかひて
抛
(
な
)
げさせ給ふが、
五一
はた此の山にとどまりぬる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「のかぬとも我塗り替へん
唐土
(
もろこし
)
の井守も守る限りこそあれ」中略
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
唐土
(
もろこし
)
には此火を
火井
(
くわせい
)
とて、
博物志
(
はくぶつし
)
或
(
あるひ
)
は
瑯瑘代酔
(
らうやたいすゐ
)
に見えたる
雲台山
(
うんたいさん
)
の火井も此地獄谷の火のごとくなれども、事の
洪大
(
こうだい
)
なるは此谷の火に
勝
(
まさ
)
らず。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
親は子のために隠し、子は親のために隠す——といった
唐土
(
もろこし
)
の聖人の言葉を、平次は小耳に挟んでいたのです。
銭形平次捕物控:096 忍術指南
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
傳
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
く、
唐土
(
もろこし
)
長安
(
ちやうあん
)
の
都
(
みやこ
)
に、
蒋生
(
しやうせい
)
と
云
(
い
)
ふは、
其
(
そ
)
の
土地官員
(
とちくわんゐん
)
の
好
(
い
)
い
處
(
ところ
)
。
何某
(
なにがし
)
の
男
(
だん
)
で、ぐつと
色身
(
いろみ
)
に
澄
(
すま
)
した
男
(
をとこ
)
。
今時
(
いまどき
)
本朝
(
ほんてう
)
には
斯樣
(
こんな
)
のもあるまいが、
淺葱
(
あさぎ
)
の
襟
(
えり
)
に
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
。
麦搗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これは
都人
(
みやこびと
)
の顔の好みが、
唐土
(
もろこし
)
になずんでいる
証拠
(
しょうこ
)
ではないか? すると
人皇
(
にんおう
)
何代かの
後
(
のち
)
には、
碧眼
(
へきがん
)
の
胡人
(
えびす
)
の女の顔にも、うつつをぬかす時がないとは云われぬ。
俊寛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何しろ、
唐土
(
もろこし
)
でも、天竺から渡つた物より手に入らぬといふ
藕絲織
(
はすいとおり
)
を遊ばさうと言ふのぢやものなう。
死者の書:――初稿版――
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
以て
重過料
(
おもくくわれう
)
申付ると有て此事は
先
(
まづ
)
双方
(
さうはう
)
落着
(
らくちやく
)
に及びけるが
誠
(
まこと
)
に越前守殿ならずば斯手早く黒白も判るまじと人々申合りしとぞ
昔時
(
むかし
)
唐土
(
もろこし
)
漢
(
かん
)
の代に是と
能
(
よく
)
似たることあり
趙氏
(
てうし
)
の
妻
(
つま
)
若き時夫を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
御腹
(
おなか
)
には大事の/\
我子
(
わがこ
)
ではない顔見ぬ先からいとしゅうてならぬ
方様
(
かたさま
)
の
紀念
(
かたみ
)
、
唐土
(
もろこし
)
には胎教という事さえありてゆるがせならぬ者と
或夜
(
あるよ
)
の物語りに聞しに此ありさまの
口惜
(
くちおし
)
と
腸
(
はらわた
)
を断つ苦しさ。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
唐土
(
もろこし
)
には此火を
火井
(
くわせい
)
とて、
博物志
(
はくぶつし
)
或
(
あるひ
)
は
瑯瑘代酔
(
らうやたいすゐ
)
に見えたる
雲台山
(
うんたいさん
)
の火井も此地獄谷の火のごとくなれども、事の
洪大
(
こうだい
)
なるは此谷の火に
勝
(
まさ
)
らず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「左樣日本の品ではない、——丁寧に扱つても、
杉原紙
(
すぎはらがみ
)
か奉書といふところだが、
唐土
(
もろこし
)
渡來の唐紙を、
屑
(
くづ
)
でも何んでも惜し氣もなく使つてゐるのは不思議ぢや」
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ただ今では
筑紫
(
つくし
)
の果に流浪して御出でになるとやら、あるいはまた東海の波を踏んで
唐土
(
もろこし
)
に御渡りになったとやら、
皆目御行方
(
かいもくおゆくえ
)
が知れないと申すことでございます。
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
私は
此
(
これ
)
を読んで、いきなり
唐土
(
もろこし
)
の
豆腐屋
(
とうふや
)
だと
早合点
(
はやがてん
)
をした。……
処
(
ところ
)
が
然
(
そ
)
うでない。
雨ばけ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その木像まで刻むと
云
(
いう
)
は恋に親切で世間に
疎
(
うと
)
い
唐土
(
もろこし
)
の天子様が
反魂香
(
はんごんこう
)
焼
(
たか
)
れた
様
(
よう
)
な
白痴
(
たわけ
)
と悪口を
叩
(
たた
)
くはおまえの為を思うから、実はお辰めに
逢
(
あ
)
わぬ昔と
諦
(
あき
)
らめて奈良へ修業に
行
(
いっ
)
て、
天晴
(
あっぱれ
)
名人となられ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
“唐土”の意味
《名詞》
かつて日本から呼んだ中国に対する呼称。
(出典:Wiktionary)
唐
常用漢字
中学
部首:⼝
10画
土
常用漢字
小1
部首:⼟
3画
“唐土”で始まる語句
唐土様
唐土手
唐土樣
唐土餅
唐土訓蒙図彙