“もろこし”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:モロコシ
語句割合
唐土58.5%
蜀黍9.8%
6.1%
漢土4.9%
唐黍4.9%
玉蜀黍3.7%
2.4%
大唐2.4%
諸越2.4%
中国1.2%
唐山1.2%
1.2%
辰旦1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ここは唐土もろこしで、自分はしゅう武王ぶおうの軍師で太公望たいこうぼうという者であると彼は名乗った。そうして、更にこういうことを説明して聞かせた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
道の右側は並んだ人家の下の低い崖で、左側は勾配の緩い畑地であったが、其処には熟した麦があり蜀黍もろこしがあり、麻があり柿の木があった。
蟹の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
てん和尚の学語編がくごへんにはさけの字を出されたり、はあさぢとよむ也。もろこし字書じしよにはは大口細鱗さいりんとあれば鮏にるゐせるならん。字彙じゐにはせいせいの本字にて魚臭なまぐさしといふ字也といへり。
本朝に儒教をたふとみてもは王道わうだうたすけとするは、菟道うぢきみ百済くだら七六王仁わにを召して学ばせ給ふをはじめなれば、此の兄弟はらからきみ心ぞ、やが漢土もろこしひじりの御心ともいふべし。
わだちの跡の深く刻まれた畦道は行くに従つて次第に低くなると共に、両側の畠は次第に高く、やがて見上げられるやうになつて、一列に唐黍もろこしの茎の立並んだ土地の側面は
畦道 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
それは最初鍋で大匙一杯のバターを溶かしてコルンスタッチ即ち玉蜀黍もろこしの粉一杯をいためてその中へ壜詰びんづめの赤茄子ソースと牛か鳥のスープを加えて塩と唐辛の粉を混ぜたものです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
つゆ晴の海のやうなる玉川や酒屋の旗やもろこしの風
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
山上憶良やまのうえのおくら大唐もろこしにいたとき、本郷ふるさと(日本)を憶って作った歌である。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
駿河するが足高山あしたかやまは、大昔諸越もろこしという国から、富士と背くらべをしに渡って来た山だという話があります。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「山寺」の山のもみぢが朝日に美しい色を見せて、何となく中国もろこしといふ感じがするのを汽車の窓から見上げて、私にはとても上がれさうもないと思ひながら通りすぎた。
東北の家 (新字旧仮名) / 片山広子(著)
狼戻、狼狽、狼疾、狼煙など、めでたきは一つもなき唐山もろこしのためし、いとおかし。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
新しい唐の制度の模倣ばかりして、もろこしさえがやまと心に入り替つたと謂はれて居る此人が、こんな嬉しいことを言ふ。家持は感謝したい気がした。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
西行いよよ恐るる色もなく座をすすみて、君がらせ給ふ所は、人道のことわりをかりて六九慾塵よくぢんをのがれ給はず。遠く辰旦もろこしをいふまでもあらず。