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ふりがな文庫
“
呉
(
く
)” の例文
姉さんは誕生のお祝いに紙に包んだ小さなものを雄二に
呉
(
く
)
れました。あけてみると、チリンチリンといい
響
(
ひびき
)
のする、小さな鈴でした。
誕生日
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
向うの帳場格子の中には人が三人ほどいたが、
算盤
(
そろばん
)
をはじいたり帳面を繰ったりするだけで、誰もこっちの相手にはなって
呉
(
く
)
れない。
初蕾
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
冬の頃から
頂戴
(
いただ
)
いていたものを、花見の客が無闇に立て込む今日此頃では忘れたかのようにお寿賀さんは夫れを
呉
(
く
)
れようともしない。
温室の恋
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
老人
(
としより
)
に
子供
(
こども
)
だから
馬鹿
(
ばか
)
にして
思
(
おも
)
ふやうには
動
(
うご
)
いて
呉
(
く
)
れぬと
祖母
(
おばあ
)
さんが
言
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
たつけ、
己
(
お
)
れが
最
(
も
)
う
少
(
すこ
)
し
大人
(
おとな
)
に
成
(
な
)
ると
質屋
(
しちや
)
を
出
(
だ
)
さして
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「ルンプが急に
独逸
(
ドイツ
)
へ帰つたよ。君に
宜
(
よろ
)
しくと云つて、其れから写真代の
取替
(
とりかへ
)
とか
割前
(
わりまへ
)
とかを君に渡して
呉
(
く
)
れつて預けて行つたよ。」
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
▼ もっと見る
此
(
この
)
遊歩
(
いうほ
)
の
間
(
あひだ
)
、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
の
命
(
めい
)
ずる
儘
(
まゝ
)
に、
始終
(
しじゆう
)
吾等
(
われら
)
の
前
(
まへ
)
になり、
後
(
うしろ
)
になつて、
豫
(
あらかじ
)
め
猛獸
(
まうじう
)
毒蛇
(
どくじや
)
の
危害
(
きがい
)
を
防
(
ふせ
)
いで
呉
(
く
)
れた、
一頭
(
いつとう
)
の
猛犬
(
まうけん
)
があつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そこは比較的に稿料を余計に
呉
(
く
)
れるからだ。しかし、作品には一定の範囲があるから、その範囲を越えれば没書になる恐れがある。
幸福な家庭
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
亭主も大喜びでしたがお神さんは亭主に向つて
此金剛石
(
このダイヤモンド
)
の指環を
篏
(
は
)
めても恥かしく無い位の立派な着物をこしらへて
呉
(
く
)
れと頼みました。
金剛石
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
そのうちに私は肺をわるくした。意識不明の日がつづいた。医者は責任を持てないと、言っていたと、あとで女房が教えて
呉
(
く
)
れた。
川端康成へ
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると此春になって長塚君が突然尋ねて来て、
漸
(
ようや
)
く本屋が「土」を引受ける事になったから、序を書いて
呉
(
く
)
れまいかという依頼である。
『土』に就て:長塚節著『土』序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ようし。おれも大三だ。そのすきとほったばらの実を、おれが
拵
(
こさ
)
へて見せよう。おい、みんなばらの実を十貫目ばかり取って
呉
(
く
)
れ。」
よく利く薬とえらい薬
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
T君は遍路に五十銭
呉
(
く
)
れたが遠慮をしながら丁寧にそれをしまつた。それから遍路はM君の呉れた紙巻煙草を一本その場で吸つた。
遍路
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
静岡の仕入れ元から到着した
錫張
(
すずば
)
りの小箱の積んであるのをあれやこれやと探し廻つて
漸
(
ようや
)
く見付け出し、それから
量
(
はか
)
つて売つて
呉
(
く
)
れる。
蔦の門
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「どうして警察のくせに、この大事件を信じて手配をして
呉
(
く
)
れないんです」わたしはもう
怺
(
こら
)
えきれなくなって、大声で叫びました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
粟沢村の百姓が清水へ逃げて行ったのを、意見して帰して
呉
(
く
)
れるようにとの頼みの状で、羽筑後守昌幸は沼田の城主真田安房守である。
利根川水源地の山々
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
軽蔑しないで
呉
(
く
)
れ
給
(
たま
)
え。君は
浅間
(
あさま
)
しいと思うだろうね。僕は人種が違っているのだ。
凡
(
すべ
)
ての意味で異人種なのだ。だが、その意味を
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
穏当
(
おとなしく
)
なって
姪子
(
めいっこ
)
を売るのではない養女だか
妾
(
めかけ
)
だか知らぬが百両で縁を
切
(
きっ
)
で
呉
(
く
)
れろという人に
遣
(
や
)
る
計
(
ばかり
)
の事、それをお
辰
(
たつ
)
が
間夫
(
まぶ
)
でもあるか
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それに
他
(
ほか
)
のお
家
(
うち
)
の
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
へは
登
(
のぼ
)
らうと
思
(
おも
)
つても
登
(
のぼ
)
れませんでしたが、
自分
(
じぶん
)
のお
家
(
うち
)
の
柿
(
かき
)
の
木
(
き
)
ばかりは
惡
(
わる
)
い
顏
(
かほ
)
もせずに
登
(
のぼ
)
らせて
呉
(
く
)
れました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
尤も、荘田夫人は普通の奥さん方とは違いますから、突然尋ねて行かれても、
屹度
(
きっと
)
逢
(
あ
)
って
呉
(
く
)
れるでしょう。御宅は、
麹町
(
こうじまち
)
の五番町です。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
『ぢや、エウゲニイ、フエオドロヰチでも
此處
(
こゝ
)
へ
呼
(
よ
)
んで
來
(
こ
)
い、
些
(
ちよつ
)
と
俺
(
おれ
)
が
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れツて
云
(
い
)
つて
居
(
ゐ
)
ると
然
(
さ
)
う
云
(
い
)
へ……
些
(
ちよつ
)
とで
可
(
い
)
いからツて!』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
映画に出て来る人間が物を云つて
呉
(
く
)
れたら、こんなに忘れる事はあるまいとも考へて見る。自分がお
饒舌
(
しやべり
)
だからでもあるまいが。
拊掌談
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そいでおらの方でも、奴にゃあ
一桝
(
ひとます
)
がとこ余計に麦を
呉
(
く
)
れてやらあな、だって見上げた
馬
(
やつ
)
だもの。議員の奴もどうして、感心な馬だ……。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
貴様は福澤の主人になったと知らせて
呉
(
く
)
れる
位
(
くらい
)
の事だ。
扨
(
さ
)
てその跡を
襲
(
つい
)
だ以上は、実は兄でも親だから、五十日の
忌服
(
きふく
)
を勤めねばならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「それから
彼奴
(
あいつ
)
は妾にも仇だ。
先刻
(
さっき
)
妾を突き倒して、半殺しの目に逢わした奴だ。お前達は
其
(
そ
)
の
復讐
(
しかえし
)
をしてお
呉
(
く
)
れ。頼んだよ。」
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
亥太郎は少しも恐れないで「早く
打
(
ぶ
)
ってお
呉
(
く
)
んねえ」などと云い、脊中に猪の刺青が
刺
(
ほ
)
ってあり、
悪々
(
にく/\
)
しいからぴしーり/\と
打
(
う
)
ちます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
死因も全く病気という事だし、之以上突つく必要もないと思うが、
尚
(
なお
)
君、念の為、昨日と今日の信造と卓一の足取りを洗って見て
呉
(
く
)
れ給え。
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
しかしこうなって見ると自分もうっかり
階下
(
した
)
へは下りられぬ。お千代の顔を見るが
否
(
いな
)
やどうして
呉
(
く
)
れよう、何と云ってやろう。
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
中々
(
なかなか
)
親切に世話をやいて
呉
(
く
)
れる。そのうちに船はブリエンツの埠頭に着いた。ここは湖水の東端で、小さな船つきの村である。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
近所
(
きんじよ
)
の
女房
(
にようばう
)
が
見
(
み
)
に
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れたのを
幸
(
さいは
)
ひに
自分
(
じぶん
)
も
後
(
あと
)
から
走
(
はし
)
つて
行
(
い
)
つた。
鬼怒川
(
きぬがは
)
の
渡
(
わたし
)
の
船
(
ふね
)
で
先刻
(
さつき
)
の
使
(
つか
)
ひと
行違
(
ゆきちがひ
)
に
成
(
な
)
つた。
船
(
ふね
)
から
詞
(
ことば
)
が
交換
(
かうくわん
)
された。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
林檎
(
りんご
)
を
掘
(
ほ
)
つてるッて、
眞箇
(
ほんと
)
か!』と
兎
(
うさぎ
)
が
腹立
(
はらだゝ
)
しげに
云
(
い
)
ひました。『オイ、
來
(
き
)
て
助
(
たす
)
けて
呉
(
く
)
れ!』(
猶
(
な
)
ほ
硝子
(
ガラス
)
の
破
(
わ
)
れる
音
(
おと
)
がする)
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
それから親身も及ばぬ介抱をして
呉
(
く
)
れたまでは好かったが、
其儘
(
そのまま
)
一歩も外に踏出させぬには、此上も無い迷惑なので有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
『ほんとに、さうでしたねえ』と
誰
(
だれ
)
か
合槌
(
あひづち
)
を
打
(
うつ
)
て
呉
(
く
)
れた、と
思
(
おも
)
ふと
大違
(
おほちがひ
)
の
眞中
(
まんなか
)
。
義母
(
おつかさん
)
は
今
(
いま
)
しも
下
(
した
)
を
向
(
むい
)
て
蒲鉾
(
かまぼこ
)
を
食
(
く
)
ひ
欠
(
か
)
いで
居
(
を
)
らるゝ
所
(
ところ
)
であつた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
爺さんがするだけの仕事をしてしまつて、役に立たない頃には、息子がちやんと孫をこしらへて
呉
(
く
)
れる。うまく出来たものだ
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
アヽおまへこゝに居たネ、おつかさんが町へつれてつて
呉
(
く
)
れろといつたが、行くなら早く仕度をするが
好
(
い
)
い、
直
(
すぐ
)
と出るから
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
隠居が自分の食べる分をしまっておいて、こうしてこっそりと
呉
(
く
)
れたがるのは、子供の時からの慣わしだったと、良人は、やはり懐かしかった。
万年青
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
漠然と響いて
呉
(
く
)
れればいいと
冀
(
こいねが
)
つた。けれど声が変に熱い波動を帯びて
顫
(
ふる
)
へてゐた。明子は意識しながら、それをどうすることも出来なかつた。
青いポアン
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
主婦は老人や子供の世話に
忙殺
(
ぼうさい
)
されて居た。荷積の指図もしなければならなかつた。送つて来て
呉
(
く
)
れた人々の相手にもならなければならなかつた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
人に気前よく物を
呉
(
く
)
れてやる時にも別に相手の人に愛情はないので、それはそれだけで切り離されており、二度目を
当
(
あて
)
にしてももう連絡はないので
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そしたらね、よし子さんが、
帯留
(
おびどめ
)
ね、
先
(
せん
)
から言ってたでしょう、あれを買いに行くから付き合って
呉
(
く
)
れって言うの。
みごとな女
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
彼れは
之
(
これ
)
から手風琴を
弾
(
ひ
)
いて聞かせるから、もう少しこの座に居て
呉
(
く
)
れと、さも私を
慰撫
(
ゐぶ
)
するやうに
囁
(
ささや
)
いて呉れた。
アリア人の孤独
(新字旧仮名)
/
松永延造
(著)
で、僕は
早速
(
さっそく
)
矢島君にこっそりと面会して、あのジャックナイフを買い取って
呉
(
く
)
れんかとワタリを付けて見たんさ。
カンカン虫殺人事件
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
この言葉と共にブロクルハースト氏は、私の手に表紙を
綴
(
と
)
ぢ付けた薄いパンフレットを
呉
(
く
)
れた。そして
呼鈴
(
ベル
)
を鳴らして、馬車を呼んで、歸つて行つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「わしらがやうな勤めの身で、
可愛
(
かわい
)
と思ふ人もなし、思うて
呉
(
く
)
れるお客もまた、広い世界にないものぢやわいな」
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
たとひ
洗足
(
せんそく
)
を求めた
処
(
ところ
)
で、
媼
(
おうな
)
は水を
汲
(
く
)
んで
呉
(
く
)
れたか
何
(
ど
)
うだか、根の生えた居ずまひで、例の仕事に余念のなさ、
小笹
(
おざさ
)
を風が渡るかと……音につれて積る
白糸
(
しらいと
)
。
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
独身漢
(
ひとりもの
)
/\と言つて貰ふめエよ、是でもチヤンと片時離れず着いてやがつて、お前さん苦労でも、どうぞ
東京
(
こつち
)
で車を
挽
(
ひ
)
いててお
呉
(
く
)
れ、其れ程人夫になりたくば
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
但しそれには交換条件があって、おまえのもっている墨とかナイフとかを
呉
(
く
)
れたら、というのであった。
鷹を貰い損なった話
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
これを除きてまた他に求むべからず、今日品川沖に
赤目魚
(
めなた
)
釣に往きし
忘筌子
(
ぼうぜんし
)
、利根川(江戸川)に鯉釣に出でし
江東子
(
こうとうし
)
に、獲物を見せて愕かし
呉
(
く
)
るるも一興なり。
大利根の大物釣
(新字新仮名)
/
石井研堂
(著)
あの
恋喧嘩
(
ヘルリス
)
以来自分があの女に会いに行けない苦しさを、果してリメイは解って
呉
(
く
)
れているだろうかと。
南島譚:02 夫婦
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
内の白と
彼
(
かの
)
黒とがトチ狂うて、与右衛門の妹婿武太郎が
畑
(
はたけ
)
の大豆を散々踏み荒したと云うのである。如何して
呉
(
く
)
れるかと云う。仕方が無いから損害を二円払うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
子供
(
こども
)
の
兩足
(
りようあし
)
を
捕
(
とら
)
へて
倒
(
さか
)
さにつるし、
顏
(
かほ
)
を
外
(
そと
)
に
向
(
む
)
けて、
膝
(
ひざ
)
もて
背
(
せなか
)
を
撞
(
つ
)
くと
云
(
い
)
ふのですさうすれば、
曾
(
かつ
)
ての
實驗
(
じつけん
)
に
依
(
よつ
)
て
出
(
で
)
るから、
之
(
これ
)
を
遣
(
や
)
ツて
見
(
み
)
て
呉
(
く
)
れと
熱心
(
ねつしん
)
に
勸
(
すゝ
)
めました
手療法一則:(二月例会席上談話)
(旧字旧仮名)
/
荻野吟子
(著)
呉
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“呉”を含む語句
呉々
呉絽
呉服店
呉服
御呉
呉公
呉茱萸
呉春
呉越
呉道子
呉子
何呉
呉王
呉人
呉服町
陳勝呉廣
陳勝呉広
呉淞路
呉氏
縮緬呉絽
...