“素足:すあし” の例文
“素足:すあし”を含む作品の著者(上位)作品数
夏目漱石10
泉鏡花9
長谷川時雨4
永井荷風3
泉鏡太郎3
“素足:すあし”を含む作品のジャンル比率
文学 > イタリア文学 > 詩14.3%
歴史 > 伝記 > 日本12.5%
文学 > ドイツ文学 > その他のゲルマン文学(児童)11.8%
(注)比率=対象の語句にふりがなが振られている作品数÷各ジャンルの合計の作品数
氣が付くと、女は素足すあしに新らしい空氣草履をはいてゐる。そしてその青い絹天きぬてんの鼻緒にまでほこりがたかつてゐる。
泡鳴五部作:01 発展 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
その下には、白い小倉服の太目のズボンを穿いて、ダブダブしたズボンの下から、草鞋わらぢを穿いた素足すあしが出てゐる。
葉書 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
仕方がないから顔を洗うついでをもって、冷たい縁を素足すあしで踏みながら、箱のふたを取って鳥籠を明海あかるみへ出した。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると、速力の鈍った頃を見計みはからって、また素足すあしのまま飛び下りて、肩と手をいっしょにして、うんうん押す。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
玉太郎は、いそいではね起きた。そしてすばやく上衣うわぎとパンツをつけ、素足すあしでベットの靴をさぐって、はいた。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あい縞物しまものの尻を端折はしょって、素足すあしに下駄がけのちは、何だか鑑定がつかない。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
イルルミナートとアウグスティンこゝにあり、彼等は紐によりて神の友となりたる最初の素足すあしの貧者の中にありき 一三〇—一三二
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
次郎は、うろたえて眼をそらすと、すぐ立ち上って一人で庭に下りた。素足すあしでふむ飛石がひえびえと露にぬれていた。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
……はゝぢやびとのをわざ穿いてたらしい、可愛かはい素足すあし三倍さんばいほどな
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
背中せなかにはあせにぬれたシャツを着、両手に如露じょろを持って、ぬかるみの道の中を、素足すあしで歩かなければならなかった。
……素足すあしの白いのが、すら/\と黒繻子くろじゅすの上をすべれば、どぶながれ清水しみず音信おとずれ
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
細君さいくんしまのフランネルに絲織いとおり羽織はおり素足すあし蹈臺ふみだい俯着うツつけて
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
特に浴衣ゆかたが好きで、夏になると、よく浴衣がけで素足すあしに下駄をひっかけて、神楽坂の夜店を素見ひやかしていたものである。
日本のこころ (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
素足すあしも、野暮な足袋たびほしき、寒さもつらや」といいながら、江戸芸者は冬も素足をならいとした。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
便所にゐた瀬田は素足すあしで庭へ飛び出して、一本の梅の木を足場にして、奉行所の北側のへいを乗り越した。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
五六枚の飛石とびいしを一面の青苔あおごけが埋めて、素足すあしで踏みつけたら、さも心持ちがよさそうだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
素足すあし穿いた黒緒くろを下駄げたそろへてつてたが、一寸ちよつとかへして、うらむと
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それから、のちのことです。むらひとたちは、かみみだして、素足すあしでうたってあるくおきぬをました。
谷にうたう女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
車夫は草鞋わらじ足袋たび穿かずに素足すあしを柔かそうな土の上に踏みつけて、腰の力で車を爪先上つまさきのぼりに引き上げる。
初秋の一日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鳥ののようなかれの頭、土にまみれたかたひじ、そして、血のにじんだかれの素足すあし——。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
素足すあしのまま板の間へ出て台所の流元ながしもとまで来て見ると、四辺あたりしんとしている。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かうひたして爪先つまさきかゞめながら、ゆきのやうな素足すあしいしばんうへつてた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その頃は芸者が意気なつくりをよろこんで、素足すあしの心意気の時分に、彼女は厚化粧あつげしょうで、派手やかな、人目を驚かす扮飾をしていた。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
武夫たけおがわざと三輪車りんしゃはしるのを、正吉しょうきちはそれと競走きょうそうしようとして、素足すあしはしりました。
空にわく金色の雲 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夫人特有の真白い素足すあしが、夫人の濃紫こむらさきすそから悠々ゆうゆうと現われました。
女性の不平とよろこび (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
寝巻ねまきの下に重ねた長襦袢ながじゅばんの色が、薄い羅紗製らしゃせい上靴スリッパーつっかけた素足すあしの甲をおおっていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
はかまいで、足袋たびいで、団子だんごの様な素足すあししてゐる。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
素足すあし草履穿ぞうりばきにて、その淡き姿を顕わし、しずかでて、就中なかんずく杉の巨木きょぼくの幹にりつつ——
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
からだやぶれた着物きものて、しかも霏々ひひとしてゆきるなかに、素足すあしあしゆびあかくして
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あらい八丈はちじょうの羽織を長く着て、素足すあし爪皮つまかわのなかへさし込んで立った姿を、下宿の二階窓から書生が顔を二つ出して評している。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
素袷すあわせ素足すあしは意気なものだそうだが、この男のはなはだむさ苦しい感じを与える。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
九女八は、まだ、素足すあしの引っこみの足どりの幻影かげを、庭の、雨足のなかに追いながら、
市川九女八 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
気持ちの素足すあしに、小倉こくらはかまをはいた、と五分苅ぶがりの少年書生が横手の襖の影から飛出して来て広い式台にけおりて、
江木欣々女史 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
その短い上着のまま、早い桃の実の色した素足すあしすねのあたりまであらわしながら、茶の間を歩き回るなぞも、今までの私の家には見られなかった図だ。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
穿き物 土偶中には足の指を示したるものと然らざるものと有り。前者は素足すあしの形にして後者は穿き物を着けたる形ならん。但し穿き物の搆造は未だ詳ならず。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
洗髪、素足すあし盆提灯ぼんちょうちん涼台すずみだい桜湯さくらゆ——お邸方や大店おおだなの歴々には味えない町つづきの、星空の下での懇親会だ。
演技がすんで、靴下を脱ぎ、素足すあしになるときほど、こころよいものはなかった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その証拠には、自分は全く素足すあしで、履物はきものというものを穿いていない。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぬいでしまうと、へんに下がかるくなった。風が素足すあしにひえびえと感じられる。
(新字新仮名) / 新美南吉(著)
かはいたほこりが、火のの様にかれ素足すあしつゝんだ。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
板きれへ革緒かわおをすげた印度インド履き物を素足すあしで踏んで、例の移動椅子いすに腰かけて、それを小舟のようにいで、そうして、胸のところへ、首から
ヤトラカン・サミ博士の椅子 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
芸者襟付の不断着ふだんぎに帯はかならず引掛ひっかけにして前掛まえかけをしめ、黒縮緬五ツ紋の羽織はおりを着て素足すあしにて寄席よせなぞへ行きたり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
スラリとした中肉に、あわせ肌着はだつきがよく、腰には落し目に差した蝋消ろうけしの大小、素足すあしに草履、編笠をうつ向き加減に、女の言葉を聞いていた。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
上草履うわぞうり素足すあしで歩くような学校じゃないのだから仕方がない。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それからすぐに、かわいらしい素足すあしが一つ寝床ねどこから出てきました。
色のめた黒紋付の羽織を着た素足すあしの大きな六十爺さんが出て来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
つぼみゆきはらはむと、おき炬燵ごたつより素足すあしにして、化粧けはひたる柴垣しばがきに、には下駄げたつまさばく。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
花道はなみちから八才子が六方ろっぽうを踏んで現れるという花々しいに、どうしたものだかお約束の素足すあしの下駄穿きを紅葉だけが紺足袋を脱ぐのを忘れていた。
主人の彼は例のカラカフス無しの古洋服の一張羅いっちょうらに小豆革の帯して手拭を腰にぶらさげ、麦藁の海水帽をかぶり、素足すあしえくたれた茶の運動靴をはいて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
赤いショールを掛けて素足すあし短靴たんぐつをはいた特殊な婦人がまるで蝙蝠のように辻々つじつじを素早く走り廻っているようなまちではどこでもこの時刻にはつきものの
君やわれや夕雲を見る磯のひと四つの素足すあし海松みるぶさ寄せぬ
恋衣 (新字旧仮名) / 山川登美子増田雅子与謝野晶子(著)
草鞋わらじの新しいのが、上り口にある。さっき婆さんがら下げてたのは、大方これだろう。自分は素足すあしの上へ草鞋を穿いた。かかとへ通してぐっと引くと、
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
赤いくつは、たしかにおとむらいにはふさわしくないものでしたが、ほかに、くつといってなかったので、素足すあしの上にそれをはいて、粗末なかんおけのうしろからついていきました。
本堂の中にと消えた若い芸者の姿は再び階段の下に現れて仁王門におうもんの方へと、素足すあしの指先に突掛つっかけた吾妻下駄あずまげた内輪うちわに軽く踏みながら歩いて行く。
すみだ川 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
むらさきはなも……およねさんの素足すあしさへ
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それから素足すあしの指先にそっと絨氈をでまわした。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
白粉おしろいい、手の白い、素足すあしの白い、
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
江戸えどではをんな素足すあしであつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
石油せきゆ……にじむ素足すあし
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
素足すあしちらちら、真逆様まつさかさま
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
女はって出て往った。登は出て往く女の紫色の単衣ひとえものからまった白い素足すあしに眼をやりながら、前夜の女の足の感じをそれといっしょにしていた。彼はうっとりとなって考え込んでいた。
雑木林の中 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それらみな素足すあしのもとのくらがりに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
素足すあしの「愛」の玉容ぎよくよう
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
素足すあしもかまはず踏み込んで、
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
泥にまみれし素足すあしして
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
五ツになるのと七ツになる幼きものどもが、わがままもいわず、泣きもせず、おぼつかない素足すあしを運びつつ泣くような雨の中をともかくも長い長い高架の橋を渡ったあわれさ、両親の目には忘れる事のできない印象を残した。
水害雑録 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
姫が素足すあしのすずしさは
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
本堂の中にと消えた若い芸者の姿すがたは再び階段の下にあらはれて仁王門にわうもんはうへと、素足すあし指先ゆびさき突掛つゝかけた吾妻下駄あづまげた内輪うちわに軽く踏みながら歩いてく。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
そんな軽口かるくちをきかれて、御自身ごじしんはいつもとどう一の白衣びゃくいしろ頭巾ずきんをかぶり、そしてながながい一ぽんつえち、素足すあし白鼻緒しろはなお藁草履わらぞうり穿いてわたくしきにたれたのでした。
わらじの先から裸指はだかゆびが、五本ニョッキリ出ていたと見えて、その指跡がついている。この雪降りに素足すあしにわらじ、百姓でなければ人足だ。それがずっと両国の方から、二つずつ四つ規則正しい、隔たりを持ってついている。先に立った足跡は、つま先よりもかがとの方が、深く雪へ踏ん込んでいる。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
殊にあいつが頸に重傷を負って、馬から落ちた時の心もちを僕に話して聞かせたのは、今でもちゃんと覚えている。ある川のふちの泥の中にころがりながら、川楊かわやなぎの木の空を見ていると、母親の裙子くんしだの、女の素足すあしだの、花の咲いた胡麻ごま畑だのが、はっきりその空へ見えたと云うのだが。
首が落ちた話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
たけ六尺余の大男で、羅紗らしやの黒羽織の下には、黒羽二重くろはぶたへ紅裏べにうら小袖こそで八丈はちぢやう下着したぎを着て、すそをからげ、はかま股引もゝひきも着ずに、素足すあし草鞋わらぢ穿いて、立派なこしらへ大小だいせうを帯びてゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)