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素足
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すあし
ふりがな文庫
“
素足
(
すあし
)” の例文
その頃は芸者が意気なつくりをよろこんで、
素足
(
すあし
)
の心意気の時分に、彼女は
厚化粧
(
あつげしょう
)
で、派手やかな、人目を驚かす扮飾をしていた。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
イルルミナートとアウグスティンこゝにあり、彼等は紐によりて神の友となりたる最初の
素足
(
すあし
)
の貧者の中にありき 一三〇—一三二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
降
(
ふ
)
るも
積
(
つも
)
るも
風情
(
ふぜい
)
かな、
未開紅
(
みかいこう
)
の
梅
(
うめ
)
の
姿
(
すがた
)
。
其
(
そ
)
の
莟
(
つぼみ
)
の
雪
(
ゆき
)
を
拂
(
はら
)
はむと、
置
(
おき
)
炬燵
(
ごたつ
)
より
素足
(
すあし
)
にして、
化粧
(
けはひ
)
たる
柴垣
(
しばがき
)
に、
庭
(
には
)
下駄
(
げた
)
の
褄
(
つま
)
を
捌
(
さば
)
く。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
わらじの先から
裸指
(
はだかゆび
)
が、五本ニョッキリ出ていたと見えて、その指跡がついている。この雪降りに
素足
(
すあし
)
にわらじ、百姓でなければ人足だ。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
あらい
八丈
(
はちじょう
)
の羽織を長く着て、
素足
(
すあし
)
を
爪皮
(
つまかわ
)
のなかへさし込んで立った姿を、下宿の二階窓から書生が顔を二つ出して評している。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
女神
(
めがみ
)
らは、
手
(
て
)
を
取
(
と
)
り
合
(
あ
)
って、
素足
(
すあし
)
で、
長
(
なが
)
い、
緑色
(
みどりいろ
)
の
裳裾
(
すそ
)
をひきずって、
入
(
い
)
り
乱
(
みだ
)
れて
舞
(
ま
)
いました。また、
男神
(
おがみ
)
は、
声高
(
こえたか
)
らかに
海の踊り
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
本堂の中にと消えた若い芸者の姿は再び階段の下に現れて
仁王門
(
におうもん
)
の方へと、
素足
(
すあし
)
の指先に
突掛
(
つっか
)
けた
吾妻下駄
(
あずまげた
)
を
内輪
(
うちわ
)
に軽く踏みながら歩いて行く。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
おぼつかない
素足
(
すあし
)
を運びつつ泣くような雨の中をともかくも長い長い高架の橋を渡ったあわれさ、両親の目には忘れる事のできない印象を残した。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
花道
(
はなみち
)
から八才子が
六方
(
ろっぽう
)
を踏んで現れるという花々しい
出
(
で
)
に、どうしたものだかお約束の
素足
(
すあし
)
の下駄
穿
(
ば
)
きを紅葉だけが紺足袋を脱ぐのを忘れていた。
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
氣が付くと、女は
素足
(
すあし
)
に新らしい空氣草履をはいてゐる。そしてその青い
絹天
(
きぬてん
)
の鼻緒にまでほこりがたかつてゐる。
泡鳴五部作:01 発展
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
その短い上着のまま、早い桃の実の色した
素足
(
すあし
)
を
脛
(
すね
)
のあたりまであらわしながら、茶の間を歩き回るなぞも、今までの私の家には見られなかった図だ。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
演技がすんで、靴下を脱ぎ、
素足
(
すあし
)
になるときほど、
快
(
こころよ
)
いものはなかった。彼女は透きとおるように白いしなやかな
脛
(
すね
)
を静かに指先でマッサージをした。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
殊
(
こと
)
に
今日
(
こんにち
)
のような、カラリと晴れ渡った上天気に、往来を歩くうら若い女が、みんな柔かい、フワフワしたふらんねるの
単衣
(
ひとえ
)
を着て、白い
素足
(
すあし
)
を
露
(
あら
)
わして
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「
素足
(
すあし
)
も、野暮な
足袋
(
たび
)
ほしき、寒さもつらや」といいながら、江戸芸者は冬も素足を
習
(
ならい
)
とした。
粋者
(
すいしゃ
)
の間にはそれを
真似
(
まね
)
て足袋を
履
(
は
)
かない者も多かったという。
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
色の
褪
(
さ
)
めた黒紋付の羽織を着た
素足
(
すあし
)
の大きな六十爺さんが出て来た。お馨さんの
父者人
(
ててじゃひと
)
であった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ある川のふちの泥の中にころがりながら、
川楊
(
かわやなぎ
)
の木の空を見ていると、母親の
裙子
(
くんし
)
だの、女の
素足
(
すあし
)
だの、花の咲いた
胡麻
(
ごま
)
畑だのが、はっきりその空へ見えたと云うのだが。
首が落ちた話
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
便所にゐた瀬田は
素足
(
すあし
)
で庭へ飛び出して、一本の梅の木を足場にして、奉行所の北側の
塀
(
へい
)
を乗り越した。そして
天満橋
(
てんまばし
)
を北へ渡つて、陰謀の首領
大塩平八郎
(
おほしほへいはちらう
)
の家へ
奔
(
はし
)
つた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
そんな
軽口
(
かるくち
)
をきかれて、
御自身
(
ごじしん
)
はいつもと
同
(
どう
)
一の
白衣
(
びゃくい
)
に
白
(
しろ
)
の
頭巾
(
ずきん
)
をかぶり、そして
長
(
なが
)
い
長
(
なが
)
い一
本
(
ぽん
)
の
杖
(
つえ
)
を
持
(
も
)
ち、
素足
(
すあし
)
に
白鼻緒
(
しろはなお
)
の
藁草履
(
わらぞうり
)
を
穿
(
は
)
いて
私
(
わたくし
)
の
先
(
さ
)
きに
立
(
た
)
たれたのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
土に寝、木の
洞
(
ほら
)
にひそみ、食物も火も用いない物ばかり食っていたらしいことは——そのボロボロな衣服や、
素足
(
すあし
)
の
血泥
(
ちどろ
)
や、そして急に獣じみてきた眼つきにも、わかる。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前者は
素足
(
すあし
)
の形にして後者は穿き物を着けたる形ならん。但し穿き物の搆造は未だ詳ならず。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
赤いくつは、たしかにおとむらいにはふさわしくないものでしたが、ほかに、くつといってなかったので、
素足
(
すあし
)
の上にそれをはいて、粗末な
棺
(
かん
)
おけのうしろからついていきました。
赤いくつ
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
女は
起
(
た
)
って出て往った。登は出て往く女の紫色の
単衣
(
ひとえもの
)
の
絡
(
からま
)
った白い
素足
(
すあし
)
に眼をやりながら、前夜の女の足の感じをそれといっしょにしていた。彼はうっとりとなって考え込んでいた。
雑木林の中
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その下には、白い小倉服の太目のズボンを穿いて、ダブダブしたズボンの下から、
草鞋
(
わらぢ
)
を穿いた
素足
(
すあし
)
が出てゐる。誠に見すぼらしい恰好である。年は二十歳位で、背丈は五尺に充たない。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
背中
(
せなか
)
にはあせにぬれたシャツを着、両手に
如露
(
じょろ
)
を持って、ぬかるみの道の中を、
素足
(
すあし
)
で歩かなければならなかった。でもぐるりのほかの人たちも、同じようにあらっぽい
労働
(
ろうどう
)
をしていた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
お梅に
持
(
もた
)
せ平兵衞同道にて奉行所の
屋敷
(
やしき
)
近邊
(
きんぺん
)
まで
附添行
(
つきそひゆき
)
那
(
あ
)
の門より
這入
(
はいれ
)
と教へて立歸りしかばお梅は
素足
(
すあし
)
に成りて奉行所の門より
訴訟所
(
うつたへじよ
)
へ行き御願ひ申上ますと云ふに役人是を
聞
(
きゝ
)
町役人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
日本の着物が気に入って、
大島
(
おおしま
)
の
揃
(
そろ
)
いの着物と羽織とを作って時々着ていた。特に
浴衣
(
ゆかた
)
が好きで、夏になると、よく浴衣がけで
素足
(
すあし
)
に下駄をひっかけて、神楽坂の夜店を
素見
(
ひやか
)
していたものである。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
赤いショールを掛けて
素足
(
すあし
)
に
短靴
(
たんぐつ
)
をはいた特殊な婦人がまるで蝙蝠のように
辻々
(
つじつじ
)
を素早く走り廻っているような
市
(
まち
)
ではどこでもこの時刻にはつきものの、或る種の場面や会話が持ちあがっていた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
夫人特有の真白い
素足
(
すあし
)
が、夫人の
濃紫
(
こむらさき
)
の
裾
(
すそ
)
から
悠々
(
ゆうゆう
)
と現われました。
女性の不平とよろこび
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その証拠には、自分は全く
素足
(
すあし
)
で、
履物
(
はきもの
)
というものを
穿
(
は
)
いていない。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
おそらくは
英吉利旦那
(
イギリスマスター
)
の着古しであろうぼろぼろのシャツの
裾
(
すそ
)
を
格子縞
(
こうしじま
)
の
腰巻
(
サアロン
)
の上へ垂らして、あたまを
髷
(
シイニョン
)
に結い上げて、板きれへ
革緒
(
かわお
)
をすげた
印度
(
インド
)
履き物を
素足
(
すあし
)
で踏んで、例の移動
椅子
(
いす
)
に腰かけて
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
君やわれや夕雲を見る磯のひと四つの
素足
(
すあし
)
に
海松
(
みる
)
ぶさ寄せぬ
恋衣
(新字旧仮名)
/
山川登美子
、
増田雅子
、
与謝野晶子
(著)
素足
(
すあし
)
でふむ飛石がひえびえと露にぬれていた。
次郎物語:01 第一部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
白粉
(
おしろい
)
の
濃
(
こ
)
い、手の白い、
素足
(
すあし
)
の白い
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
風が
素足
(
すあし
)
にひえびえと感じられる。
川
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
素足
(
すあし
)
もかまはず踏み込んで
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
姫が
素足
(
すあし
)
のすずしさは
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
藍
(
あい
)
の
縞物
(
しまもの
)
の尻を
端折
(
はしょ
)
って、
素足
(
すあし
)
に下駄がけの
出
(
い
)
で
立
(
た
)
ちは、何だか鑑定がつかない。
野生
(
やせい
)
の
髯
(
ひげ
)
だけで判断するとまさに
野武士
(
のぶし
)
の価値はある。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
衣類
(
きもの
)
より
足袋
(
たび
)
は
目
(
め
)
に
着
(
つ
)
く。
江戸
(
えど
)
では
女
(
をんな
)
が
素足
(
すあし
)
であつた。
其
(
そ
)
のしなやかさと、
柔
(
やはら
)
かさと、
形
(
かたち
)
の
好
(
よ
)
さを、
春信
(
はるのぶ
)
、
哥麿
(
うたまろ
)
、
誰々
(
たれ/\
)
の
繪
(
ゑ
)
にも
見
(
み
)
るが
可
(
い
)
い。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
つぎの
日
(
ひ
)
の
昼間
(
ひるま
)
、また
二人
(
ふたり
)
は、この
原
(
はら
)
っぱへきました。
武夫
(
たけお
)
がわざと三
輪車
(
りんしゃ
)
で
走
(
はし
)
るのを、
正吉
(
しょうきち
)
はそれと
競走
(
きょうそう
)
しようとして、
素足
(
すあし
)
で
走
(
はし
)
りました。
空にわく金色の雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
気持ちの
好
(
い
)
い
素足
(
すあし
)
に、
小倉
(
こくら
)
の
袴
(
はかま
)
をはいた、と五
分苅
(
ぶが
)
りの少年書生が横手の襖の影から飛出して来て広い式台に
駈
(
か
)
けおりて
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
本堂の中にと消えた若い芸者の
姿
(
すがた
)
は再び階段の下に
現
(
あらは
)
れて
仁王門
(
にわうもん
)
の
方
(
はう
)
へと、
素足
(
すあし
)
の
指先
(
ゆびさき
)
に
突掛
(
つゝか
)
けた
吾妻下駄
(
あづまげた
)
を
内輪
(
うちわ
)
に軽く踏みながら歩いて
行
(
ゆ
)
く。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
わたしは思わず足をとめたまま、ぼんやりわたしの部屋の中に、——殊にわたしの足もとにある、薄赤い
絨氈
(
じゅうたん
)
に目を落した。それから
素足
(
すあし
)
の指先にそっと絨氈を
撫
(
な
)
でまわした。
夢
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
六尺余の大男で、
羅紗
(
らしや
)
の黒羽織の下には、
黒羽二重
(
くろはぶたへ
)
紅裏
(
べにうら
)
の
小袖
(
こそで
)
、
八丈
(
はちぢやう
)
の
下着
(
したぎ
)
を着て、
裾
(
すそ
)
をからげ、
袴
(
はかま
)
も
股引
(
もゝひき
)
も着ずに、
素足
(
すあし
)
に
草鞋
(
わらぢ
)
を
穿
(
は
)
いて、立派な
拵
(
こしらへ
)
の
大小
(
だいせう
)
を帯びてゐる。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
鳥の
巣
(
す
)
のようなかれの頭、土にまみれた
肩
(
かた
)
や
肘
(
ひじ
)
、そして、血のにじんだかれの
素足
(
すあし
)
——。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それからすぐに、かわいらしい
素足
(
すあし
)
が一つ
寝床
(
ねどこ
)
から出てきました。またもう一つが出てきました。こうして小さな
脚
(
あし
)
が二本現われました。コトリ! 男の子は
床
(
ゆか
)
の上に立ちました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
主人の彼は例のカラカフス無しの古洋服の
一張羅
(
いっちょうら
)
に小豆革の帯して手拭を腰にぶらさげ、麦藁の海水帽をかぶり、
素足
(
すあし
)
に
萎
(
な
)
えくたれた茶の運動靴をはいて居る。二人はさッさと歩いた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そしてすばやく
上衣
(
うわぎ
)
とパンツをつけ、
素足
(
すあし
)
でベットの靴をさぐって、はいた。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それらみな
素足
(
すあし
)
のもとのくらがりに
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
素足
(
すあし
)
の「愛」の
玉容
(
ぎよくよう
)
に
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
泥に
塗
(
まみ
)
れし
素足
(
すあし
)
して
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
“素足”の意味
《名詞》
素 足(すあし)
履物をはかない足。
靴下などをはいていないむき出しの足。
(出典:Wiktionary)
“素足(
裸足
)”の解説
裸足・跣足(はだし)とは、履物を履かないこと、またはその状態の足のこと。素足とも。靴を履かずに(靴下やストッキングは着用している状態で)外に出ることを「裸足」と呼ぶこともあるが、ここでは足に何も身に着けていない場合の裸足を説明する。
(出典:Wikipedia)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素性
素振
素気
素朴
素姓
素破
素裸