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あらわ
ふりがな文庫
“
現
(
あらわ
)” の例文
こういう
現
(
あらわ
)
し
方
(
かた
)
があるのか、と感心した事があったので、「僕の小説などは決して「見さくる高峰のやうな」ものではありませんが
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
ですがこんな逆境から生れて、しかもそれが美術家たちでさえ、たやすくは生めぬほどの美しさを
現
(
あらわ
)
すのですから不思議であります。
益子の絵土瓶
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
また、一
等
(
とう
)
室
(
しつ
)
からも、
大臣
(
だいじん
)
や、
高等官
(
こうとうかん
)
の
顔
(
かお
)
がちょっとばかり
現
(
あらわ
)
れました。しかしその
人
(
ひと
)
たちの
顔
(
かお
)
は、じきに
引
(
ひ
)
っ
込
(
こ
)
んでしまいました。
白い影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
といいながら、
鉢
(
はち
)
をつかんで
引
(
ひ
)
き
上
(
あ
)
げますと、
下
(
した
)
から
人間
(
にんげん
)
の
姿
(
すがた
)
が
現
(
あらわ
)
れたので、びっくりして、
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
して
逃
(
に
)
げていってしまいました。
鉢かつぎ
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そしてその味は夏蜜柑ほど
酸
(
す
)
っぱくなくて
甘味
(
あまみ
)
を有している。これは四、五月ごろに市場に
現
(
あらわ
)
れ、サマー・オレンジと称している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
▼ もっと見る
一方国際的には、支那事変が漸く本格的な
貌
(
かお
)
を
現
(
あらわ
)
して来て、今更研究どころではないという風潮がそろそろ国内に
漲
(
みなぎ
)
り出した時期である。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
ニヤリと
笑
(
わら
)
った
松
(
まつ
)
五
郎
(
ろう
)
が、
障子
(
しょうじ
)
の
隅
(
すみ
)
へ、まるくなった
時
(
とき
)
だった。
藤吉
(
とうきち
)
に
案内
(
あんない
)
されたおこのの
姿
(
すがた
)
が、
影絵
(
かげえ
)
のように
縁先
(
えんさき
)
へ
現
(
あらわ
)
れた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
かの女はドアのほうへ
寄
(
よ
)
って、それを開けた。そのときこそほんとうにびっくりするものが
現
(
あらわ
)
れた。バルブレンのおっかあがはいって来た。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
殊
(
こと
)
に歌麿板画のいひ
現
(
あらわ
)
しがたき色調をいひ現すに
此
(
か
)
くの如き
幽婉
(
ゆうえん
)
の文辞を以てしたるもの実に文豪ゴンクウルを
措
(
お
)
いて他に求むべくもあらず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その時、天堂一角は、
腕
(
うで
)
ぐみをしたまま、峠の七曲りを見下ろしていたが、何を見出したものか、眉に
険
(
けん
)
を立てて、にわかにただならぬ色を
現
(
あらわ
)
した。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
岬の東端の海中には、御前岩、俗に沖の
御前
(
ごぜん
)
と云われている岩があって、
蒼味
(
あおみ
)
だった潮の上にその頭を
現
(
あらわ
)
していた。
真紅な帆の帆前船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
日本の
演劇
(
しばい
)
で蛙の声を聞かせる場合には、赤貝を
摺
(
す
)
り合せるのが昔からの
習
(
ならい
)
であるが、『
太功記
(
たいこうき
)
』十段目の光秀が
夕顔棚
(
ゆうがおだな
)
のこなたより
現
(
あらわ
)
れ
出
(
い
)
でた時に
二階から
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
千吉もそれを素振りに
現
(
あらわ
)
し、自分だけをいつまでもくくりつけておく親方への不平をその子供たちに持っていった。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
そして、自分に学問のないのを思うと、その殴るということさえ、果して正当なのかどうか、ハッキリした理由を云い
現
(
あらわ
)
しかねて
躊躇
(
ちゅうちょ
)
してしまったのだ。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
反対に、お貞さんの方の結婚はいよいよ事実となって
現
(
あらわ
)
るべく、目前に
近
(
ちかづ
)
いて来た。お貞さんは相応の年をしている癖に、
宅中
(
うちじゅう
)
で一番
初心
(
うぶ
)
な女であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
反対
(
はんたい
)
に、
小
(
ちい
)
さなエチエンヌの
清浄無垢
(
せいじょうむく
)
なことは、その
薔薇
(
ばら
)
いろの
腓
(
ふくらはぎ
)
に、
後光
(
ごこう
)
のように
現
(
あらわ
)
れているでしょう。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
それを形に
現
(
あらわ
)
して、梓の感情を支配する、すなわち、床しい、懐しい念のすべてをもって注ぐべき本尊、
譬
(
たと
)
えば婦人が信仰の目じるしに、優しい、尊い、気高い
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その行動も
現
(
あらわ
)
になって来る、——そうすると僕はいずれ早晩彼等を撃滅することが出来ることになる。
空家の冒険
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
ハイカラ——高襟は、もっと、ずっと後日で生れた言葉だが、言い
現
(
あらわ
)
すのに都合が好いから借用する。
田沢稲船
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ほとんど
気
(
き
)
でも
狂
(
くる
)
うかと
思
(
おも
)
われました
時
(
とき
)
に、ひょくりと
私
(
わたくし
)
の
枕辺
(
まくらべ
)
に
一人
(
ひとり
)
の
老人
(
ろうじん
)
が
姿
(
すがた
)
を
現
(
あらわ
)
しました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
楽隊
(
がくたい
)
がにぎやかに鳴り出しました。と、きえちゃんに
扮
(
ふん
)
した新吉が、まず
垂
(
た
)
れ
幕
(
まく
)
のかげから
現
(
あらわ
)
れました。それから、
胸
(
むね
)
に金銀の星の
輝
(
かがや
)
く服を着たわか姉さんが現れました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
当家
(
こちら
)
のお弟子さんが危篤ゆえ
知
(
しら
)
せると
云
(
いわ
)
れ、妻女は
偖
(
さて
)
はそれ
故
(
ゆえ
)
姿を
現
(
あらわ
)
したかと
一層
(
いっそう
)
不便
(
ふびん
)
に思い、その
使
(
つかい
)
と
倶
(
とも
)
に病院へ車を
飛
(
とば
)
したが
最
(
も
)
う間に
合
(
あわ
)
ず、彼は死んで
横倒
(
よこたわ
)
っていたのである
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
彼はその後、屡々困難な犯罪事件に関係して、その珍らしい才能を
現
(
あらわ
)
し、専門家達は
勿論
(
もちろん
)
一般の世間からも、もう立派に認められていた。笠森氏ともある事件から心易くなったのだ。
心理試験
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
或
(
ある
)
時父兄の前に
言出
(
いいい
)
でて、自分は
一代法華
(
いちだいほっけ
)
をして、諸国を
経廻
(
へめぐ
)
ろうと思うから、
何卒
(
どうか
)
家を出してくれと決心の色を
現
(
あらわ
)
したので、父も兄も
致方
(
いたしかた
)
なく、これを許したから、娘は大変喜んで
千ヶ寺詣
(新字新仮名)
/
北村四海
(著)
王は
悦
(
よろこ
)
びて天神に
対
(
むか
)
ひ、これは雌にしてこれは雄なりと答ふるにその答誤りなければ、天神はまた一大白象を
現
(
あらわ
)
して、この象の重さ幾斤両ぞ、答へ得ずんば国を
覆
(
くつがえ
)
さん、と難題を
出
(
いだ
)
しぬ。
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
お銀様は、その時に、はっと思って自分の姿の浅ましく乱れていることに気がつかないわけにはゆきませんでした。髪も乱れているし、着物も乱れているし、恥かしい肌も
現
(
あらわ
)
になっているものを。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
絵画は俳句と同じく形体は客観描写であるけれども俳句は文字を
以
(
もっ
)
て
現
(
あらわ
)
し、絵画は線や色を以て現す相違がある。それ故に絵画はその色彩から来る感じ、線から来る感じが、強く響いて
刺戟
(
しげき
)
が強い。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
そして一目散に駈け出そうとする鼻先へ、不意に人が
現
(
あらわ
)
れた。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
美しい形を
現
(
あらわ
)
してお見せ申すのは、1440
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
時間の悠久を
現
(
あらわ
)
す一種の音象表現である。
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
「ああ、ここまで
上
(
のぼ
)
ると、よい
景色
(
けしき
)
だ。
海
(
うみ
)
が
見
(
み
)
える。」と、
先刻
(
さっき
)
のくわをかついだ
男
(
おとこ
)
は、かえでの
木
(
き
)
のそばに
現
(
あらわ
)
れていいました。
葉と幹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そのうちにだんだんお
酒
(
さけ
)
のききめが
現
(
あらわ
)
れてきて、
酒呑童子
(
しゅてんどうじ
)
はじめ
鬼
(
おに
)
どもは、みんなごろごろ
酔
(
よ
)
い
倒
(
たお
)
れて、
正体
(
しょうたい
)
がなくなってしまいました。
大江山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
このように野生になっている所では、
玉玲瓏
(
ぎょくれいろう
)
と中国で称する
八重咲
(
やえざ
)
きの花が見られる。また青花と呼ばれる下品な花も
現
(
あらわ
)
れる。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
そこへ美しい
夫人
(
ふじん
)
がわたしと同じ年ごろの子どもを
連
(
つ
)
れて
現
(
あらわ
)
れた。わたしをむかえて、まるでわたしが兄弟ででもあるようにあつかってくれた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
陽
(
ひ
)
は
高々
(
たかだか
)
と
昇
(
のぼ
)
っているらしく、
今
(
いま
)
さら
気付
(
きづ
)
いた
雨戸
(
あまど
)
の
隙間
(
すきま
)
には、なだらかな
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
が、
吹矢
(
ふきや
)
で
吹
(
ふ
)
き
込
(
こ
)
んだように、こまいの
現
(
あらわ
)
れた
壁
(
かべ
)
の
裾
(
すそ
)
へ
流
(
なが
)
れ
込
(
こ
)
んでいた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
それにもかかわらず、自分の母親のお豊はあまり
好
(
よ
)
くは思っていない様子で、
盆暮
(
ぼんくれ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
もほんの義理
一遍
(
いっぺん
)
らしい事を構わず
素振
(
そぶり
)
に
現
(
あらわ
)
していた事さえあった。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかし
其処
(
そこ
)
にはやはり何か本当のものがあるらしく、なるべく特徴を
現
(
あらわ
)
すようにと忠実に描きあげて見ると、やはり蟹の
化物
(
ばけもの
)
には見えなくて、奇妙な形の蟹に見えるところが面白かった。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
蓋
(
けだ
)
し僕には観音経の文句——なお一層適切に云えば文句の調子——そのものが
難有
(
ありがた
)
いのであって、その
現
(
あらわ
)
してある文句が何事を意味しようとも、そんな事には少しも関係を
有
(
も
)
たぬのである。
おばけずきのいわれ少々と処女作
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
土間を正面に見た
旦那座
(
だんなざ
)
に座っているのが鬼の
大将
(
たいしょう
)
であろう。
腰
(
こし
)
のまわりに
獣
(
けもの
)
の皮を
巻
(
ま
)
いて大あぐらをかいている。口の
両端
(
りょうはし
)
から
現
(
あらわ
)
れている
牙
(
きば
)
が炎に
照
(
て
)
らされて金の牙のように光っている。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
何しろアデイア青年のような若い者に、その親しく知っている、しかもごく年長の者を、
現
(
あらわ
)
に誹謗すると云うことは考えられないことだからね。まあおそらくはこの想定は大差無いと思う。
空家の冒険
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
夢寐
(
むび
)
に
見
(
み
)
る
雄敵
(
ゆうてき
)
の
現
(
あらわ
)
れ
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怪人
(
かいじん
)
現
(
あらわ
)
れる
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
けっして二
度
(
ど
)
と
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せまいと
心
(
こころ
)
に
誓
(
ちか
)
っていた
葛
(
くず
)
の
葉
(
は
)
も、
子供
(
こども
)
の
泣
(
な
)
き
声
(
ごえ
)
にひかれて、もう一
度
(
ど
)
草
(
くさ
)
むらの中に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あらわ
)
しました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
わたしはまずまっ先に
現
(
あらわ
)
れて、ハープにつれて二つ三つ歌を歌わなければならなかった。正直に言えばわたしが受けたかっさいはごく
貧弱
(
ひんじゃく
)
だった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
夏
(
なつ
)
も
去
(
さ
)
ってしまい、
秋
(
あき
)
にもなったけれど、この
美
(
うつく
)
しい
雲
(
くも
)
は、ふたたび
目
(
め
)
のとどくかぎり、
空
(
そら
)
に
姿
(
すがた
)
を
現
(
あらわ
)
しませんでした。
山の上の木と雲の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
花は芍薬に比べるとすこぶる貧弱だが、その果実はみごとなもので、
熟
(
じゅく
)
して
裂
(
さ
)
けると、その内面が
真赤色
(
しんせきしょく
)
を
呈
(
てい
)
しており、きわめて美しい
特徴
(
とくちょう
)
を
現
(
あらわ
)
している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
それと共に篇中の人物は実在のモデルによって
活
(
い
)
ける人間を描写したのではなくて、丁度アンリイ、ド、レニエエがかの『賢き一青年の休暇』に
現
(
あらわ
)
したる人物と
斉
(
ひと
)
しく
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
しかも窮苦
極
(
きわま
)
りなきに際して家を教えられたのであるから、事は小なりといえども梓は
大
(
おおい
)
なる恩人のごとくに感じた。感ずるあまり、梓は
亡
(
なき
)
母が仮に姿を
現
(
あらわ
)
して自分を救ったのであろうと思った。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すべて
怪物
(
かいぶつ
)
は、昼のうちはどこかに
姿
(
すがた
)
を
隠
(
かく
)
していて、夜になって
現
(
あらわ
)
れて来るものだということを知っていたので、勘太郎はまず明るいうちに寺へ着いて、どこかに自分の身を隠しておこうと考えた。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
この間勿論我が国でも、支那事変が遂に世界戦争の
面貌
(
めんぼう
)
を
現
(
あらわ
)
して来て「研究どころの騒ぎではなく」なっていたのであるが、英米側にとってみれば、それこそ日本の立場どころではなかったのである。
原子爆弾雑話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
現
常用漢字
小5
部首:⽟
11画
“現”を含む語句
現象
現金
現世
現実
現在
現場
表現
現身
出現
顕現
現状
夢現
現今
現代
現實
隠現
実現
自然現象
現神
言現
...