“宅中”の読み方と例文
読み方割合
うちじゅう100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
それでも宅中うちじゅうで一番私を可愛かわいがってくれたものは母だという強い親しみの心が、母に対する私の記憶のうちには、いつでもこもっている。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに宅中うちじゅう陰気でね、明けておくと往来から奥のまで見透みとおしだし、ここいら場末だもんだから、いや、あすこの宅はどうしたの、こうしたのと、近所中で眼を着けて
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しばらくは宅中うちじゅうに玩具箱をひっくり返して、数を尽して並べても「真田さなだ三代記」や「甲越軍談」の絵本を幼い手ぶりでいろどっても、陰欝いんうつな家の空気は遊びたい盛りの坊ちゃんを長く捕えてはいられない。
山の手の子 (新字新仮名) / 水上滝太郎(著)