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宅中
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うちじゅう
ふりがな文庫
“
宅中
(
うちじゅう
)” の例文
それでも
宅中
(
うちじゅう
)
で一番私を
可愛
(
かわい
)
がってくれたものは母だという強い親しみの心が、母に対する私の記憶の
中
(
うち
)
には、いつでも
籠
(
こも
)
っている。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それに
宅中
(
うちじゅう
)
陰気でね、明けておくと往来から奥の
室
(
ま
)
まで
見透
(
みとお
)
しだし、ここいら場末だもんだから、いや、あすこの宅はどうしたの、こうしたのと、近所中で眼を着けて
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しばらくは
宅中
(
うちじゅう
)
に玩具箱をひっくり返して、数を尽して並べても「
真田
(
さなだ
)
三代記」や「甲越軍談」の絵本を幼い手ぶりで
彩
(
いろど
)
っても、
陰欝
(
いんうつ
)
な家の空気は遊びたい盛りの坊ちゃんを長く捕えてはいられない。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
下女が心得て立って行ったかと思うと、
宅中
(
うちじゅう
)
の電灯がぱたりと消えた。黒い柱と
煤
(
すす
)
けた天井でたださえ陰気な部屋が、今度は
真暗
(
まっくら
)
になった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私は
早速
(
さっそく
)
その家へ引き移りました。私は最初来た時に未亡人と話をした座敷を借りたのです。そこは
宅中
(
うちじゅう
)
で一番
好
(
い
)
い
室
(
へや
)
でした。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
私はこの黒猫を
可愛
(
かわい
)
がっても
憎
(
にく
)
がってもいない。猫の方でも
宅中
(
うちじゅう
)
のそのそ歩き廻るだけで、別に私の
傍
(
そば
)
へ寄りつこうという好意を現わした事がない。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
変ったと云っても普通のものがただ縮れて
見立
(
みだて
)
がなくなるだけだから、
宅中
(
うちじゅう
)
でそれを顧みるものは一人もなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
反対に、お貞さんの方の結婚はいよいよ事実となって
現
(
あらわ
)
るべく、目前に
近
(
ちかづ
)
いて来た。お貞さんは相応の年をしている癖に、
宅中
(
うちじゅう
)
で一番
初心
(
うぶ
)
な女であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宅
常用漢字
小6
部首:⼧
6画
中
常用漢字
小1
部首:⼁
4画
“宅”で始まる語句
宅
宅助
宅地
宅守
宅番
宅迄
宅址
宅悦
宅下
宅参