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懷
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なつ
ふりがな文庫
“
懷
(
なつ
)” の例文
新字:
懐
宜
(
よ
)
きことにして
金
(
かね
)
やらん
妾
(
せう
)
になれ
行々
(
ゆく/\
)
は
妻
(
つま
)
にもせんと
口惜
(
くちを
)
しき
事
(
こと
)
の
限
(
かぎ
)
り
聞
(
き
)
くにつけても
君
(
きみ
)
さまのことが
懷
(
なつ
)
かしく
或
(
あ
)
る
夜
(
よ
)
にまぎれて
國
(
くに
)
を
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
皮を
剥
(
む
)
かれた梨は、前のやうに花の形に切られたまゝ置かれてあつた。お光の眼には
懷
(
なつ
)
かしさうな
潤
(
うるほ
)
ひがまただん/\加はつて來た。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
と
言
(
い
)
ひながら
今
(
いま
)
しも
懷
(
なつ
)
かしき
母君
(
はゝぎみ
)
の
噂
(
うわさ
)
の
出
(
い
)
でたるに、
逝
(
ゐ
)
にし
夜
(
よ
)
の
事
(
こと
)
ども
懷
(
おも
)
ひ
起
(
おこ
)
して、
愁然
(
しゆうぜん
)
たる
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
の
頭髮
(
かしら
)
を
撫
(
な
)
でつゝ
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
急に向うから私に
懷
(
なつ
)
いてくるやうに、その少女たちも、その名前を私が知りさへすれば、向うから進んで、私に近づいて來たがりでもするかのやうに。
麦藁帽子
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
おつぎは
危
(
あや
)
ぶむやうにして
控
(
ひか
)
へ
目
(
め
)
に
聲
(
こゑ
)
を
立
(
た
)
てゝいつた。おつぎは
默
(
だま
)
つて
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
を
動
(
うご
)
かして
居
(
ゐ
)
る。
與吉
(
よきち
)
は
返辭
(
へんじ
)
がなくても
懷
(
なつ
)
かし
相
(
さう
)
に
姉
(
ねえ
)
ようと
數次
(
しば/\
)
喚
(
よ
)
び
掛
(
か
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
その下の田の土の色、
畔
(
くろ
)
の草の色——是等は他の季節に見る事の出來ない
親
(
した
)
しみ、
懷
(
なつ
)
かしみを藏してゐる。
海郷風物記
(旧字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
雖然
(
けれども
)
、いざ、
分
(
わか
)
れると
成
(
な
)
れば、
各自
(
てんで
)
が
心
(
こゝろ
)
寂
(
さび
)
しく、
懷
(
なつ
)
かしく、
他人
(
たにん
)
のやうには
思
(
おも
)
はなかつたほど
列車
(
れつしや
)
の
中
(
なか
)
は
人
(
ひと
)
稀
(
まれ
)
で、……
稀
(
まれ
)
と
云
(
い
)
ふより、
殆
(
ほとん
)
ど
誰
(
たれ
)
も
居
(
ゐ
)
ないのであつた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
さ
)
れば平生徳に
懷
(
なつ
)
き恩に浴せる者は言ふも更なり、知るも知らぬも潛かに憂ひ
傷
(
いた
)
まざるはなかりけり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
わたしは快い氣持になつて、少年たちが
懷
(
なつ
)
つこさうに、このきちんとした老僕の周圍を跳びはねたり、犬を抱きしめたりするのを見てゐた、犬は體躯をくねらして喜んだ。
駅伝馬車
(旧字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
「
天台
(
てんだい
)
國清寺
(
こくせいじ
)
の
豐干
(
ぶかん
)
と
仰
(
おつ
)
しやる。」
閭
(
りよ
)
はしつかりおぼえて
置
(
お
)
かうと
努力
(
どりよく
)
するやうに、
眉
(
まゆ
)
を
顰
(
ひそ
)
めた。「わたしもこれから
台州
(
たいしう
)
へ
往
(
ゆ
)
くものであつて
見
(
み
)
れば、
殊
(
こと
)
さらお
懷
(
なつ
)
かしい。 ...
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
童子はこれを見るごとに戀しく
懷
(
なつ
)
かしきこと限なく、人知らぬ愛に胸を苦めたりき。漁父は童子を伴ひて海に往き、
艫
(
ろ
)
を
搖
(
うごか
)
し帆を揚げ、暴風と爭ひ怒濤と鬪ふことを教へつ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
その
羽
(
は
)
ばたきには、
初
(
はじ
)
めの
間
(
あひだ
)
こそ、こちらでもびっくりしますが、しかしだん/\
進
(
すゝ
)
むにしたがつて、むしろ
鳥
(
とり
)
が
飛
(
と
)
びたつのも、
道連
(
みちづ
)
れが
出來
(
でき
)
たように
懷
(
なつ
)
かしくなるものです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
と
父
(
とう
)
さんが
言
(
い
)
ひますと、
燕
(
つばめ
)
は
懷
(
なつ
)
かしい
國
(
くに
)
の
言葉
(
ことば
)
で
物
(
もの
)
を
言
(
い
)
ひたくても、それが
言
(
い
)
へないといふ
風
(
ふう
)
で、
唯
(
ただ
)
、ペチヤ、クチヤ、ペチヤ、クチヤ、
異人
(
ゐじん
)
さんのやうな
解
(
わか
)
らないことを
言
(
い
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
もしも私が凍りついて動かぬ氷にさへなつて了へば——それは
懷
(
なつ
)
かしい死の無感覺である——假令
擲
(
な
)
げつけるやうに雨が降つても何ともあるまいに。私にはもう感じられないのだから。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
やつた方が話も落着くし市村もじつくりとかんさんに
懷
(
なつ
)
いてゐた。
渚
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
私はそのひとつを涙に濡れた手で拾ひ取り、さうしてその黄色なエチケツトの帆船航海の圖に怪しい哀れさを感じながら、その一本を拔いては
懷
(
なつ
)
かしさうに
擦
(
す
)
つて見た。無論點火する氣づかひはない。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
常によく見る夢乍ら、
奇
(
あ
)
やし、
懷
(
なつ
)
かし、身にぞ染む。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
但馬守
(
たじまのかみ
)
は
懷
(
なつ
)
かしさうに
言
(
い
)
つて、
築山
(
つきやま
)
の
彼方
(
かなた
)
に、
少
(
すこ
)
しばかり
現
(
あら
)
はれてゐる
東
(
ひがし
)
の
空
(
そら
)
を
眺
(
なが
)
めた。
紀
(
こつな
)
も
身體
(
からだ
)
がぞく/\するほど
東
(
あづま
)
の
空
(
そら
)
を
慕
(
した
)
はしく
思
(
おも
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
また
之
(
これ
)
から
日本
(
につぽん
)
まで
夫人等
(
ふじんら
)
と
航海
(
かうかい
)
を
共
(
とも
)
にするやうになつた
不思議
(
ふしぎ
)
の
縁
(
ゆかり
)
を
言葉
(
ことば
)
短
(
みじか
)
に
語
(
かた
)
ると、
夫人
(
ふじん
)
は『おや。』と
言
(
い
)
つたまゝいと
懷
(
なつ
)
かし
氣
(
げ
)
に
進
(
すゝ
)
み
寄
(
よ
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
餘
(
あま
)
りに
戀
(
こひ
)
しう
懷
(
なつ
)
かしき
折
(
をり
)
は
自
(
みづか
)
ら
少
(
すこ
)
しは
恥
(
はづ
)
かしき
思
(
おも
)
ひ、
如何
(
いか
)
なる
故
(
ゆゑ
)
ともしるに
難
(
かた
)
けれど、
且那
(
だんな
)
さま
在
(
おは
)
しまさぬ
時
(
とき
)
は
心細
(
こゝろほそ
)
さ
堪
(
た
)
へがたう、
兄
(
あに
)
とも
親
(
おや
)
とも
頼母
(
たのも
)
しき
方
(
かた
)
に
思
(
おも
)
はれぬ。
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
その思想といふものも、いかなるが詩となすに
宜
(
よろ
)
しかるべきか知るよしなけれど、わが尼寺にありし時、ふと物の
懷
(
なつ
)
かしき如き情、遠きに
騁
(
は
)
する如き情の胸に溢るゝことあり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
日本に生れたなら、關白
公方
(
くばう
)
にならうと志すが好い。さてそれを爲し遂げるには身を愼み人を
懷
(
なつ
)
けるより外は無い。既に國郡が手に入つたら、人物を鑑識して任用しなくてはならぬ。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
數次其子の歡心を買ふ方法をとつて見ましてもすべての機能の遲緩した私の子は他の幼い子に見る樣に快く
懷
(
なつ
)
くといふことはないのであります。それでも私の子であります、仕方がありません。
教師
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『
愛宕
(
あたご
)
さんにも大けな
銀杏
(
いてふ
)
がおましたな、覺えてなはる。……
蜂
(
はち
)
の巣を燒いてえらい騷動になりましたな。』と、また
懷
(
なつ
)
かし
氣
(
げ
)
な眼をして、小池の顏に見入つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
お
力
(
りき
)
も
何處
(
どこ
)
となく
懷
(
なつ
)
かしく
思
(
おも
)
ふかして三日
見
(
み
)
えねば
文
(
ふみ
)
をやるほどの
樣子
(
やうす
)
を、
朋輩
(
ほうばい
)
の
女子
(
おんな
)
ども
岡燒
(
おかやき
)
ながら
弄
(
から
)
かひては、
力
(
りき
)
ちやんお
樂
(
たの
)
しみであらうね、
男振
(
おとこぶり
)
はよし
氣前
(
きまへ
)
はよし
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
さるをその
懷
(
なつ
)
かしき夫の聲の終に應ずることなく、可憐の女子の獨り不言の海に對して口は復た歌ふこと能はず、目は空しく沙上の
髑髏
(
されかうべ
)
を見、耳は徒らに
岸打浪
(
きしうつなみ
)
の音を聞きて
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
吾等
(
われら
)
が
無上
(
むじやう
)
の
樂
(
たのしみ
)
とせる
懷
(
なつ
)
かしの
日本
(
につぽん
)
へ
歸
(
かへ
)
る
可
(
べ
)
き
希望
(
きぼう
)
も、
全
(
まつた
)
く
奪去
(
うばひさ
)
られたといふものです。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
櫛
(
くし
)
の
事件
(
じけん
)
は
其
(
そ
)
れつ
切
(
きり
)
で
畢
(
をは
)
つた。
勘次
(
かんじ
)
は
何
(
なに
)
かにつけてはおつう/\と
懷
(
なつ
)
かしげに
喚
(
よ
)
んで一
家
(
か
)
は
人
(
ひと
)
の
目
(
め
)
に
立
(
た
)
つ
程
(
ほど
)
極
(
きは
)
めて
睦
(
むつ
)
ましかつた。
然
(
しか
)
しかういふ
事件
(
じけん
)
は
村落
(
むら
)
の
凡
(
すべ
)
ての
口
(
くち
)
を
久
(
ひさ
)
しく
防
(
ふせ
)
ぐことは
出來
(
でき
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
冷
(
ひやゝ
)
かな小池の言葉には答へないで、お光は沈んだ調子ながらに、昔しの思ひ出を
懷
(
なつ
)
かしみつゝ語つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
あたゝまるやうにと
言
(
い
)
ふて
呉
(
く
)
れし
時
(
とき
)
も
有
(
あり
)
し、
懷
(
なつ
)
かしきは
其昔
(
そのむか
)
し、
有難
(
ありがた
)
きは
今
(
いま
)
の
奧樣
(
おくさま
)
が
情
(
なさけ
)
と、
平常
(
へいぜい
)
お
世話
(
せわ
)
に
成
(
な
)
りぬる
事
(
こと
)
さへ
取添
(
とりそ
)
へて、
怒
(
いか
)
り
肩
(
かた
)
もすぼまるばかり
畏
(
かしこ
)
まりて
有
(
あ
)
るさまを
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
美登利
(
みどり
)
は
何
(
なに
)
ゆゑとなく
懷
(
なつ
)
かしき
思
(
おも
)
ひにて
違
(
ちが
)
ひ
棚
(
だな
)
の一
輪
(
りん
)
ざしに
入
(
い
)
れて
淋
(
さび
)
しく
清
(
きよ
)
き
姿
(
すがた
)
をめでけるが、
聞
(
き
)
くともなしに
傳
(
つた
)
へ
聞
(
き
)
く
其
(
その
)
明
(
あ
)
けの
日
(
ひ
)
は
信如
(
しんによ
)
が
何
(
なに
)
がしの
學林
(
がくりん
)
に
袖
(
そで
)
の
色
(
いろ
)
かへぬべき
當日
(
たうじつ
)
なりしとぞ(
終
(
をわり
)
)
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
懷
部首:⼼
19画
“懷”を含む語句
可懷
懷胎
懷中
述懷
内懷
追懷
御懷
懷紙
人懷
懷中物
手懷
懷中鏡
懷中電燈
本懷
懷裡
懷提灯
懷手
山懷
懷劍
懷姙
...