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密
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そ
ふりがな文庫
“
密
(
そ
)” の例文
又
暫時
(
しばらく
)
經つと、お雪は小さい手で
密
(
そ
)
と老爺の禿頭を撫でて見た。ああ、毎晩、毎晩、水をつけてるのに、些ともまだ毛が生えてゐない。
散文詩
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
黙って
背後
(
うしろ
)
から、
密
(
そ
)
とその
頸
(
うなじ
)
にはめてやると、
苞
(
つと
)
は揺れつつ、旧の通りにかかったが、娘は身動きもしなかった。
四辺
(
あたり
)
には
誰
(
たれ
)
も居ない。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「昔、ある天才が自分の書いたものを真珠を
鏤
(
ちりば
)
めた箱に入れて
密
(
そ
)
つと藏つておいたと云ふ話がある、そんな気持ちはお前にはわかるまい。」
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
頭取下役
(
とうどりしたやく
)
という事に成りましたが、更に
謟
(
へつら
)
いを致しませんが、堅い気象ゆえ、毎夜人知れず刀を差し、棒を提げて
密
(
そ
)
っと殿様のお居間の
周囲
(
まわり
)
を三度ずつ
不寝
(
ねず
)
に廻るという忠実なる事は
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
知
(
し
)
れど
猶
(
なほ
)
も
知
(
し
)
らぬ
顏
(
かほ
)
に
八重
(
やへ
)
が
例
(
つね
)
に
似
(
に
)
ぬことよ
先
(
ま
)
づ
云
(
い
)
ふて
聞
(
き
)
かしても
宜
(
よ
)
さそうなと
打怨
(
うちゑん
)
ずれば
其
(
そ
)
やうに
御
(
お
)
いそぎなされますなと
打笑
(
うちわら
)
ひながら
彼
(
か
)
の
君
(
きみ
)
より
御返事
(
おへんじ
)
が
參
(
まゐ
)
りしなり
是
(
これ
)
がお
嬉
(
うれ
)
しからぬ
事
(
こと
)
かと
咡
(
さゝや
)
かれて
耳
(
みゝ
)
の
根
(
ね
)
くわつと
熱
(
あつ
)
くなりつ
胸
(
むね
)
とヾろかれて
噛
(
か
)
む
袖
(
そで
)
の
下
(
した
)
に
密
(
そ
)
と
置
(
を
)
く
藻
(
も
)
しほぐさ
俄
(
にはか
)
には
手
(
て
)
にも
取
(
と
)
らぬを
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
はつと
下
(
した
)
に
置
(
お
)
くと、はづみで
白
(
しろ
)
い
花片
(
はなびら
)
は、ぱらりと、
藤色
(
ふぢいろ
)
の
地
(
ぢ
)
の
友染
(
いうぜん
)
にこぼれたが、こぼれた
上
(
うへ
)
へ、
園
(
その
)
は
尚
(
な
)
ほ
密
(
そ
)
と
手
(
て
)
を
当
(
あ
)
てゝ
蓋
(
ふた
)
を
傾
(
かたむ
)
けた。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
その様子を見ると道助は少し堪へられなくなつて
密
(
そ
)
つと椅子を離れた。そして先刻彼女が
抛
(
はふ
)
り出した花束を拾ひ上げて、殆ど無意識にその
花片
(
はなびら
)
を一つ/\むしり初めた。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
寝苦しいか、白やかな胸を出して、
鳩尾
(
みぞおち
)
へ踏落しているのを、
痩
(
や
)
せた胸に
障
(
さわ
)
らないように、
密
(
そ
)
っと
引掛
(
ひっか
)
けたが何にも知らず、まず
可
(
よ
)
かった。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると彼女も
密
(
そ
)
つとついて来た。彼は振り返つて彼女の眼を見た。その
鞏膜
(
きようまく
)
が変に光つてゐる。
静物
(新字旧仮名)
/
十一谷義三郎
(著)
中引
(
なかびけ
)
過ぎに
密
(
そ
)
ッと
這出
(
はいだ
)
して行って湯殿口でざっくり膝を切って、それが
許
(
もと
)
で亡くなったのも、お
前
(
めえ
)
、剃刀がそこに落ッこちていたんだそうさ。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「雨はどうじゃ……ちと曇ったぞ。」と、
密
(
そ
)
と、袖を
捲
(
ま
)
きながら、紅白の旗のひらひらする、小松大松のあたりを見た。
茸の舞姫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わし
)
は
余
(
あま
)
り
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
さに
顔
(
かほ
)
も
上
(
あ
)
げられないで
密
(
そ
)
つと
盗
(
ぬす
)
むやうにして
見
(
み
)
ると、
婦人
(
をんな
)
は
何事
(
なにごと
)
も
別
(
べつ
)
に
気
(
き
)
に
懸
(
か
)
けては
居
(
を
)
らぬ
様子
(
やうす
)
、
其
(
その
)
まゝ
後
(
あと
)
へ
跟
(
つ
)
いて
出
(
で
)
やうとする
時
(
とき
)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
瞳
(
ひとみ
)
も
据
(
すわ
)
らず、
血
(
ち
)
の
褪
(
あ
)
せた
男
(
をとこ
)
の
顏
(
かほ
)
を、
水晶
(
すゐしやう
)
の
溶
(
と
)
けたる
如
(
ごと
)
き
瞳
(
ひとみ
)
に
艶
(
つや
)
を
籠
(
こ
)
めて
凝
(
ぢつ
)
と
視
(
み
)
ると、
忘
(
わす
)
れた
状
(
さま
)
に
下
(
した
)
まぶち、
然
(
さ
)
り
氣
(
げ
)
なく
密
(
そ
)
と
當
(
あ
)
てた、
手巾
(
ハンケチ
)
に
露
(
つゆ
)
が
掛
(
かゝ
)
かつた。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僧都 いや、いや、黒潮と赤潮が、
密
(
そ
)
と
爪弾
(
つまはじ
)
きしましたばかり。人命を断つほどではござりませなんだ。
海神別荘
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
枕を前に、飜った
掻巻
(
かいまき
)
を
背
(
せな
)
の力に、堅いもののごとく
腕
(
かいな
)
を解いて、
密
(
そ
)
とその
鬢
(
びん
)
を
掻上
(
かきあ
)
げた。我が髪ながらヒヤリと冷たく、
褄
(
つま
)
に乱れた
縮緬
(
ちりめん
)
の、
浅葱
(
あさぎ
)
も色の
凄
(
すご
)
きまで。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
婀娜
(
あだ
)
な声、
暗中
(
やみ
)
に
留南奇
(
とめき
)
がはっと立つ。
衣摺
(
きぬずれ
)
の音するすると、しばらくして、隔ての
襖
(
ふすま
)
に
密
(
そ
)
と手を掛けた、ひらめく稲妻、輝く
白金
(
プラチナ
)
、きらりと指環の小蛇を射る。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかで
見
(
み
)
むとて
寢
(
ね
)
もやらず、
美
(
うつく
)
しき
懷
(
ふところ
)
より、かしこくも
密
(
そ
)
と
見參
(
みまゐ
)
らすれば、
其
(
そ
)
の
上
(
うへ
)
に
尚
(
な
)
ほ
女夫
(
めをと
)
雛
(
びな
)
の
微笑
(
ほゝゑ
)
み
給
(
たま
)
へる。それも
夢
(
ゆめ
)
か、
胡蝶
(
こてふ
)
の
翼
(
つばさ
)
を
櫂
(
かい
)
にして、
桃
(
もゝ
)
と
花菜
(
はなな
)
の
乘合
(
のりあひ
)
船
(
ぶね
)
。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
謹
(
つゝし
)
んで
持
(
も
)
つて
寄
(
よ
)
る、
小刀
(
こがたな
)
を
受取
(
うけと
)
ると、
密
(
そ
)
と
取合
(
とりあ
)
つた
手
(
て
)
を
放
(
はな
)
して、
柔
(
やはら
)
かに、
優
(
やさ
)
しく、
雪枝
(
ゆきえ
)
の
手
(
て
)
の
甲
(
かう
)
の、
堅
(
かた
)
く
成
(
な
)
つて
指
(
ゆび
)
も
動
(
うご
)
かぬを、
撫
(
な
)
でさすりつゝ、
美女
(
たをやめ
)
が
其
(
そ
)
の
掌
(
てのひら
)
に
握
(
にぎ
)
らせた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
小戻
(
こもどり
)
をしようとして、幹がくれに
密
(
そ
)
と覗いて、
此方
(
こなた
)
をば
熟
(
じっ
)
と
視
(
み
)
る時、
俯目
(
ふしめ
)
になった。
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「失敬な。」も口の
裡
(
うち
)
で、島野は顔を見らるると
極
(
きまり
)
悪そうに
四辺
(
あたり
)
をきょろきょろ。茶店の
女
(
むすめ
)
は、目の前にほっかりと黒毛の
駒
(
こま
)
が汗ばんで立ってるのを
憚
(
はばか
)
って、
密
(
そ
)
と
洋盃
(
コップ
)
を
齎
(
もた
)
らした。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
密
(
そ
)
と押える手に、
簪
(
かざし
)
を抜いて、
戦
(
わなな
)
く医学生の
襟
(
えり
)
に
挟
(
はさ
)
んで、
恍惚
(
うっとり
)
したが、
瞳
(
ひとみ
)
が動き
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
手
(
て
)
を
以
(
もつ
)
て
密
(
そ
)
と
肌
(
はだへ
)
に
觸
(
ふ
)
るゝに、
滑
(
なめら
)
かに
白
(
しろ
)
く
膩
(
あぶら
)
づきて、
猶
(
なほ
)
暖
(
あたゝか
)
なるものに
似
(
に
)
たり。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
背
(
うしろ
)
片手で
密
(
そ
)
とあとをしめて、三畳ばかり暗い処で姿が消えたが、静々と、十畳の
広室
(
ひろま
)
に
顕
(
あらわ
)
れると、
二室
(
ふたま
)
越
二重
(
ふたえ
)
の襖、いずれも一枚開けたままで、玄関の
傍
(
わき
)
なるそれも六畳、長火鉢にかんかんと
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
時に
襖
(
ふすま
)
に
密
(
そ
)
と当った、
柔
(
やわらか
)
な
衣
(
きぬ
)
の
気勢
(
けはい
)
があった——それは次の座敷からで——先生の二階は、八畳と六畳
二室
(
ふたま
)
で、その八畳の方が書斎であるが、ここに坂田と相対したのは、壇から
上口
(
あがりぐち
)
の六畳の方。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
癩坊主
(
かったいぼうず
)
が、ねだり言を
肯
(
うけご
)
うて、千金の釵を棄てられた。その
心操
(
こころばえ
)
に感じて、
些細
(
ささい
)
ながら、礼心に
密
(
そ
)
と内証の事を申す。
貴女
(
あなた
)
、雨乞をなさるが
可
(
よ
)
い。——天の時、地の利、人の和、まさしく時節じゃ。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
癩坊主
(
かったいぼうず
)
が、ねだり
言
(
ごと
)
を
肯
(
うけご
)
うて、
千金
(
せんきん
)
の
釵
(
かんざし
)
を
棄
(
す
)
てられた。其の
心操
(
こころばえ
)
に感じて、
些細
(
ささい
)
ながら、
礼心
(
れいごころ
)
に
密
(
そ
)
と
内証
(
ないしょう
)
の事を申す。
貴女
(
あなた
)
、
雨乞
(
あまごい
)
をなさるが
可
(
よ
)
い。——
天
(
てん
)
の時、
地
(
ち
)
の利、
人
(
ひと
)
の和、まさしく
時節
(
じせつ
)
ぢや。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
仰向
(
あおむ
)
いて目を
瞑
(
ねむ
)
ったが、半眼になって、傾きざまに膝を
密
(
そ
)
と打ち
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
門に立忍んで、
密
(
そ
)
と扉を開けて、横から様子を伺ったものである。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
片手を
密
(
そ
)
つと動かすと自由に動いた。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
耳許はずれに
密
(
そ
)
と
覗
(
のぞ
)
く。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
美女
(
たをやめ
)
は
密
(
そ
)
と
鬢
(
びん
)
を
圧
(
おさ
)
へた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“密”の意味
《名詞・形容動詞》
ひそかな様。隠密。
関係が深い様。親密。
ぎっしりと詰まっている様。一定の枠の中に多くのものが集まる様。
きめこまかい様。綿密。
新型コロナウイルスの流行下において、避けるべきとされる「密接」、「密閉」、「密接」のこと。3密。
(出典:Wiktionary)
密
常用漢字
小6
部首:⼧
11画
“密”を含む語句
秘密
密々
密告
密接
密通
内密
密着
祕密
密夫
親密
隠密
密会
密書
密語
密偵
稠密
密林
精密
密集
密貿易
...