以来いらい)” の例文
旧字:以來
わたしの真心まごころで、あにのたましいも、はじめて、なぐさめられたものか、ふしぎなハーモニカのも、それ以来いらいしなくなったのでありました。
たましいは生きている (新字新仮名) / 小川未明(著)
やっと心配しながら自分の部屋へやに一人じこもることができた。これはわたしが白鳥号に乗り合わせて以来いらいはじめてのふゆかいなばんであった。
碓氷の合戦は甲軍こうぐんの大勝となって、敵将の憲政のりまさの首まであげたので、以来いらい信玄しんげんはそのわしやかたにもちかえり、愛育していた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
エヽ商法しやうはふ様々さま/″\ありまするが、文明開化ぶんめいかいくわなかになつて以来いらいなんでも新発明しんはつめい新発明しんはつめいといふので追々おい/\この新商法しんしやうはふといふものが流行をいたしまする。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それ以来いらい二人ふたり夕方ゆうがた、しばしば一しょに散歩さんぽかけた。だまって歩いて、河に沿っていったり、野を横切よこぎったりした。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
おほからうが。おほいぞ。おかへまをせ。——折角せつかくですが、かやうなことくせになりますで、以来いらい悪例あくれいになりますでな。」
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まあすべてがその調子ちょうしでした。震災しんさい以来いらい身体からだよわためもあったでしょうが蒐集癖しゅうしゅうへき大分だいぶうすらいだようです。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ソログーブが四つのときにちちんで以来いらいはははよそのいえ女中奉公じょちゅうぼうこうをして一人子ひとりごそだげた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
そのとき以来いらい老人ろうじんにはわなかつたということもいつたはずです。ところが金魚きんぎょがあのつちにいけたはちなかれられたのは五がつ、お節句せっくあさだということがわかつたんでしよう。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
「三ごく干渉かんしょう遼東りょうとう還附かんぷ以来いらいうら骨髄こつずいてっしているんだ。理窟も糸瓜へちまもあるものか?」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
これぞ我大日本国の開闢かいびゃく以来いらい、自国人の手を以て自国の軍艦ぐんかん運転うんてんし遠く外国にわたりたる濫觴らんしょうにして、この一挙いっきょ以て我国の名声めいせいを海外諸国に鳴らし、おのずから九鼎きゅうてい大呂たいりょおもきを成したるは
「惜しいですなあ。すると、これは取りやめて、以来いらい自暴酒やけざけというわけですか」
アダムの二本棒にほんぼう意地いぢきたなさのつまぐひさへずば開闢かいびやく以来いらい五千ねん今日こんにちまで人間にんげん楽園パラダイス居候ゐさふらふをしてゐられべきにとンだとばちりはたらいてふといふ面倒めんだうしやうじ〻はさて迷惑めいわく千万せんばんの事ならずや。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
三日前みっかまえよるの四つごろ浜町はまちょうからの使つかいといって、十六七のおとこが、駕籠かごったおんなおくってたそのばん以来いらい、おきしはおせんのくちから、観音様かんのんさまへのがんかけゆえ、むこう三十にちあいだ何事なにごとがあっても
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
……それ以来いらいというもの、国王こくおうは、なかの、いろいろなことに、ご興味きょうみをもたせられて、あるときは、ご旅行りょこうをあそばされ、またあるときは
珍しい酒もり (新字新仮名) / 小川未明(著)
鉄道ができて以来いらい、フランス南部地方の運河うんがを見に来る人もなければ、知る人すらないようになったが、でもこれはやはりフランス名物の一つであった。
と、芥川あくたがはさんがえいじて以来いらい、——東京府とうきやうふこゝろある女連をんなれんは、東北とうほく旅行りよかうする亭主ていしゆためおかゝのでんぶと、焼海苔やきのりと、梅干うめぼしと、氷砂糖こほりざたう調とゝのへることを、陰膳かげぜんとゝもにわすれないことつた。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その以来いらい、クリストフはもう作曲家さっきょくかになったのだったから、作曲さっきょくにとりかかった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
ひと思想しそうも、なにかに原因げんいんするものか、以来いらいわたしは、地上ちじょうはなよりは、大空おおぞらをいくくもあいするようになりました。
らんの花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
して、百年ひやくねん以来いらい天守てんしゆあるあやしいものゝさらはれて、いまらるゝとほりの苦艱くげんける……なにとぞおもむきを、温泉をんせんいま逗留とうりうするをつとつたへて、寸時すんじはや人間界にんげんかいたすけられたい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
時計とけいしろまるかおうえには、ガラスがなくなって以来いらい、まだ、あたらしいガラスが、はまっていませんでした。
時計とよっちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
古間木こまき東北本線とうほくほんせん)へお出迎でむかくだすつた以来いらいくち休屋やすみやかけて、三とまり。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
このころが、みやこもいちばんにぎやかな時分じぶんとみえて、去年きょねんあき以来いらいなかった景気けいきでございました。
馬を殺したからす (新字新仮名) / 小川未明(著)
白痴殿ばかどの女房にようぼうになつて、なかへはもやらぬかはりにやあ、嬢様ぢやうさま如意自在によゐじざいをとこはよりつて、けば、いきをかけてけものにするわ、こと洪水こうずゐ以来いらいやま穿うがつたこのながれ天道様てんたうさまがおさづけの
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ところが、それ以来いらい青服あおふくには、競輪けいりんも、競馬けいばも、いっこうにうんがむいてこず、かね工面くめんくるしみました。一ぽう家主やぬしからは、つぎばやにかねをさいそくされたのであります。
春はよみがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのとし以来いらいふゆになっても、ふたたびやまには牛女うしおんなくろ姿すがたえなかったのであります。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、みにくかたちとなったが、よりつよきるという決心けっしんは、それ以来いらいこったのであります。いまは、もはや、どんなにおおきなかぜいてもたおれはしないという自信じしんがもてるようになりました。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それは、それ以来いらいむすめさんが二とやってきてくれなかったことです。
街の幸福 (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人しゅじんはそれ以来いらいいくたびとなく、病院びょういんかれをみまいました。
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
それ以来いらい、このかねらすものがなくなりました。
娘と大きな鐘 (新字新仮名) / 小川未明(著)