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薄暗
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うすくら
ふりがな文庫
“
薄暗
(
うすくら
)” の例文
旧冬
(
きうとう
)
より
降積
(
ふりつもり
)
たる雪家の
棟
(
むね
)
よりも高く、春になりても家内
薄暗
(
うすくら
)
きゆゑ、
高窓
(
たかまど
)
を
埋
(
うづめ
)
たる雪を
掘
(
ほり
)
のけて
明
(
あかり
)
をとること前にもいへるが如し。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
が
小使部屋
(
こづかひべや
)
の
前
(
まへ
)
を
通
(
とほ
)
りかゝつた
時
(
とき
)
、
大
(
おほ
)
きな
爐
(
ろ
)
の
炭火
(
すみび
)
が
妙
(
めう
)
に
赤
(
あか
)
く
見
(
み
)
える
薄暗
(
うすくら
)
い
中
(
なか
)
から、
子供
(
こども
)
をおぶつた
内儀
(
かみ
)
さんが
慌
(
あわ
)
てゝ
聲
(
こゑ
)
をかけた。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
山
(
やま
)
全体
(
ぜんたい
)
が
動
(
うご
)
いたやうだつた。
急
(
きふ
)
に
四辺
(
あたり
)
が
薄暗
(
うすくら
)
くなり、
引
(
ひ
)
き
裂
(
さ
)
けるやうな
冷
(
つめた
)
い
風
(
かぜ
)
の
唸
(
うな
)
りが
起
(
おこ
)
つてきたので、
驚
(
おどろ
)
いたラランは
宙返
(
ちうがへ
)
りしてしまつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
それと
知
(
し
)
れば
俄
(
にはか
)
に
肩
(
かた
)
すぼめられて
見
(
み
)
る
人
(
ひと
)
なければ
遽
(
あはたゞ
)
しく
片蔭
(
かたかげ
)
のある
薄暗
(
うすくら
)
がりに
車
(
くるま
)
も
我
(
われ
)
も
寄
(
よ
)
せて
憩
(
いこ
)
ひつ、
靜
(
しづ
)
かに
顧
(
かへり
)
みれば
是
(
こ
)
れも
笹原
(
さゝはら
)
走
(
はし
)
るたぐひ
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其
(
その
)
翌日
(
よくじつ
)
から、
私
(
わたくし
)
は
朝
(
あさ
)
は
東雲
(
しのゝめ
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い
時分
(
じぶん
)
から、
夕
(
ゆふべ
)
は
星影
(
ほしかげ
)
の
海
(
うみ
)
に
落
(
お
)
つる
頃
(
ころ
)
まで、
眞黒
(
まつくろ
)
になつて
自動鐵檻車
(
じどうてつおりのくるま
)
の
製造
(
せいぞう
)
に
從事
(
じゆうじ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
荒物屋
(
あらものや
)
の
軒下
(
のきした
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い処に、
斑犬
(
ぶちいぬ
)
が一頭、うしろ
向
(
むき
)
に、長く伸びて寝て居たばかり、事なく着いたのは由井ヶ浜である。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今迄三千代の
陰
(
かげ
)
に
隠
(
かく
)
れてぼんやりしてゐた平岡の
顔
(
かほ
)
が、此時
明
(
あき
)
らかに代助の
心
(
こゝろ
)
の
瞳
(
ひとみ
)
に
映
(
うつ
)
つた。代助は急に
薄暗
(
うすくら
)
がりから
物
(
もの
)
に襲はれた様な気がした。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
道翹
(
だうげう
)
は
蛛
(
くも
)
の
網
(
い
)
を
拂
(
はら
)
ひつゝ
先
(
さき
)
に
立
(
た
)
つて、
閭
(
りよ
)
を
豐干
(
ぶかん
)
のゐた
明家
(
あきや
)
に
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つた。
日
(
ひ
)
がもう
暮
(
く
)
れ
掛
(
か
)
かつたので、
薄暗
(
うすくら
)
い
屋内
(
をくない
)
を
見𢌞
(
みまは
)
すに、がらんとして
何
(
なに
)
一つ
無
(
な
)
い。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
それに
四辺
(
あたり
)
が
妙
(
みょう
)
に
薄暗
(
うすくら
)
くて
気
(
き
)
が
滅入
(
めい
)
るようで、
誰
(
だれ
)
しもあんな
境遇
(
きょうぐう
)
に
置
(
お
)
かれたら、
恐
(
おそ
)
らくあまり
朗
(
ほがら
)
かな
気分
(
きぶん
)
にはなれそうもないかと
考
(
かんが
)
えられるのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
駄夫は変にモソモソして、何んだか妙に
瞬
(
まじろぎ
)
ばかり為たいやうな気になりながら、階段に浮かぶ朦朧とした
薄暗
(
うすくら
)
がりを吸ひ又吐いて静かな
階下
(
した
)
へ降りて来たら……
竹藪の家
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
その樣は恰も、彼處の安全と幸福の爲めには、此處にあるすべてのものは、一瞬の内に犧牲に供されてもよいと云ふかのやうに見えた。
薄暗
(
うすくら
)
がりの部屋は
幻
(
まぼろし
)
で一ぱいになつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
土浦
(
つちうら
)
から
彼
(
かれ
)
は
疲
(
つか
)
れた
足
(
あし
)
を
後
(
あと
)
に
捨
(
す
)
てゝ
自分
(
じぶん
)
は
力
(
ちから
)
の
限
(
かぎ
)
り
歩
(
ある
)
いた。それでも
村
(
なら
)
へはひつた
時
(
とき
)
は
行
(
ゆ
)
き
違
(
ちが
)
ふ
人
(
ひと
)
がぼんやり
分
(
わか
)
る
位
(
くらゐ
)
で
自分
(
じぶん
)
の
戸口
(
とぐち
)
に
立
(
た
)
つた
時
(
とき
)
は
薄暗
(
うすくら
)
い
手
(
て
)
ランプが
柱
(
はしら
)
に
懸
(
かゝ
)
つて
燻
(
くす
)
ぶつて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
坪内博士は
薄暗
(
うすくら
)
い土間の隅つこを、鶏のやうに脚で掻き捜してゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
薄暗
(
うすくら
)
い長屋の隅で
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
云へ
御殿場迄
(
ごてんばまで
)
の
旦那殿
(
だんなどの
)
と
讓合
(
ゆづりあ
)
う中何時か我家の
表
(
おもて
)
へ來りしが日は西山へ入て
薄暗
(
うすくら
)
ければ外より是お里
遠州
(
ゑんしう
)
の兄が來たと云にお里は
應
(
あい
)
と云出る此家の
構
(
かま
)
へ昔は然るべき百姓とも云るれど今は
壁
(
かべ
)
落
(
おち
)
骨
(
ほね
)
顯
(
あらは
)
れ
茅
(
かや
)
の
軒端
(
のきば
)
の
傾
(
かたむ
)
きて
柱
(
はしら
)
に
緘
(
から
)
む
蔦葛
(
つたかづら
)
糸瓜
(
へちま
)
の花の
亂
(
みだ
)
れ
咲
(
ざ
)
き
住荒
(
すみあら
)
したる
賤
(
しづ
)
が家に娘のお里は十七歳
縹致
(
きりやう
)
は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
旧冬
(
きうとう
)
より
降積
(
ふりつもり
)
たる雪家の
棟
(
むね
)
よりも高く、春になりても家内
薄暗
(
うすくら
)
きゆゑ、
高窓
(
たかまど
)
を
埋
(
うづめ
)
たる雪を
掘
(
ほり
)
のけて
明
(
あかり
)
をとること前にもいへるが如し。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
荒物屋
(
あらものや
)
の
軒下
(
のきした
)
の
薄暗
(
うすくら
)
い
處
(
ところ
)
に、
斑犬
(
ぶちいぬ
)
が一
頭
(
とう
)
、うしろ
向
(
むき
)
に、
長
(
なが
)
く
伸
(
の
)
びて
寢
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
たばかり、
事
(
こと
)
なく
着
(
つ
)
いたのは
由井
(
ゆゐ
)
ヶ
濱
(
はま
)
である。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
八カ月の長い間
薄暗
(
うすくら
)
い獄舎の日光に浴したのち、彼は
蒼空
(
あおぞら
)
の
下
(
もと
)
に引き出されて、新たに刑壇の上に立った。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
だが、親も家もない私だつたから、變な昂奮や向う見ずや熱狂からではあつたが、風がもつと劇しく
吼
(
ほ
)
え、
薄暗
(
うすくら
)
がりが暗黒になり、この混雜が大騷ぎになればいゝと思つてゐた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
勿論
(
もちろん
)
ここは
墓場
(
はかば
)
ではない。
墓
(
はか
)
は
現界
(
げんかい
)
のもので、こちらの
世界
(
せかい
)
に
墓
(
はか
)
はない……。
現在
(
げんざい
)
そなたの
眼
(
め
)
にはこの
岩屋
(
いわや
)
が
薄暗
(
うすくら
)
く
感
(
かん
)
ずるであろうが、これは
修行
(
しゅぎょう
)
が
積
(
つ
)
むにつれて
自然
(
しぜん
)
に
明
(
あか
)
るくなる。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
成
(
な
)
る
事
(
こと
)
ならば
薄暗
(
うすくら
)
き
部屋
(
へや
)
のうちに
誰
(
た
)
れとて
言葉
(
ことば
)
をかけもせず
我
(
わ
)
が
顏
(
かほ
)
ながむる
者
(
もの
)
なしに
一人
(
ひとり
)
氣
(
き
)
まゝの
朝夕
(
てうせき
)
を
經
(
へ
)
たや、さらば
此樣
(
このひやう
)
の
憂
(
う
)
き
事
(
こと
)
ありとも
人目
(
ひとめ
)
つゝましからずは
斯
(
か
)
くまで
物
(
もの
)
は
思
(
おも
)
ふまじ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
猛狒
(
ゴリラ
)
と
大奮鬪
(
だいふんとう
)
の
塲所
(
ばしよ
)
から
凡
(
およ
)
そ七八
町
(
ちやう
)
も
歩
(
あゆ
)
んだと
思
(
おも
)
ふ
頃
(
ころ
)
、
再
(
ふたゝ
)
び
海
(
うみ
)
の
見
(
み
)
える
所
(
ところ
)
へ
出
(
で
)
た。それから、
丘陵
(
をか
)
二つ
越
(
こ
)
え、
一筋
(
ひとすぢ
)
の
清流
(
ながれ
)
を
渡
(
わた
)
り、
薄暗
(
うすくら
)
い
大深林
(
だいしんりん
)
の
間
(
あひだ
)
を
※
(
す
)
ぎ、
終
(
つひ
)
に
眼界
(
がんかい
)
の
開
(
ひら
)
くる
所
(
ところ
)
、
大佐
(
たいさ
)
の
家
(
いへ
)
を
眺
(
なが
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
いや、
行燈
(
あんどう
)
が
又
(
また
)
薄暗
(
うすくら
)
くなつて
参
(
まゐ
)
つたやうぢやが、
恐
(
おそ
)
らくこりや
白痴
(
ばか
)
の
所為
(
せゐ
)
ぢやて。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
物
(
もの
)
いはねば
狹
(
せま
)
き
家
(
いゑ
)
の
内
(
うち
)
も
何
(
なん
)
となくうら
淋
(
さび
)
しく、くれゆく
空
(
そら
)
のたど/\しきに
裏屋
(
うらや
)
はまして
薄暗
(
うすくら
)
く、
燈火
(
あかり
)
をつけて
蚊遣
(
かや
)
りふすべて、お
初
(
はつ
)
は
心細
(
こゝろぼそ
)
く
戸
(
と
)
の
外
(
そと
)
をながむれば、いそ/\と
歸
(
かへ
)
り
來
(
く
)
る
太吉郎
(
たきちらう
)
の
姿
(
すがた
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
翌朝
(
よくあさ
)
は
薄暗
(
うすくら
)
い
内
(
うち
)
から
此處
(
こゝ
)
を
出發
(
しゆつぱつ
)
した。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
薄
常用漢字
中学
部首:⾋
16画
暗
常用漢字
小3
部首:⽇
13画
“薄暗”で始まる語句
薄暗闇
薄暗黒