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旦那殿
面白うもない
歌留多をうつてゐて
夜を
更かし、今からは
往なれまい、
旦那殿も
大津祭に
行かれて
留守ぢやほどに、泊つてなりと行きやと、兄弟の
忝けなさは
何の遠慮もなく一所に寝るを
云へ
御殿場迄の
旦那殿と
讓合う中何時か我家の
表へ來りしが日は西山へ入て
薄暗ければ外より是お里
遠州の兄が來たと云にお里は
應と云出る此家の
構へ昔は然るべき百姓とも云るれど今は
壁落骨顯れ
茅の
軒端の
傾きて
柱に
緘む
蔦葛糸瓜の花の
亂れ
咲き
住荒したる
賤が家に娘のお里は十七歳
縹致は