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きやはん
ふりがな文庫
“
脚絆
(
きやはん
)” の例文
この娘が手甲
脚絆
(
きやはん
)
に
負摺
(
おひづる
)
を背負つて、
饅頭笠
(
まんぢゆうがさ
)
に顏を隱したとしても、その
楚々
(
そゝ
)
たる姿や青春の美しさが沁み出るやうな
御詠歌
(
ごえいか
)
の聲や
銭形平次捕物控:250 母娘巡礼
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
述
(
のべ
)
用意
(
ようい
)
の
雨具
(
あまぐ
)
甲掛
(
かふかけ
)
脚絆
(
きやはん
)
旅拵
(
たびごしら
)
へもそこ/\に
暇乞
(
いとまごひ
)
して
門
(
かど
)
へ立出
菅笠
(
すげがさ
)
さへも
阿彌陀
(
あみだ
)
に
冠
(
かぶ
)
るは
後
(
あと
)
より
追
(
おは
)
るゝ
無常
(
むじやう
)
の
吹降
(
ふきぶり
)
桐油
(
とうゆ
)
の
裾
(
すそ
)
へ提灯の
灯
(
ひ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
丁度そこへ足を投出して、
脚絆
(
きやはん
)
を着けて居るところへ、下女の袈裟治に膳を運ばせて、つゞいて入つて来たのはお志保である。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
足
(
あし
)
には
脚絆
(
きやはん
)
と
草鞋
(
わらぢ
)
とを
穿
(
はい
)
て
背
(
せ
)
には
蓙
(
ござ
)
を
負
(
お
)
うて
居
(
ゐ
)
る。
蓙
(
ござ
)
は
終
(
た
)
えず
彼
(
かれ
)
の
背後
(
はいご
)
にがさ/\と
鳴
(
な
)
つて
其
(
そ
)
の
耳
(
みゝ
)
を
騷
(
さわ
)
がした。
彼
(
かれ
)
は
遂
(
つひ
)
に
土手
(
どて
)
から
折
(
を
)
れて
東
(
ひがし
)
へ/\と
走
(
はし
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
べつに一尺八寸の
打刀
(
うちがたな
)
をも同じ拵にて、髪は掴み乱して荒縄にてむづとしめ、
黒革
(
くろかは
)
の
脚絆
(
きやはん
)
をし、同行常に二十人ばかり、熊手、
鉞
(
まさかり
)
などを担がせて固め、人々ゆきあふ時は
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
と
言
(
い
)
つたと
言
(
い
)
ふ——
眞個
(
ほんたう
)
か
知
(
し
)
らん、いや、
嘘
(
うそ
)
でない。
此
(
これ
)
は
私
(
わたし
)
の
内
(
うち
)
へ
來
(
き
)
て(
久保勘
(
くぼかん
)
)と
染
(
そ
)
めた
印半纏
(
しるしばんてん
)
で、
脚絆
(
きやはん
)
の
片
(
かた
)
あしを
擧
(
あ
)
げながら、
冷酒
(
ひやざけ
)
のいきづきで
御當人
(
ごたうにん
)
の
直話
(
ぢきわ
)
なのである。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
田の境の
溝
(
どぶ
)
には
藺
(
ゐ
)
がツンツン出て、雑草が網のやうに茂つてゐた。見て
居
(
ゐ
)
ると街道には車が通る、馬が通る、
児
(
こ
)
をたゞ
負
(
おん
)
ぶした田舎の
上
(
かみ
)
さんが通る、
脚絆
(
きやはん
)
甲
(
かふ
)
かけの旅人が通る。
父の墓
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
「そんな事だつたら、何で
脚絆
(
きやはん
)
だ、
草鞋
(
わらぢ
)
だつて
穿
(
は
)
かせてやることがあらうば。」
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
脚絆
(
きやはん
)
草鞋
(
わらぢ
)
の
足拵
(
あしごしら
)
へは、見てくればかり軽さうだが、当分は
御膝許
(
おひざもと
)
の日の目せえ、拝まれ無え事を考へりや、実は気も滅入つての、古風ぢやあるが一足毎に、後髪を引かれるやうな心もちよ。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
駕籠
(
かご
)
に
乘
(
の
)
つて
行
(
ゆ
)
かうかと
思
(
おも
)
つたけれど、それも
大層
(
たいそう
)
だし、
長閑
(
のどか
)
な
春日和
(
はるびより
)
を、
麥畑
(
むぎばたけ
)
の
上
(
うへ
)
に
舞
(
ま
)
ふ
雲雀
(
ひばり
)
の
唄
(
うた
)
を
聽
(
き
)
きつゝ、
久
(
ひさ
)
し
振
(
ぶ
)
りで
旅人
(
たびびと
)
らしい
脚絆
(
きやはん
)
の
足
(
あし
)
を
運
(
はこ
)
ぶのも
面白
(
おもしろ
)
からう、
何
(
な
)
んの六
里
(
り
)
ぐらゐの
田舍路
(
ゐなかみち
)
を
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
男も女も
脚絆
(
きやはん
)
して
足早
(
あしばや
)
に
上
(
のぼ
)
りゆく旅姿こそをかしからめ。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
笠
(
かさ
)
、
脚絆
(
きやはん
)
、手甲、
杖
(
つゑ
)
、
掛絡
(
けら
)
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
萬筋
(
まんすぢ
)
の野暮つたい
袷
(
あはせ
)
に、
手甲
(
てつかふ
)
脚絆
(
きやはん
)
をつけ、置手拭までした恰好は、誰に教つたか知りませんが、すつかり行商人の板について居ります。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼の男
夫
(
それ
)
は
結構
(
けつこう
)
なこと
隨分
(
ずゐぶん
)
御達者で御歸り
成
(
なさ
)
れましハイ
然樣
(
さやう
)
ならばと
別
(
わか
)
れ
行
(
ゆく
)
を重四郎は
振返
(
ふりかへ
)
り見れば
胸當
(
むねあて
)
をして
股引
(
もゝひき
)
脚絆
(
きやはん
)
腰
(
こし
)
には三度
笠
(
がさ
)
を附
大莨袋
(
おほたばこいれ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
脚絆
(
きやはん
)
と
草鞋
(
わらぢ
)
とで
身
(
み
)
を
堅
(
かた
)
めた
勘次
(
かんじ
)
の
容子
(
ようす
)
を
不審
(
ふしん
)
に
思
(
おも
)
つた
南
(
みなみ
)
の
亭主
(
ていしゆ
)
へ
勘次
(
かんじ
)
は
突然
(
とつぜん
)
訴
(
うつた
)
へるやうにいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そこで
茸
(
きのこ
)
の
扮裝
(
ふんさう
)
は、
縞
(
しま
)
の
着附
(
きつけ
)
、
括袴
(
くゝりばかま
)
、
腰帶
(
こしおび
)
、
脚絆
(
きやはん
)
で、
見徳
(
けんとく
)
、
嘯吹
(
うそぶき
)
、
上髯
(
うはひげ
)
の
面
(
めん
)
を
被
(
かぶ
)
る。その
傘
(
かさ
)
の
逸
(
いち
)
もつが、
鬼頭巾
(
おにづきん
)
で
武惡
(
ぶあく
)
の
面
(
めん
)
ださうである。
岩茸
(
いはたけ
)
、
灰茸
(
はひたけ
)
、
鳶茸
(
とびたけ
)
、
坊主茸
(
ばうずたけ
)
の
類
(
たぐひ
)
であらう。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
われは身に一枚の
藺席
(
ござ
)
を纏ひ、しほたれたる白地の
浴衣
(
ゆかた
)
を着、脚には
脚絆
(
きやはん
)
も
穿
(
うが
)
たず、
頭
(
かしら
)
には帽子をも戴かず、背には
下婢
(
げぢよ
)
の宿下りとも言ひつべき丸き
一箇
(
ひとつ
)
の風呂敷包を十文字に背負ひて
秋の岐蘇路
(旧字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
まるで夜逃げでもするやうに、近所の方に辨當まで拵へて貰ひ、
草鞋
(
わらぢ
)
やら
脚絆
(
きやはん
)
まで、軒の下に用意して置いたんだと聽いては、腹も立ちません。呆れ返つた野郎で
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
脚絆
(
きやはん
)
は
切
(
きれ
)
の
儘
(
まゝ
)
麻
(
あさ
)
で
足
(
あし
)
へ
括
(
くゝ
)
り
附
(
つ
)
けた。
此
(
こ
)
れも
其
(
そ
)
の
木綿
(
もめん
)
で
縫
(
ぬ
)
つた
頭陀袋
(
づだぶくろ
)
を
首
(
くび
)
から
懸
(
か
)
けさせて三
途
(
づ
)
の
川
(
かは
)
の
渡錢
(
わたしせん
)
だといふ六
文
(
もん
)
の
錢
(
ぜに
)
を
入
(
い
)
れてやつた。
髮
(
かみ
)
は
麻
(
あさ
)
で
結
(
むす
)
んで
白櫛
(
しろぐし
)
を
揷
(
さ
)
して
遣
(
や
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と
朗
(
ほがら
)
かな
聲
(
こゑ
)
で
念
(
ねん
)
じながら、
杖
(
つゑ
)
も
下
(
おろ
)
さず、
團子
(
だんご
)
持
(
も
)
つたなりに
額
(
ひたひ
)
にかざして、
背後
(
うしろ
)
は
日陰
(
ひかげ
)
、
向
(
むか
)
つて
日向
(
ひなた
)
へ、
相坂
(
あひざか
)
の
方
(
かた
)
へ、……
冷
(
ひや
)
めし
草履
(
ざうり
)
を、づるりと
曳
(
ひ
)
いて、
白木綿
(
しろもめん
)
の
脚絆
(
きやはん
)
つけた
脚
(
あし
)
を
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
考へ居たりしが
大概
(
おほよそ
)
丑刻
(
やつ
)
時分
(
じぶん
)
とも思ふ頃
密
(
そつ
)
と起上り
寢床
(
ねどこ
)
にて
甲懸
(
かふがけ
)
脚絆
(
きやはん
)
迄も
穿
(
はき
)
率
(
いざ
)
と云へば
逃出
(
にげだ
)
すばかりの支度をなし夫より後藤が
寢
(
ね
)
たる
側
(
そば
)
に
指
(
さし
)
より宵の
酒宴
(
さかもり
)
の時見て置きたる胴卷の金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
此
(
こ
)
の
又
(
また
)
万金丹
(
まんきんたん
)
の
下廻
(
したまはり
)
と
来
(
き
)
た
日
(
ひ
)
には、
御存
(
ごぞん
)
じの
通
(
とほ
)
り、
千筋
(
せんすぢ
)
の
単衣
(
ひとへ
)
に
小倉
(
こくら
)
の
帯
(
おび
)
、
当節
(
たうせつ
)
は
時計
(
とけい
)
を
挟
(
はさ
)
んで
居
(
ゐ
)
ます、
脚絆
(
きやはん
)
、
股引
(
もゝひき
)
、
之
(
これ
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
草鞋
(
わらぢ
)
がけ、
千草木綿
(
ちくさもめん
)
の
風呂敷包
(
ふろしきづゝみ
)
の
角
(
かど
)
ばつたのを
首
(
くび
)
に
結
(
ゆは
)
へて
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
平次は
脚絆
(
きやはん
)
に
草鞋
(
わらぢ
)
と言つた裝束で、手槍を擔ぎ、子分達はさすがにそれほど大袈裟には用意しませんが、それでもいゝ若い者が、百姓一
揆
(
き
)
見たいに、竹槍まで
提
(
ひつさ
)
げて押し廻したのですから
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
薄
(
うす
)
い
髪
(
け
)
の、かじかんだお
盥結
(
たらひむす
)
びで、
襟
(
えり
)
へ
手拭
(
てぬぐひ
)
を
巻
(
ま
)
いて
居
(
ゐ
)
る、……
汚
(
きたな
)
い
笈摺
(
おひずり
)
ばかりを
背
(
せ
)
にして、
白木綿
(
しろもめん
)
の
脚絆
(
きやはん
)
、
褄端折
(
つまばしより
)
して、
草鞋穿
(
わらぢばき
)
なのが、ずつと
身
(
み
)
を
退
(
ひ
)
いて、トあとびしやりをした
駅員
(
えきゐん
)
のあとへ
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「へい、
殿樣
(
とのさま
)
へ、
御免
(
ごめん
)
なせいまし。」と
尻
(
しり
)
からげの
緊
(
しま
)
つた
脚絆
(
きやはん
)
。もろに
揃
(
そろ
)
へて
腰
(
こし
)
を
屈
(
かゞ
)
めて
揉手
(
もみで
)
をしながら、ふと
見
(
み
)
ると、
大王
(
だいわう
)
の
左右
(
さいう
)
の
御傍立
(
おわきだち
)
。
一
(
ひと
)
つは
朽
(
く
)
ちたか、
壞
(
こは
)
れたか、
大破
(
たいは
)
の
古廟
(
こべう
)
に
形
(
かたち
)
も
留
(
と
)
めず。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“脚絆”の解説
脚絆(きゃはん。脚半とも)とは、脛の部分に巻く布・革でできた被服。ゲートル(fr: guêtre)とも。
(出典:Wikipedia)
脚
常用漢字
中学
部首:⾁
11画
絆
漢検1級
部首:⽷
11画
“脚絆”で始まる語句
脚絆草鞋
脚絆掛
脚絆穿
脚絆留
脚絆手甲
脚絆甲掛
脚絆草鞋穿