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脚絆穿
主が帰って
間もない、店の
燈許へ、あの
縮緬着物を散らかして、
扱帯も、
襟も
引さらげて見ている
処へ、
三度笠を横っちょで、てしま
茣蓙、
脚絆穿、
草鞋でさっさっと
遣って来た
脚絆穿で、むかし
傀儡師と云った、
被蓋の箱を
頸に掛けて、胸へ着けた、
扮装は
仔細らしいが、山の手の台所でも、よく見掛ける、
所化か、勧行か、まやかしか、
風体怪しげなる鉢坊主。
見た
体は、
褪せた
尻切の茶の
筒袖を着て、袖を合わせて、手を
拱き、紺の
脚絆穿、
草鞋掛の細い脚を、車の裏へ、
蹈揃えて、
衝と伸ばした、
抜衣紋に
手拭を巻いたので、襟も隠れて見分けは附かぬ。