相應さうおう)” の例文
新字:相応
殘しおき力に思ふ妻に別れし事なれば餘所よそ見目みるめ可哀いぢらしく哀れと云ふも餘りあり斯くてあるべき事ならねばそれ相應さうおう野邊のべの送りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夫婦ふうふ毎夜まいよおな火鉢ひばち兩側りやうがはつて、食後しよくご時間じかんぐらゐはなしをした。はなし題目だいもく彼等かれら生活せいくわつ状態じやうたい相應さうおうした程度ていどのものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かれはかうしてきはめて悠長いうちやううごかすやうでありながら、それでもやとはれたさき扶持ふちはしてもらふので、相應さうおうぜにつゝあるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
小利口こりこうにきび/\と立𢌞たちまはつて、あさまへからきて、氣輕きがる身輕みがる足輕あしがる相應さうおう、くる/\とよくはたらうへはや江戸えどみづみて、早速さつそく情婦いろひとつと了簡れうけんから
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此方こちら此通このとほりつまらぬ活計くらしをしてれば、御前おまへゑんにすがつてむこ助力たすけけもするかと他人樣ひとさま處思おもはく口惜くちをしく、我慢がまんではけれど交際つきあひだけは御身分ごみぶん相應さうおうつくして
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小生事僥倖げうかうにも相應さうおうの資産獲得いたし候も、妻もなく、子もなければ、小生生存中は養女となし、死後はのこす可き物は何物によらず讓り渡し度く存じ居り候。小生は、云々
此の意味で周三は、一家内から相應さうおう手厚てあつ保護ほごを受けることになツた。繪を研究する爲には、てい内に、立派な獨立どくりつの畫室もてゝ貰ツた。そして他から見ると、言分いひぶんの無い幸な若様わかさまになツてゐた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
レントさいには相應さうおうなれど
合て見れば我等が謀計はかりごとあたりしなり今にては見らるゝ通り相應さうおう身上しんじやうも仕上たれば貴樣が今度遣ひし二人の路用金位ろようきんぐらゐは損をばかけよき江戸土産みやげ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何處どこうちからもそれ相應さうおうほとけへというてそなへる馳走ちさういて卯平うへいはじめて滿足まんぞくしたくちぬぐふことが出來できたのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
このおほきなあんを、たつた一人ひとりあづかつてゐるさへ、相應さうおうほねれるのに、其上そのうへ厄介やくかいしたらさぞ迷惑めいわくだらうと、宗助そうすけすこどくいろほかうごかした。すると宜道ぎだう
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
十歳とをばかりのころまでは相應さうおう惡戯いたづらもつよく、をんなにしてはと母親はゝおや眉根まゆねせさして、ほころびの小言こごとも十ぶんきしものなり、いまはゝ父親てゝおや上役うわやくなりしひとかくづまとやらおめかけとやら
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小利口こりこうにきび/\と立𢌞たちまはる、あさまへからきて、氣輕きがる身輕みがる足輕あしがる相應さうおう、くる/\とよくはたらうへはや江戸えどみづみて早速さつそく情婦いろひとつと了簡れうけんから、たか鼻柱はなばしらから手足てあしつめまで
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くらゐだからへんあかかほもして餘計よけい不愛想ぶあいさうにもえるのであつたが、のちには相應さうおう時候じこう挨拶あいさつもいへるやうにつたとおしな勘次かんじかたつたのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其方儀先代せんだい嘉川平助におんも有之り候由にて藤五郎藤三郎建部たてべ郷右衞門ばんすけ十郎右四人かくまひ候だん深切しんせつ致方いたしかたに候得共えども身分不相應さうおうなる儀につき以後法外之なき樣心掛べし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
專門せんもん工科こうくわ器械學きかいがくだから、企業熱きげふねつ下火したびになつた今日こんにちいへども日本中にほんぢゆう澤山たくさんある會社くわいしやに、相應さうおうくちひとつやふたつあるのは、勿論もちろんであるが、親讓おやゆづりの山氣やまぎ何處どこかにひそんでゐるものとえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
が、四疊半よでふはんでも六疊ろくでふでも、琵琶棚びはだなつきの廣間ひろまでも、そこは仁體にんてい相應さうおうとして、これに調子てうしがついて、別嬪べつぴんこゑかうとすると、三味線さみせん損料そんれうだけでもおやすくない。しろ指環ゆびわぜいがかゝる。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まんなかなる一まいとてもかぞふればまへなるを、ねがひのたか相應さうおう員數いんず手近てぢかところになくなりしとあらば、れにしてもうたがひは何處いづこくべき、調しらべられなばなにとせん、なにといはん、けんは罪深つみふか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
意趣いしゆがあらばわたしをおち、相手あいてにはわたしがなる、伯母おばさんめずにくだされともだへしてのゝしれば、なに女郎じよらう頬桁ほうげたたゝく、あねあとつぎの乞食こじきめ、手前てめへ相手あいてにはこれが相應さうおうだと多人數おほくのうしろより長吉ちようきち
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)