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㧞
これは
成らぬと
力足を
踏こたゆる
途端、さのみに
思はざりし
前鼻緒のずる/\と
㧞けて、
傘よりもこれこそ一の
大事に
成りぬ。
梯子段を
上ると、
廊下の
片側に
顔を
洗ふ
流し
場と
便所の
杉戸があり、
片側には三
畳と六
畳の
座敷が
三間ほど、いづれも
客があるらしく
閉め
切つた
襖の
外にスリツパが
㧞ぎ
捨てゝある。
それと
長吉聲をかくれば
丑松文次その
余の十
餘人、
方角をかへてばら/\と
逃足はやく、
㧞け
裏の
露路にかゞむも
有るべし、
口惜しいくやしい
口惜しい
口惜しい、
長吉め
文次め
丑松め