)” の例文
これはらぬと力足ちからあしふみこたゆる途端とたん、さのみにおもはざりし前鼻緒まへはなをのずる/\とけて、かさよりもこれこそ一の大事だいじりぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
梯子段はしごだんあがると、廊下らうか片側かたがはかほあらなが便所べんじよ杉戸すぎどがあり、片側かたがはには三でふと六でふ座敷ざしき三間みまほど、いづれもきやくがあるらしくつたふすまそとにスリツパがてゝある。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
それと長吉ちようきちこゑをかくれば丑松うしまつ文次ぶんじそのの十餘人よにん方角はうがくをかへてばら/\と逃足にげあしはやく、うら露路ろぢにかゞむもるべし、口惜くやしいくやしい口惜くやしい口惜くやしい、長吉ちようきち文次ぶんじ丑松うしまつ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
見舞みまいにとことらねばこゝろならねど、お使つかさきの一すんとても時計とけい目當めあてにして幾足いくあし幾町いくてうそのしらべのるしさ、けても、とはおもへど惡事あくじといへば折角せつかく辛棒しんぼう水泡むだにして
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まんなかなる一まいとてもかぞふればまへなるを、ねがひのたか相應さうおう員數いんず手近てぢかところになくなりしとあらば、れにしてもうたがひは何處いづこくべき、調しらべられなばなにとせん、なにといはん、けんは罪深つみふか
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)