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ほんじよ
ふりがな文庫
“
本所
(
ほんじよ
)” の例文
すぐ
其
(
そ
)
の
晩
(
ばん
)
、
辻
(
つじ
)
の
夜番
(
よばん
)
で、
私
(
わたし
)
に
恁
(
か
)
う
言
(
い
)
つて、
身
(
み
)
ぶるひをした
若
(
わか
)
い
人
(
ひと
)
がある。
本所
(
ほんじよ
)
から
辛
(
から
)
うじて
火
(
ひ
)
を
免
(
のが
)
れて
避難
(
ひなん
)
をして
居
(
ゐ
)
る
人
(
ひと
)
だつた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
両国橋は鉄橋になつて
虹
(
にじ
)
のやうな新興文化の気を
横
(
よこた
)
へてゐる。
本所
(
ほんじよ
)
地先の隅田川百本杭は抜き去られて、きれいな石垣になつた。
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
僕等は、「天神様」の外へ出た後、「
船橋屋
(
ふなばしや
)
」の
葛餅
(
くずもち
)
を食ふ相談をした。が、
本所
(
ほんじよ
)
に
疎遠
(
そゑん
)
になつた僕には「船橋屋」も容易に見つからなかつた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
遽
(
にはか
)
に千葉に行く事有りて、貫一は午後五時の
本所
(
ほんじよ
)
発を期して車を飛せしに、
咄嗟
(
あなや
)
、一歩の時を遅れて、二時間
後
(
のち
)
の次回を待つべき
倒懸
(
とうけん
)
の難に
遭
(
あ
)
へるなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
本所
(
ほんじよ
)
深川
(
ふかがは
)
浅草辺
(
あさくさへん
)
の路地裏には今もつて三四十年
前
(
まへ
)
黙阿弥劇に見るまゝの陰惨不潔無智なる生活が
残存
(
ざんぞん
)
して居る。
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
立出し頃は享保十六年十一月なりしが三吉は
種々
(
しゆ/″\
)
工夫して
本所
(
ほんじよ
)
柳原
町
(
まち
)
に
舂
(
つき
)
屋の權兵衞といふ者あり此者は
豫
(
かね
)
て
知人
(
しりびと
)
なる故是を
頼
(
たの
)
みて欺かばやと思ひ常盤橋御門を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
本所
(
ほんじよ
)
へ
行
(
い
)
つて探して見ようと思つて、
是真翁
(
ぜしんをう
)
の
家
(
いへ
)
を
暇乞
(
いとまごひ
)
して
是
(
これ
)
から
直
(
す
)
ぐに
本所
(
ほんじよ
)
へ
行
(
ゆ
)
きました。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
明暦大火
(
めいれきたいか
)
の
際
(
さい
)
、
濱町河岸
(
はまちようがし
)
の
本願寺境内
(
ほんがんじけいだい
)
に
於
(
おい
)
て、
又
(
また
)
關東大地震
(
かんとうだいぢしん
)
東京大火災
(
とうきようだいかさい
)
の
際
(
さい
)
、
本所
(
ほんじよ
)
被服廠跡
(
ひふくしようあと
)
に
於
(
おい
)
て、
旋風
(
せんぷう
)
のために、
死人
(
しにん
)
の
集團
(
しゆうだん
)
が
出來
(
でき
)
たことはよく
知
(
し
)
られた
悲慘事
(
ひさんじ
)
であつた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
三月十日の浅草
本所
(
ほんじよ
)
深川などのやられたやうなことが戦争の始めにあれば、しめた、といふので、死んだふりをしたり、無籍者になつたり、年齢をごまかしたり、余は丁種でござる
わが戦争に対処せる工夫の数々
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
今日
(
こんにち
)
の
本所
(
ほんじよ
)
は火事には会つても、洪水に会ふことはないであらう。が、その時の大水は僕の記憶に残つてゐるのでは一番
水嵩
(
みづかさ
)
の高いものだつた。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
野鼠
(
のねずみ
)
を
退治
(
たいぢ
)
るものは
狸
(
たぬき
)
と
聞
(
き
)
く。……
本所
(
ほんじよ
)
、
麻布
(
あざぶ
)
に
續
(
つゞ
)
いては、この
邊
(
あたり
)
が
場所
(
ばしよ
)
だつたと
言
(
い
)
ふのに、あゝ、その
狸
(
たぬき
)
の
影
(
かげ
)
もない。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貧しい
本所
(
ほんじよ
)
の一
区
(
く
)
が
此処
(
こゝ
)
に
尽
(
つ
)
きて
板橋
(
いたばし
)
のかゝつた
川向
(
かはむか
)
うには
野草
(
のぐさ
)
に
蔽
(
おほ
)
はれた
土手
(
どて
)
を越して、
亀井戸村
(
かめゐどむら
)
の
畠
(
はたけ
)
と
木立
(
こだち
)
とが美しい田園の
春景色
(
はるげしき
)
をひろげて見せた。
蘿月
(
らげつ
)
は踏み
止
(
とゞま
)
つて
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
さて
是真翁
(
ぜしんをう
)
の
宅
(
たく
)
を
暇乞
(
いとまごひ
)
して、
直
(
すぐ
)
に
本所
(
ほんじよ
)
へ
行
(
い
)
つて、少し
懇意
(
こんい
)
の人があつたから
段々
(
だん/\
)
聞いて見ると、
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
の橋の
側
(
そば
)
に
金物屋
(
かなものや
)
さんが
有
(
あ
)
るから、そこへ
行
(
い
)
つて聞いたら
分
(
わか
)
るだらうと
云
(
い
)
ふ。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
就中
(
なかんづく
)
薄い
水苔
(
みづごけ
)
のついた小林平八郎の墓の前に
曼珠沙華
(
まんじゆしやげ
)
の赤々と咲いてゐた景色は明治時代の
本所
(
ほんじよ
)
以外に見ることの出来ないものだつたかも知れない。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
本所
(
ほんじよ
)
の
竪川
(
たてかは
)
、
深川
(
ふかがは
)
の
小名木川辺
(
をなぎかはへん
)
の
川筋
(
かはすぢ
)
には
荷足船
(
にたりぶね
)
で人を渡す小さな
渡場
(
わたしば
)
が
幾個所
(
いくかしよ
)
もある。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
いつか
四谷
(
よつや
)
の
堂
(
だう
)
の
扉
(
とびら
)
をのぞいて、
眞暗
(
まつくら
)
な
中
(
なか
)
に
閻王
(
えんわう
)
の
眼
(
まなこ
)
の
輝
(
かゞや
)
くとともに、
本所
(
ほんじよ
)
の
足洗屋敷
(
あしあらひやしき
)
を
思
(
おも
)
はせる、
天井
(
てんじやう
)
から
奪衣
(
だつえ
)
の
大婆
(
おほばゞ
)
の
組違
(
くみちが
)
へた
脚
(
あし
)
と、
眞俯向
(
まうつむ
)
けに
睨
(
にら
)
んだ
逆白髮
(
さかしらが
)
に
恐怖
(
おそれ
)
をなした
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それから
直
(
すぐ
)
に
本所
(
ほんじよ
)
を出て
吾妻橋
(
あづまばし
)
を渡つて、
森下
(
もりした
)
へ
行
(
い
)
つて
捜
(
さが
)
すと、
今
(
いま
)
の八
軒寺町
(
けんでらまち
)
に
曹洞宗
(
さうどうしう
)
の
東陽寺
(
とうやうじ
)
といふ
寺
(
てら
)
があつた。門の所で車から
下
(
お
)
りてズツと
這入
(
はい
)
ると、
玄関
(
げんくわん
)
の
襖紙
(
からかみ
)
に
円
(
まる
)
に十の
字
(
じ
)
の
標
(
しるし
)
が
付
(
つ
)
いてゐる。
塩原多助旅日記
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
わが裏庭の垣のほとりに一株の
臘梅
(
らふばい
)
あり。ことしも
亦
(
また
)
筑波
(
つくば
)
おろしの寒きに
琥珀
(
こはく
)
に似たる
数朶
(
すうだ
)
の花をつづりぬ。こは
本所
(
ほんじよ
)
なるわが
家
(
や
)
にありしを
田端
(
たばた
)
に移し植ゑつるなり。
臘梅
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
毎夜
(
まいよ
)
泊
(
とま
)
りの
客
(
きやく
)
を
連込
(
つれこ
)
む
本所
(
ほんじよ
)
の
河岸
(
かし
)
の
宿屋
(
やどや
)
を
出
(
で
)
て、
電車通
(
でんしやどほり
)
でその
客
(
きやく
)
とわかれ、
道子
(
みちこ
)
は
三
(
み
)
ノ
輪
(
わ
)
の
裏通
(
うらどほ
)
りにあるアパートへ
帰
(
かへ
)
つて
来
(
く
)
ると、
窓
(
まど
)
の
下
(
した
)
は
隣
(
となり
)
の
寺
(
てら
)
の
墓地
(
ぼち
)
になつてゐる
木
(
こ
)
の
間
(
ま
)
から
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
嘘
(
うそ
)
か
眞
(
まこと
)
か、
本所
(
ほんじよ
)
の、あの
被服廠
(
ひふくしやう
)
では、つむじ
風
(
かぜ
)
の
火
(
ひ
)
の
裡
(
なか
)
に、
荷車
(
にぐるま
)
を
曳
(
ひ
)
いた
馬
(
うま
)
が、
車
(
くるま
)
ながら
炎
(
ほのほ
)
となつて、
空
(
そら
)
をきり/\と
𢌞
(
まは
)
つたと
聞
(
き
)
けば、あゝ、その
馬
(
うま
)
の
幽靈
(
いうれい
)
が、
車
(
くるま
)
の
亡魂
(
ばうこん
)
とともに
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
本所
(
ほんじよ
)
横網町
(
よこあみちやう
)
に住める
一中節
(
いつちうぶし
)
の
師匠
(
ししやう
)
。名は
鐘大夫
(
かねだいふ
)
。年は六十三歳。十七歳の孫娘と二人暮らしなり。
鸚鵡:――大震覚え書の一つ――
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
小庭
(
こには
)
を
隔
(
へだ
)
てた
奧座敷
(
おくざしき
)
で
男女
(
なんによ
)
打交
(
うちまじ
)
りのひそ/\
話
(
ばなし
)
、
本所
(
ほんじよ
)
も、あの
餘
(
あんま
)
り
奧
(
おく
)
の
方
(
はう
)
ぢやあ
私
(
わたし
)
厭
(
いや
)
アよ、と
若
(
わか
)
い
聲
(
こゑ
)
の
媚
(
なま
)
めかしさ。
旦那
(
だんな
)
業平橋
(
なりひらばし
)
の
邊
(
あたり
)
が
可
(
よ
)
うございますよ。おほゝ、と
老
(
ふ
)
けた
聲
(
こゑ
)
の
恐
(
おそろ
)
しさ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
何処
(
いづこ
)
も同じやうな貧しい
本所
(
ほんじよ
)
の
街
(
まち
)
から
街
(
まち
)
をばてく/\歩いた。
近道
(
ちかみち
)
を取つて一直線に
今戸
(
いまど
)
の
家
(
うち
)
へ帰らうと思ふのでもない。
何処
(
どこ
)
へか
𢌞
(
まは
)
り道して遊んで帰らうと考へるのでもない。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
甥
(
をひ
)
の
長吉
(
ちやうきち
)
が
釣台
(
つりだい
)
で、今しも
本所
(
ほんじよ
)
の
避病院
(
ひびやうゐん
)
に送られやうと
云
(
い
)
ふ
騒
(
さわぎ
)
の
最中
(
さいちゆう
)
である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
銀座
(
ぎんざ
)
、
日本橋
(
にほんばし
)
をはじめ、
深川
(
ふかがは
)
、
本所
(
ほんじよ
)
、
淺草
(
あさくさ
)
などの、
一時
(
いちじ
)
に
八
(
はつ
)
ヶ
所
(
しよ
)
、
九
(
きう
)
ヶ
所
(
しよ
)
、
十幾
(
じふいく
)
ヶ
所
(
しよ
)
から
火
(
ひ
)
の
手
(
て
)
の
上
(
あが
)
つたのに
較
(
くら
)
べれば、
山
(
やま
)
の
手
(
て
)
は
扨
(
さ
)
て
何
(
なん
)
でもないもののやうである、が、それは
後
(
のち
)
に
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
で
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
隅田川は云ふに及ばず神田のお茶の水
本所
(
ほんじよ
)
の
竪川
(
たてかは
)
を始め
市中
(
しちゆう
)
の水流は、
最早
(
もは
)
や現代の吾々には昔の人が船宿の桟橋から
猪牙船
(
ちよきぶね
)
に乗つて
山谷
(
さんや
)
に通ひ
柳島
(
やなぎしま
)
に遊び
深川
(
ふかがは
)
に戯れたやうな風流を許さず
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
あの
利根川圖志
(
とねがはづし
)
の
中
(
なか
)
に、……えゝと——
安政二年
(
あんせいにねん
)
乙卯
(
きのとう
)
十月
(
じふぐわつ
)
、
江戸
(
えど
)
には
地震
(
ぢしん
)
の
騷
(
さわ
)
ぎありて
心
(
こゝろ
)
靜
(
しづ
)
かならず、
訪來
(
とひく
)
る
人
(
ひと
)
も
稀
(
まれ
)
なれば、なか/\に
暇
(
いとま
)
ある
心地
(
こゝち
)
して
云々
(
しか/″\
)
と……
吾
(
わ
)
が
本所
(
ほんじよ
)
の
崩
(
くづ
)
れたる
家
(
いへ
)
を
後
(
うしろ
)
に
見
(
み
)
て
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
本所
(
ほんじよ
)
の
狸囃子
(
たぬきばやし
)
と、
遠
(
とほ
)
き
縁者
(
えんじや
)
と
聞
(
き
)
く。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“本所”の意味
《名詞》
本居。
荘園の本来の権利所有者。本家。
蔵人所。
(出典:Wiktionary)
“本所”の解説
本所(ほんじょ)は、日本荘園制の荘園領主である本家および領家のうち、荘務を行う権限、すなわち荘園の実効支配権を有した者をいう。
(出典:Wikipedia)
本
常用漢字
小1
部首:⽊
5画
所
常用漢字
小3
部首:⼾
8画
“本所”で始まる語句
本所相生町
本所竪川
本所小梅
本所林町
本所深川
本所南割下水
本所区
本所両国
本所絵図
本所界隈