トップ
>
往来
>
おうらい
ふりがな文庫
“
往来
(
おうらい
)” の例文
旧字:
往來
ある
日
(
ひ
)
のことです。
私
(
わたし
)
は、やはりこうして
一人
(
ひとり
)
さびしく
往来
(
おうらい
)
の
上
(
うえ
)
に
立
(
た
)
っていました。けれど、
犬
(
いぬ
)
一ぴきその
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せなかったのです。
子供の時分の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
小さい人はその底の一部分を、黒くなって、寒そうに
往来
(
おうらい
)
する。自分はその黒く動くもののうちで、もっとも
緩漫
(
かんまん
)
なる一分子である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わたしたちがいよいよ芝居小屋にはいったとき、
広告屋
(
こうこくや
)
はたいこをたたいて、
最後
(
さいご
)
にもう一度村の
往来
(
おうらい
)
を一めぐりめぐり歩いていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
どのテーブルにもアペリチーフの
杯
(
さかずき
)
を前にした男女が仲間とお
喋
(
しゃべ
)
りするか、
煙草
(
たばこ
)
の煙を輪に吹きながら
往来
(
おうらい
)
を眺めたりしている。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それにまわりの人々の自分に対する言葉のうちにもそれが見える。つねに
往来
(
おうらい
)
している友人の群れの空気もそれぞれに変わった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
▼ もっと見る
どんな
時
(
とき
)
でも、どういうことをしてる時でも、たとえば
片足
(
かたあし
)
でとびながら
往来
(
おうらい
)
を歩きまわっている時でも——
祖父
(
そふ
)
の家の
床
(
ゆか
)
にねころがり
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
霞
(
かすみ
)
ヶ
関
(
せき
)
には返り
咲
(
ざき
)
の桜が一面、陽気はづれの暖かさに、
冬籠
(
ふゆごも
)
りの長隠居、
炬燵
(
こたつ
)
から
這出
(
はいだ
)
したものと見える。
早
(
は
)
や
往来
(
おうらい
)
は
人立
(
ひとだち
)
だ。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
小石川
水道端
(
すいどうばた
)
なる
往来
(
おうらい
)
の真中に立っている
第六天
(
だいろくてん
)
の
祠
(
ほこら
)
の
側
(
そば
)
、また
柳原通
(
やなぎわらどおり
)
の
汚
(
きたな
)
い
古着屋
(
ふるぎや
)
の屋根の上にも大きな銀杏が立っている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
町なかの
往来
(
おうらい
)
は、おおぜいの人で、ごったがえすようなさわぎでした。そこへ、ひとりの男が馬にのってやってきて、こうふれまわりました。
白ヘビ
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
いや
其様
(
そん
)
なことを云うまでもなく、
釈迦
(
しゃか
)
にさえも娑婆
往来
(
おうらい
)
八千返
(
はっせんぺん
)
の
談
(
はなし
)
があって、
梵網経
(
ぼんもうきょう
)
だか何だったかに明示されている。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
町は一どきに目がさめたように
活気
(
かっき
)
づき、町の人々は
胸
(
むね
)
がわくわくして仕事など手につかず、みんな
往来
(
おうらい
)
へ出て、目をみはって行列を見ています。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
その夜、父は私を
縁日
(
えんにち
)
につれて行ってくれた。家の前の路地を
出外
(
ではず
)
れると、「さあおんぶしてやろう」と父は
往来
(
おうらい
)
にしゃがんで私をその背にのせた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
街道にはもう
往来
(
おうらい
)
も絶えた。
表
(
おもて
)
もうす暗くなつた。亭主もいよ/\思ひ切つて店を仕舞はうとするところへ、いつもの女の影が店のまへにあらはれた。
小夜の中山夜啼石
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
往来
(
おうらい
)
の人たちは、ふしぎな
看板
(
かんばん
)
とおもしろそうな
口上
(
こうじょう
)
に
釣
(
つ
)
られて、ぞろぞろ
見世物小屋
(
みせものごや
)
へ
詰
(
つ
)
めかけて
来
(
き
)
て、たちまち、まんいんになってしまいました。
文福茶がま
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
ふしぎな
独楽
(
こま
)
の
乱舞
(
らんぶ
)
を、かれの
技力
(
ぎりょく
)
かと目をみはる
往来
(
おうらい
)
の人や
行路
(
こうろ
)
の
閑人
(
ひまじん
)
が、そこでバラバラと
銭
(
ぜに
)
や
拍手
(
はくしゅ
)
を投げる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三根夫は、すっかりうれしくなり、顔をまっ赤にほてらせたまま、
往来
(
おうらい
)
へとびだした。この三時間に、かれは宇宙旅行の準備をととのえるつもりだった。
怪星ガン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そして格子戸を開けて、ひしゃげた帽子を拾おうとしたら、不思議にも格子戸がひとりでに音もなく
開
(
ひら
)
いて、帽子がひょいと
往来
(
おうらい
)
の方へ
転
(
ころ
)
がり
出
(
だし
)
ました。
僕の帽子のお話
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
白は客の顔を
映
(
うつ
)
している
理髪店
(
りはつてん
)
の鏡を恐れました。
雨上
(
あまあが
)
りの空を映している
往来
(
おうらい
)
の水たまりを恐れました。往来の若葉を映している
飾窓
(
かざりまど
)
の
硝子
(
ガラス
)
を恐れました。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
春鴻
(
しゅんこう
)
の去るが如く、
春燕
(
しゅんえん
)
の来るが如く、
参勤
(
さんきん
)
交代の制によりて、江戸とその領地との間を去来したるの外は、日本国内の
往来
(
おうらい
)
交通すら殆んど自由ならざりしなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
あがり口の
浅
(
あさ
)
い
土間
(
どま
)
にあるげた
箱
(
ばこ
)
が、
門外
(
もんがい
)
の
往来
(
おうらい
)
から見えてる。家はずいぶん古いけれど、
根継
(
ねつ
)
ぎをしたばかりであるから、ともかくも
敷居
(
しきい
)
鴨居
(
かもい
)
の
狂
(
くる
)
いはなさそうだ。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
前が阿波屋と云う下駄屋で、狭い
往来
(
おうらい
)
はコンクリートの固い道だった。荷車に花を積んだ花売りが通る。赤い鉢巻きをした黒い牛が通る。朝の往来はすがすがしかった。
田舎がえり
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
地元
(
じもと
)
の
里
(
さと
)
はいうまでもなく、三
里
(
り
)
五
里
(
り
)
の
近郷近在
(
きんごうきんざい
)
からも
大
(
たい
)
へんな
人出
(
ひとで
)
で、あの
狭
(
せま
)
い
海岸
(
かいがん
)
が
身動
(
みうご
)
きのできぬ
有様
(
ありさま
)
じゃ。
往来
(
おうらい
)
には
掛茶屋
(
かけちゃや
)
やら、
屋台店
(
やたいみせ
)
やらが
大分
(
だいぶ
)
できて
居
(
い
)
る……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その前には、りっぱな
奥
(
おく
)
さんが四人すわっていて、はいってくる人ごとに、お菓子をやっている。入口のドアは、たえまなしにあいて、おおぜいの人が
往来
(
おうらい
)
からはいって行く。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
彼等の通学せし頃さへ親々は互に
識
(
し
)
らで過ぎたりしに、今は二人の
往来
(
おうらい
)
も
漸
(
やうや
)
く
踈
(
うと
)
くなりけるに及びて、
俄
(
にはか
)
にその母の
来
(
きた
)
れるは、
如何
(
いか
)
なる
故
(
ゆゑ
)
にか、と宮も
両親
(
ふたおや
)
も
怪
(
あやし
)
き事に
念
(
おも
)
へり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そのうち
往来
(
おうらい
)
の人たちが、きゅうに、なにかさけびながら、いっさんにかけだしていった。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
その女は、どんなに大きなものがかけこんだか、まるで気もつきませんでした。晩になってはじめて、わたしは外へ出ました。月の光の中を、わたしは
往来
(
おうらい
)
じゅうかけまわりました。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
痴川は今度は伊豆を笑わせまいとして
一途
(
いちず
)
に頬っぺたを
捻
(
ひね
)
ったりしていたが、漸く手を離して立ち上って、尚
厭
(
あ
)
き足らずに数回蹴飛ばしてから、自分の家へ戻らずに
往来
(
おうらい
)
の方へ出て
小さな部屋
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
飛
(
と
)
んでもねえ。
駕籠
(
かご
)
に
乗
(
の
)
る
人
(
ひと
)
かつぐ
人
(
ひと
)
、
行
(
ゆ
)
く
先
(
さき
)
ァお
客
(
きゃく
)
のままだが、かついでるうちァ、こっちのままでげすぜ。——それ
竹
(
たけ
)
、なるたけ
往来
(
おうらい
)
の
人達
(
ひとたち
)
に
目立
(
めだ
)
つように、
腰
(
こし
)
をひねって
歩
(
ある
)
きねえ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
向うは
往来
(
おうらい
)
が
三叉
(
みつまた
)
になっておりまして、
側
(
かた
)
えは
新利根
(
しんとね
)
大利根
(
おおとね
)
の
流
(
ながれ
)
にて、
折
(
おり
)
しも空はどんよりと雨もよう、
幽
(
かす
)
かに見ゆる
田舎家
(
いなかや
)
の
盆灯籠
(
ぼんどうろう
)
の火もはや消えなんとし、
往来
(
ゆきゝ
)
も
途絶
(
とだ
)
えて
物凄
(
ものすご
)
く
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
彼
(
かれ
)
は
昼
(
ひる
)
には
室内
(
しつない
)
を
窓
(
まど
)
から
窓
(
まど
)
に
往来
(
おうらい
)
し、
或
(
あるい
)
はトルコ
風
(
ふう
)
に
寐台
(
ねだい
)
に
趺
(
あぐら
)
を
坐
(
か
)
いて、
山雀
(
やまがら
)
のように
止
(
と
)
め
度
(
ど
)
もなく
囀
(
さえず
)
り、
小声
(
こごえ
)
で
歌
(
うた
)
い、ヒヒヒと
頓興
(
とんきょう
)
に
笑
(
わら
)
い
出
(
だ
)
したりしているが、
夜
(
よる
)
に
祈祷
(
きとう
)
をする
時
(
とき
)
でも
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
これは、
河内
(
かわち
)
で出来る『
八代
(
やつしろ
)
』という変り蜜柑で、鍛冶屋や
鋳物師
(
いものし
)
の二階の窓から
往来
(
おうらい
)
へほおる安蜜柑じゃねえ。……ご親類の
松平河内守
(
まつだいらかわちのかみ
)
から八日祭のおつかいものに届いたものに相違ない。
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
どうしようと思ったとたんに、ふといいことを考えついて、紳士の頭が横に傾いた拍子に、風に吹き飛ばされたふうをして、ふーっと
往来
(
おうらい
)
に飛び降りて、ころころと転がって逃げ始めました。
不思議な帽子
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
往来
(
おうらい
)
にはつめたい風が吹いているし、今はもう
暮
(
く
)
れの
売出
(
うりだ
)
しの
時節
(
じせつ
)
です。
清造と沼
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
一三 この老人は数十年の間山の中に
独
(
ひと
)
りにて住みし人なり。よき
家柄
(
いえがら
)
なれど、若きころ財産を傾け失いてより、世の中に思いを
絶
(
た
)
ち、峠の上に
小屋
(
こや
)
を掛け、
甘酒
(
あまざけ
)
を
往来
(
おうらい
)
の人に売りて活計とす。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
思わずのぞくと、
髪
(
かみ
)
を
桃
(
もも
)
われにゆったひとりの少女が、ビラビラかんざしといっしょに造花のもみじを頭にかざり、赤い前かけに両手をくるむようにして、無心な顔で
往来
(
おうらい
)
のほうを向いて立っていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「みんな、どうしたんだろう。」と、
往来
(
おうらい
)
の
上
(
うえ
)
をあちらこちら
見
(
み
)
まわしていました。けれど、
一人
(
ひとり
)
の
子供
(
こども
)
の
影
(
かげ
)
も
見
(
み
)
えませんでした。
金色のボタン
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あたかも
往来
(
おうらい
)
は歩くに
堪
(
た
)
えん、戸外はいるに
忍
(
しの
)
びん、一刻も早く屋根の下へ身を隠さなければ、
生涯
(
しょうがい
)
の恥辱である、かのごとき態度である。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ひょうが
往来
(
おうらい
)
に深く
積
(
つ
)
もっていた。リーズはうすいくつで、その上を歩くことができなかったから、わたしは
背中
(
せなか
)
に乗せてしょって行った。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
もう
暫
(
しばら
)
く
炬燵
(
こたつ
)
にあたっていたいと思うのを、むやみと時計ばかり気にする母にせきたてられて不平だらだら、
河風
(
かわかぜ
)
の寒い
往来
(
おうらい
)
へ出るのである。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
或
(
ある
)
時長い間
往来
(
おうらい
)
の
杜絶
(
とだ
)
えて居た両親の家に行き、突然
跪
(
ひざまず
)
いて、大
真面目
(
まじめ
)
に両親の前で祈祷したりして、両親を
却
(
かえ
)
って驚かしたこともありました。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それから
娘
(
むすめ
)
だの、
子供
(
こども
)
たちだの、
職人
(
しょくにん
)
だの、
小僧
(
こぞう
)
だの、
女中
(
じょちゅう
)
だのを
呼
(
よ
)
びましたので、みんな
往来
(
おうらい
)
へ
出
(
で
)
て、
鳥
(
とり
)
を
眺
(
なが
)
めました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
こういってさわいでいるうちに、おぎゃあともいわずに赤ちゃんが、それこそころりと、
往来
(
おうらい
)
さきに、まるい石ころがころげ出すようにして生まれました。
たにしの出世
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
とり逃がした怪人物をあきらめたようなことをいいながらも、まだかれの目は
往来
(
おうらい
)
へいそがしく動いていた。
金属人間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この
早駆
(
はやが
)
け勝負のまえには、
奉行
(
ぶぎょう
)
の方から
騎乗随意
(
きじょうずいい
)
といってきたくらいであるから、とうぜん、
騎馬
(
きば
)
の
往来
(
おうらい
)
は自由なところと考えていたが、このあんばいだと
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人をふきとばしそうなサイレンをならしている
自動車
(
じどうしゃ
)
、
往来
(
おうらい
)
いっぱいになってがたがた
走
(
はし
)
ってくる
乗合自動車
(
のりあいじどうしゃ
)
、うるさくベルをならしながらとびまわる
自転車
(
じてんしゃ
)
などで
あたまでっかち
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
人の
往来
(
おうらい
)
は織るようで、申しては
如何
(
いかが
)
ですが、唯表側だけでしょうけれど、以前は遠く
視
(
なが
)
められました、城の森の、石垣のかわりに、目の前に大百貨店の電燈が、紅い羽
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ところが外へ出て見ると、その晩はちょうど弥勒寺橋の近くに、
薬師
(
やくし
)
の
縁日
(
えんにち
)
が立っている。だから
二
(
ふた
)
つ
目
(
め
)
の
往来
(
おうらい
)
は、いくら寒い時分でも、押し合わないばかりの人通りだ。
奇怪な再会
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
おや、また
往来
(
おうらい
)
だ。なんてまあ広い通りだろう。うかうかすると、ひきころされてしまうぞ。なにしろ、みんな
夢中
(
むちゅう
)
で、わめいたり、走ったり、車をとばしたりしているからな。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
逗留客が散歩に出る。
芸妓
(
げいしゃ
)
が湯にゆく。白い鳩が
餌
(
え
)
をあさる。黒い燕が
往来
(
おうらい
)
中
(
なか
)
で宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く。
梟
(
ふくろう
)
が鳴く。
門附
(
かどづけ
)
の芸人が来る。
碓氷川
(
うすいがわ
)
の
河鹿
(
かじか
)
はまだ鳴かない。
磯部の若葉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
まずくつやと
仕立屋
(
したてや
)
が、それから町じゅうの人が、下の
往来
(
おうらい
)
に出てきました。それから、いすとテーブルがもち出されて、ろうそくが、それは千本という数ものろうそくがともされます。
影
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
往
常用漢字
小5
部首:⼻
8画
来
常用漢字
小2
部首:⽊
7画
“往来”で始まる語句
往来中
往来際
往来止
往来側
往来傍
往来状
往来繁
往来餽遺